extra1 隠れ不憫なシンタロー(1-12.5)
お久しぶりですね。
今回からは番外編となりまして本編で何気にカットされてしまったシーンにスポットライトを当てたいと思います。
6章は書けているのかって?
そんなことはどうでもいいじゃないですか!!(逃)
では早速、番外編の一話目は1章で駄菓子屋の18禁コーナーがミーシャとエリスによって破壊されてしまったところから始まります。
「……ちょっと!!弾が無くなっちゃったじゃない!!」
「えー!?もっと撃ちたいんだけど〜!!」
エリスとミーシャは機関銃の弾が切れてもなお銃を取り合っていた。
「お前ら……もう撃たなくてもいいんじゃねえのか……?」
そこへヤムチャが呆れたように口を挟んできた。
そう言われた二人は今まで全く意識を向けてなかった18禁コーナーの店内を見渡していた。
商品棚は崩れ落ち、商品は粉々になってボロボロになっていた。
紙製品(意味深)は無数に穴が空いてやはり原型を留めてなかった。
「あら……エリスの狙いが悪いせいで酷いことになっちゃってるわねー。」
ミーシャはあくまで自分は悪くないぞと言わんばかりに呟いた。
……恐らく本心でもあると思うが。
「てめえら……よくも俺様に銃撃なんz、」
「あれ……?もしかして私、人を撃ったの……!?」
周囲を見渡したことで突然冷静になったエリスはスタークの言葉を遮って、顔を真っ青にしながらそんなことを呟いていた。
「うぇ……商品が穴だらけじゃん……wなんかさあ……俺の体にも風穴が空いてるような気がするんだよな……★」
簀巻きにされたまま何十発と被弾したシンタローは無惨にも破壊された店内を見て息絶え絶えになりながら笑っていた。
「うん、その通りよ。頭に当たらなくて良かったわね。」
「えっ!?!?ど、どうするのよ!?早く手当しないとシンタローが死んじゃうわ!!」
「騒がしいわよエリス、シンタローなんてほっとけばいつの間にか完全復活してるから大丈夫よ。……本当に不死身なんじゃないかしらね。」
パニック状態のエリスを横目にミーシャは慌てることもなくシンタローの体を足先でつついた。
「それよりヤバそうなのは……こっちだろうな。」
ヤムチャは拷問されたキヌタニに近づいた。
「………………。」
彼はまた気を失ってしまったようで白目を剥いたまま反応を示さなくなってしまっていた。
「さすがに手当てしてあげないと死んじゃいそうね、それは困るわ……って、指に釘なんて打ったの!?」
「気絶してるのかしてないのか分からない中で指に釘を打つたびにうめき声をあげてたのが最高に面白かったのよ♪」
エリスはシンタローのことなど既に頭から抜けていて、キヌタニを拷問していた場面を回想し、思い出し笑いをしていた。
「指に釘だと!?おいおい、そんなことをキヌタニ以外にやってたら俺は流石に怒ってたぞ……。」
暖簾の外からは驚いたが決して怒ってはいない呆れたようなよしだくんの声がした。
「まあ、釘とか余計なものは外して、この箸は私が刺したやつね……見なかったことにしましょう。」
後半だけみんなに聞こえないよう小声でミーシャが言いながら、売り物の治療道具を取りに向かった。
15分後……
「これでいいんじゃないかしら?後は布団に寝かせておいてあげましょう。」
キヌタニに巻き付いていたロープは解かれて、釘やら何やらは取り除かれて、体は全身消毒液でびしょ濡れにされていた。
「ここの片付けは……目が覚めたらキヌタニがやるだろ。よし、撤収だ!ボールお前も帰るぞ……ボール?」
先程から一言も喋らずにただ虚空の一点を凝視して棒立ちになっていたボールの肩をヤムチャは揺さぶった。
すると彼の体は微動だにしないまま後ろへひっくり返ってしまったではないか。
「あら……?どうしたのかしらね??」
どうやらショックのあまりそのまま気絶していたらしい。
「おいおい、またひっくり返っちまったのか??……仕方ねえな、またよしだくんの家まで三人で運んでやるとすっか。」
こうしてキヌタニも生活スペースへと運び込まれ、店内にはスタークとシンタローだけが残された。
「……ったく、低レベルな連中だぜ!俺様くらいになると口を挟む気にもならなかったな!!」
「……いや、お前は喋ってもどうせ無視されるから変わらないだろ?ww」
「ああ!?俺を侮辱するような発言をしているとな……!!」
スタークはじたばたと手足の拘束をどうにか解こうとしたが、いつの間にかその拘束が無くなっていることに気がついた。
どうやら機関銃の掃射で拘束具が綺麗に壊れたらしかった。
「ふん!俺様にかかればこんな拘束ぐらいいつでも壊せるんだよな!!さて……さっさと家に帰るとすっか!」
スタークはエリスに脱がされた服を回収して元通り着直した。
「俺も……この簀巻きからやっと抜け出せるぜ……!w止血だけはしないとウケちゃうことになっちゃうな……ww」
血まみれのシンタローも自力で簀巻きから抜け出そうとしていた。
そして服を着終えたスタークの視界にはそんなシンタローと先程までキヌタニを縛っていたロープが入ってきた。
「止血ねえ……丁度いいじゃねえか。」
スタークはロープを持ってシンタローに近づくと必死になって藻掻いているシンタローを簀巻きに固定し始めた!!
「え……何してんの!?wwお前の知能が低すぎて……とうとう俺をキヌタニと見間違えたのか……!?wwwそれはちょっとウケるわ……!ww」
「あ!?誰の知能が低いって!?ロープで縛って止血してやってんだろうがよ!!スターク様に心の底から感謝しやがれ!!」
「確かに止血にはなるか……wwいや、もうちょっと丁寧にやって……?ww」
「うるせえな!!俺様の仕事が雑だって言いてえのか!?スターク様の人生は何時だって懇切丁寧だぞ!!じゃあな!!」
スタークはそれだけ言い残してから、キヌタニの手当に使われた消毒液の残りをシンタローにぶっかけて駄菓子屋から出て行った。
「ぎゃああー!!★……染みるってー!!!wwwやっぱ……傷の消毒って嫌だなー……www」
シンタローはそれから長い事、一人で悲しく笑っていたそうだ……。
約24時間後……
「痛みはだいぶ引いてきたし、このロープからもようやく抜け出せたなww」
シンタローは丸一日間藻掻き続けてどうにか簀巻き状態からの脱出を成功させていた。
「て言うかさあ、誰も俺の様子見に来ないのは流石に薄情すぎない?ww寂しすぎてウケちゃうなwww」
アイス売り場の方からかすかに聞こえてくるヤムチャとボールの声を聞きながら彼はそう呟いていた。
「傷が塞がってないから動くとまだ痛いなwwwとりあえず二人の所にはこの傷だらけのまま突撃してやるかww」
少し意地悪な笑みを浮かべてシンタローはアイス売り場に突撃した!!
「おいお前ら!!ww昨日は良くも見捨ててくれたな〜うらめしや〜!!www」
夜だったらゾンビに見えなくもない状態の彼はアイス売り場を物色していたヤムチャとボールの元へ駆け寄っていった。
「うわああっ……し、シンタローだよね?昨日は随分と撃たれていたけどその割には元気そうだね。」
ボールは一瞬驚きかけていたが、自分たちに突っ込んできたものがシンタローだと分かると冷静になってしまった。
「まあ……あの程度じゃ死なねえだろうよ。それで、もう傷の方はいいのか?」
「(あれ……?今日のヤムチャ優しくない……?w)まあな、もうバッチリだぜ!!(本当はまだ痛いけどなw)」
「そうか……そりゃあ良かったぞ。」
ヤムチャはシンタローの方に手を置いて続けた。
「昨日よしだくんが薪を使いすぎたみたいでな……。もう今夜の料理に使う薪が無くなって困ってたんだぞ。今からちょっと木こりに行ってくれねえか?」
「……え?木こり……?ww」
シンタローは無表情の笑みを浮かべた。
「そうだ!頼んだぞ!!俺はボールに駄菓子屋の中を案内してるからな!」
「駄菓子屋って本当は色んなものが売られてるんだね!!」
そして二人はシンタローに背を向けてしまった。
「……何だよそれwww悲しすぎてウケるんだけどー!!ww」
シンタローは涙と鼻水を流しながら密林へと疾走して行った……。
その日の夕方、彼はいつもの数倍ほども薪を運んできたことがよしだくんを驚かしたことは言うまでもない。
こんな感じで番外編はシリアスな内容を書かない方針で行きたいと思います。
そして次の話がいつ更新されるかは全くの未定です!!
あと何話出てくるかも(安定の)未定です!!
シンタローは実に豊かな表情をしています。
……まあ、いつも笑っているんですが。
一概に笑いと言っても彼は百通り以上の笑い方ができるそうです。
実際に本編でも多様な笑い方をしていたと思います。
そして今回出てきた『無表情の笑い』というのがどういうものか想像していただきたいです。
一見矛盾しているように感じますか?
『無表情』というのが『何もない』という意味で、そこに『笑い』という要素を足すという考え方だと確かにそうかもしれません。
ですがこの考え方はシンタローには当てはまらないのです。
彼の場合は『笑い』の方が表情のベースにあって、そこに『無表情』という要素を足しているのでこの一見矛盾して共存できない二つの要素が混ざっているのですよ!!
シンタローの笑いの話はこれくらいにして……次回は1.5章のエピローグでも書くつもりです。
ではいつになるか分からないですが、またお会いしましょう!!