2-7 運ぶ側?いいえ運ばれる側です
ーー前回のあらすじーー
Yamucha隊の前に現れた謎のおじいちゃんは何と神通力の使い手であった!!
空中に浮いたり、姿を消したり……挙句の果てには時速150kmで飛び回った上に、彼らを弾丸のようなスピードで100エーカーの森へと投げ返してしまう始末……。
無事に帰って来れた彼らは駄菓子屋に空いていた、スタークの作った不自然な抜け穴を発見し、地盤沈下を防ごうとセメントで地下の空洞を埋めてしまった。
一方その頃キヌタニは目を見開いたまま立ち尽くして気絶していた……。
彼の新たな才能(?)が開花した瞬間であった……。
人に自慢できるほどじゃないけどこれはすごいって思える自分の特技ってあったりしませんか?
サプリのカプセルを一度にたくさん飲み込めるとか、植物の繊維を千切らずに分解できるとか!
作者の特技はAf〇acのアヒルの発音のモノマネです!
もしCMで例のアヒルが普段と発音違うな?と思ったら中の人は作者かも……!(そんなわけ)
はぁ~い、おはよう~…………私はこの森のマドンナ、エリスよぉ……。
昨日はスタークとイケないことをしようとしたら、いきなり目の前が真っ暗になっちゃってぇ、気がついたら集会所のベッドで寝てたのよね~、絶好のチャンスを逃したみたいで悔しいわ……。
て言うか、起きたら……いや、起こされたんだけど、みんなが集会所に集まってて何か朝っぱら(11時半)からシリアスな話し合いが始まっちゃってもう20分くらい続いているのよね~……。
私はもう頑張って寝ないようにするだけで精一杯よ……。
「ま、まさかこの前コウモリバスターズに行った洞窟がそんな所まで繋がっていて、そんなおじいちゃんが住んでいたなんてな……。そしてそんなことがもうすぐ起こるなんて……。」
「昔、あの洞窟の奥まで行こうとした時、確か行き止まりには深い落とし穴が空いていてもう進めないね、ってことでそれ以上は探索したことが無かったわね……。」
よしだくんとミーシャが何かを話してるけど眠くて内容が頭に入ってこないぃ~……。
「そんでもってあの穴の底にはまだ洞窟が続いていたなんてな……。驚き千万だぜ!」
「いや~やっぱりたまには冒険もしてみるもんだなwwwww」
ヤムチャとシンタローも何か言ってるけど意味がよく分かんなあい……。
「で、洞窟には何を持ってくつもりなの?」
「私物に関しては個人の判断に任せる。後は共用の物として、駄菓子屋の売り物で使えそうなものは全部持っていくぞ。」
「ふーん……えっ!?何で駄菓子屋からばっかり……、みんなお金は払わないくせに……。売り物はタダじゃないんだよ……?」
「つべこべ言うな、この森の危機だぞ!!お前も協力するんだ!」
「そうよ!!いつも役立たずのくせに今回も役立たずのゴミ店主でいる気なのかしら!?」
あれぇ?キヌタニもいたのね、影が薄くて気がつかなかったわ。
てか、よしだくんとミーシャに罵倒されてるし、相変わらずダメな奴ねぇ。
「とにもかくにも時間がねえんだ。私物は全部洞窟の入り口に置いておけ、後から洞窟の中にまとめて運び入れよう。じゃあ、お前らみんな私物を運び終わったら駄菓子屋の売り物も洞窟の前に片っ端から持っていくんだぞ!よし、早速作戦開始だ!!!」
そうヤムチャが言い終わったらみんなさっさと立ち上がって集会所から出てっちゃったあ……結局、何があってみんなどうしたのかしらね……?
よーく分かんないから、ヤムチャについていこーっと♪
「どうして僕が……どうして駄菓子屋ばっかり……。」
30分後……
いや、さすがにこの状況は何かがおかしいっていうのは分かるのよ。
だけどどうしてこうなったのかしらね……?
右にはシンタローが普段着ている、ちょっとよれた服の入ったタンス、左にはよしだくんの書いたよく分からない設計図の束がまとめられた金属の筒、正面にはヤムチャの詰めた段ボール箱……どうして私がここにいるのよ??
ーーーーーーーーーー
「ねーねーーヤムチャー、一体何がどーなってるのよー??」
「んあ?ああ、実際まだ信じ難えことだ……混乱しちまっても無理はねえな。」
自分の家に入るヤムチャの後に続いて私も中に入った。
そういやヤムチャの家って入るの初めてだったわ~、何と言うかシンプルすぎ……、敢えて言うなら猟銃と大きな猪とか熊の毛皮が壁に飾ってあったくらいかしら?
後はベッドと、バスルームとトイレとクローゼット、デスクワークくらいしかなかったわね~。
「そんで私は何をすればいいのよぉ?」
「そうか、エリスは私物らしい私物がねえもんな。だったら俺の荷物を一緒に運んでくれ。」
ヤムチャはそう言って段ボール箱を五箱くらい私の前に積んできたの。
「こ、これ……何が入ってるの?」
「昨夜のうちにまとめておいた着替えとかの服とか、後はこの森の歴史書とかだな。これは結構大事だぞ!!」
「え??この森に歴史書なんて存在するの??」
「まあな、俺も全然読んだことはないんだが……100年以上前の記録もあるんだぜ?」
思ったよりここは歴史のある場所みたいなの!
よく分からないけど何だか感心しちゃうわ。
って、それだけ言ったらヤムチャは段ボールを四箱積み重ねて軽々と持って行っちゃった……。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ~!?」
私はその流れで残りの一箱を持ってヤムチャの後を追った。
「ゼェゼェ……ヤムチャ速いわよ……!」
私は何とか段ボール箱を抱えたままヤムチャの後について行き、この前コウモリにイケないことをされちゃった洞窟の前に辿り着いたわ。
「おお、ご苦労だったなエリス、段ボールは適当でいいからそこら辺に置いといてくれ。じゃあ次は駄菓子屋に行くぞ。」
そしたら今度は駄菓子屋の方にスタスタと歩いて行っちゃったし……!
「えー!?まだどっか行くの!?ちょっと誰かぁー、ヤムチャが何をしたいのか説明してーー!?」
でねでね、駄菓子屋に行ったらキヌカスvsくじらんの攻防が繰り広げられていて……ってとにかくヤムチャは歩くのが速すぎたのよ!!
「……も、もう、息が……ハァハァ……。」
「ちょっとキヌタニ!!この森の危機だよ!?どうして協力してくれないの!?」
「みんな駄菓子屋の売り物を好き勝手に持っていくけどそれは泥棒なんだよ!?もうみんなの好きにはさせないんだからね!!」
って言い合いながらくじらんは段ボールに食料品を片っ端から詰め込んで、キヌカスは段ボールの中の食料品を元の棚に戻すっていういたちごっこをしてたのよ。
まあ、キヌカスの方は作業スピードが遅いからもう食料品で一杯になった段ボールが三箱も積み上がってたんだけど……。
「おお、くじらん!ご苦労だな!一杯になった段ボールは俺たちが運ぼう!」
「やめてよ!!泥棒しないでよ!!」
と、そんな流れで私も食料品でパンパンに膨れた段ボールを運ぶ流れになったんだけど……。
「えっ、ちょっ!いやあああっ!!!???」
盛大にズッコケちゃったのよね~……キヌカスの足に引っ掛かっちゃって。
そしたら、段ボールの中身が飛び出てショートケーキとか水羊羹とかそこらへんのお菓子がキヌカスの顔面に飛び散っちゃったのよ!!私ってばめっちゃいい仕事したわよね!!!
「ひええぇっ!!??な、何が起きたのー!?」
とか言ってキヌカスはもがいてただけだし、あーー面白かったーwwww
その後も段ボールに飲み物を詰めてたらうっかりペットボトルの蓋を開けてジュースの中身をキヌカスにクラッシュさせちゃったり、無性にムカついてスライムボールをキヌカスにクラッシュさせてやったり……。
とりあえず!!色々とやらかしちゃったわけなんだけど……。
ーーーーーーーーーー
「エリス……お前は荷物を運ぶ方じゃなく、荷物として運ばれる方が向いてるな……。」
ヤムチャはそう言って売り物のロープで私をキヌカスと背中合わせにして縛るじゃない!!
そしたら、他の色々な荷物と一緒に洞窟の前に置かれちゃうし!!
縛られるのはいつもなら結構興奮するんだけど、何せ後ろには汚物と化したキヌカスがいるからそれどころじゃないわ!!
何で私がこんなゴミと密着してなきゃいけないのよ!!!!
「ベトベトして気持ち悪いなあ……早くお風呂に入りたいよぉ……。」
「私はあんたが気持ち悪くてしょうがないわ!さっさと離れなさいよ!!」
無理なのは分かってるけど、それでも私はキヌカスの背中に思いっきり肘打ちをする。
「いだあっ!!やめてよぉ……縛られてるんだからしょうがないじゃないかあ……。」
「うるさい!口応えするな!!!」
その弱そうな口調にムカついたからもう一発肘打ちを噛ます~♪
「ひぎいぃっ!!僕は何も悪いことしてないのに……。」
「だから口応えするんじゃないわよ!私のそばにいるだけで重罪なんだから!!」
さらに連続で肘打ちを食らわせてやるわ★
「痛いっー!!ごめんなさい、ごめんなさいーー!!何で僕謝ってるのー!?」
ーーーーーーーーーー
……というようにエリスを始め、森の住人たちによる隕石待避計画は順調に進んでいった。
「にしても他の奴らはいつまで私物の運び出しにかかってやがるんだ???」
23箱目の段ボールが一杯になった時に、ヤムチャがとうとう痺れを切らしてぼやいた。
ちょうどそこで、駄菓子屋の前をシンタローがリヤカーを引いて通り過ぎて行った。
「おいちょっと待てシンタロー!私物の運び出しに時間がかかりすぎだろ?一体何を運んでるんだ??」
ヤムチャは彼を呼び止めてリヤカーの積み荷を確認した。
そこにはシンタローが作った彫刻や版画、石像などが壊れないように積まれていた。
「おお、ヤムチャ!この名作の数々が失われるのはこの世の損失だぜ!!だからちゃんと安全な場所に移動させておかないとな!!wwww」
シンタローはそれだけ言い残してさっさと洞窟の方に向かった。
「まあ……この世の損失かどうかはともかく名作なのは間違いねえ、見逃してやるか……。」
「後はよしだくんとミーシャだね、二人は何やってんだろう?」
二人はまずよしだくんの家へと向かった。
よしだくんの家は昼間だというのに電気がしっかりとついていた。
「……家の中がガタガタとうるせえな、こりゃまだかかるかもしれねえ。」
と、その時家のドアが開いた。
「おお、どうしたんだ二人とも……よいしょっと!」
よしだくんは何かのよく分からないパーツをそばにあったリヤカーに積んだ。
「一体今度は何が積まれているんだ?」
二人は積み荷を確認した。
そこにはよしだくんが開発中であろう発明品がたくさん積まれていた。
中には以前くじらんが試乗して破壊してしまった、誰でも『ボール』のように転がれるカプセルの二号機らしき物もあった。
「うわあ、マッドサイエンティストの証だ……。」
くじらんは後ずさりした。
「だから試作品に乗るんじゃない……。完成したらちゃんと安全になるんだから安心しろ。」
よしだくんはやれやれといったように溜め息をついた。
「それで後どのくらいで終わりそうなんだ?俺たちも手伝うぞ?」
「多分もう二往復もすれば終わるはずだ。ただリヤカーで引いても重いから手伝ってくれると助かるな。」
「よーし任せてよ!」
そういうわけでよしだくんの荷物を三人は何事もなく運び終えた。
「あれ?三人とも揃ってるのかwwww賑やかだな。」
洞窟の前で荷物を下ろしている時にリヤカーを引いていたシンタローと出くわした。
「おお、そっちはどうだ?後どれくらいかかる?」
「もうこれでお終いだぜ。それにしてもこの荷物、随分な量になったなwwwこれを仙人のとこまで持ってくのめちゃめちゃ大変そうじゃね?wwww」
シンタローは呑気に笑っていたが、これは全くもって笑い事ではなかった。
「まあ、まだ明日もあるんだ。……頑張れば終わるさ。にしてもミーシャの奴、さっきから姿が見えねえが何をしてるんだ?」
「そういえば集会所を出てから会ってないね。」
「じゃあみんなで様子を見に行くかwww」
四人はぞろぞろとミーシャの家へ向かうことにした。
「あのー……私はいつまでここでゴミ店主と縛られてればいいの……?てか、どうしてみんな無視するわけ??」
「だって荷物が多すぎてみんなからは死角になってるし……それに、誰にも僕たちになんか興味ないよ……。」
キヌタニは普段から酷い目に遭い、先ほどは駄菓子屋で泥棒に遭い、そしてエリスの暴力に遭い、すっかり万物の物事に抵抗する気力を失っていた。
「うるさい!!一緒にするな!!( `Д´)/☆ ̄(>。☆)ゴスッ」
「痛いよお……ごめんなさい……ぐすっ。」
目が覚めて、ベッドから起きると目の前に何人も誰かがいたらさすがに驚きそうですけど……。
エリスだからそこは気にしなかったんでしょうね。
読者の皆さん、エリスと同じ体験があるならばそこに居たのは恐らく泥棒でしょう……。
ちゃんと寝る前には家の戸締りを確認しましょう。
森の住人達による避難計画が始まりましたが滑り出しは順調のようです。
果たして上手くいくのかどうか……!?
まあ、エリスがお荷物認定されたから成功する確率は少し上がったんでしょうね……。
あっ、キヌタニもお荷物なのでかなり上がりましたね。
作者は一度引っ越しをしましたが細々とした物は大きくもない段ボール六箱に収まりました。
なので段ボール23箱って相当な量です、単身者の引っ越しの荷物全部くらいあります。(??)
駄菓子屋の売り物はもう空っぽになってしまったことでしょう。(他人事)
でも商品を補充すれば解決することなので気にしなくていいと思います。(他人事 of 他人事)
次回はミーシャが愚行に走ります。
自分が今までどんな愚行をしたか振り返ってお待ちください。