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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第2章 名医、隕石になるってよ
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2-8 それは無理だって

ーー前回のあらすじーー


 100エーカーの森に隕石が落ちてくると判明してから一夜明け……。

森の住人たちによる避難計画が始動した。


 森のお荷物であるエリスは避難準備に対する妨害工作を働いたとして本当のお荷物扱いを受けてしまった。

しかもよりによってキヌタニと背中合わせで拘束されたものだから不満が限界に達してしまった。


 彼女はキヌタニに暴力を振るい続け、キヌタニはただ抵抗することもなく耐えていた。

その間にも彼女たちの前には次々と新しい荷物が置かれ続け、森の住人たちからは認知されない空間に閉じ込められることとなってしまった……。



 教室の隅で誰とも話さず、ぼんやりしていると周囲から姿が見えなくなるという都市伝説は本当なのでしょうか?

作者はそんなことをしていないのに学校では誰に話しかけても気づかれないような、姿と声が認知されなくなる特殊能力を持っていました!


 これは体質なんでしょうか?

同じような体験をしたことがある方は教えてください!

「……え?ミーシャは……何がしたいの?」



くじらん以外は無言のまま、四人ともミーシャの家の前で立ち尽くしていた。







「うーーんっ、うーーーーーんっっ!!!なかなか動かないわねー!!!」



彼女は家の外周をロープで縛って何とか家そのものを洞窟の方へと引っ張ろうとしていた。






「おいミーシャ、お前何やってんの?wwww」



少ししてからシンタローが後ろから声をかけた。





「うええ!??あ、ああ、シンタロー丁度よかったわ!ちょっと手伝いなさいよ!!」



ミーシャは突然背後から名前を呼ばれたのでビックリしたようだが、すぐシンタローに命令した。



「いや何を?wwww」


「何をって……見りゃ分かるでしょ!この家を洞窟の中に運び入れるのよ!」








「えぇ……。」


「本気で言ってるのか……?」


「全くお前と来たら……。」



シンタロー以外の三人は完全に呆れていた。




「な、何よその反応は!!だって隕石が落ちてきて家が無くなったら後で困るじゃない?」


「あのなあミーシャ?洞窟の入り口と比べたらこの家は全然でかいんだぜ、どうやって洞窟の中に入れるつもりだよwwww」


「えっ!?いや、それは……。」




 洞窟の入り口は横幅5m、高さ3mほどであり、あまり大きくなかった。

そんな所から平屋と言えど家一軒を放り込むのは無理な話だった。

そしてミーシャはそんなことを微塵も考慮してなかったらしい。



そこへシンタローはさらに追い討ちをかけた。




「それにな俺がこの家を建てた時、家の四つ角の大きな柱を支柱にして地中に深くぶっ刺したんだよwwwそれを抜かない限りこの家はここからびくともしねえよwwwww」


「ああ………………。」



完全に言いのめされたミーシャは持っていたロープから手を離し、口を開けて愕然としていた。



しかし彼女もそんなことでは諦めなかった。



「な、な、なら……解体して運べばいいじゃない!!そうすれば洞窟の中にも入るでしょ!!」



なんとミーシャはヤムチャの持っていたノコギリを奪って自分の家を解体しようとした!





「おいーーー!?!?バカな真似はやめろ!!」


「解体したらただの木材になってしまうぞ!!」



ヤムチャとよしだくんはミーシャを慌てて取り押さえた。



「止めないで!!洞窟の中で新しい家を建てて、こっちに戻ってきたらまた解体してこっちで建て直せばいいじゃない!!」


「いや、そんなすぐに家一軒建てられるわけねえだろwwww」



シンタローはミーシャの言ったことが可笑しかったのか爆笑していた……。





10分後……







「ハイ、深く反省しています。もうあんなことは二度としません……。」



 腕を縛られ正座させられた上にヤムチャたちから散々キツく言われたらしく、ミーシャはさっきまでの勢いをすっかり失くしていた。



「分かったら早く荷物をまとめて洞窟の入り口に置いておけ、リヤカーも貸してやるからよ……シンタローのをな。……じゃあ三人は引き続き駄菓子屋で荷造りをしてくれ、俺は仙人に会ってあの大量の荷物をどう運ぶか相談してくるからな。」



「それなら今してしまおう。」




とその時、五人の周囲から声が降ってきた。



「なな、何の声だ!?」



よしだくんは非常に動揺してキョロキョロと辺りを見回していた。






「こっちだ、こっち。」



と、今度は一同の後ろから声がした。


五人は振り返るが、そこには何も居なかった。





「いや、やっぱりこっちだ。」



と、今度は左から声がして一同そちらを向いた。


が、やはり何も見えなかった。




「すまない、やはりこちらだな。」



と、またしても後ろから声がした。


また全員が振り返ったが結局誰も居なかった。





「うーむ、こっちか……、」


「もういい加減にしなさいよ!!さっきから何がしたいわけ!?」



ミーシャは我慢の限界が来て、当てずっぽうの方向に怒鳴った。




「申し訳ない、洞窟から出たばかりだと太陽の光は眩しくてな……。」




 と、五人の正面にチッダールタがゆっくりと現れた。

服装は昨晩と同じ、銀のスパンコールとイルミネーションのついた服だった。




「いや、私たちからすればスパンコールで反射した日光が眩しいんだけど!?(#^ω^)」


「うわっ、昨日と同じ服じゃん。ちゃんと洗濯してるの……??」



「この服は一着しか持ってないがちゃんと寝る前に脱いで洗っているから安心しろ。しかし、お前たちも眩しいのか。ならどこか日陰に移動するとしよう。」



「あのねえ、私たちが眩しいのは誰のせいよ!?」


「と言うか小腹が減ったなww休憩と日避けの意味でもみんなで駄菓子屋に行って何か食おうぜw」


「そうだな、一息つくとするか。」




何となく話がまとまって、一同は駄菓子屋へと向かって歩き出した。



ただ一人、よしだくんを除いて……。






「あ、あれが……話に出てきたチッダールタ……?姿が消えてた、あれが神通力なのか……??そしてあの意味不明な服……あれも神通力と関係あるのか……???それにしてもセンスが悪す……って、おい!!置いてかないでくれ!!!」







 そして彼らは売り物を冷やすための冷房で涼しい駄菓子屋まで戻って来た。

六人は思い思いに各々好みのアイスを食べていた。



「そうか、荷物の整理はそれなりに順調に進んでいるのか。」

「ああ……いや、このおじいちゃんが……本当にチッダールタだったのか……。」



よしだくんは未だに信じられないという顔をしていた。




「そんなに信用ないか?いかにも仙人のような後光をまとっているだろ?」


「いや、それはイルミネーションの光を反射させてるだけでしょ。本物の仙人ならそんなことしなくても後光があるんじゃない??」



ミーシャがちょっと痛いところを突いてきた。



「確かに、仙人と呼んでくれとは言ったが私は本物の仙人ではない。私の神通力などまだまだだ。本物の仙人なら完璧に未来予知をして隕石の軌道をずらし、地球から遠ざけるだろうな。」


「あんたみたいのが本物の仙人だったら世も末だっつーの!つか、そのイルミネーションをずっと点けてる意味はあるわけ?」



ミーシャはこれでもかというくらいチッダールタにガンガン食ってかかった。



「でもこのイルミネーションのおかげで本物の仙人みたいに見えるだろ?」


「いや、その服のせいでむしろ台無しだと思うけど?」



くじらんも加勢してきた。



「ゴホン……とにかくだな、あの大量の荷物をどうにか洞窟の中に運ばなくちゃならねえ。仙人の神通力を使ってどうにかできねえか??」



「そうだな……、あの荷物全てを私一人で運び入れるの無理だ。だが、お前たちが運ぶのを楽にしてやることはできる。」



「本当?どうするの??」


「まあそれは……見てもらった方が早そうだな。」




チッダールタは売り物のラムネを一本手に取ると、フワフワと浮きながら外に出ていった。







そして五人も後に続いて歩くと洞窟の前まで来た。




「まずは私が……はっ!!!」



チッダールタの服のイルミネーションが白色に変わった。



すると荷物が全て宙に浮き出したではないか!!




「おお!!これはすごいな!!!」



よしだくんは感心して叫んだ。



「そしてお次は……やあっ!!」



 今度はイルミネーションの色が緑色になった。

しかし今度は何も変わったことが起こらなかった。



「ん??何も起きないじゃない。」


「今は洞窟の中に気流を発生させたんだ。だから洞窟の中に浮いた荷物を押し出して送ってくれればまずは大きな奥の落とし穴の所までは運べるぞ。」


「なるほどな……!!仙人やるじゃねえか!!」



ヤムチャは仙人の肩をつついた。



「では私はその落とし穴の所で荷物を回収しておくから先に行っているぞ。」



それだけ言うと仙人は洞窟の中へと昨晩のようにすごい勢いで突っ込んで行った。



「よぉーし!じゃあ俺たちはじゃんじゃん荷物を送るぞ!!」



こうして五人は次々に荷物を洞窟へと投げ込んでいった。






そしてそのうちに、ミーシャがあることに気がついた。





「……ねえエリス、あんたは一体何をしているの?」



 そう、エリスとキヌタニもチッダールタに荷物として認識されたせいで宙に浮かされてしまったのであった。




「いや、私が聞きたいんだけど。どうして私は宙に浮いてるのよ…………?」


「きっと重力も僕たちに興味を無くしたんだよ……。」


「うわっ!喋った!?……ってキヌタニじゃない。エリスはただのゴミと縛られてるんだと思ってたわ。」



ミーシャは目を細めてキヌタニを凝視した。



「こんな奴と縛られるくらいならゴミと縛られた方がマシよ!!」



エリスはまたしてもキヌタニに肘打ちの連撃を浴びせた。



「痛いっ……ごめんなさい……痛い……。ごめんなさ………ぐすっ………うっ……。」



キヌタニは謝りながら泣き出した。




「あっそ。で、どうしてあんたらは縛られてるのよ?」



キヌタニを無視してミーシャは呆れながらエリスに聞いた。



「それがさー、キヌカスに色々と………。」


「あ、ごめん。やっぱ興味ないわー、えいやーっ(棒)。」



聞くのがめんどくさくなったのか、ミーシャは二人を洞窟の中へと投げ飛ばした!



「ぎゃああああっ!!!!ミーシャ何するのよー!?」


「何かいきなり暗くなったけど……もう夜……?」



そんな悲鳴と共に二人は洞窟の奥へと消えていった……。

 一応、一軒家も土台と切り離せば実際に持ち運ぶことができるらしいです……。

ヤムチャくらいの力があれば一人でも運べる……かも??


 遊園地にあるフリーフォールに乗れば無重力状態を体感できますが、あれはちょっと時間として短すぎますよね。

空気抵抗が無い場合は10秒間の無重力を体感するために、高さ500mのフリーフォールが必要な計算になります……、20秒なら2000m(最終的な落下速度は時速700㎞!?)……えっ?


 あくまで空気抵抗が無い場合です……作者は物理音痴なので実際はどのくらいの高さのフリーフォールで何秒間の無重力を体験できるのか有識者の方は教えてください……。



そんな物理音痴な作者から読者の皆さんに問題です!



『ミーシャはエリスとキヌタニを時速80kmで洞窟の中へ投げ込みました。キヌタニが浴びた水羊羹の汁の密度を2.06g/cm^3、洞窟の長さを800m、気流により毎秒3mずつ加速していくものとする時、チッダールタのもとに二人が到着するまでにストレスによって抜けるキヌタニの髪の本数を求めなさい。』



作者には計算できなかったので模範解答の作成をお待ちしております!!

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