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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第1.5章 ツアーガイド(我が真名はゲームマスター!!)の極意
31/162

1.5-16 死者の奈落

ーー前回のあらすじーー


 スタークはボールの家があった土地の地下を不法占拠して『スターク王国』を名乗っていた。

そして再び現れた謎の声……新王国に対して煽りともアドバイスともとれるコメントをしていたが、彼がそれを聞き入れることは無さそうだ。



 突然消失したボールは深い穴に落ちていた……。

そこはまだ奥が続いてそうな洞窟になっていた。


 続いてエリスが落ちてきたと思ったら、ヤムチャがシンタローに強襲を仕掛けてきた!

しかし……彼の攻撃は空回りしたようでボールとミーシャを巻き添えに地面に埋まるのであった……。



 何か失敗してしまった時、地面に埋まりたいと思うことがありますよね。

そんな時はヤムチャに埋めてもらいましょう、一回千円でやってもらえます。


 ただし、地面からの脱出は自力でお願いします。

恐らく重機を使わないと無理だとは予想されますが……。


 逆立ちしてご自身の上半身が地面に埋まったら本編をお読みください。

呼吸ルートの確保は忘れずに!!

「あーーーーー……………………。」




 エリスは気が触れたらしく地面をゴロゴロと放心状態で転がっていった。

そしてそのまま転がっていきミーシャの生首、いや頭に激突した。



「ふぁ!?……いっ、一体何が……って!体が動かないんだけどーー!!」


「ミーシャ、目が覚めるやいきなり元気だなwww」



エリスにぶつかられた衝撃でミーシャの意識が戻った。



「しかも何か目線が低いー!!何なのよー!?」



 そして突然、ドン!という音と同時に、埋まっている三人の体が周りの地面とともに吹き飛ぶことによって解放された。




「うわああっ!えっ!?何が起きてるのよ!?」



ミーシャは訳も分からずパニックになっていた。





「畜生!!!俺の必殺技、『ヤムチャドライブ』が外れやがった!!」



ちゃんと体のパーツが全て揃った状態のヤムチャが地面を破壊して吠えた。





「うえええ~今度は何よ~!??」



近くを転がっていたエリスも、もれなく巻き添えを食らい吹っ飛ばされていた。





「はぁ……もうこれ以上の深追いはやめてやらあ、何も上手くいく気がしねえや。」



ヤムチャは燃え尽きたかのようにその場で座り込んだ。




続いてエリスとミーシャが起き上がった。



「あーあ、もう何かよく分かんないけど早く墓地に行きましょ?……って、ボール!?何でぶっ倒れてるの!?」


「何かねー、ヤムチャのせいらしいわよ?……あーーー!!!忘れてたけどヤムチャ、よくも私をこの穴に投げ込んでくれたわね!?」



ミーシャはボールを見て驚き、エリスはヤムチャを指差して怒った。



「あれ?wwエリスってヤムチャに突き落とされてたの?wwwもうヤムチャ色々と凶悪犯だなww」


「本当よ!!『もうやってられるか!!!』って突然怒鳴ったと思ったら、いきなり首を掴まれてぶん投げられたのよ!!!」



エリスは頬を膨らませた。





「ねえ、ヤムチャ。」



不意にミーシャがヤムチャの肩に手を置いた。



「昨日からそろそろいい加減にしてもらえる??」



 彼女は引きつった笑いを浮かべながら、いきなりヤムチャをどこからか取り出したロープでぐるぐる巻きにした。



「よーし、俺たちもやるぞー!!wwww」


「「「(*ノ゜Д゜)八(*゜Д゜*)八(゜Д゜*)ノイエーイ!」」ww」



エリスとシンタローも加勢し、ヤムチャはロープに包まれていった。




「おいおい!!ツアーガイドを拘束するのか!何のつもりだー!?」


「「「誰がツアーガイドだ!!??」」変なのww」






10分後……





「うう……あれ?何で俺……寝てるんだろう?何だか……お腹が痛い気がするや……。」



ボールも何とか意識を取り戻したようだ。




「おおwwwボール、あんなやばい攻撃食らってよく痛い気がする、で済んでるなwwお前も結構タフだよ、さすが俺の弟子だぜ!!!ww」


「えっと、何があったのかよく分からないけど……ヤムチャはそんなに縛られて何がしたいの?」




ヤムチャはすでにロープで二重いや、二十重に縛られていた。



「ああこれはね、凶悪犯罪者を拘束しているのよ!」



ミーシャがロープを縛っている手に力を込めて言った。



「痛い痛い!!そんなにきつくしないでくれ!!!」


「うるさいなwww凶悪犯罪者に人権はない!!!wwww」







さらに15分後……






「うん、これならヤムチャも動けないよね!」



ボールも手伝い、結局ヤムチャはロープで五十重に縛られてしまった。



「これでヤムチャも少しは大人しくするでしょ♪」



そう言うとエリスはヤムチャを横倒しにして転がそうとした。



「この洞窟の奥に行くんでしょ?みんなで転がしましょ?♪」


「「「ラジャー!!ww」」」



そうしてヤムチャは薄暗くて湿っぽい洞窟の中を爆速で転がされ始めた!





「おい!勘弁してくれ!!今までことは謝る!!……痛い!!目に小石が入った!!あ~目が回る~!!!」





ーーー移動中ーーー……now loading……






洞窟の奥まで行くと急に視界が明るくなった。



「あ、外に出たみたいだね。」


「いや、ここは全然地下だぜ?何たって50mも潜ってるんだからなwwwボール、上を見てみな?」



 一同の真上は岩石の天井で覆われているが、ひび割れた隙間からは光が強く差し込んでいた。

そして地面には恵みの光を受けて苔やシダが覆い繁っていた。




「すごく、神聖な場所ね……。」




 エリスが目を細めて周囲を眺めていた。

さほど広い空間ではないが、30基ほどのお墓がところ狭しと立っていた。




「不思議だろ?さっき地下に50mも降りてきたのに地上からの光がここまで届いてるんだぜ?ww」


「昔から私たちの祖先はここを墓地として使ってきたのよ。」



そう言うとシンタローとミーシャはそれぞれ別の墓の前で手を合わせた。





「あれ?一番奥の方に空いてる変な穴は何なの?」



二人が手を合わせている間にエリスが何かを発見したようだ。



「ぐっ……目が回りすぎて気持ち悪りぃ……ああエリス、そこには行かない方がいいぞ。」


「えー?そう言われると気になる~♪」



彼女はヤムチャの警告を無視してその穴の方へよちよちと向かった。



「おいっ……待て待て!本当にやめておけ!!……このっ、追いつけねえ!」



 ヤムチャは止めようとしたが、何しろ五十重に縛られて横に倒されていたので思うように身動きがとれなかった。




「正直、見てみたくなるよね~!」



ボールまでエリスの後を追った。



「おいー!!?死者の奈落を覗いたらお前ら夜眠れなくなるぞー!?」



「何よお?変な名前だけどそんなに怖いものがあるの??」


「ますます気になるね!!」



二人は目をキラキラと輝かせて、死者の奈落なる穴を覗き込もうとしていた。




「って、本当に二人とも見ようとしてるし!!www」


「それはさすがにヤバいー!!!」



シンタローとミーシャはボールとエリスの方に大慌てですっ飛んでいき、二人を羽交い締めにした。





「「ぎゃあああああああっっ!!!!」」



少々間に合わなかったようだが……。




「あーーー!!人が死んでたー!!!?」


「人の骨も落ちてたーーー!!!」




二人はミーシャとシンタローを押し退けて来た道を逆走した!




「あーーー……まあ、そうなるわよね。」


「あれを見て逃げ出さなかったらむしろ怖いよな……www」



ミーシャとシンタローもため息をついて後を追った。






「ひぃひぃ……もう動けない……。」


「はぁはぁ……もうあんな所行きたくないよ……!」




ボールとエリスは恐怖のあまり、縄ばしごを休むことなく駈け登り、地上まで戻ってきていた。





「さすがに慣れてなきゃ、あれはトラウマものだよなwwww」


「今夜は二人ともオネショ確定ね……。」



と、シンタローとミーシャも息一つ切らさずすぐに追い付いてきた。




「あ、あの穴は、な、何なのよ……あれ!?」



エリスは懸命に喉から声を絞り出した。



「いい?エリス、あなたがこの森に来た時、みんなはどんな対応をしたか覚えてる?」


「えっとぉ……確かテロリスト呼ばわりされて、みんなから無理やり服を脱がされてイケない拷問をされたわね?♥️」




「えっ、エリス……そんな目に遭ってたの?俺も拷問したかったなあ……!」


「ご、誤解を生むような発言はやめい!!!」



 ミーシャがエリスをひっぱたいて機関銃を向けた。

すぐにそれをシンタローが慌てて止めに入った。



「ダメダメ!wwエリス死んじゃうからwww」


「もうここであんたも死者の奈落送りにしてやるわ!!」




「ああ、それでなwエリスをテロリスト扱いしたのも、どこからか逃げてきた危険な奴らがちょくちょくこの森に迷いこんでくるからなんだわwwそいつらを俺たちで排除して、時には生きたままさっきのヤムチャみたいにぐるぐる巻きにして、あの穴に投げ込んでるわけだwwあ、ヤムチャ……下に忘れてきたwwww」




「もう撃たないから離してっ!!!……ちなみに直近でそんなことがあったのは二か月前ね。ヤムチャの家にいきなり押し入ってきて、家の中の物を全て寄越せと要求したらしいけど相手が悪すぎ、素手で胴体から体を二つにバッキリと折られて即死だったわ。」




淡々と喋るミーシャに対して、それを聞いたエリスが青ざめた。



「ひえええっ(´゜д゜`)……一歩間違えれば私もそこに投げ込まれてたのね……??」


「だなww投げ込まれなくて良かったなーwww……ボール、どうしたんだ?ww」




「グヘヘ……拷問いいなあ……。」



 シンタローが気がつくと、ボールは上の空で鼻血をドバドバと出し、彼の服や周囲は真っ赤に染まっていた。





「ぐおおおっ!!!あと、5m!!……ぐわあああっ!!あと、3m!!ぬぅおおおおおっ!!!!」



 地下に続く穴の中から化け物の呻き声が聞こえたと思いきや、飛び出てきたのはやはり化け物のヤムチャであった。




「あら、ヤムチャ……それなりに頑張ったわね。」



ミーシャは特に驚きもせず普通の対応をした。



「ぐるぐる巻きにされて手も出ないし足も大して動かせないのに、よくあれだけの高さを飛び上がってきたなwww」



シンタローは縛られて無様にも地面に転がっていたヤムチャを足蹴にした。



「い、痛いからやめろ!!よくも地下に置いてきやがったな!!いい加減邪魔だからほどいてく……おい、ボール!血まみれじゃないか!?どうしてそんなにダメージを食らってるんだ!?!?」




事情が分からないヤムチャは転がってボールに近づいた。




「いや、むしろ妄想で元気出たけど?」



ボールは全身を真っ赤にして、ニタニタしながら答えた。





「それじゃあ、ボールの元気も出たことだし……、」



ミーシャがヤムチャに近づいた。



「私の家まで行くわよー!!」



ミーシャがヤムチャを転がし始めた!



「「「イエス・マム!!!!」」」



そこに三人も加わって再び玉転がし、いやヤムチャ転がしが始まった。





「もうやめてくれー!!!……熱っ!!真夏の昼下がりは地面が鉄板みてえだ!!焦げるー!!つか、ゲホッゲホッ!!!土ぼこりがひでえ!い、息ができねえよー!!!」







ーーー移動中ーーー……now loading……



ヤムチャ  Lv.100 HP180/3013 行動不能

ミーシャ Lv.9 HP150/200

エリス Lv.2 HP 20/40

ボール Lv.7 HP110/200

シンタロー Lv.10 HP230/250

 生きたまま死体が捨てられてる穴にぶち込まれるとか地獄すぎて、むしろその場で殺してくださいと懇願してしまうかもしれません……。

100エーカーの森では怪しい行動をとらないことをお勧めします……。



 真夏の晴れた日のアスファルトの温度は50度を超えるそうで……まあ、ヤムチャにとっては大したことでもないでしょう……。

彼のHPは果たして1.5章が終わるまで残っているのでしょうか??



 この先、セーブポイントや回復アイテムが見つかるかどうかがYamucha Kingdom攻略のカギになってくるかと思います。


 そもそも、このゲームの目的が何なのか……。

何をどう攻略していくのか?

それが明らかになる日は来るのでしょうか?


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