2-18 天空からの訪問者
ーー前回のあらすじーー
隕石に襲われた100エーカーの森は変わり果てていた……。
高木に佇んでつがいを探す鳥たちの鳴き声は消え、必死に太陽の光を求めて背伸びをしていた木々は一瞬にして倒された。
駄菓子屋は建物としての外見を保っておらず、内部もきっと悲惨な有様になっていることだろう。
くじらんの家があった場所には白い煙が噴き出る火山が生成されていた。
森の住人たちが接近すると、火山の周囲は極寒地獄となっていて、ただその場にいるだけでも意識を失いそうなほどの危険地帯と化していた。
そんな時、遥か彼方の天空から何者かが100エーカーの森へとやって来た!!
知能の足りてないミーシャは何故かその人物に向けて機関銃を乱射し、彼は火山の噴火口へと墜落してしまうのであった……。
本当の噴火口に落ちたものならきっと助からないでしょう。
ヤムチャなら溶岩に沈んでからも、無傷で浮き上がってくるかもしれないですが……(ないです)。
読者の皆さんは噴火口に落ちたことがありますか?
暑かったよ!!って方は100エーカーの森の噴火口にも落ちてみると良いです。
寒かったよって方は……うん、本編へどうぞ。(謎の圧力)
「ああーー!痛い痛い!!死ぬかと思ったーー!!ん??そもそも生きてる?僕生きてる??」
その人は冷たい煙に巻かれながら何とか噴火口から脱出した。
彼は宇宙服を着ていて、その上から自分の頬……?のあたりをペチペチと叩いた。
そして彼はすぐに重そうな宇宙服を脱ぎ、外見が明らかになった。
その人は一言で言えば……メガネをかけた小太りオタク?
いやいや、言葉は選ばなかったし本当に見た目だけで判断したからな!!
「い、一体君は……僕を殺すつもりだったのかい!?」
そのオタクはミーシャのことを怯えた目で見ている。
「失礼ね!!せっかく人が助けてあげたのに!!」
「え?パラシュートを壊そうとしたんでしょ?」
「あ、あとちょっとで死ぬところだったんだぞ!ふ、深く反省したまえ!!」
そこまでオタクは言うと一呼吸置いてこう続けた。
「……みんな突然で何が起きたかも分からないだろうけど、とりあえずここは危険なのさ。だから一度安全な場所まで離れよう。」
その誘導に何となく俺たちは従ってしまい、彼の後についていった。
そして俺の家の前まで来た。
いや……これは、随分と酷い有り様だ……。
爆風でガラスは吹っ飛び、外から見ただけでも家の中がめちゃくちゃなのが分かる。
機関銃で外壁を撃ちまくられたような跡もあるが、これは駄菓子屋と同じように環状線に敷き詰めてある砂利がものすごい勢いでぶつかってきたんだろう、穴が無数に空いてしまっている。
シンタローが家の脇に積んでいた薪も広範囲に撒き散らされている……これは積み直すのがとても大変そうだ。
まあ、あいつにやらせるけどな!!
家がこんな状況なら電波塔は大丈夫だろうか……。
試作品は洞窟に移動しておいて正解だったよ、本当にな。
「まあ、ここまで来れば平気だろう。」
オタクはその場に腰を下ろした。
「おい。」
と、ヤムチャは突然そのオタクの首を握ると、そのまま絞め上げて睨みつけた!
「あの場所が危険だって言ったな。……てことはだ、どうやらあの隕石が何なのかを知ってるようじゃねえか……。」
「がが、ふぐっ……がっ!!」
「待て待てw何か喋ろうとしてるぞ!!www」
シンタローに言われてヤムチャは彼の首から手を離す。
「ハアハア……い、いきなり何をするんだい……。君たち野蛮すぎるんじゃないのか!?もっとこう、平和的n……!!」
それを聞いてヤムチャは再びオタクの首を絞めた!
こんなに怒っているヤムチャを相手に口応えできるなんて感心だよ。
「ひぐぅっ……ごおっ……!?」
「下らねえことばかりほざくつもりなら容赦なくこの首を握りつぶすからな!改めて聞くぞ、この隕石はお前が落としやがったのか!?」
ヤムチャはそれだけ言うと手の力を緩める。
「ゲホッゲホッ……た、確かにあの隕石……いや、君たちは隕石だと思ってたのか。あそこに落ちたのは隕石なんかじゃない、宇宙ステーションの脱出ポッドなんだ。それにさっきまで乗って……ここへ着いたのさ。ここに落ちたのは偶然でわざとじゃないんだ!!僕がどうしようとあのポッドはあそこに落ちてたさ!!」
彼はそこまで必死そうに言うと、ずり落ちていたメガネを上げる。
宇宙ステーション??
脱出ポッド???
やれやれ、どうやら隕石以上にとんでもない物が降ってきたようだな……。
「それで、危険だっていうのはどういうことなんだ?」
俺も話の流れに乗って質問する。
「ああ、あの辺りには白い煙が充満してただろう?あれはポッドに積んでいたタンクから漏れ出した液体酸素なのさ。」
「えっと……酸素って空気のあれだよね?」
くじらんは首をかしげている。
「ああ、酸素を相当な低温にまで冷やして液体にしたものだ。あれのせいで辺り一帯はすごく寒かっただろう?酸素は多すぎても人の体に危険を及ぼすし、何よりあそこは寒すぎたと思うから離れようと言ったんだ……理解してもらえたかな?」
「私はよく分かんなかったあ……。」
「悪いな、俺らは頭が良くねえんだ。この森の頭脳、よしだくんが理解できて無罪だって言うならとりあえずは放免だ。」
三人は俺の方を見てきた。
え?これは俺が判断しなきゃいけない流れか??
まあ、今の話を聞く限りだが……。
「確かにそれならここにポッドが落ちたのも、あの煙が寒かった理由も一応理解できた。しかし今の話を聞いてるとさっきまで宇宙にいたようだな。」
「ああ、本業は医者なんだけどね。勤めている病院の院長が僕に宇宙へ行けって言うから……。」
彼はそう言うと再びメガネを上げ、ため息をつく。
医者なのに宇宙へ行ったのか?
一体どんな経緯で院長はそんなことを思いついたんだよ??
……だが、本当に宇宙へ行ったなら色々と話を聞いてみたいところだ!
無重力ってどんな感じなのか、地球は本当に青いのか、水はシャボン玉みたいに浮遊するのか?
考えただけでもワクワクしてしまうな!
「と、とりあえずもう少し待てばタンクの液体酸素も尽きる頃だろうね。煙も晴れて状況も分かりやすくなっていると思うから君達も一緒に様子を見に行かないか?」
「俺は気になるから行くぞー!wwww」
「宇宙船の一部か……実物は見たことないから俺も気になるな。」
「まあ、みんな気になってるんじゃねえのか?せっかくだしみんなで行くとしようや。」
「じゃあそれまでちょっと自己紹介を。僕の名前はフジモンって言うんだ、モンゴルでは国で一番の名医って言われてるのさ。もし体調が悪いと思ったら僕を頼りたまえ!」
自分で名医って言うなよ……、って思ったのは俺だけだろうか?
「俺はこの森のリーダー、ヤムチャだ!ようこそ、この100エーカーの森へ!」
「私はミーシャ、趣味は銃を撃つことよ!!」
「俺はよしだくんだ、機械関連のエキスパートだぞ!」
「俺はシンタロー!ww銀河一の芸術家だ!www」
「俺の名前はくじらん、アニメが大好きだよ!」
俺たちも揃って自己紹介をした。
「これは随分と濃いキャラの面子が揃ってるね……。僕のことを探しに捜索隊が数週間のうちにここまで来ると思うからそれまでの間よろしく頼むよ!」
自分で名医って言うのは本当にどうなんでしょうね……。
まあ、医学生やお医者さんって変人が多いしよくあることだったりして……??
(偏見、なんでしょうか???)
そもそも、フジモンは本当に医者なのか、はたまたタダの小太りオタクなのか??
それが明らかになる日は来るのか????
よしだくんが彼から宇宙の話を聞ける日は来るのか?(面白くなさそうなのでカット!!)
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