1-3 駄菓子屋
ーー前回のあらすじーー
経緯は(若干)不明だが突如として100エーカーの森にやって来た謎の女性………。
狂気と混沌が渦巻く大地に足を踏み入れてしまった彼女は生きて帰れるのか!?
………とその結末を見る前に、
普通に生きていくだけで精神がすり減りそうな森にも落ち着ける場所があるらしいんです!
少し様子を見ていきませんか?
3時のおやつに食べたいお菓子を思い浮かべたら本編へGO!
そして昼下がり、ここは森の住人たちに欠かせない場所、駄菓子屋である。
ここには駄菓子だけでなく色んなジャンルの物が売っていた。
ケーキやアイスみたいな洋菓子、缶チューハイやワインといったお酒、軍手や鍬みたいな雑貨、弾薬や爆弾といった戦闘グッズ、なぜかテレビやダビング機器も、それに付随して映画やアニメのビデオテープまで……。
おまけに「18歳未満立ち入り禁止!」と書かれた暖簾の先にも売り物があった。
そこを利用するのは基本的にみんなの目を盗んだ16歳のボールだけという、ある意味で満たしてはいけない需要しか満たしていない場所となっていた。
この時の駄菓子屋には客が一人と店主がわざわざ暑い中、店の外に設置されたベンチに並んで座りキューリッシュを吸い出していた。
「暑い……。」
客の方の名前はよしだくん、彼はこの森に欠かすことのできない存在である。
彼はこの森の北東にある稼働していなかった電波塔を使えるようにし、しかも森の住人全員にパソコンとポケベルを作って配り、通信手段を確立したすごい17歳なのだ。
それでもよしだくんは現状に満足することなく新しい発明を続けていたらしい。
ちなみにそれ以外で電波を必要とするものと言えばテレビだが、それはなぜか昔から見ることが出来た。
だが、そんなことを気にする者はよしだくん以外にいなかったし、彼もまたそれが当たり前と思うようになっていた。
「暑いねえ……。」
店主の名前はキヌタニ、ここの駄菓子屋を切り盛りしていた。
が、売り上げや収益は昔からずっと悲惨そのものだった。
こんな人も少ないような森だし、誰もお金を払わない。
そもそもこの森にはお金という概念を持ち合わせていない者もいるからだ。
しかも彼は身体能力が絶望的に他の住人と比較して劣っていた。
万引きにもほとんど気づかないし、仮に見つけたとしても足が遅すぎて犯人を捕まえることができなかった。
「しかし平和だなー、これだけ人が少ないと事件なんか起きやしない。」
「えー?僕としてはさっきから知らないうちに売り物のアイスがどんどん減ってて、すでに神隠し事件が起きてるんだけど?」
「いや、それはただの万引きだろ。」
二人がどうでもいい話をしている時、さっき森の入り口で倒れていた女性が現れた。
「おーい!!良かったー!ちゃんと人がいたーー!!」
「ななな、なんだ!?一見無害そうだが……もしかしてテロリスト、いや脱獄犯か!?」
「ややや、やばい!だだ、誰か呼ばないとー!!!」
訪問者も滅多に無い森だから二人とも危険人物が襲撃してきたと思い込んでパニックになっていた。
「いや、私がテロリスト?脱獄犯?…………何の話よ??この私がそんな風に見える???」
彼女はキョトンとしていた。
「もしもしヤムチャ!今すぐ駄菓子屋に来てくれ!不審者だ!!」
よしだくんはヤムチャにポケベルで連絡を取った。
通話もできるポケベルまで作り出すとはさすがよしだくんである。
「ひ、人は見かけによらないんだよ!ぼ、僕だってすごいんだぞ!前回りだってできるし100m走だって完走できるんだぞ!!」
キヌタニは急に無駄な威嚇をした、おまけに嘘だからタチが悪い。
「へー。そうは見えないけど。てかあなたじゃ無理でしょ。(棒)」
キヌタニ、見栄を張るんじゃない。
子供のころ、TSUT〇YAの18禁コーナーって何があるんだろうって本当に無垢な気持ちで考えてました。
まさかあんな場所だったなんて……もっと早く入りたかった!(ダメです。)
お金の概念がないってことは物々交換でもしてるのかって?
いいえ、本当にタダ食いです。もうそれは「店」じゃないってか????
さあ、突如として駄菓子屋に現れたテロリスト疑惑のある女性……登場していきなりキヌタニに喧嘩を売ったがどうなってしまうのか?
果たしてキヌタニは駄菓子屋を守り切ることができるのか?(A.無理に決まってるわ)