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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第2章 名医、隕石になるってよ
57/162

2-19 お宝(?)探し

ーー前回のあらすじーー


 天空から墜落して来た人物はヤムチャに拷問をされ、フジモンと名乗る自称モンゴルの名医であることを白状した!

しかも、先ほどまでは宇宙に居たというのだが……それを証明できるものは何一つとしてない。


 噴火口から出ていた煙の正体は液体酸素で、そのうちに落下地点から消えるであろうとのこと。

その煙が消える頃に再び全員で様子を見に行くこととなった。



 ちなみに、酸素の沸点は-183℃……めっちゃ寒いです!!

そんなものに直撃したら……お察しです。

ミーシャはよく生還出来ましたね……!!


 一方、理科の実験で使われる液体窒素の沸点は-195.3℃!!

こっちの方が冷たいので液体酸素の方がマシだったようです。

窒素だったらミーシャも氷漬けになっていたかも……。



読者の皆さんは液体酸素と液体窒素、どちらに浸かってみたいですか?


↑どうせこういう内容を聞いてくるんだろうなと読めていた読者の皆さんは本編へ進んでよし!!

そんなこんなで少々雑談を挟んでから脱出ポッドの落下地点まで戻ってきた。




 彼の言った通り、煙はほぼ消えて寒さも大分和らいでいる。

直径は10mくらい、深さはだいたい3mくらいか?

そんなクレーターの形がはっきりと分かる。



 そしてクレーターの中心には直径が2mほどの銀色に光り輝くボールみたいな……いや、くじらんのことじゃなく!!



「おお、あれが脱出ポッドか!!」



俺はついつい叫んで駆け寄ってしまう。



「もう、よしだくんったら!やっぱ機械のことになると眼がないわね……。」



そうやってミーシャは言っているが、俺のことを追ってポッドに近づいて来ている。







「なあ……ここってさ、くじらんの家が無くなった後に何かが出来たはずなんだけど何だっけ?どうしても思い出せないんだよなwwww」


「そう言われりゃあ、俺が以前ここで酷い目に遭った記憶があるな……。」




「うわあああーっ!!ああ、あそこっ、見て!!!」




 おいおいくじらん、いきなり大声を出すんじゃない。

せっかくポッドの観察に夢中になっていたというのに……。



振り向くと彼はクレーターの右端を指差して腰を抜かしている。




「いやあっ!?人の腕があるじゃない!?って、ぎいぃやゃゃゃあああっっっーー!!!よよ、よ、よしだくん、足っ!!足ぃーーー!!!」




今度は真横にいたミーシャが後ろに飛び退いてバク転をした。


 そ、そばでそんな大きい声を出されたらビックリするじゃないか……で?俺の足がどうかしたか??


俺は足元を見た。







「うおおおっーーー!?!?人の足があるじゃないかーー!?!?」



 俺は驚きのあまり、後ろへ下がる代わりにバックハンドスプリングを三連続で繰り出してしまう。

え!?何故だ!?!?何でそんなものがここに……?



「三人ともいいリアクションだなーwww……何で人の手足が落ちてるの?ww」



 シンタローはこの事実に気が付いてしまったのか笑い声が小さくなる。

それでも笑顔は絶やさないんだこいつは……。




「おいおい、死体遺棄か??勘弁してくれ!!と言うかあの足、地面から飛び出てるな。引っ張り出したら残りのパーツも出てくるかもしれん。」


「い、遺跡発掘みたいに言わないでくれる……!?!?」



ミーシャはいつの間にかクレーターの外に待避していた。



「それなら僕も協力しよう!」



 フジモンもクレーターの中に、ヤムチャとシンタローも続いて入ってくる。

そしてフジモンはどうしてそんなに乗り気なんだよ?死体発掘の趣味でもあるのか?




「よし、四人で引き抜くぞー!って、この足冷たっ!!wwww」



 シンタローは何の抵抗もなくその足を掴もうとしたがすぐに離してしまった。

そりゃさっきまで液体酸素漬けにされてたわけだからな……よし、俺の出番だ!!




「シンタロー、これを使うんだ。」



俺はリュックから防護手袋を取り出す。



「さすがよしだくん、準備がいいな!!」



と、ヤムチャもその手袋をはめる。




「おお、これなら楽に掴めるな!!!」



 そしてヤムチャは足の上側、シンタローは下側、フジモンはヤムチャの腰を、そして俺はシンタローの腰を持った。



「よし、じゃあ1..2..3で掘り出そうか。いくよ……1、2、さーーーん!!!」



 と、フジモンの掛け声でみんな一斉に引っ張ったが、その瞬間前にいたシンタローが後ろに倒れてきた!



「いたた……シンタロー、後ろに俺がいるんだ。しっかり頼むぞ……。」



下敷きにされた俺は彼の下から声をかける。



「ごめんごめんww何だか思ったよりも簡単に抜けちゃってなーwwww」



シンタローは俺を下敷きにしたままゲラゲラと笑っている。





「や、ヤムチャ君……お、重いぞ……どいてくれないか……?」



横を見ると俺と同じようにフジモンがヤムチャの下敷きにされている。



「お?あ、すまんな。……って、おいおいおいおい!?その足!!!千切れてんぞ!!!」



ヤムチャは驚いてフジモンの体の上から転がり落ちる。







千切れた…………??






え???






「え???あああ!!本当だーー!!!wwww」



シンタローも俺の体から落下する!





いや、千切れるっていくら何でも……。



俺はシンタローの手に握られている物を見る。





…………。







……………………!?








「ああああああーーー!!!本当に千切れてたーーー!!!!」



 俺は絶叫して連続側転を噛まし、クレーターの外まで逃げる。

ち、千切れた足の断面がチラリと見えてしまった……。




「よ、よしだくんお帰りなさい……一体ここはどうなってるのよ……?」



 ミーシャもくじらんもその場に座り込んで動けなくなっていた。

そして俺もそんな二人の横に腰を下ろす。



「しかしだな、足が千切れたってことは他のパーツが地面に埋まってる可能性がもっと高くなったな……掘り出すか!」



ヤムチャはどこからかスコップを取り出してフジモンとシンタローに配った。




「よーしお宝探しだ、掘るぞー!!って地面が凍っててシャーベットみたいで面白いなwwww」



 それって土がシャリシャリしてるのか?

いやいや、そもそもお宝って……。




「おっ、もう片方の足が見えたな……。」


「あれ?赤い氷がスコップの先にくっついてきたんだけどここにイチゴアイス捨てたの誰?wwww」


「ん、左腕も出てきたね。」






「うわぁ……想像しただけで寒気がするよ……。」


「全く……どうして三人は平気なのかしら?」


「いつものことだが恐ろしい奴らだよ……。」



俺たち三人は遠目で、かつあまり凝視しないようにお宝……いや、死体探しの光景を見ていた。






「おい!!腹にスコップが刺さったような穴が開いてんぞ!」


「あっ、さっきのイチゴアイス、凍った血だったのかwwwww」


「な、何で笑ってられるんだい……!?」



フジモンはシンタローを引き気味に見ていた。






「本当に何で笑ってられるの……??」


「まあ、シンタローだからねー……。」


「そうだな、笑ってなかったらシンタローじゃないからな。」






「肋骨も全部折れてやがるようだな……、これはひでえ……。」


「とりあえず、凍ってるけど後は埋まってるの顔だけだし、そろそろ手でも引っ張り出せそうじゃないか?wwww」


「そうだね、じゃあ……せーのっ!!」






「ねえ……ここに何があったか思い出したんだけど、あの死体ってさあ……。」


「そうねえ、私も今思い出したわ……。」


「どうして今まですっかり忘れていたんだろうな……?」







「「「あれは……スターク……!?」」」







「こ、こいつはスターク!?!?」


「そっかwwここってスターク王国があったんだっけwwww」



掘り出されたスタークの姿を見てヤムチャは動揺し、シンタローは相変わらず笑っている。





「えっ??も、もしかして君たちの知り合いなのかい!?」



フジモンは二人の顔を交互に見ている。



「ああ、こいつは家が無くなってからここに自分の国を作って住んでたんだぜ、頭おかしいよなwwwwきっとこれが降ってきて生き埋めになったんだぜ!www」



シンタローの笑顔は絶えないどころか、むしろいつもよりも咲き乱れている……。





「なっ……!?何てことだー!!!この脱出用ポッドのせいで人が一人……いや、頭部に損傷はなさそうだ、手足も凍っているうちに繋げば……君たち!!彼を蘇生させるから手伝ってくれ!医者の名に賭けて何としてでも助けるさ!!」



 フジモンは頭を抱えて絶叫したがすぐに冷静さを取り戻し、ポッドの開いていた部分から中に入って荷物を物色している。



「うん、医療道具もいくつか壊れてない物があるから何とかなりそうだ。」





「私は自分の家の様子を見てくるわ~。」


「んじゃ、俺もそうしよう。」


「俺は駄菓子屋の状況を確認してくるね。」


「じゃあ俺は洞窟でダラダラしてくるわwww」




フジモンがそう言うと四人は各々バラバラにどこかへ行こうとする。



「おいおいお前ら!こっちが優先だろ!どこへ行くんだ!」



俺は大慌てで四人を呼び止める。


一体どうしたって言うんだよ!!




「だってスタークには助かって欲しくないっていうかあ……。」


「正直呼吸をしているこいつを見るだけでイライラするぜ……。」


「俺も今まで色々酷いことを言われたりしたしなあ……。」


「俺はスタークを放っておいた方が面白そうだから手伝わないぜwww」





お前ら……なら、俺も言い返すさ。



「なあ、俺たちはキヌタニを裁いたばかりだよな、それも殺人未遂で。お前たちが今ここでスタークを見捨てるというのならそれは殺人と一緒じゃないのか?」



俺は四人のことをじっと見る。



その場にはしばしの間、沈黙が流れた。





「ったく、ほんっとーーによ……よしだくんはどこまでも真面目っつーか……。おいお医者さんよ、助手は何人必要なんだ?」


「まあ、二人いれば何とかなるかな?」




「よし、じゃあくじらんとよしだくんはここに残れ。ミーシャは俺と駄菓子屋の被害調査だ。んでシンタロー、お前は洞窟にいるチッダールタにこれまでのいきさつを報告してこい。さっき助けられたんだ、そのくらいの義務はあるだろ。」


「オッケーwwそれじゃ、早速洞窟へと出発だぜ!!wwwww」





ヤムチャ……分かってくれたんだな。


なら俺はこいつを助けるのに全力を尽くさせてもらうさ!!

はい、これでちゃんと予告通りにスタークが窮地に陥ったわけでございます。


 さあ、果たして彼は助かるんでしょうか??

それは神のみ……いや、フジモンのみぞ知るというところでしょう。



とにもかくにもフジモンのメスさばきに注目ってわけです(*‘ω‘ *)


 こういう言い方をしてしまうと魚を捌くようなイメージになりますが、やってること自体はあんまり変わらないので間違ってもいないでしょう。



 そんなわけで次回はスタークが刺身になっているかもしれません……。

それでも100エーカーの森の住人たちなら彼を美味しく頂くことは容易に想像がつきます!


「シンタロー:あんな奴の肉を食うぐらいなら自分の腕を齧った方がマシだぞ?www」


 と言いつつもシンタローならば笑いながら完食しそうです。

読者の皆さんも今から100エーカーの森に行けばスタークの刺身を食べるチャンスがあるかもしれません……?


※現状、森に通ずる交通機関はございませんので皆様、徒歩でのご移動をお願いいたします。

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