2-13 被告人シンタロー
ーー前回のあらすじーー
エリスに奇襲を仕掛けたキヌタニは見事なまでの返り討ちに遭い、喉にノコギリを生やされたりするなどのご褒美(?)を与えられていた。
しかし、エリスを再び殺そうとした事実に激怒したよしだくんは、彼を物理的に駄菓子屋から出られなくするという更なるご褒美を献上したのであった。
それでもエリスはサービス精神たっぷりで、腹に鉄条網を巻くと言うオプションをつけてきた!
当然、キヌタニは痛さ(快楽?)のあまり意識がどっかに飛んでしまった……。
Mって怖いですね。
さすがにロープで首を絞められながら鞭打ちされたり、石を投げつけられながらチェーンソーで腕を切り落とされるなんてやってみたいとは思ってもされてみたいとは思えません……。
されてみたい方がいれば、作者がデリバリーごうm……サービスしますのでご利用ください。
その日の夜……
おお、とうとう俺にナレーションが回ってきたようだな。
この俺こそがyamucha kin……いや、この森のリーダー……ってことになってるヤムチャだ!
どういうわけか最近、尻に色んな物が刺さるから腹の調子がおかしくなっちまってるのがこの頃の悩みだな!!
全く、忙しい一日だったぜ!
朝っぱらからキヌタニが行方不明になって、そこからエリスとシンタローの裁判を開いて、次に昨日運べなかった駄菓子屋とミーシャの荷物を洞窟に運んだんだ。
それだけで一日が終わっちまったよ……。
で、今は晩飯を食い終わってエリスが後片付けをしているところだ。
「ふあーあ……これから開催されるシンタローの刑罰が楽しみねー♪」
ミーシャはエリスのベッドに寝転んで言う。
「そうねー、もう一度あれを見てみたいわ!!」
エリスもシンタローの方を見てニコニコしているな。
ああ、俺も一回はあれを客観的に見てみたいんだ。
「いやー……俺はマジで何されんのか分かんなくて怖いんだけど……ww」
シンタローは逃げ出さないように椅子と奴の胴体をロープで括り付けておいた。
つかお前笑ってんだろ!本当に怖いって思ってんのか!?
「俺も話でしか聞いてないからな……、少し期待はしているんだ。」
「そうだな、お前達の反応からしてかなり期待はできそうだな。」
「よしだくんとチッダールタまで!?そんな俺に期待しないでくれよww☆」
シンタローの奴、楽しそうなんだが……やっぱもうちょっと違う刑罰にするべきだったか……?
「さーて、食器洗い終わりっ!!!……じゃあ、始めるの?」
「そうだな!じゃあ、全員集会所の外に出るぞ!!」
辺りはすっかり暗くなって綺麗な無数の星が浮かんでいる。
普段のミーシャなんざ「ああ、ロマンチックねー……。」とか言いそうだが、あいにく今夜はそんな雰囲気じゃねんだな!!!
「ではこれより、被告人シンタローに打ち上げ花火の刑を執行する!!!」
「よく分からないけどマジでやるのね!!wwwお前ら頭おかしいな、って先に言っておこwwww」
そう、打ち上げ花火の刑……それは俺がリアルRPGでツアーガイドの仮面を被ってゲームマスターをしていたのがエリス、ミーシャ、くじらんの三人にバレて人間花火にされちまったやつだ!!
※この説明じゃ分かんねえ人は1.5-18話をもう一度読み直すと分かると思うぞ!!
んまあ、あの回は特に俺が醜態晒しちまってるからあんまり読んで欲しくねえ、てか思い出して欲しくもねえんだが……。
そして今この場にはさっき俺が用意した火薬入りのデカイ金属製の樽がある!!
この前俺が打ち上げられた時よりももっとどでかいブツを用意してやったぞ!!
「まずはシンタローをここに入れるぞ!!」
俺はロープで縛られて動けないシンタローを椅子ごと樽の中に頭から放り込んだ。
「ぐひゃっ!!な、何かここ、火薬臭いぞwwwwゲホッゲホッ!」
そんな陽気にむせているシンタローは放っておいて、だ。
「じゃあ、ルール説明だ!!ここには火薬入りの樽にぶちこまれたシンタローがいるな!そして樽の側面には50本の導火線がある。そこに順番に一人一本ずつ火を点けていくぞ!」
「50本って、この前より増えてるよね……。」
「そして今回は二本ハズレがあるぞ!!そこに火をつけると……。」
「ドカーンといくのか??」
「さすがよしだくん、察しがいいな!シンタロー花火が打ち上げられるってわけだ!!」
「えっ!?俺もしかしなくても空に打ち上げられるの!?それはウケねえよww」
シンタロー……てめえは何一人でウケてんだよ。あーもういい、こいつに構うのは止めだ!!
「だが、そんな哀れなシンタローに朗報だ。もし導火線の残りが二本になるまでお前が樽の中に残っていたら無事、無罪放免にしてやらあ!まあ、そんなことはまずねえけどな!ガハハハハ!!」
「マジで!?じゃあ、俺頑張るわ!!www」
頑張るも何も……お前はずっとそこで打ち上げられるのを待つだけなんだがなあ……。
「では、火をつける順番はどうするかな?」
「まあ、何でもいいと思うが……ここは年功序列にするか??」
「そうなると……チッダールタ、ヤムチャ、エリス、私、よしだくん、くじらんの順になるのかしら……?」
まあ、チッダールタはおじいちゃんだから最初だとして……もう全員の年齢なんて忘れちまった!!って人は一番最初の登場人物紹介を見てくれよな!!
「では私から選ばせてもらおう……。」
さてさて……ここからは長くなっちまったから省略だ。
逃○中の最初のハンター放出までって見ていてどこかイライラしねえか?
それと同じで、途中経過を全部喋ってたらみんなこの回を読み切らずに寝るだろうからな!!
で、結局誰もハズレを引かないまま残りは六本、最後の一巡になった。
そんでもって、45本目に火をつけるのはエリスだ。
「ううっ……またこの前みたいに何本も点けちゃいそう!」
「ま、マジでこの状態のままずっと打ち上げられるのを待たされるの、寿命縮むんだけどwwwww」
シンタローは足先をじたばたさせてもがいていたが、楽しそうなのが腹立つな!
そして意外と誰もハズレを引かねえ……もっと早くにドカーン!!といくと思ったんだが……。
「ああっー!!!今度は3本に火つけちゃった~!!!」
「ええ!?!?ドカーーーン!が来ちゃうーーーーーー!!!!!!!wwwwww」
おいー!?エリス何やってんだ!?!?さすがにこれは爆発するんじゃ……!!
……あ?爆発しないな……???
「やったー!!!奇跡じゃない!?」
「……ねえヤムチャ、もしかしてこの前みたいにハズレが一本もないとかじゃないわよね??」
ミーシャは俺の額に機関銃を突きつけてきた!
「いやいや!今回は確かに二本ハズレを作ったぞ!!」
俺は首を真横にブンブンと振って全力否定する!
それでミーシャは一旦大人しく機関銃を下ろしてくれた。
「分かったわ、とりあえず信用する……蜂の巣にするのはこの樽が不発に終わってからでもできるものね。……さて、セーフは一本……いや、ある意味ハズレが一本ね。どうしたものかしら……。」
「ハズレが一本」って言いたいことは分かるけどよ。
ミーシャは三本の導火線を順繰りに、そしてじっくりと見ている。
「ヤムチャ、ちょっといいか?もしかしたら別の場所に不備があるのかもしれん。俺にメンテナンスさせてくれないか?」
「え?……あ、ああ。別に構わねえが……。」
よしだくんはシンタローが突っ込まれている樽の中に入って色々と調べ始めた。
メンテナンスするほど複雑な樽じゃねえんだがな……。
「うーん、別に複雑な作りでもないし特に異常らしいとこr……」
「もう迷ってもしょうがないっ!!えーいっ!!」
ん!?ミーシャ……お前集中しすぎててよしだくんが樽の中にいるの気づかなかったのか!?
ダメだ!さすがにこれはもう……。
…………………………………………。
…………………………………………嘘……だろ?
ハズレの二本だけが残るなんてそんなこと……。
「ミーシャ!?俺が樽の中にいるのに何をしてるんだ!危機一髪だったな……。」
「ほんとそれなww俺もいるのによwwww」
「いや、シンタローはいないと意味がないんだけど!?」
いや、とにもかくにもよしだくんが無事で良かった!
でもこれじゃあシンタローを打ち上げることはできねえのか、少し残念だ。
「あーードキドキした!!でもこれじゃあ花火が見れないわ!……よっと♪」
おいミーシャ、お前……どうして残ったハズレの導火線に火をつけた???
「あー!!!ミーシャ何やってんのーーー!?!?」
「だってこっちの方が良い終わり方じゃない?」
ドカン!!!!ヒュルルルルル~…………
「ああああああーー!!!!助けてー!!wwww」
「うわああああーー!!たーまやー!!!!」
ドドーーン…………!!!!
……おかしいな、俺がセットした花火は一発だけの筈だったんだ……。
だが打ち上げてみて分かったことは……どうやらこの花火、双子だったみてえだ。
そうか……地上から見ると人間花火ってこんな汚い色してるんだな……。
「あああーー!!!!よしだくーん!!!」
「たーまやー♪」
「イエエエーイー!!!!」
「ほう、これは確かに絶景だな。」
……何故か、くじらん以外は全然よしだくんの心配してねえし、ミーシャに至っては祝砲、機関銃を空に向けてぶっ放してやがるし……。
もうどうでもよくなっちまったよ……まあ、これはこれでいいよな!!!
「めでたしめでたしだ!わーはっはっはっは!!」
「どうしよう!助けなk……え?……これでいいの……??」
「よくなーーーーい!!!!あああーー!落ちるー!!助けてくれー!!!!」
「熱いーーー!死んじゃうー!!wwwww」
まあどの道、後処理はしなきゃなんねえから少しの間待っててくれ……。
あ、次はエリスの刑罰を発表するぞ!
と言うわけで夏の終わりにドカンと一発、(二発?)花火が打ち上がりましたとさ♪
ちなみに書いてて疑問に思ったのは……、
このお話通りに導火線に火をつけて、ハズレの二本だけが残る確率ってどのくらいなのでしょう?
今計算してみたら1225分の1だそうで……意外と高いですね!
宝くじが当たる確率とは比べ物にならないほど高いので、もしかしたら読者の皆さんも今回のシンタローと同じようなシチュエーションに遭遇する可能性があるということですよ!
金属製の樽を見かけても中には入らないことをお勧めします……。
次回、花火にはならなかった被告人エリス!
彼女に下される刑罰とは……?
罪人となったエリスに何をしたいか考えてから次回に進むと良いでしょう。