1.5-4 Yamucha Kingdom、開幕
ーー前回のあらすじーー
ボールを破滅させてしまうとして100エーカーの森の地下深くに封印されし伝説の変態エリス……
彼女は時の王、ヤムチャによってその封印を解かれた。
そしてここに新たな物語が幕を開けるのであった……。
すごい雑に書きましたが新たな物語が幕を開けるのは本当です。
読者の皆さんは初めてゲームを買ってもらってプレイしたドキドキ感を覚えていますか?
作者は小学二年生の時にDSのポケ〇ンを始めた日のことが忘れられません!
でもこの物語をそんなドキドキ感で読まれると期待外れになりそうなので肩の力を抜いて、適当に読み流すつもりで本編に進みましょう。
~Yamucha presents…… 「ROAD TO 100ACRE」~
「いや、なんかしっくり来ねえな……?」
~Yamucha's guidance…… 「THE WORLD OF 100ACRE」~
「いやいや、これも違うな……。」
~Yamucha Kingdom…… 「THE WORLD IS 100ACRE」~
「おお!!これだな!!!」
ヤムチャはいきなり叫び出した。
「うわっ!!ヤムチャいきなりどうしたの!?」
ボールは驚いて後ろにのけ反った。
「いや、待てよ、それだと、ブツブツ……」
ヤムチャは完全に自分の世界へと入ってしまった。
「ボーッと生きてんじゃないわよ!!!」
ミーシャはそんなヤムチャを見かねて彼の頭上に威嚇射撃をした。
ヤムチャが頭の中で思い浮かべていた「Yamucha Kingdom」の字幕は彼女の放った弾丸により粉々に打ち砕かれた。
「おお!?ミーシャ、どうした急に銃撃なんかしてよ!?」
そしてヤムチャは元の世界に帰ってきた。
「いや、さっきからずっと独り言を言ってたから……どうしたの?」
ボールは心配そうにヤムチャを見た。
「え、あ、いや、ちょっと考え事を、な(さすがにこのツアーのダサいタイトルを考えてたとは言えねえ……。)。」
ヤムチャはミーシャによってボロボロにされた字幕の残骸を頭の中から追い出し、自分の今まで考えていたことを思い返して冷や汗をかいた。
「おいおい、汗がすごいぞ。体調が悪いならまた別の日にでも……。」
よしだくんもそんなヤムチャを見て心配になった。
「い、いや、ちょっと酒を飲みすぎただけだ!ぜ、全然平気だぞ!!そ、そんじゃあ、気を取り直して……ま、まずは、この集会所の面している道だな。この道は環状になっていて、森の外周を一周しているんだ。そんでこの道の内側の土地を4分割するようにまっすぐな道が2本ある。」
道とは言っても、もちろんアスファルトで舗装されてなどなかった。
とはいえ獣道というわけでもなく、1mほどの深さから砂利が敷き詰められており、そこが道だと分かるようにはなっていて他の地面とは区別がついた。
「土じゃなくて砂利なんだよね、……やっぱり歩くと結構痛いな。」
ボールは砂利を踏みしめる度、顔をしかめた。
歩くのと転がるのでは痛さが違うのだろうか、それは彼にしか分からなかっただろう。
「ボールは長い間歩くことが無かったものね。普段歩いてれば別に何とも思わないわよ?まずしばらくは歩くことに慣れるといいわ。」
「みんな普通にこれを我慢できるんだ……すごいなあ。」
そう言うボールは本当に痛そうな顔をしていた。
と、よしだくんがあることに気づいた。
「今まで気がつかなかったが、ボール……お前裸足じゃないか!そりゃ痛いわけだ。」
そう言うと慌ててメンテナンス用のリュックから安全靴を取り出した。
「ほら、これを履くといい。鉄板が足の上に落ちてきても大丈夫だ。」
「やったあ、ありがとう!!」
ボールはすぐさまよしだくんから安全靴を受け取って履いた。
「おお、全然痛くない!!これならいくらでも歩けそうだよ。」
「よしだくん、そんな重そうなリュックわざわざ持って来なくても……。」
ヤムチャはよしだくんがいつも背負っているリュックを見て言った。
「いやいや、そういうわけにはいかない。いつ何時何があるか分からないからな!それにこのリュックの中にはポケベルやパソコンの修理道具だってあるんだ。外出時の防具はまだまだ他にも入ってるぞ!ボール、安全のために着けてみるか?」
「せっかくだしそうしようかな?」
そして……
「おお!!ボール、これならもう何があっても怖くないぞ!!」
「スーハー、スーハー……。」
頭部にはヘルメットとガスマスク、胸には防弾チョッキ、腕にはアームガード、膝にはすね当て、足には安全靴…………。
このとても平和な平和な(?)森を散歩するには明らかに過剰も過剰な装備だった。
そもそもよしだくんもガスマスクなどしておらず、ヘルメットだって電波塔のような高い所に上る時くらいしかしてなかった。
しかし、彼は真夏でも長袖を着ていたからアームガードやすね当ての類は中に仕込んでいたのかもしれない……。
「ぷはぁ!暑苦しいからガスマスクはいいや。喋りにくいしね。」
ボールはガスマスクを外してよしだくんに返した。
「ん?そうか、まあガスマスクくらい無くても多分平気だろ。」
よしだくんはガスマスクをリュックに戻した。
「いや、もともとこんな重装する必要ないわよ……防弾チョッキなんて付けてて意味ある?」
「あのなあ……機関銃持ってるお前が言うか?」
ヤムチャがすかさず鋭いツッコミを入れた。
「わ、私に撃たせなきゃいいでしょ!!みんなが私に撃たせるように仕向けるから……。」
ミーシャの苦しい反論に対して口出ししたいのはみんな同じだったが、そうすると彼女の逆鱗に触れて蜂の巣にされてしまうことを知っていたのでそこは我慢した。
能天気なエリスも頭に機関銃を突きつけられているので、さすがに何も言い出せなかった。
「……と、とりあえずツアー再開だ。この辺りは森の中では南側に位置しているな。そしてここから見て西の方角、すぐそこには森の入り口の門がある。」
「あ、そうそう私は気がついたらあそこに倒れてたのよ。」
エリスは門の方を指差した。
「へえー、こんな場所に倒れてたなんてね。本当にどうやってここまで来たか覚えてないの?」
「……うん、山の中に入ったことはなんとなく覚えてるけど、その後はさっぱりよ。」
エリスはやれやれといった表情であった。
「あいにくだが、普段は森の中だけで生活しているから俺たちにも帰り方は分からねえんだ……ミーシャとの森の外の探索が進めばもしかしたら大きな人里を見つけられるかもしれねえが……当分先になりそうだな。」
ヤムチャは申し訳なさそうに言った。
「もう、気にしなくていいわよ!!別にめちゃくちゃ帰りたいわけでもないし、もしかしたら帰れるかな?ってなったら帰るくらいの気持ちでいるから♪」
エリスは深刻さゼロで手をひらひらと振った。
「なら、当分はエリスにも仕事をしてもらえるわけだな!……じゃあこの道を時計回りに歩いていくぞ。」
ーーー移動中ーーー……now loading……
P.S この時ヤムチャはこのツアーに字幕をつけることを諦めきれず、何故かこのツアーをRPG風にすることを企み始めた。
ヤムチャ、自分でダサいって言ったらダメだろ!
まあ、俺もダサいと思うがな!!(vc:スターク)
よしだくんの持ってたガスマスクって何に対する防御なんでしょうか……?
毒ガス対策?まさかそんなものがこんな平和な森に……駄菓子屋なら売ってるかも。
このツアーをRPGにするってどうなるんでしょうか?
人もいないこの森じゃモブキャラもいないし……。
それに戦闘なんてできないでしょ、経験値とかお金の概念は………?
駄菓子屋で何か買ってもみんなお金を払ってないから、泥棒扱いになって店主と戦闘イベントが発生するかもしれませんね!
不安しかないヤムチャのRPGが次回からスタートするそうです!!
いや本当に不安しかない……読者の皆さんも100エーカーの森に来てこの世界を救ってくれ!!(???)