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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第1.5章 ツアーガイド(我が真名はゲームマスター!!)の極意
25/162

1.5-10 最難関ダンジョンの主

ーー前回のログーー


ー北西の洞窟に入った!ー


ー吸血コウモリの大群が奇襲を仕掛けてきた!ー


ーエリスにおびただしいダメージ!!ー


ーエリスは力尽きた……ー


ー吸血コウモリの大群を撃退した!ー


ーヤムチャはレベルアップした!ー


ーミーシャはレベルアップした!ー


ーボールはレベルアップした!ー


ーよしだくんはレベルアップした!ー


ーーーーーーーーーー


 実はしれっと四人もレベルアップしていました……。

経験値自体はしっかり稼げていたようです。


 エリスはまだレベル1のままでしかも瀕死に……彼女は復活できるのか!?

そして今回はさらに強力な敵が出てくる予感……。



 RPGのボスと言うと読者の皆さんは何を思い浮かべますか?

「私こそがラスボスだ……!」と名乗り出てくれる読者の皆さんは是非とも100エーカーの森の住人たちとバトルして欲しいものです。


二度とRPGなんてやりたくなくなるかもしれませんが作者は責任を負いません。

「さて、みんな知ってると思うけどここが俺の家だね。うーん、救急箱みたいな怪我の手当てをできるものなんてあったかなあ……。」




 当時のボールの家は8帖ほどのワンルームと風呂、トイレだけの小さなものだった。

そして彼のついこの前までの体型に合わせて玄関のドアも他の家より大きくなっていた。



「部屋の中が散らかってるから、整頓しながら包帯とか消毒液とか探さなきゃ……。」



ボールはドアを開けて自分の家に入った。



「ついこの前までずっと引きこもって、移動するにも転がっていた奴がちゃんと人らしく生活しているなんて……人間分からないものだな……。」


「全くだ……もうあいつは一生ニートのままなものだと思ってたが、良い意味でその予想は外れちまったな。」



よしだくんとヤムチャはしみじみと言った。



「二人ともちょっと難しいこと言ってる……。」



ミーシャは頬を膨らました。



「しかし……あいつの着替えや風呂の世話をしてた時に見たんだが、家の中がものすごい散らかり様だった記憶があるんだよな。」



 ヤムチャは心配になりエリスを担いだまま、家の中に入った。

と思いきや一秒もしないうちに出てきた。




「ああ、やっぱり……人の住める空間じゃねえ……。」



ヤムチャはため息をついた。



「そう言われるとすごく中を覗くのが怖いのだけど……。」



ミーシャとよしだくんが恐る恐る中を覗いた。




「あ……ああ……。」



ミーシャは驚き余って腰を抜かした。




「あ……あぐっ!あが、あががっ……!」



よしだくんもビックリして顎を外してしまった。



ボールの家の中は二人の想像を越える環境であった。






 家の床には長年のニート生活により貯められたポテチの袋やいやらしい本にビデオテープ、使用済みティッシュなどが堆積して30cmほどの「汚物の地層」が形成されていた。



 壁にはボールのものかポテチのものかは分からないが、茶色に変色した油がベッタリと塗りたくられていた。



 ベッドのシーツも恐らくはもともと白色だったのだろうが、ボールのことだからもちろん何年も洗ってないのだろう、大量の油や汗が染み込んでまっ黄色になっていた。




「エリスも放っちゃおけねえが死ぬわけでもねえし、さすがにこっちが優先だな……。」



 ヤムチャはエリスを地べたに寝かせ、ミーシャの首を片手で持ち上げて起き上がらせ、よしだくんの顎をもう片方の手で掴んで戻した。



「……!!……ま、まさか驚いて顎を外すことになるとは……。でも、ついにこれが必要になる時が来たようだな!!」



顎が治ったよしだくんは得意気にリュックをまさぐり、ガスマスクと安全靴を3セット取り出した。



「確かに……今回ばかりはこんなもの余計だとは言えないわ。」



ミーシャは渋々と安全靴を履き、ガスマスクをつけた。



「出そうと思えばいくらでも道具が出てきそうな恐ろしいリュックだな……。」



ヤムチャも目の前に佇む「魔境」に向かう準備をした。





「ちょっと手当てできそうなものは見つからないy……えっ、みんなガスマスクなんて着けて……どこか危険な所にでも行くの?」



自宅の中から救急箱を探すのを諦めて外に出てきたボールは三人の姿を見てしばし硬直した。



「ああ、少なくともこの森の中では現在、駄菓子屋のシンタローがいる所の次に危険だろうな、スーハー……。」


「ええ、悪臭で死亡する可能性だって大いにあるわ、スーハー……。」


「お前は生身でよく死なねえな……スーハー……。」



三人はそれぞれガスマスク越しに返事をした。




「じゃあ行くわよ!二人とも!!」



ミーシャはどこからかゴミ袋と雑巾と手袋を取り出して吠えた。



「「うおおおっ!!!」」



三人の勇者は何があるか分からない魔境へと突撃していった。






「えっ?えっ??どういうことなの??」



まだボールには状況が分かっていなかったようだ。






「おいおい、未開封のポテチがあるじゃねえか……って賞味期限二年前ってどういうことだよ!!」


「こっちにビデオテープの欠片がたくさん落ちてるじゃない!!よくこんなの落ちてて生活できたわね!!!」


「このマンガ、ビリビリに破れてもう何が書いてあるか分かりゃしない……うおお!!ムカデが挟まってるじゃないか!って、ここ、ムカデの大群がいるぞ!さ、殺虫剤をくれ、!」


「よしだくんムカデごときで情けないわ…………あああ!!あれがたくさんいるー!!ゴキで始まってブリで終わるあれよー!!ぶっ殺してやるわーー!!!」


「バカー!!ここで機関銃ぶっ放すんじゃねえー!!!つーかポテチの袋からバカでかい蜘蛛が出てきたじゃねーか!!!!」


「うるさいわねー!こいつらの味方するの!?あんたもゴキブで始まってリで終わる奴らの仲間なのーー!!??」


「いや、殺虫剤使えよ!!機関銃を持ち出すんじゃない!!うわああ!!足に上ってきやがった!!」


「いやああ!!あんた仲間だと思われてるのかも!!!よしだくんこっち来たら蜂の巣にするわよ!!」


「おいー!!お前がギャンギャン騒ぐからあいつら飛び回りやがったぞ!粉々にしてやる!!」


「お前はノコギリを振り回すんじゃねえ、これをバラバラにする気か!!!!そうなった姿なんて想像もしたくないぞ!!」


「うるせえ、止めてくれるな!!って、転ぶ転ぶ!!」


「え、ちょっと!こいつらを体で踏み潰すなんて……。」




「「「あああああああああ!!!!!」」」



三人の勇者は難攻不落の魔境の中で叫ぶことしかできなかった……。






「こ、これは……無理だ。ここを綺麗に片付けようなんて、俺らには……。」


「何なの……あの場所は……。一体どうやったらあんな空間を生成できるのよ……。」


「もう、これは、一旦家を燃やすか爆破するかして、解体してから新しい家を建てる方がいいみてえだな……。」



三人は息絶え絶えになりながら魔境から脱出した。




そんな敗北した勇者たちを出迎えたボールは心底不思議そうな顔をしていた。



「えっーーーーと……とりあえずみんな大丈夫?」





「お、お前…………、」



よしだくんはボールにしがみついて、



「ど、どうして生きてるんだ……?ぐはっ!」



そのしがみついた手を離して地面に突っ伏した。








「よしだくん…………眠いの??」



ボールの脳内には、自分の家が殺人ハウスであることが片隅にも存在しないようだった。



「何で!?何でなの!?何で眠いって発想になるのーー!?!?」



ミーシャは地面を転げ回った。



「だって、あんな快適な空間にいたr……」


「快適の「k」の文字もねえよー!!ここは魔境よ!「ma・kyo・u!!!」」



乱暴なミーシャの口調がいつも以上に乱暴になった。



「おい、魔境は……「k」入ってんぞ……と、とりあえずだな、お前をこんなダンジョンに住まわせておくことはできねえ!」



ヤムチャは殺人ハウスをビシッと指差した。



「え……?……!!えーーーー!!!!」



ボールはヤムチャの唐突な宣告を理解するのに少し時間をかけて、それから驚愕した。




「俺の家ってダンジョンだったのーー!!??」



「そ、そ、そ……そこかーーーい!!」



ミーシャはそれだけ叫ぶと機関銃を構えて殺人ハウスにありったけの弾丸をぶっ放した。




「え、え、ええ…………!!じゃあどこなのーー!?」



 爆発のような発砲音とボールの叫び声が響く中、殺人ハウスの壁はボロボロに壊され、窓は砕け、屋根は吹き飛び、そしてあっという間に崩落した。



「って、俺の家がー!!一番落ち着ける快適な空間がー!!!」



ボールはその場でへたれこんだ。




「世迷い言を……よ、よし、じゃあ、仕上げだ……。」



 よしだくんは何とか起き上がり、ボールの家だったものにリュックから取り出した灯油を撒き、火のついたライターを放り投げた。



 ライターの火が瓦礫に触れた瞬間、轟音と共に真っ赤な火柱が上がった!

火柱は瓦礫を飲み込み、全てを灰へと変えてしまった……。



「何て、何てことを……あそこには俺のお宝がたくさん詰まってたのに……。」



ボールはただただ自分の城が朽ちていくのを眺めることしかできなかった。





「やったぞ……俺たちは最難関ダンジョンを制覇したんだ!!」


「「バンザーーーイ!!!!」」



三人は両手を高く振り上げ、後ろに倒れ込んで寝転んだ。



「さすがに骨が折れたな……。」


「でも私たちにかかれば大したことなかったでしょ!!!」



彼らはあたかもラストダンジョンをクリアした後のような会話を繰り広げていた……。




「三人とも何かRPGの冒険者ぶってるけど、やってること暴漢と変わらないからねーー!!??」



ボールは涙目で三人に吠え、



「も、もう、もう全部、お終いだあーーー!!!!」



そして、何を思ったか彼の家を灰にしている火柱に飛び込んだ!!





「ぎゃあああっはっはっははは!!熱い!熱いよー!!もう何もかもどうでもいいよーー!!!あっははは!!!」



 ボールは火に巻かれながら狂って笑っていた。

和やかムードだった三人もさすがにびっくりしてボールの方へと駆け寄った!!



「いやいやいや!!!どうでも良くないだろ!一体どうしたっていうんだ!」



よしだくんはリュックの中をまさぐるが、状況を打開できる道具が見当たらなかったらしい。



「本当よ!あなたこのままじゃ焼き豚になっちゃうわよ!!!」


「焼き豚だかジンギスカンだか知らねえが、お前を食うつもりはねえ!今助けてやる!!」



ミーシャの悪意無き悪口を適当に流してから、ヤムチャは果敢にも荒れ狂う火の海に飛び込んだ!



「くっ!アチいな!!!……この、大バカ野郎!!!」



ヤムチャは火に巻かれながらもボールを火の外へと蹴り出した。



「ぐほっ!!と、止めないでよぉ!!もうこの世界は終わりなんだよぉーー!!ははははは!!!!」



ボールは火の外に出ても狂ったままで、スコップを力いっぱい振り回した。






「うーん、こ、コウモリ…………??あれ、ここは……えっ!!か、火事!?ぼ、ボール!?」



 この騒がしさのせいか、火柱による熱風のせいか、はたまたその両方のせいかエリスが意識を取り戻した。

彼女は燃えている瓦礫を背景にスコップを振り回しているボールを見て動揺した。




「え、エリス!意外と起きるのが早かったな!そ、そうなんだ!ちょっと今火事場のボール力なんだ!!」


「へー、な、何だかよく分からないけどボール楽しそうね。」



状況をよく分かっていなかったエリスは、慌てていたよしだくんとは対照的にすぐに冷静になり、



「痛たたたたた!!!身体中に傷跡があるんだけどー!!!何これーー!!!??」



コウモリに噛まれた痛覚を思い出したようだ……。




「全く……ウエットスーツはまだしも、足ヒレなんてつけるからコウモリにも敗北するんだ!」



よしだくんはエリスのつけている足ヒレを指差した。





「足ヒレでもフカヒレでもどうせ終わるんだよ!!俺がこの世界を終わらせてあげるよ!!」



ボールはラストダンジョンのボスのようなセリフを並べていた。



「何かボール、痛たた……かっこいい……!」



エリスは痛みで表情を歪ませながら称賛の言葉を漏らした。



「いや、全然カッコ良くないわよ!!ただのヤバイ奴だわ!!」


「全くだ、ゴミみたいな家を一軒燃やされたくらいで情けねえ奴だぜ!!」



ヤムチャはボールに向かってノコギリ両手に飛びかかった!



「うわああああっ!!!」



ボールは叫びながらスコップをヤムチャに振りかざした。



「悪りぃなボール、そんなの当たらね……うおっ!!??」



ヤムチャは易々とボールの攻撃をかわした、かのようにヤムチャ自身も、見ていた三人も思った。


 だが、ボールのスコップはヤムチャには当たっていないはずなのに、彼の大きな肉体は紙風船のごとく後ろに吹っ飛んでしまった。





「……と、とんでもねえ威力の風圧だな……!!あんな普通のスコップから、こ、これだけのものが……!?」



ヤムチャはもう立ち上がれなくなってしまった。



「覚悟しなさいボール!これなら風圧なんて関係ないでしょ!」



ミーシャはボールの四肢目掛けて機関銃を撃ち放った!!



「やああああっ!!!!」



ボールはとてつもない勢いとパワーで再びスコップを振り回した。


すると、ミーシャの足元の地面に撃った弾丸が全て埋め込まれた。



「……え?バカね、そんな物で弾丸が打ち返せるわけが……ない、のに……。」



ミーシャの機関銃を抱える手はガタガタと震え、膝をついた。



「そ、そんな……残るは俺か。俺にどうやってボールを止めろと言うんだ!!」



 よしだくんはそう言いながらもスタンロッドを両手に構えた。

しかし、その手は大量の汗が滲み、足もすくんでいた。




「えっと……一体何がどうなって……??」



エリスは一人キョトンとして首をひねっていた。





「よしだくん、来ないならこっちから行ってあげようか?」



ボールはゆっくりと歩いてよしだくんに近づいた。



「どうすればいい??考えろ、考えろ!!」



彼はボールとリュックの中身を交互に見た。



「武器になりそうな物なんて……ない。」



よしだくんはスタンロッドをただただ見つめていた。




「畜生……エリスは使い物にならんし俺もミーシャも対抗できなかった以上、よしだくんがボールを倒さなきゃゲームオーバーになっちまう!!」



 ヤムチャは手に持っていたノコギリを地面に何度も叩きつけた。

そして刃の欠片が飛び散りスタンロッドの先に触れるとバチッと火花が飛んだ。



「!!!!そうか!これだっ!!!」



よしだくんは立ち上がりスタンロッドを構え直した。




「(ボールのスコップは金属製だ。たとえ俺が吹っ飛ばされようともスコップがスタンロッドに触れれば電流がボールに流れる!!)殴りたきゃ殴れ!」



よしだくんはボールの目から視線を逸らさない。




「覚悟、できたみたいだね……!」



ボールはよしだくんの目の前まで来るとスコップを上に振り上げた。



「ボール!!や、やめなさいよ!!」


「もう止めろ!俺たちが悪かった!!!」



ヤムチャとミーシャは懸命に叫んだ。




「今さら遅いよ……。」



ボールはよしだくんの脳天に狙いを定めながら不気味な笑いを浮かべた。





「おーーい!!ボール!みんなー!一緒にいたのか!!」



 その時、何やら遠くの方から陽気な声が聞こえてきた。

それと同時にボールのスコップを持つ手もピタッと止まった。




「おいおい、この声は……。」



 声を漏らしたヤムチャを始め、一同は声のする方に顔を向けた。

すると全員に見覚えのある人物がヨロヨロになりながら走ってきた。



「お前らさっきはよくも俺をあんな恥ずかしい目に遭わせてくれたな!!腕のロープ切るの大変だったんだぞ!!!ww……あれ?てか、何この状況??すごくシュールでウケるんだけどwwwww後さ、ここらへんにボールの家があった気がするんだけど俺の勘違いかな?」




 ナイフが全身に突き刺さって血まみれのシンタローは突然現れたかと思うと、いつも通りの笑顔で矢継ぎ早に喋り出した。



「……色々突っ込んでやりてえとこだが、一つ答えてやるとしたらボールの家はこれだぞ。」



ヤムチャは燃え盛る瓦礫の山を指差した。




「あの……、今は世界を終わらせるのに忙s……」


「えっ?wwwどうして、燃えてんの?www誰の仕業?ww」



シンタローはボールの言葉も聞かずに腹を抱えて転げ回った。



「この家を燃やすか爆破して解体するしかねえって言ったのは俺だが?」


「銃撃で家を崩落させたのは私だけど?」


「そこに灯油をまいて火をつけたのは俺だが?」




「……えっと、じゃあ私は何をすれば……?」





「いや、もう何もしなくていいから!!!世界が終わればそれでいいよ!!」



言っていることはおぞましいボールもテンションはいつも通りに戻り、冷静に突っ込んだ。



「なるほどな!wつまり主犯はエリスで、怒ったボールがよしだくんに八つ当たりしてるわけだ!!完璧に理解したぞwwww」



シンタローは納得して、腕を組み頷いた。



「えっ……よく覚えてないけど、私主犯だったの!?」



エリスは頭を抱えて顔を真っ青にした。



「まあ、そうなんじゃね。」


「ええ、そうなのかもね。ふあ~あ(-_-)zzz」


「ああ、そうらしいな……で、シンタローはここに一体何しに来たんだ??」




 支離滅裂な状況にもはや三人は説明どころか返事をするのも面倒で、欠伸をしながら適当に流しつつ、よしだくんはさらっとシンタローに質問をした。




「いやさーw全身にナイフが突き刺さって意識が遠のくなかで、目の前の床に一冊の本が落ちてるのに気づいたんだなwwそれがさあ……」



シンタローはササッとどこからか一冊の本を取り出した。



「すっっっっごく!ボールが好きそうなエロ本だったのよ!!wwww」


「!!!!!」



ボールは驚き慌ててシンタローに近寄り、本の表紙を確認した。




「こ、こ、こ……これは……!?!?!?お、お、俺の、俺の一番のお宝だー!!!」



ボールはスコップを放り投げ、シンタローからお宝(?)をひったくって胸に抱いた。



「おうwww気に入ってくれたならそりゃ何よりだwwww」


「もう家と一緒に燃えちゃって永遠に読めなくなっちゃったかと思ったよ……生きてて、良かった……!!!」



ボールは遂に涙を流し始めた。



「お、おう……そりゃあ……持ってきた甲斐があったわwwww」



 さすがのシンタローもボールの反応には困惑した。

きっと鼻血を出して倒れるのだと思って、それを狙ってこの本を持ってきたのだろう。




「お、おい……シンタロー、お前まさかこの本をボールにあげるためだけに……。」



ヤムチャが震える指でシンタローの方を指差した。



「ああ、そうだぞwwwそうでもなきゃこんな命懸けでここまで来ねえよww」




「し、シンタロー……俺、間違ってたよ!!俺のお宝がこの世からなくなっちゃったから世界なんて滅んじゃえって思ってた!!でも、シンタローがちゃんと俺のお宝を持ってきてくれた!!俺は……考えを改めるよ!!この世界を滅ぼすのはやめるよ!!」



ボールはエロ本をより強く抱きしめた。





「ん?んん??んんん???www一体どういうこと????wwwお前何言ってんの??」



シンタローはさらに頭の上と顔に「?」を100個くらい並べて困惑した。




「よくやった!!シンタロー!!お前は真の勇者だ!!冒険者一同、お前を誇りに思うぞ!!」



ヤムチャはシンタローに抱きついた!



「冒険者だか勇者なんだか知らないけど本当にあなたは世界の救世主よ!!本当によくやってくれたわ!!」



何とミーシャまで機関銃を放り出してシンタローに飛びかかった!!




「な、何だかよく分からないけど……俺ってやっぱすげえな!!!wwww」



「よおし!!俺たちでシンタローを胴上げしよう!!」



照れているシンタローを、ボールとエリスも加わり四人で空へ送り出した!





その様子をよしだくんは呆然と見ていた。



「おい……本当なら俺が救世主になるはずだったのに……。あのままスコップが振り下ろされていたら、シンタローが来なければ……俺が宙を舞っているはずだった……どうして……。」



よしだくんはふと、手に握られていたスタンロッドを見つめた。そして、




「お、お……おしまいだあー!!!!」



 よしだくんはスタンロッドを自分が着ている甲冑に叩きつけた!

全身をナイトの装備、すなわち合金で覆われているために彼は電撃を体全体に浴びてしまった!




「ああああああ!!!」



 彼は全身を痙攣させて失神した!

その様子を目撃した一同は、シンタローを地面でキャッチするのも忘れ、目を白黒させた。



「「「「ええええええええっ!!??」」」」





「痛てて…………よしだくん、楽しそうだなwwww」



ただ一人、シンタローを除いて……。

 作者の部屋もきれいとは言い難いですが、さすがにクモとムカデとMr.Gが同時に出てきたことはないです……(二匹ならありますww)


 厚い脂肪で体が覆われて転がっている分にはビデオテープの破片が散乱している汚物の地層も何のそのというわけでしょうね。

痩せてから今まで破片が刺さりまくって痛くなかったんでしょうか、環状線の砂利なんかよりもよっぽど深刻では……!?



 機関銃の弾すら跳ね返すなんてボールって実は狂戦士なのかもしれませんね!

園芸用のスコップは盾にもなるということが証明されました。


 もし近くで機関銃を乱射されたら、スコップを振り回せば被弾せずに済む!

前回に続きスコップの新しい使い道のご紹介でした!!!


 こんなすごいスコップが25000円のところ今から30分だけ何と17000円!!(テレビショッピングしてる??)

こんなにお得なのは今だけ!さあさあ、ご家族からご友人の分までどんどん買っていってね!!



 もしかしたら次回もお得な商品が紹介できるかもしれません。

お買い求めの際は100エーカーの森の駄菓子屋までお越しください。

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