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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第2章 名医、隕石になるってよ
50/162

2-12 「どんな罰でも受けます♥」

ーー前回のあらすじーー


主文:被告人を一か月の保護観察処分とする。



 殺人未遂を犯したのにも関わらず、キヌタニに下された判決はとてもとても軽いものであった。

もちろん被害者側は納得が行くはずもなく、よしだくんは早々に退廷してしまった。


 ヤムチャの家で拘留されていたキヌタニであったが、どうやら隙を見て脱走をしたらしく夜中にエリスを強襲するという凶行手段に出た!!


 彼女目掛けてノコギリを振り回し、どれだけやり返されようともゾンビのように立ち上がる……。

不死身とも思えた彼の前でエリスは生き延びることが出来たのか!?



 キヌタニのような雑魚がこちらにノコギリを振り回して来たら読者の皆さんはどうしますか?

逃げる?警察を呼ぶ?はたまたエリスのように武器を奪う??


 甘いですね、作者ならキヌタニと一緒にノコギリを振り回します。

どうしてかって?そりゃあ……彼一人で持つより二人で持った方が安定するじゃないですか!

ついでに彼の顔面にノコギリを炸裂させてやればもう二度と抵抗しては来ないでしょう。



 読者の皆さんも自分の顔面にノコギリを炸裂させてみてください。

恐らくその方が本編の理解が深まると思います(本当かもしれない)。

……でもその願いは届かなかったみたい。



集会所の至る所には血が飛び散っていて、テーブルの上には無惨なキヌタニの姿が……。





ん??キヌタニ??エリスじゃなくて??




「おいおい、じゃあエリスはどこだ??」



ヤムチャも同じことを思っていたらしいわ。

辺りを見回すとベッドで気持ち良さそうに爆睡しているエリスの姿が……。






「うーん、何事もなかったね!」


「いや、どう見ても何かしらはあったんだろ……。とりあえずはキヌタニがどういう状態なのか確認する必要があるな。」



よしだくんはキヌタニの脈があるか確かめる。



「一応生きてるようだが……、一体エリスに何をされたんだ?」




 キヌタニの体は切り傷だらけで、目隠しをされ、テーブルから飛び出ている両手両足には椅子を重石として一つずつ括りつけられていて、無理矢理大の字の体勢をとらされている。



「これは……酷いのかな?て言うかこのノコギリさあ……。」



 くじらんはキヌタニの口から飛び出ているノコギリをつつく。

多分だけど、柄の部分がキヌタニの喉に突っ込まれてるから、喉にノコギリを生やされたのかな?って言いたいのね。



「うん、ノコギリは種を蒔いて育てるものじゃないからな。こいつの口から生えているわけじゃないから安心しろ?wwwww」


「あ、そうだったんだ……ノコギリに寄生されたのかと思ったよ……。」



シンタローも私と同じことを思ったみたいね……。



くじらん、その発想が出てくるのはさすがにアニメの見過ぎよ?


まあ、くじらんの心の中が読めちゃう私達もあれだけど!!!






あれ?それはそうと、キヌタニの首には変な札が掛けられてない?



「何か書いてあるわね、えーっと……?」







『僕はエリスをしつこく追い回した変態ストーカーです。どんな罰でも受けます。どうぞ好きなだけいたぶってください♥



P.S. 縛られるならキツイ方が、叩かれるなら痛い方が好きです♪』







「こりゃ、エリスが考えそうな文面だな……。」


「えぇ…………本当かなあ?」



くじらんはその文言を信じたのか、試しにペチペチとキヌタニの頬を軽く叩いている。



「むごぉ…………。」


キヌタニはかすかに呻いた。




「で、次は…………。」





 次の瞬間、彼は思いっきりキヌタニの頬をビンタした!!

ブゥアアアアヂーン!!!!!というとんでもない音がする!





「ふぅぅごぉぉぉぉぉぉーー!?!?!?」


「うええええええ!?ちょっとくじらん!何のつもりーー!?」



私は、さすがにやらないだろうと思っていたくじらんの行動に絶叫してしまう!





「うん、こっちの方が反応がいいから、意外だけど書いてあることは本当だったみたいだね……。」


「まあ、いい反応だが……って、んなわけあるかーー!!」



 今度はヤムチャがくじらんの頬をビンタした!!!

ドッッカーーーーン!!!という音を立ててくじらんは集会所の壁まで吹っ飛ぶ!!






「……ああ……………ええええええ!!!ヤムチャ何するのーー!?!?」



吹き飛ばされたくじらんは自分の置かれた状況を理解して、ワンテンポ置いてから叫んだ。



「こんなことあのビビりなキヌタニが言うわけないだろ!wwwこの札はどうせエリスに掛けられたんじゃねえの?www」



 シンタローはお腹を抱えて転げ回っている。

本当に行動までもがうるさい奴……。



「えーと?そ、そうなんだ……キヌタニって最近よくこういう目に遭ってるから、てっきりMに目覚めたのかもしれないって思ってたんだ……。」




た、確かにそう言われればエリスが来てからというものキヌタニってずっとこんな調子かも……。








「ふあーあ、よーく寝れたわぁー。にしてもさっきから何やら騒がしいような……あれ?みんな集まってどうしたの?」



 集会所が騒がしかったのかエリスが起きてきた。

むしろ今までよく寝れてたわね!!!




「どうしたって…………あんたの問題よ!!」



私はエリスに近寄ってこいつの頬をぐいぐいとつねってやる!




「いだだたた!!!い、いきなり何なのよ!!」


「何じゃないわよ!キヌタニよ!キ・ヌ・タ・ニ!!!」





「キヌタニ??……あー!!!そうよ!夜中にこいつ、私のこと殺そうとしてきたのよ!!」



「「「「えええっ!!!」」」」





いやエリス、今さらっと凄いこと言った!!!




「それでしつこいから動けなくなるまでボコボコにしてやったわ♪」


「マジかよーwww二回も殺人未遂だなんてキヌタニやるな!ww」




「笑い事じゃないぞ!言ったこっちゃない!丸一日経たないうちに再犯をしてるじゃないか!!」



シンタローはキヌタニの頭をグリグリと撫で、よしだくんはヤムチャに指を差して怒鳴った。



まあ、さすがに無理もないわよね……!






「と、とりあえず、このノコギリと目隠し外してあげましょ?」



私はキヌタニの口からノコギリを引き抜き、目隠しをとった。





「ぼ、僕は……ま、まだ、あ、あき……らめな……いよ。か、必ず……エリ……スに、ふ、ふくしゅ……うす……るんだ……!」



 白目を剥いて気を失っているように見えて、それでもなおうわ言のように彼は呟いた。

キヌタニは気絶しているのかしてないのか分からないけど、とんでもない執念ね……。




「随分と殺意が有り余ってるじゃないか、絶対にまたこいつは殺そうとするぞ!!本当に保護観察で済ますつもりなのか!?」



よしだくんはヤムチャとキヌタニをきつく交互に睨む。





こ、これは……駄菓子屋の危機じゃない!?




「や、ヤムチャ!どうするのよ!?」


「ぐっ……確かに、ただの保護観察じゃまたエリスが危険にさらされるかもな……。じゃあ、こうしよう!」











「ぼ……僕が……何で……こんな目に……。」



 意識をはっきりと戻し、身体中が傷だらけ、包帯だらけで痛々しいキヌタニはお腹回りをステンレスの鎖で厳重に縛られている。


 そしてその鎖の一端は、カウンター近くの壁に先ほど大急ぎで作られたコンクリート塊の中に埋められていて……。



ああ、さすがにこれは残酷だわ……。





「当然でしょ!生かしてもらえてるだけ有り難く思いなさい!!」


「ぐふっ!!やめてよ……。」





 エリスはキヌタニの顔を蹴り飛ばした!

だからそのエリスの暴力が少なからず今回の事件の原因だと思うんだけどねえ……。





「いいか?エリスは意識があればキヌタニが武器を持っていても返り討ちにできちまうんだ。つまり、エリスが意識が無くなるときにキヌタニが傍にいなければいいってことになる!!」



「なるほどwwつまりは物理的にキヌタニを駄菓子屋から出られなくするってことだなwww」




 キヌタニが巻かれている鎖は長さが調整されていて、駄菓子屋の奥までギリギリ移動できるようになっているから仕事をするには困らないでしょうね。

 


 でもまさか……売り物のセメントからコンクリートを作って、ここまでするなんて……でもこれならよしだくんも納得するはず!!




「……だがな、ここにはロケットランチャーや爆弾だって売られているんだぞ。その気になれば手榴弾一個投げるだけで人を殺すことだってできるんだ。」


「でもキヌタニだからエリスを殺し損ねて自爆するオチだと思うけどなwwww」




うーん、それは私も思った……、キヌタニがそんな器用なこと出来るわけないもの。




「だが、自爆覚悟の巻き添えの可能性だって十分あるぞ。洞窟でエリスを殺し損ねた時に自ら滝壺に飛び込んだそうじゃないか。」


「た、確かに自爆特攻は怖すぎるよ……。」




そう言うのはくじらん。





「正直、こいつは生きたいのか死にたいのかよく分からないが……とりあえず駄菓子屋が営業している間は誰か一人、見張りをつけることを条件にこの保護観察処分を俺は受け入れよう。エリスはそれでいいか?」



あ、よしだくん……分かってくれたのね!よかったよかった!!これで駄菓子屋存続決定ね!!







「あのさーあ………その鎖、せいぜいこいつを駄菓子屋の中に括りつけておくだけで苦痛を感じなさそうなのよねー。代わりに鉄条網で縛られてくれたら許してあげるわ!!」


「え、鉄条網……!?そんなことされたら、僕……。」







ん?……今このおバカ、何て言った!?て、鉄条網って……あのトゲトゲしたやつよね??




「エリス……!?い、いくら被害者の要望には沿うようにとは言え、それはさすがに……。」



 ヤムチャはエリスのあまりに予想外な発言に戸惑う……当たり前よ、それはもうやりすぎどころか生き地獄じゃない……!

もう鉄条網がお腹に巻かれるの想像しただけで痛いもの……。




「エリス、お前マジでバカだなwwww」


「そ、それはあんまりなんじゃないの!?」


「い、痛みでどうにかなっちゃうわ!!」



私たちも揃って反対するわよ!!



「一体何を言って……いや、……何だ?それが出来ないならさっきの話は無しだぞ?」



 えええええ!?!?よしだくーーーーーん?

今少し戸惑ってたじゃない!!どうしてエリス側なのよ!!?


彼はヤムチャに詰め寄って脅し半分で返す。




「くっ……キヌタニ……、やむを得ないんだ!これはお前のため……我慢してくれ!!」


「えっ……!嘘、だよね……?そんな……。」



ヤムチャは鉄条網を震える手に取ると、怯えた反応を示したキヌタニの腹に巻い……、





「む、無理だー!!俺にはそんな残酷なこと出来ねえ!!エリス、やりたいならお前がやれ!!」


「わ、私が??……んまあ、いいけど。」



 エリスはいつの間にかよしだくんが用意していた防護手袋をつけると、平然と鉄条網をヤムチャから受け取り、淡々とキヌタニの胴体にわざわざ力を込めて食い込ませるように巻き付け始めた!



ちょ、ちょっと……!嫌よこんなの……!!!




「ひいぃぃぃっ……!!痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイーー!!!!ぐあああっーーーーーー……!!!!!」





キヌタニは悲痛な叫びをあげて、目と口を開いたまま意識を失い後ろに倒れてしまった……。





「……み、見てられないよ、こんなの……。」



くじらんはキヌタニに背中を向けてしまう。



「なあよしだくん……今のを見て前言撤回するつもりはないか……?」



「ああ……俺が悪かった。鉄条網の威力をなめていたよ………これはさすがにもう俺の方が人の道を踏み外しまくってるからな……。」



よしだくんは手袋をつけるとキヌタニに巻かれた鉄条網を外し始めた。

鉄条網が巻かれていた彼のお腹には血が滲んでいる……。




「えっ!?ど、どうして外しちゃうの!?」


「どうしてって……キヌタニの反応を見ていて何も思わなかったの……!?」



私はとっさにそんな言葉が出てしまう。




「そりゃまあ……キヌカスの苦しそうな表情が見れて楽しかったけど?」



「マジで言ってるの?w……なあエリス?俺はさあ、キヌタニに対して毎日のように振われているお前の暴力も裁かれるべきだと思うんだよなあwwww」



シンタローはエリスの肩にポンと手を置く。



「何だかシンタロー……珍しくマトモっぽいこと言うね!」


「えっ!?私が裁かれる要素なんて……?意味分かんないんだけどー!?ねー、よしだくん!」



エリスは必死に弁護人のよしだくんに助けを求める。




「……今回の件を別にしても、お前のキヌタニに対する暴力は弁護のしようがないと思うが?」



 よしだくんはエリスに背中を向けた。

あ、あっさりと切り捨てられてやんのwww



そこでヤムチャはシンタローの肩をポンと叩いた。




「……なあシンタロー?お前もちょくちょくエリスを唆したり、キヌタニに悪戯したり……結構色々やらかしてるよな……?」



「え……?いきなりどうしたの?www」



 シンタローは冷や汗をかいている。

どーやら思い当たる節がいくつもあるみたいねー。




「よーし、じゃあ今からエリスとシンタローの裁判を始めるぞ!!!」



「「ええーーーーー!?!?」マジ?wwww」


「ああ、マジだ。」





えっと……まだまだ荷物運びは始まりそうにないわね……。

 喉にノコギリの柄を差すというエリスの発想はどこから来るんでしょうか……?

それともキヌタニの口が開いていて寂しそうだったから差してあげた優しさなんでしょうか??


とりあえず、刃先ではなく柄の方だったのでエリスが優しいことは間違いないでしょう!(???)



 鉄条網は立ち入り禁止の場所や刑務所の塀に設置されているイメージですよね。

あれ、かなりの威力があります……。


 その昔、作者が持っていたバレーボールは家の前でサーブの練習をしていた時に(道路の向かいの)ゴルフ場の敷地にあった鉄条網に綺麗に突き刺さり、お陀仏になりました……。


 それ以来、鉄条網を見るたびにへし折ってやろうと思ってしまいます。

まあ、やったとてこっちの指が千切れるだけなんですが。


 気になった方は鉄条網の威力をお腹に巻き付けて体感してみると良いです。

もちろん、前もって生命保険に加入しておくことをお勧めしますが。

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