2-5 真夏の走馬灯
ーー前回のあらすじーー
よしだくんは不快になっていた。
駄菓子屋で涼もうと思っていたら、エリスとスタークとか言うバカップルが自分たちだけの世界に浸っていたのだ。
彼らの行いは下劣そのものでよしだくんの怒りは爆発し、リア充を誘爆させてしまった!!
結果としてバカップルはアイス売り場のワゴンでドッタンバッタン大騒ぎ……。
そしてその割を食ったのはワゴンを破壊された上にアイス売り場とロケットランチャーの下敷きとなったキヌタニだったとさ。
いつの世も狭い所に入りたがる人種は居るものですね。
そういった方々の気持ちを理解するために今回のお話はアイス売り場……が厳しいなら冷蔵庫の中で読んでみましょう。
冷蔵庫の中からは扉を開ける方法がないと聞いたことがありますが、それは随分と昔の話らしいですね。
出られなくなっても作者は責任を負いませんが……。
でも面白いから一人くらいは閉じ込められて欲しい……(小声)。
「ぐううっ……ここは……俺たちは、どうなって……?」
ヤムチャが目を開けると、視界に眩しく輝く真夏の太陽が飛び込んできた。
「確か……崖から落ちて……あれからどうしたんだ??」
彼は周囲の状況を確認した……が、真後ろには見慣れた電波塔のようなものがあったし、彼の寝ていた場所は金属製の網らしき物で出来ていた。
「ここは……よしだくんが組んだ電波塔の足場の上か??しかし、一体どうして俺はここに??」
ヤムチャが考え込んでいると電波塔の裏から呻き声が聞こえてきた!
「ふあ~あ、よく寝たなあ。……え?ここ……どこ??」
ヤムチャが足場を伝って裏に回ってみると、そこには寝起きで困惑しているくじらんが座り込んでいた。
「おい、くじらん!!俺たちは何でここにいる!?」
ヤムチャはくじらんの肩を激しく揺さぶった!
「わあああっ!?や、ヤムチャ!?ねえ、ここは……どこなの!?」
くじらんも何で自分がここにいるのか分からなかったようだ。
「確か、俺たちは滝壺に落ちて……溺れちゃったのかな………??」
「おいおい!!それじゃあここはあの世か!?」
ヤムチャはくじらんの肩をさらに激しく揺さぶった!!
「ちょっとやめてよ~↑↓!!俺だって分かんないよ!!」
「うぐっ……一体どうなって……!?」
と、ヤムチャがボールの肩から手を離した時、突然空が赤くなった!
「何なんだ!?太陽でも急接近してきたか!?」
さらに間もなくゴゴゴゴ!という地響きまでしてきた!
「ええっ!!ヤムチャ、あれ!!!」
くじらんは赤い空の一点を指差した。
なんと上空からそこそこ大きい隕石が降ってきていた!!
「い、隕石だと!?ここから見る限り……この前まであったお前の家よりも大きそうだぞ!!……あ、あんなのが森に衝突でもしやがったら……。」
「ど、どうなるの……??」
「す、少なくとも近くにいたら跡形も無くなっちまうだろうな……。」
二人の顔は会話する度に青ざめていった……。
しかし、空から降ってきたボール然り、隕石もまた然り、ちょっと降ってくるのタンマ!……というわけにもいかなかった。
「避難しようにももう間に合わねえ!!くじらん、爆風で飛ばされねえようにしっかり足場に捕まれ!!」
「わ、分かった!!!」
そんな二人の覚悟を見たかのように隕石はこの森目指して突っ込んできた!
そして……
ドゴオオオオーーー!!!という爆音と共に隕石が北三叉路の辺りに落ちたのが二人からも見えた。
すごい勢いで地面が抉れ、瓦礫が飛び散り、とてつもない爆風と閃光が放たれた!!
「ううっ……眩しっ!!ぐあ……!」
と、くじらんは短い悲鳴とともにドサリと後ろへ倒れこんだ。
ヤムチャが爆風と閃光に耐えながら横を見ると、飛んできた瓦礫で頭を砕かれて死んでいたくじらんがいた。
「なっ……!?」
その一瞬の動揺が言葉通りの命取りだった。
彼も弾丸以上の速度で飛んできた隕石の破片に脳天を吹き飛ばされて絶命してしまった……。
「……!!!はあはあ……!!お、俺……死んじまったのか!?」
ヤムチャが次に目を覚ましたのは薄暗い洞窟の中だった。
着ていた冒険家のコスプレは汗と水でぐっしょりと濡れていた。
そしてヤムチャが横を見ると、くじらんだけでなくシンタローやミーシャまでも彼と同じように息を弾ませて起き上がってきた。
「ね、ねえ…………、や、ヤムチャ……お、俺……さっき、高い所で頭をバラバラにされる夢を見たんだ……。」
くじらんは顔を真っ青にして震えながらヤムチャに訴えた。
「ゼェゼェ……シンタロー!!」
「くっ……ミーシャ!?ww」
「俺達……w」「私達……」
「入れ替わってるー!?」
二人はお互いの頬をペチペチと叩きながら叫んだ。
「入れ替わって…………、無いみてえだから安心しろ……。にしてもお前らもなんか夢……?みたいなものを見たのか??」
彼らにしか分からないであろう理由で動揺している二人を落ち着かせながらヤムチャは質問をした。
「確か私はさっきまで駄菓子屋にいて……」
「俺もさっきまでいたけどwww」
「それで目の前には……機関銃を構えた私がいて……」
「確かに目の前には俺がいて自分は機関銃を構えてたなwww」
「そしたら隕石みたいな何かが降ってきて……」
「駄菓子屋ごと木っ端微塵に吹き飛ばされたよなwww」
ミーシャはかなり動揺しながら、シンタローはいつも通り陽気に笑いながら今までのことを話してくれた。
「じ、実はな……俺も隕石が落ちてくる夢を見たんだ、しかも隣でくじらんが頭を砕かれるのも見たぞ……。」
ヤムチャも最後に自分の見たことを三人に話した。
「ふむ、やはり四人とも同じ夢を見たようだな。」
「…………。」
「………………。」
「………………え??」
「……んーと?今の誰が喋った?俺たちの声じゃなくね??wwwww」
と、四人の背後が突然眩しくなった!
一同は同時に振り返ってその正体を確かめようとした。
しかし今度はどこからか煙が吹き出して、光源が何なのか全く分からない状況になった!
「め、目眩ましか!?お前ら気を付けろ!奇襲だ!」
そうヤムチャが叫ぶと全員、自分の武器を構えた。
ヤムチャはノコギリを、ミーシャは機関銃を、くじらんはスコップを、シンタローは石ころを……シンタローは投郷の能力が異常に高く、もちろんヤムチャと比べて威力は劣るが、正確さが飛び抜けていた。
数十メートル先の敵の急所を的確に狙うことが出来たのだ。
しかしそれも取り越し苦労で、何ら攻撃を仕掛けられることもなく煙は消えていった。
「ううっ……眩し……!」
呟くくじらんや他の三人の視線の先には神々しい後光を纏った……、
いや、銀のスパンコールと金色に光るイルミネーションが付いている服を着ているおじいちゃんがいた。
隕石が落ちてきて頭砕かれたら痛いでしょうね……(ホンマか)。
そんなことを感じる間もなく死ねたらいいですよね!!
隕石が頭に触れてから脳味噌を砕かれて意識を失うまでの感覚を説明出来たら、それはそれで怖いですからね。
『ああ、脳味噌が抉られていく……。』←そんな感覚あったらヤダ!!
イルミネーションが付いた服ってリアルではどうなんでしょう、センス的な意味で……。
そんな服を現実では着ている人を見たことがないのですが、どこで売っているのでしょう?
非売品だとしたら自分で作るしかないですね。
ミーシャとエリスは裁縫が得意らしいので彼女たちに手伝ってもらいましょう。
でも裁縫針が通らなそうなイルミネーションは専門外かも??
まずは裁縫針が刺せる柔らかいイルミネーションを駄菓子屋で仕入れてくる必要があるのでキヌタニを脅して無理やり入荷して貰いましょう。
それが出来なかったら?彼をイルミネーションにしてしまえばいいでしょう!(???)