1.5-17 殺人事件発生!!
ーー前回のあらすじーー
必殺技、『ヤムチャドライブ』が不発に終わり、ボールとミーシャを巻き込んだ挙句にエリスを洞窟の穴に突き落したことを暴露されたヤムチャは、パーティーメンバーの怒りを買って拘束されてしまった!
墓地に到着した際には、エリスとボールが『死者の奈落』と呼ばれている侵入者の遺体捨て場を覗いてしまい、二人はパニックになってしまった。
一方、地面を転がされて土埃まみれのヤムチャは洞窟に放置されたにもかかわらず、手足も使わずに50mの高さをトランポリンで飛び上がって来た……のは良かったのだが、結局今度は灼熱の地面を転がされるのであった……。
真夏の地面……サウナみたいなものでしょうか?
作者は詳しくないですがサウナの後に水風呂に入ると「ととのう」のですか?
だとしたら灼熱のアスファルトを転がって、打ち水をしてもらったらととのう……?
サウナ好きな読者の方、真相を教えてください!!
「……クソッ!何で駄菓子屋まで匍匐で行かなきゃならねーんだよ!抜け穴が狭すぎるんだ!!」
スタークは真っ暗な中、一人で自分の掘った抜け穴に文句を言っていた。
そして暗闇に、突然ゴツンという固い音が響いた。
「痛てえ……っ!!おい!!何だよ、この俺の額にぶつかってきて土下座もしねえ奴は!……そうか、昨日かけておいた脚立か。ったく!!明かりがねえと何も分からねえ!!全部あの姿が見えねえろくでなしのせいだな!!」
スタークは脚立に一発、頭突きを入れると手探りで手をかけて登っていった。
すると再びゴツンという嫌な音が鳴り響いた。
「いっ!!!……今度は上からぶつかってきたバカが……うおおっ!!!」
頭を強打したスタークはバランスを崩して脚立からガタガタと転げ落ちてしまった。
「畜生……何でこの俺がこんな目に……!!アイス売り場があの高さにあるなんてこの俺でも予想できなかったぜ!!」
彼は自分のミスを認めたくなくて苦笑いをしていた。
「どうやったら昨日の今日で自分の作った抜け道を忘れられるんだ。これだからスタークは。」
「だから真っ暗で見えねえんだよ!!さっきも言ったろ!!!」
「なら、どうしてあの時懐中電灯を叩き壊してしまったんだ。全く、これだからスタークは。」
「知らねえよ!!……って、てめえ!!穴の上から声がするぞ!!さっきまで俺のそばにいたんじゃねえのかよ!!!?」
スタークは謎の声が聞こえてくる位置に困惑した。
「確かに私は人間だと言ったが、ただの人間ではないぞ、なめてもらっては困るな。これだからスタークは。」
「ああ、そうかよ!!まあいい、今から地上に出て貴様の気持ち悪い顔面をボコボコにしてやるだけだからな、覚悟しとけよ!!」
スタークは再び脚立に登り、まずはアイス売り場のワゴンを動かそうとした。
「……あ?おかしいぞ、動かねえ……。一昨日は片手で楽に動くほど軽かったのによ?」
スタークは思いっきり力を込めて下からワゴンをずらそうとしたが、全く動く気配がなかった。
「ムシャムシャ………ああ、私もこの駄菓子屋はよく利用するが、どうやら昨日のうちに商品が補充されていたらしいな。だから今お前が動かそうとしているワゴンもすごく重くなっているぞ。ちなみにお前がワゴンに開けた穴は大きな保冷材で塞がっていて何の意味も成していないな。」
地上からはアイスを食べている音が聞こえてきた。
「はあ!?!?あのゴミ店主、普段は仕事しねえくせにこういう時だけ余計なことやりやがってよ!!今度会ったら顔面に踵落としを決めてやる!!」
昨日もキヌタニに踵落としを決めたことを忘れたのかもしれないスタークは、ワゴンに思いっきりアッパーを入れた!
しかし、それでもワゴンはびくともしなかった。
「駄菓子屋に地下から入りたいなら、諦めてもう一ヵ所抜け穴を掘ったらどうだ?あのスターク王国とかいう馬鹿げた洞穴を作る時に外から掘った穴は私がさっき見に行ったら崩れてしまってたし、まさかこのままワゴンが軽くなるのを待つのではないだろうな?」
バカにしたような声が駄菓子屋から聞こえてきた。
「あのなあ!!何でお前がワゴンの中身を全部出して軽くしてやろうっていう考えにならねーんだ!?!?貴様は他人に対する思いやりのねえ、冷徹な幽霊なのか!?」
スタークも地下から負けじと怒鳴った。
「私は散々今までお前に悪口を言われてきたのに助ける義理などないな……ムグムグ。それにお前が地上に来たら私を殴るつもりだろう?まあ、姿が見えないから無理だろうが。それにしてもまだ私を幽霊扱いするか、失礼な奴だな。これだからスタークは。」
「はあ!?器の小せえ奴だな!!この俺に殴られることが苦痛だなんて、毎日呼吸をするだけで生きてるのが苦しいんじゃねえのか!?!?」
スタークはもう一発ワゴンにアッパーを噛ました。
「……っと……だああっ!!」
しかしワゴンを動かすどころかスタークは自分のバランスを崩して、彼はまたしても脚立から転落してしまった。
「……痛えじゃねえかよ!!貴様……この俺を二回もこんな目に合わせて一時間後、いや、一分後に生きてられると思うなよ!?」
「そうか、じゃあ一分後、楽しみにしているぞ。」
謎の声の主は足音だけを残して駄菓子屋を去っていったようだ。
「おい!!!……ふざけんなよ!!!俺様をこんな暗い地下に閉じ込めておいたらバチが当たるに決まってらあ!!もうあいつは十秒ともたねえな!!!」
「はい、到着ー!!!」
ミーシャはヤムチャを転がすのをやめて東三叉路の一角にある我が家をビシッと指差した。
「グホッゲホッ……オエッ!!ハァハァ……着いた……のか??」
度々、道から脱線させられて土の上を転がされ、泥まみれになっているヤムチャは回転地獄から解放されて、呆然と真上を見上げた。
「全く、ただ転がされてただけで何もしてないのにヤムチャは疲れて大袈裟だなあ。」
「お前ら……俺をこんな目に遭わせて只で済むと思うなよ……!!」
ヤムチャはボールの方をギリッと睨み付けた。
「わぁー!!ミーシャの家の壁、何か変な色ー!」
しかし、ボールはそんなヤムチャを気に留めることもなく、ミーシャの家の方に意識が向いた。
「おいおい、ボール!これは独創的な名画だぞ!wwwwテーマは『亜空間』!!!」
「人の家の壁に勝手に落書きしてといて何が名画よ!!」
「て言うかこのロープいい加減ほどいてくr…………」
「落書きってwwwこれでも一応傑作なんだけどww」
「正直私にもこんな絵なら書ける気がするんだけど……?」
「よし、ならここに書き足してもっと名作にしてみるんだなwww」
「だから何で人の家の壁に落書きしようとするの!?」
四人はミーシャの家の壁画(?)に夢中でヤムチャには見向きもしなかった。
ミーシャの家の広さはボールの家の四倍程度だったろうか。
そこそこの広さを持ち、壁はセメントで出来ており、機関銃をぶっ放す彼女の家ならではの丈夫な構造をしていた。
まあ、家の落成記念で描いたであろうシンタローの落書……迷作のせいで丈夫だという印象は消えていたが……。
「お、お前ら!ツアーガイドを無視しやがって……後で覚えてろよー!!!!」
無視に耐えかねたのかヤムチャは自ら転がって、自分の家の方向に向かっていった。
「ん?何だあのヤムチャ?ww」
「さあ?どうでもいいわよ。」
一同は呆れ顔をしていた。
「そんなことよりー、私ミーシャの家の中が気になるー!!」
エリスは早くもミーシャの家のドアを開けようとしていた。
「あわわっ!!え、エリスっ!!トラップがあるっ!!」
「トラップ」という言葉に反応してエリスは動きが固まった。
「え、、、トラップ……!?!?、ひえっ!!」
昨日の記憶が甦り、彼女はその場から大きく飛び退いた。
「何でみんなして、家にトラップを仕掛けるのよ……!?」
「え、俺はトラップなんて仕掛けたことないけど?」
エリスはガタガタと震えて怯え、一方ボールは不思議そうな顔をしていた。
「あなたの家は丸ごとトラップでしょ……。だ、だって留守中にだ、誰かに家に入られたら嫌じゃない!」
ミーシャはしどろもどろになりながらも頑張って反論していた。
「そういやミーシャは自分が家にいる時も突っ張り棒でドアを閉めて窓にカーテンも掛けてるから、家の中が覗けないし私生活が謎だよなwwww俺が家を訪ねても五分くらい片付けしてる音がしてるしwwいつからそんなことし始めたんだっけ?wwwそれから、家の内側の壁は贅沢に防弾仕様にしたんだよなーww」
「……女の子のプライベート覗こうとしないでもらえる??」
ミーシャはシンタローをストーカーを見るような目付きで睨み付けた。
「じゃあ、女同士なら見られても……いい?」
エリスは期待をこめた表情をミーシャにぶつけてみた。
「うっ……じゃ、じゃあ片付けるからちょっとだけ、待ってて、ね???」
ミーシャは三人に家の中を覗かれないように、少しだけドアを開けて、素早く家の中に入って、ドアを閉めた。
その間、僅か0.2秒と言ったところか……。
「うーっ!……片付けられる前のミーシャの家の中、すごく気になるっー!!!」
「正直俺も興味ない訳じゃないなあ……。」
エリスとボールは既に震える手を家のドアノブにかけていた。
そこへガララララ、という音が二人の耳に入ってきた。
「何だよミーシャww窓の鍵、かかってないじゃんかwww」
それはシンタローが家の窓(もちろん防弾ガラスである)を外から開けている音で、不法侵入をしようとしているところであった。
「えっ!?さすがにそれはちょっとさあ……。」
「あーーー!!ずるいっ!私もー!」
シンタローが家の中に押し入ったのを見てエリスも後を追おうとした。
「え…………ぎゃーーーっっっっああっっあっああ!!!???何で!?何で入ってくるの!?いや、動かないで!!喋らないで!!何かしたら即殺してやるわ!!私がそこに行くまで何もしないで!!!そこであんたを殺すから!!」
「えっwwwそれ、俺どうやっても死ぬzy……」
「死ねえーーーーーえーーえーーー!!!!」
「グヘッ!ヒギィッ!!ウギャアッー!!!」
「こ、この、な、中で、さ、殺人事件が…………?」
エリスは家の中から響く銃声や刃物で人の肉が潰れたり引き裂かれる音を聞いて、その場で顔を真っ青にして腰を抜かした。
「シンタローはもう……生きては帰ってこれないね……。」
ボールもドアノブから手を離してその場に立ち尽くした。
どれくらい時間が経っただろうか。
突然ガチャリと開いたドアがボールの額を急襲した!
「えっ!?あっ、ごめんボール、そこにいたのね……。」
血だらけでニコニコしていたミーシャが家の中から出てきた。
「痛た……それで……シンタローは……?」
赤くなっている額を押さえながらボールは尋ねた。
「うん?シンタロー??……何それ、おいしいの??」
「え……。い、いや??なな、何でもないよ!!(これは追及したら死ぬやつ!)そ、それで家の中は見せてくれるの……?」
「うーん、ちょっとまだ『ゴミ処理』が終わりそうにないからまた今度でもいいかしら?」
「わわわ、分かった!!(ひぇーーっ!!!)」
ボールは一体今、自分がどんな顔をしているのか、表情に色々と出ていないか不安になった。
「さて……じゃあ次はヤムチャの家に向かいましょうか。で、エリスはどこ?」
「ひ、人が死んだ……死んじゃったあ、死んじゃ死んじゃ死んじゃった……♪」
エリスは家の壁に寄り掛かり、虚ろな目をしてよく分からない歌を口ずさんでいた。
「あ、いたいた。……どうしたのよ、そんな間抜けな顔して。」
ミーシャはエリスの呆けた顔を見て彼女の鼻をつねった。
「いだだたたっ!!!あっ、ミー……シャ……な、何て格好してるのよぉ……。」
エリスは血で真っ赤に染まったミーシャの姿を見て先程のように怯えた。
「いやー、ちょっと『掃除』してる時にしくじっちゃった♥️」
ミーシャは普段はあまり人に見せないような満面の笑みをエリスに振り撒いた。
「あああ……そ、そ、そうなんだ……。」
エリスは無意識のうちに体がガタガタと震えていた。
そんな彼女を気に留めることもなくミーシャはエリスを肩に担いだ。
「ほらほら、ヤムチャの家に向けてしゅっぱーつ!!♪」
そしてそのまま彼女はスキップで進んでいった。
ボールは困惑して一度ミーシャの家の方を振り返った。
「俺は、こうなりたくないや……。」
しかしすぐに前を向いて、二人を追いかけた。
「いやぁー!!?自分で歩けるからっ!、下ろしてー!!血が服に付くー!!!て言うか、今のミーシャ何か怖い!!怖いから下ろしてぇ~!!」
ーーー移動中ーーー…………now loading…………
ヤムチャ Lv.100 HP100/3013 逆襲の時
ミーシャ Lv.19 HP380/450
エリス Lv.2 HP 10/40
ボール Lv.7 HP 90/200
<ERROR>
以下のメンバーの情報が壊れていました。
データを削除します。
・▼γ≡ロ? !v.1: @P \/25$
スタークは地下深くに閉じ込められたようです……。
もしかしたらもう出番は来ないもしれません……このまま孤独死してしまうんでしょうか?
ミーシャの家の中がどんな風になっているのかは作者も知りません……。
どうやら人には言えない秘密があるようですが……。
どうしても知りたい人はミーシャの家に忍び込んでみてください。
その際は命を投げ捨てたものと思った方がいいです。
シンタローはどうなったかって??
うーん……焼かれる前のハンバーグという例えがそれなりに正確だと思います(意味深)。
Yamucha Kingdomからはシンタローのデータが消えてしまったようです。
森の住人たちは彼のことを覚えていないらしいので、読者の皆さんも彼のことは忘れましょう。
壊れたデータはバグの元です。
そんなデータを覚えている方には……消えてもらうわよー!!(vc:ミーシャ)