表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第1.5章 ツアーガイド(我が真名はゲームマスター!!)の極意
27/162

1.5-12 陣取り合戦

ーー前回のあらすじーー


 ボールが正気に戻りよしだくんが自滅したタイミングで、エリスは自らのしてしまった行いの重大さに気がついた。

彼女の選んだ答えは……一目惚れしたスタークを見限り、ボールに自分自身を捧げることだった。


 しかし、彼からの返事は「No!」、結局エリスの罪は償われず、許されぬこともないまま宙ぶらりんになってしまうのであった……。



 一方、その様子を窺っていたスタークはストーカー被害に悩まされていた。

どこからとも聞こえてくる謎の声によって罵倒され、反撃することも敵わず一方的に攻められ続けていた。


そんな追い込まれた彼がボールの家の残骸を見て行き着いた答えとは……?



 試験直前というのもある意味追い込まれている状態です。

そういう時の勉強は普段以上に潜在的な能力が発現し、未曾有の成果が獲得可能かもしれません!

(↑作者が難しいこと言ってみたかっただけです。)


 試しにこの小説も自分自身を追い込んで読んでみてください。

きっと何の成果も得られないはずです。

「ヤッホー☆晩飯だぜー!たっだいまー!!!」



 シンタローが元気よく集会所の入り口のドアを開けた。

そして電気のスイッチをつけようとした時だ。



「あれ?もう電気点いてたわww何で?w」


「まずねえ、どうしてあなたは電気が点いてることに気が付かないのよ……。」



ミーシャも呆れ返りつつ集会所に入った。





「あ、二人ともやっと来た!もうお腹減っちゃったよ、早くご飯にしよう?」



 そんな声がした集会所のテーブルがある方に二人が視点を移すと、存在感を全く出していないキヌタニが自分の席に着いていた。



「お!キヌタニ!!とうとう目を覚ましたか!www思ったんだけどさ、起きてるキヌタニが存在するのって随分と久しぶりじゃね??www」



シンタローはキヌタニの顔をまじまじと見た。



「うーん、確かに僕もシンタローの顔を見るの、エリスと初めて晩御飯食べた時以来だと思うよ。そういえばあれから何日経ったのかな?」


「あんたねえ……」



ミーシャはこの流れをぶった切ってキヌタニに近づき、



「何で席に座ってるだけでなーにもご飯の準備しないの!!?皿並べるなりテーブル拭いておくなり何かしらしておこうと思わないわけ!!??このゴミクズなシンタローだってそのくらいはするわよ!!!」



何も置かれていないテーブルを拳でぶっ叩いて怒鳴り付けた。



「本当よ!駄菓子屋でも使えない奴だとは思ったけど、どこに行ってもキヌタニはゴミカスのままね!!!!」



そこへいつの間にやら二人に追い付いたエリスも加勢してきた。



「ひええっ!!!二人とも顔が怒ってるみたいで怖いよぉ……。」


「「いや、怒ってるんだけど!!??」」



ミーシャとエリスの声が綺麗に被った。



「ぼ、僕、怒られるようなことしたかなぁ……?」



キヌタニは馬鹿正直に考え込み始めた。



「うん、どうして分からないの?あなたがキヌタニだからいけないのよ。」



エリスは冷淡にさらっと言った。





「え?俺がゴミクズだっていうのは誰も否定しないの?wwwww」



シンタローは少し悲しそうにしていた。



「うん、シンタローはゴミだと思うよ。だって僕みたいに昼間ずっと働いてるわけじゃないじゃん。」



キヌタニは偉そうに胸を張って言った。



「……キヌタニはあれで働いてるつもりなの?駄菓子屋のレジの前で座ってるイメージしかないんだけど。」



ミーシャは機関銃の銃口でキヌタニの胸をグサグサと突きながら反論した。



「もちろん!万引きがいないかずっと監視してるんだからね!!」



キヌタニは機関銃の銃口を手で押さえながら、やはり胸を張って言った。



「ふーん、あれで監視してるつもりなんだ(-Д-)じゃあエリスとシンタロー、準備手伝って。」



ミーシャはキヌタニなどどうでもよくなり、彼に背を向けてキッチンに向かった。



「「はーい( *・ω・)ノ」」



二人もそれに倣って食事の準備に取り掛かった。




「えっ?感想はそれだけ??」





「エリスまた猫の手、忘れてるわよ!」


「いっけなーい、今日も手を切るとこだったわ。」


「あ、薪を忘れたなwwちょっと取ってくるぜwww」


「そういえばそうだったわね、じゃあお願いするわ!」





「僕は……やっぱり無視なの?」



結局キヌタニは食事の用意が終わるまで、ただ座っているだけであった。





「今日のメニューは、ニジマスのムニエルと夏野菜のカレーよ!!」



「「「いっただっきまーす!!!」」」


「今日も旨そうじゃねえか!俺も食うとしよう!」



一同は料理にかぶりついた。




「それで、ボールとよしだくんの様子はどうなの?」



ミーシャは食べ始める前にヤムチャにそう確認した。



「あー……ムグムグ、ありゃもうしばらくは起きねえな。ムシャ……明日の朝になったらちゃんと目が覚めるだろ……ゴクゴク」



ヤムチャは既に自分のカレーとムニエルを平らげ、ボールの分の料理に手を出していた。



「それから、明日に今日の続きをやるって言ってたわね……モグモグモグモグ……。」


「ああ、朝の10時にボールの家の跡前に集合な。お前ら、寝坊するんじゃねえぞ。」



ヤムチャは早くも二人分の料理を平らげてだらけていた。




「え?今日の続きってなに?」



キヌタニは首をかしげた。




「ああ、そういえばwwお前ら……それは俺の!w今日はあちこち歩き回って……俺のだって!w何をやってたんだ?」



シンタローはよしだくんの料理を食べようとしてミーシャと取り合いになっていた。



「今日はな、エリスとボールのためにRP……いや、森のツアーをやっていたんだ。」


「私だったら……ちょっと!!絶対にあんなハチャメチャなツアー……私のよ!参加したくないけどね!!」



 ミーシャは片手で皿を引っ張り、もう片方の手でカレーを食べ始めた。

それを見たシンタローも同じことを始めた。




「何だか面白そうだから、僕も明日はお店を閉めてそっちに行こうかな?」




「ダメだ。」


「ありえないわ。」


「却下するわーwww」


「死ね、ゴミ店主!」





全員でキヌタニへ総攻撃が行われた……。




「えぇ……なんd……」


「そういや話は変わるが、エリスのためにシンタローの家から家具をここまで運び出してえんだ。シンタロー、構わねえか?」



キヌタニを無視してヤムチャはシンタローに聞いた。



「もしかしてエリスここに住むの?wwwまあ、キヌタニの家よりはマシだな!wいいぜ、みんなで運び出すとするか!じゃあ、俺は先に行って家のトラップを解除してくるわww」



シンタローは勢いよく立ち上がると、食後だというのに突っ走って家に戻っていった。




「ん?僕の家よりマシってどういu…………」


「よーし、じゃあ俺たちも行くか!」



ヤムチャはよしだくんの分のムニエルを一口で丸飲みにして立ち上がり、集会所から出ていった。





「あ、キヌタニ後片付けよろしく~。」


「ちゃんと働きなさいよ!キヌカスが!!」



ミーシャとエリスもヤムチャの後について行った。



そして集会所にはキヌカス……いや、キヌタニだけが残された。





「みんな……僕にだけ当たりが強くない……?」







1時間後……




「わあ!!私の城がすごく豪華になったわ!!」


「こりゃなかなかいい住まいになったな!!」



集会所にはピカピカのベッドにカラーボックス、デスクワークが追加された。



「やっぱ俺の作品はすげえなぁー!www」



シンタローはそう言って新品のベッドに飛び込んだ。



「ちょっとー!何でアンタがベッドに一番乗りするのよ!!私が最初!!……あ~こんなクイーンサイズのベッドに一人で寝るなんて贅沢ねー♪」



ベッドに寝転がるシンタローを蹴落として、ミーシャがベッドに乗り込んでしがみついた。



「いやいや、家主の私が最初よー!!」



エリスがミーシャの隣に寝転んだ。



「おっとw俺だって負けないぞwww」



シンタローが端からベッドに乗り込んでミーシャが挟み撃ちになった。



「もう!何するのよー!!暑苦しいわ!」



狭い中でミーシャがジタバタと暴れていた。




「じゃあ俺も参加するぞー!!」



ヤムチャがシンタローとは逆側から乗り込んでエリスの隣に寝転んだ。



「うわっ!ヤムチャ図体でかいわよ!一気に狭くなったじゃない!!」


「俺だって体がはみ出てんだよ、お前らがもっと詰めろ!!」


「いやいやwww俺が落ちちゃうよ!!wwてか、ミーシャの背中の機関銃が痛いんだけどwwさすがに外して?ww」


「そもそも何であんたたちまで一緒に寝転がってるのよ!邪魔だから降りてっ!!」




四人はベッドをめぐる醜い争いをしていた。



ゴミ店主……いや、キヌタニはちょうど片付けが終わったところでこの惨状を目の当たりにした。






「みんな……何してるの??ベッドの下に虫でもいるのかな?」



キヌタニはベッドの下を覗きこんだ。




「あー!やばい落ちる!!www」



そこにベッドから落ちかかったシンタローの足がキヌタニの顔面を強襲した!



「ごふっ!!い……痛い……。」



キヌタニは顔面をおさえて地面を転がった。



「ん?www今何かに踵落としを決めちゃった気が……うおっ!wだからミーシャ、機関銃!痛い!!www」



シンタローはキヌタニの存在に気がついていなかったようだ。



「ううっ……!ぼ、僕も……混ぜてっ!!」



 キヌタニはそれでも立ち上がり混沌とした空間に勇気を振り絞って全力疾走で飛び込んでいった。

ちなみに彼の全力疾走とは50mを11秒ジャストで走るくらいのスピードであった……。




「今度は俺が落ちるじゃねえか!!負けてたまるかよ!!」




 ヤムチャはベッドから落とされまいと寝返りを打った。

それも足を宙にあげたまま……。


 その足はノロノロと立ち向かい、ジャンプしてベッドに飛び乗ろうとしたキヌタニの鳩尾にタイミングよく、ものすごい勢いで叩き込まれた!!




「ぐっはあああーーーーっ!!!!」



 キヌタニの体はぶっ飛び、集会所の天井にめり込むどころか天井を突き破って夜の森へと消えていった……。



「あれ?俺、今何かを蹴り飛ばしたような……?って、エリス、その邪魔な胸どうにかならねえのか!!」



ヤムチャもキヌタニの存在には気がつけなかったようだ。



「あんっ!そんなとこ触っちゃダメよぉ♥️」





 彼らの陣取り合戦の決着がつくのと、キヌタニの不在が判明するのにはまだまだ時間を要することになった…………。

 随分と早いお目覚めですねえ、キヌタニさん?

起きているキヌタニが登場するのはいつぶりのことなのか……?


 まずもって気絶しないキヌタニが出てくる回がレアです。

気になったら何話あるか調べてみてください(答えを作者も知らないので())



 クイーンサイズのベッドなんて人力で運ぶの拷問もいいところ……。

一応二人が寝るには十分な大きさだろうけどヤムチャは一人で占有しそう。



 ちなみに作者は家に知り合い四人を呼んで、セミシングルのベッドに四人で寝たことがあります。

……足と頭を交互にして寝てギリギリ全員収まりました……。


 え?残りの一人はどうしたのかって??

気が付いたら何故か床で寝てましたwww


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ