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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第1.5章 ツアーガイド(我が真名はゲームマスター!!)の極意
35/162

1.5-20 マッドサイエンティスト

ーー前回のあらすじーー


 スターク王国の孤独な主導者、スタークが地上に現れたのはいつぶりのことであったか……。

彼はアイスを求めて駄菓子屋に現れた、そして彼の前に立ちはだかったのは二体のおぞましきミュータントであった……。


 しかし、スタークの前にミュータントごときが敵うはずもなく彼らはゴミ袋に封印されてしまった……。

さあ、彼は次に何を封印しに行くのだろうか?



 一方、そんなスタークの元根城を荒らす不届き者がいた。

変態ツーリストのエリスは彼のコップや下着を漁って空き巣(?)を満喫していたが不慮の事故(??)により根城は火の海と化してしまった……。


さあ、彼女は次にどこへ空き巣に入るのだろうか??



 ……空き巣に入ってコップを盗もうとする人はそうそういないと思いますが……。

そう考えると下着泥棒はまだ理にかなってるのかな?(キモイなあ)



 読者の皆さんは空き巣に入られて盗まれたくない物って何ですか?

作者が盗まれたくないものは鼻をかんだ使用済みティッシュでしょうか……?(何となく嫌です……。)


 空き巣にどうしたら入られないかの議論をした方が生産性がありそうなので本編行きましょうか……。

※今回はそういうお話ではないです。

もう夕方から夜に切り替わろうという頃、三人はよしだくんの家のドアをノックした。




「ああ、やっと来たか。随分と遅かったな……しかも心なしか人数が減ってないか??」



 ヤムチャとシンタローの『ゲームオーバー』を知らない、相変わらず重そうなナイトの装備を着たよしだくんが出迎えた。



「途中で二人リタイアしちゃったんだ。あと、もうその装備は要らないと思うよ。」


「全く……私達はヤムチャのバカでアホでゴミな茶番に付き合わされていたのよ!!」



ミーシャはリアルRPGのことを思い出して不機嫌になった。




「おお……そりゃ助かった。」



よしだくんはそれを聞いてすぐさま装備を脱いだ。





「じゃあ改めて、俺の家にようこそ!」



招き入れられた三人は中に入って家の中を見渡した。





 実験場を兼ねている家と言っても、ベッドやバスルームのような生活空間は端の狭いスペースに追いやられていた。




まず一同、目についたのは大きな金属製の得体の知れない物だった。



「この大きいやつは、試作していた新しい電波塔に設置するつもりのアンテナだ。メンテナンスは定期的にしているが、それでも多少は錆びてしまうし今のアンテナは大きすぎて整備が大変なんだ。」


「間近で見るとアンテナは結構大きいんだね!」



ボールがアンテナをツンツンとつついた。




「そうだ!せっかく今は人手があるんだ、後でアンテナの取り付けを手伝ってくれないか?」


「私もやってみたーい!♪」


「そうね、これだけ大きいと一人じゃ大変だしみんなでやりましょうか。」



エリスは上機嫌にピョンピョンと跳ね回っていた。





「ん?これは何だろう??」



アンテナ以外にも色んなものに興味津々なボールは粉の入ったフラスコを持ち上げた。



「あっ!それは……慎重に!!」



よしだくんがそう言った瞬間、そのフラスコからボン!!という爆音ともに煙が立ち上がった。




「……えっ!?何が起きたの!?」



エリスは驚いて飛び跳ねるのをやめた。




「あぁ……遅かったか……。」



よしだくんは肩を落とした。




「…………???」



一方、顔がススで真っ黒になったボールは唖然とした表情を浮かべていた。




「そのフラスコの中身は新しい火薬の研究途中だったんだ。……まさかそんなに小さな振動で起爆するとは思わなかったけどな。」


「……うん、そうだったんだ……?」



ボールは一体自分の身にまだ何か起こったのか分かっていなかったようだ。





「あっ!このノコギリ、ボタンがついてるじゃない。押しちゃおーっと♪」



 ミーシャはヤムチャが持っているのとは少し形が異なるノコギリを見つけて、何が起きるか分からないボタンを押した。



次の瞬間、ノコギリはウィィィィン!という音を鳴らして暴れ出した!



「いやああああっ!?このノコギリ、刃が動いてないー!?」



 辛うじてミーシャはノコギリの柄を掴み続けたがノコギリの暴走は止まらなかった。

ノコギリが置いてあった木の机はすごい勢いで切断された!



「あああああっ!?お前は何をしてるんだー!!?」



 よしだくんは大慌てで彼女に駆け寄りミーシャの後ろから再びノコギリのボタンを押した。

すると刃の動きはやがて止まり、ノコギリの大暴走は鎮圧された。



「ヒィヒィ……何なのよ!このやばいノコギリは!?」



ミーシャはよしだくんに殺意を向けた。




「いや、お前が勝手に動かしたんだろ……!実はヤムチャにノコギリの改良を頼まれててな。ノコギリとしての形はそのままで、チェーンソーみたいに刃を回転させることで楽に物が切れるようにしてたんだが、出力が強すぎたか……みんなも木こりの時に使えるかとも思ったが、あれほどに暴走してしまうならそれを操れるだけのバカ力が必要だから結局ヤムチャ専用の道具だな……。」



「ヤムチャの戦闘力なら武器の改良なんて要らないでしょうに……。」



エリスは苦笑いをした。






他にもよしだくんの発明は色々とあった。






100エーカーの森を1/400スケールにした無駄のない伝導効率100%の電線回路模型!!



……とやらにはエリスが何のためらいもなく回路に触って、軽く感電した。





100年間熱を逃がさない合成繊維の毛布!!



……の中にミーシャが籠もると、すぐに内部が高温になったらしく全身火傷寸前にまでなって一大事であった。





 それから、誰でも以前のボールのように、もちろん安全に転がれる球状のカプセルのような乗り物もあった。



 ボールが試したところ突然転がり出し、止まることなく家の壁にそのまま激突してカプセルが粉々になってしまった。



……安全とはあまりにかけ離れていた恐ろしい乗り物だった。








「な、何なの……この恐ろしい研究所は……。」



ミーシャは白目を剥いて倒れた。




「よしだくん、マッドサイエンティスト……だったの……?」



ボールも粉砕したカプセルの中で力尽きた。




「よしだくんは……まともな人だと思ってたのに……。」



エリスも床にへばりついて離れなくなった。






「あ、あのなあ……?お前たちは試作品に躊躇なく触りすぎなんだ……。もうちょっと注意してもらわなきゃ困るぞ。」



 もう彼の家の中はめちゃくちゃに散らかっていた。

試作品もたくさん破壊されていたし、とても片付けが大変そうだった。




「それにしてももう外は真っ暗だな。アンテナを付け替えたら早く晩御飯にしよう。」



「「「はーーーい……。」」」




三人は力ない足取りでアンテナを抱えてよしだくんと電波塔まで真っ暗な林道を歩いた。





==========





「それにしても、俺は自分の家をそのうち建て直さねえといけねえからなあ!!まずは元あった家から使えそうな資材を集めねえと!」



スタークは散歩がてら自分の家の跡地にやって来た。





ついさっき……火の海にされてしまったことも知らずに……。



「ああ…………??……何で……俺の許可もなしに燃えてやがんだよー!!!!?」



 まだ火の勢いは収まるところを知らず、巨大なキャンプファイアのようになっていた。

スタークはそんなキャンプファイアに向かって怒鳴り散らした。



そんな怒りに対して炎が反応したかのように火の粉がスタークに襲い掛かった!




「熱っ!!!何だってんだ!!いいことが一つも起きねえな!!一体俺にどうやって新しい家を建てろって言うんだよ!?」


「もうお前にはスターク王国があるから家なんて要らないだろ、これだからスタークは。」



怒鳴るスタークの背後から彼にとってはもう聞き慣れた、ため息混じりの声が聞こえてきた。



「何だと!!俺様にあんな狭い空間でずっと暮らせって言いやがるのか!?つーか、いきなり軽々しく話しかけてくんな!!せめて、『スターク様、今から私めとお話しして頂くことはできませんでしょうか?』くらい最初に言えねえのか!??」



スタークは怒鳴りながら火のついた角材を振り回した。




「またチンパンジーがしてきそうな攻撃を……。いい加減そんな低能な攻めが通用しないことを学習したらどうだ??」



「よくもこの俺様にそんな侮辱的なことが言えるな!てめえこそいい加減攻撃をモロに食らってやろうとかいう人らしい心はねえのかよ!?」



「少なくともお前みたいなゴミに与えてやる慈悲は持ち合わせていないな。」




次の瞬間、スタークの体が宙に浮いたかと思うと、彼の意思とは関係なく火の渦に突っ込んだ!



「なっ!!!?あーーーああーーっ!!!熱い!熱いじゃねえか!!?この俺が攻撃を食らうなんてどうなっちまってるっていうんだ!!??」



スタークはキャンプファイアの中心で炎の熱さを叫んだ。



「……全く、これだからスタークは。」



 そんな声が聞こえてくると、今度はスタークの体が炎の外に放り出されて、水がバシャリと彼にかけられた。

すると、スタークに群がっていた炎は一瞬で鎮火された。




「アチチ……な、何だってやがる!?」



不思議なことに濡れているのはスタークの体だけで周りの地面は一切濡れていなかった。




「少しは自分の身をわきまえようという気になったか?ああ、お前は馬鹿で勘違いしていそうだから念のため言っておくが、ここを燃やしたのは私ではないぞ。」



そう言い残して謎の声は聞こえなくなってしまった。




「はあ!?じゃあ何だよ!勝手にここに火がついたって言うのか!?!?……まあいい、俺はあのゴミどもの人権侵害を訴えに来たんだ、ついでにこの罪も着せてやるぜ!!」




スタークはさっきと打って変わって不機嫌になり森の散歩を再開した…………。

よしだくんは『発明品に触らないでください!』って張り紙をしていた方が良かったですね!


 それにしても100年間熱を逃がさない毛布があれば地球を覆うことで太陽が消滅しても熱を宇宙に逃がさず生命は生き延びられるのでは……と思ったのですが実際はどうなんでしょう?

有識者の方、解説をお願いします!



 スタークの体が勝手に浮き上がり操られるという超常現象……。

謎の声の主は一体何者なんでしょうか……?


 もしかしてスタークのファンでストーカー!?

……いやいやまさかエリスじゃあるまいしそんな悪趣味な……。



エリス「誰が悪趣味ですって!?と言うかストーカーじゃないわよ!」



 ……読者の皆さん、ストーカーには自覚が無いと言いますが……、当事者にならないようお互い気を付けて次回を迎えましょう……。

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