5-31 閉ざされた森の悲劇 (第一部完結)
ーー前回のあらすじーー
実質的に三度目の世界へやって来たチッダールタは、予知夢や嫌な予感と嘘をついて二度目の世界よりもより良い未来を創り出そうとしていた。
エリスをキヌタニの手から守り、暴走したミーシャを止めてフジモンを救い、ヤムチャの囮としてキヌタニを葬った……。
チッダールタの正体を知ったエリスは、自分が過去へと舞い戻った理由が組織の計画を成功させるためでもなければ、ましてや計画を潰す裏切りのためでもない……彼のことを迎えに来ただけであることを告げた。
そして他の面々もチッダールタの正体について思うところを言っていたのだが、ただ一人……動かない人物がいた。
ヤムチャはこの世に自分が存在してしまっているのかを考えていた。
そして……組織の計画を自らの手で最後に終わらせてやると、ノコギリを手に取った!
今回が第一部の最終話です!
もういつものような前書きは不要でしょう!
読者の皆さんなら何も言わずとも読む前にどうするべきなのかは分かっているはずなので!!
結末を見届ける覚悟は出来ましたでしょうか?
さあ、100エーカーの森の物語はどのような悲劇で幕を閉じるのか……??
「てめえらの馬鹿げた計画はこれで終わりだ!!」
彼のノコギリを持った手が素早く動いた……!
その刃は彼の首を切り裂いて、ノコギリは手からすっぽ抜けた!
彼の身体は噴き出す血であっという間に染まってうつ伏せに灰の海へと倒れ込み、首は身体のそばへと音もなく落ちた……。
これが……彼の選んだ終わり方……。
この場にいた全員が彼を見つめていた。
そして驚いたような、信じられないようなそんな表情になっていた。
ノコギリを構えた時からヤムチャはきっとこうするのだろうと思っていた。
そんな彼の意識が無くなる前に、これだけは伝えてやりたい。
「ヤムチャ……お前の決断、しかと見させてもらったよ。これで最強戦士を生み出すことは出来なくなった。この計画にトドメを刺したのは間違いなくお前の意志だ。」
他の誰でもないお前自身の手で終わらせることが出来た、意識が無くなる前に言ってあげたかった。
その言葉を聞くと彼は満足そうに目を閉じた……。
「メインターゲットの死亡を確認……各自速やかに持ち場から撤退せよ。結局、最強戦士だって首を斬られちゃお終いか……。」
コルクの冷たい声が木々の燃える轟音に交じって響く……。
「ここまで散々手こずらせてくれたのに結局最後は自分で首を飛ばすなんて……。さっきから情報量が多すぎるよ、本当に。」
そしてそのまま仰向けに灰の積もった地面へ倒れ込んだ。
「あーあ、もーやめた。私の知らないところでこれほどに壮大な物語が繰り広げられていたなんて、除け者にされた気分だよ。」
「そうは言うが、私はずっとお前の計画に翻弄され続けてきた。お前は自分の知らないところでもずっとその物語に関与し続けていたんだぞ?」
「そう言われたら悪い気はしないけどね。……ねえ、残された君たちはこれからどうしたい?」
突然、彼女は首だけを起こして森の住人たちの方を見た。
「この森は灰に変わり、君たちが帰りたかった本当の故郷も焦土と化した。そして頼れるリーダーも自ら命を絶った……。こんな絶望の状況だからこそ気が変わったの、君たちをここで殺すことはとても簡単だけど、それじゃあ何だかつまらないし。……もし仇討ちで組織を潰すと言うならこっちも全力で対応するけどね。」
『どうせお前たちには何も出来ないんだよ?哀れなモルモットたちめ!』……そう言いたげな表情を浮かべてコルクはそう言ってきた。
全てを失った人間にこれからどうしたいかを無神経に問う……彼女にとっては最高に好きなシチュエーションなのだろう。
「コルク……お前は何かを勘違いしているようだな。俺たちにはもう何も無い、だから最後までお前たちに抵抗して散っていく……それくらいしか残された選択肢もないと思ってそんなことを言っているんだろうよ。」
ミーシャを地面に降ろすとシンタローはコルクに詰め寄った。
「チッダールタの見てきた二つの世界で、俺たちは一度目は事故で、二度目はお前たちの圧倒的な武力に屈して死んでしまった……。そして今回はどうだ?この森は見るも無惨でヤムチャも……だが!俺はまだ生きている!!だとしたら、今度はこの命をみすみす手放すものか!」
シンタロー……!
お前はまだ希望を捨ててないのか?
「俺は博士から『幸せになるように』という課題を与えられた。きっとそれはとても難しいものだろう。でも彼は……今まで達成不可能な課題を俺に要求するようなことはなかった。だとしたらこんなどん底からでも這い上がる手立てがあるはずだ。俺は博士と仲間を信じる!」
よしだくんはシンタローの肩に手を置いた。
きっと彼は組織の一員ではなく、ここで森の住人として生きていくのだろう。
「俺は……出来ることならみんなを親元へ帰してあげたかった。だが襲撃があってキヌタニが死に、それが不可能になってしまった。それでも……駄菓子屋が無くなろうがきっとみんななら幸せに暮らすだろうとそう信じてきたし、今もそれは変わらない。だからどうか……絶望に負けないでくれ。」
プロトンは泣きそうになりながら彼らのことを見つめている。
「以前の私なら……もうこのまま自分の人生も終わりでいいかなって、自ら命を絶っていたでしょうね。でも今は……もっとみんなと生きていたいって素直に思えるわ。あんまり私たちを見くびらないで欲しいわね!」
ミーシャはざまあみろというようにコルクの顔を睨みつけている。
「みんなもそうだと思うけど俺は親と引き離されてなかったら、全然違う人生を送っていたと思う。もちろんこうなって悪い事の方が多かったけど、そうじゃなかったらジョージと出会うことは無かっただろうし、子供だけで暮らしていくっていうこともあり得なかった、それは間違いないよね?そんな運命も俺は悪くないって……ふとした時に思うんだ。」
くじらんはその場に立ったまま真っ赤な空を見上げていた。
「今のこの状況は組織の身勝手な目的で作り出されたこともある。だけど、君たちがその計画とやらに抗った結果でもあるんだ。別にそれが悪いだなんて言うつもりは全く無いし、とても立派なことさ。でも僕は思うんだ、君たちが親元から引き離されたその日から必死にここで生きてきて……絶望の底から這い上がろうとする今まで続いてきた日々は、その時からとっくに始まっていたんじゃないのかなって。だから、今まで様々なことを乗り越えてきた君たちならきっと今回もやり遂げられるって僕は信じてるよ。」
フジモンのこの発言は忖度も何も無いだろう。
そして私も素直に同意できる。
「コルク、これは選択権を彼らに与えたあなたの負けよ……。組織に抗うこと無く、ここで生き続けることを選んだ。それを否定する権利は私たちにない……そうよね?」
エリスにそう言われたコルクは不機嫌になってまた戦車の大群を呼び戻したりしないだろうか……?
「……分かってるよ。ミーシャが昏睡してキヌタニが死んだことであれほど絶望していた君たちからまさかそんな前向きな考えが出てくるとは思わなかったけどさ。でも……私だって君たちの立場ならきっと、いや間違いなくそう言うと思う。」
彼らの立場なら……か。
もしかしたら彼女は自分たちの仲間になることすら、前向きに捉えろと……そう思って欲しかったのかもな。
「そんでもってさ、この計画が潰れたことで私は今後とても暇になっちゃうんだよねー。それに君たちがこんな状況からどうやって這い上がるのか見てみたい気もする。だからさ、助っ人を貸そうかなって思って。……エリス、お前はここに残って彼らを手伝いなさい!悪いけど、こんなことをしでかした君をそう簡単に外の世界へ放り出すような真似はしたくないからね!」
「えっ……そんな……!」
「まあ、嫌なら断っても良いんだよ?」
「いや……それが彼らを生かしておく条件なんでしょ?あなたの気が変わりやすいことは嫌と言うほど知ってるわ。」
「よく分かってるじゃない、事態を悪化させたくなければ私の気を変えないことだね。」
エリスはスタークとこの森から脱出するはずだった。
その夢が潰えて……すごく辛いだろう。
「俺も……彼らの助っ人をするとしよう。」
「君はダメに決まってるでしょ?これほど巧みに暗躍して私たちを散々かき回した君をここへ残しておくなんて到底出来ないね!」
助っ人を申し出たプロトンはコルクに止められてしまった。
「君をアフリカにいる遠征部隊の大隊長に任命する。なかなか自体も好転してないし、そろそろメンバーの入れ替えをしようと思っていた頃だからね。」
「あ、アフリカだと……!?」
「どうする?断るの??」
「……この流れで断れるわけがないだろ。俺にも帰る場所がないわけだし、事が丸く収まるなら大人しく任命されるとしよう。」
「もし君が配属されてからこれ以上自体が悪化するようなら……責任は取ってもらう。でも、上手く状況を打開して任務が終わるような時が来たら……基地へ帰って来なさい。必ず帰投命令を出すからね。だから……君は死なないでよ。」
今まで犠牲になった仲間を想うかのように、コルクは最後だけ切なそうに告げた。
本当に……お前は死ぬんじゃないぞ。
「それじゃあこれで決まりかな?部外者をこの森から脱出させる作戦のことはエリスから聞いてるよ。……ここから先、彼らが紡いでいく物語に他所者はお呼びじゃない。だからさっさと退場してもらわないとね。……大きめのヘリを一台持ってきて!」
コルクは無線でどこかへ呼びかけた。
一時は脱出など諦めかけていたが、これで本当に……お別れなのだな。
「タッキー、お前は私たちと一緒に来るか?」
『私の主はここで眠りにつきました。ならば私もこの場所で眠りにつくとします。数年もすれば私も寿命でしょう。それまではこの森の行く末を見守るつもりです。』
「ならば私の分まで彼らを見守ってくれ……お前も長生きしろよ。」
さて……そろそろ頃合いだ。
「随分と早くその時がやって来てしまったが、決断の時だぞ。」
私はスタークに近づいた。
「お前と一緒に生きていたいと願ったエリスはここに残ることになるが、コルクは部外者をこの森から追い出したいようだ。ならば、大人しく出ていくのが賢明だと思うがお前はどうする?」
そう話しかけると彼は気だるそうにこちらを向いた。
「知らねえな!さっきからずっとてめえらが話してる内容が俺様にはさっぱり理解出来ねえ!それにしたって森の荒らされっぷりも随分と酷え有り様だな!」
荒らされるとかそのレベルではないと思うのだがな……。
「お前自身のことだぞ。ここに残ればお前は邪魔者としてコルクに処分されるかもしれないが、それでも良いのか?」
「いや、彼は面白そうだからここに残してもいいかなと思ってるよ?どうするかは君たちの自由にしていいから。」
コルクはここで少し期待しているかのようにスタークの方を見た。
「何でてめえの許可が必要なんだ!!こうなったらここで好き放題やってやるぜ!!」
つまり、この森に残るということなのだろうか?
それは……もしかしたら私と同じ末路を辿ることかもしれないのに。
どうして彼が頑なにここまで他人の意見を聞き入れないのかが少し分かった気がする。
もちろん、彼は私自身に他ならない。
だが、ボールが空へ飛んでいき、生還したあの日から彼と私は全く違う未来を歩んできた。
毎日のようにフジモンからしつこく話しかけられてきた私よりも、この森に来てから彼の方が孤独を感じる時間はずっと長かったのだろう。
長いこと廃寺で一人きりの生活をしてその後は洞窟に幽閉され、客観的に見ても扱いは散々なものだったはずだ。
その結果、私より強くスタークは心を閉ざしているのかもしれない。
だとしたらこの森に残っても彼の未来は明るくないだろうな……。
遠くからヘリが近づいてくる音がする。
この音を聞いたのは実に何十年ぶりだろうか……?
「……ふざけるな。いい加減にしろよ!!」
突然、プロトンが怒鳴ってスタークに近づき、彼の腹を蹴飛ばした!!
「ぐはっ!?……て、てめえ!?」
「俺はアフリカに、彼らはここにしか居られないんだ!!その反面お前はどうだ!?この森から出れば自由にどこへでも行けるんだぞ!!……そこまでここに残りたいなら誰かと代わってやれよ!!」
彼はスタークの胸ぐらを力一杯掴んだ!!
プロトンの立場を思えば怒って当然だろう。
むしろもっと言って彼を説得して欲しいくらいだ。
ヘリはゆっくりと地上へ降下してくる。
「ごちゃごちゃとうるせえんだよ!!俺様の人生に口出しするなんてとんだ罰当たり野郎だ!!」
「……ここまで言ってもお前の心には響かないのか。」
プロトンは諦めたかのように彼から手を離した。
ヘリは止まり、ドアが開いた。
「みんな……今までお世話になったね。きっと外の世界でこの森の話は出来ないだろうけど、僕の中ではずっとここでの記憶は残り続ける。もし君たちにとって僕との出会いが有益なものだと思ってくれるなら……僕のことを忘れないでくれると嬉しいな。」
寂しそうな様子は見せないまま、フジモンは彼らに一礼してヘリへと乗り込んだ。
「よし……お前も乗るんだ!!」
そしてプロトンは力任せにスタークをヘリの中へと投げ込んだ!!
「痛えっ!今度は何をしやがる!!」
「きっとお前の心を治せるのは世界でもそのフジモンっていう名医だけだろう。いつかお前はこの森に残ったことを後悔する日が来る。俺だって誰にも後悔はして欲しくないんだ。……そうだろ?」
プロトンは最後の方だけ私の方を見てそう言った。
「みんな……俺はこれを今生の別れにするつもりはない。これからアフリカで厳しい戦闘に赴くことになるが、必ず生き残ってまたいつか……何十年かかろうともここへ戻って来る!今からはその時を楽しみに生きていくよ。じゃあ……遠い未来でまた会おう!!」
そして彼もヘリへと乗り込んだ。
後は私だけだな……。
「お前たち……そうだな、正直に言うと伝えたいことはもう散々今まで言ってきたつもりだ。だから最後まで年寄り臭いことを言うつもりはない。だが、これは言わせてくれ。何十年もの時を超えて私はお前たちに会いに来た。もしかしたらまた拒絶されはしないだろうか……本当はとても心配だった。だが、今度こそ私はお前たちの仲間として受け入れてもらえた気がするよ。大切な仲間……これよりも未来で出会った鹿たちもヤムチャの甥もそうだ。でも何より、私をこの森に受け入れてくれたお前たちの仲間でいられたこと。私は絶対に忘れない、どれだけ老いて呆けたとしてもこの記憶だけは絶対にな……。今まで本当にありがとう、かけがえのない仲間たちよ。これから歩むのは別々の道だ、お互いの幸せを祈って前へと進むとしよう。」
もしかしたら後から、これも言っておけば良かったと思うこともあるかもしれない。
だが、それもきっと伝わっているはずだ。
何せ私たちは仲間なのだからな……。
プロトンの手を借りて私もヘリへと乗り込んだ。
「フジモンが言っていたようにこの森の話は外では厳禁よ。でもそれ以外はどこへ行こうと自由だから……せいぜい未知の世界で足掻くと良いよ。」
そんな事を言うコルクは母親のような顔をしている。
「さあ、出発してくれ。みんなの顔をこの目に焼き付けなきゃな……。」
ヘリのプロペラが再び回り出して宙に浮いた!
プロトンはみんなの顔を順繰りに見渡し続けている。
スタークのことを名残惜しそうに見つめているエリス。
泣きながら大きく手を振っているくじらん。
落ち着いた目でこの現実を受け入れる覚悟の出来たミーシャ。
泣くまいと必死に涙を堪えているよしだくん。
『達者でな』と言いたげな顔をして黙ったまま私たちを見送るシンタロー。
木々を燃やす炎と地平線に沈みかかっている太陽が彼らの姿を真っ赤に染め上げている。
地上にいるみんなの姿がみるみるうちに小さくなりどんどん遠ざかっていく……。
彼らとはもう二度と会うことはないだろう。
そしてこの出来事が外の世界に語り継がれることもまた、決してないはずだ。
閉ざされた100エーカーの森で起きた何十年にも渡る悲劇……。
私は思い続ける。
悲劇の渦から必死に抜け出そうとする彼らの幸せを。
「あっという間に見えなくなってしまったね……。このヘリは一体どこへ向かっているんだい?」
「まずは最寄りの基地にお前たちを連れていくつもりだ。そこでもう一度、計画についての口止めや今後の注意点が説明されるだろうな。それさえ済んでしまえば後は世界のどこへでも行きたい場所へ送り届けてやるさ。」
「どこへでも?僕はモンゴル以外なら構わないけど、チッダールタはこれからどこか住んでみたい国とかあるのかい?」
「……フジモン、私はお前と違って何ヵ国語も話せないぞ。大人しくドイツに帰りたいんだがな。」
「そうか、言葉の壁があるのを忘れていたよ。僕はドイツに行ったことがないんだ、だからちょっと楽しみだね。」
やはり彼は私たちについてきてくれるようだな。
これほど心強いことが……ん?
……………!?
「チッダールタ……?ねえ、どうしたんだい!?」
胸が……苦しい……!?
「うっ……はあっ……!心臓がっ……!!」
「心筋梗塞か!?こんな空の上で……!!手術しようにも輸血だって期待出来ない!!」
「そんな……どうにもならないのか!?」
……遂に……私も……ここまでか。
「フジモン……いい。もう……十分だ。私は……襲撃の時……力を、使いすぎて……身体に、負担をかけすぎた……。」
「そんな……一緒にドイツへ行こう!せっかく故郷の国へ帰れてこれからだっていうのに……!!」
「もう……私は満足だ。最後に……スタークの、側に……。」
「スタークだな……?」
プロトンがスタークをこちらまで引っ張ってきてくれた。
「ったく、遂に死にやがるのか……?勝手にしろよ。」
これは……私が放つ最後の神通力だ……。
「スターク……今から、お前に……私の全てを託す。」
彼の額に指を当てて、出せるだけの全力で私の記憶をスタークに送り込む!!
83年間の喜怒哀楽全てを……。
出会った全ての人や動物たちとの思い出……。
長い孤独との戦いで積み上げられた虚無さえも……。
昔の私と同じお前ならばいつかこの記憶を役立ててくれる日が来るだろう。
……………。
全て、伝えきった。
もう、力を出し切って目を開ける気力もない。
フジモンとプロトンの叫び声が聞こえてくる……。
後はこの心臓が止まるまで、私に出来ることは思い出に浸ることだけだな……。
エリスが森に来た日の憧憬を思い出した……。
本当に……懐かしいな。
それからも順番に思い出を辿っていった。
そして……。
『てめえはどこの誰なんだ?』
ふと、ヤムチャのそんな声が聞こえてきた気がした。
今なら……胸を張ってこう言える。
「俺の名前はスターク……100エーカーの森に住んでいるお前たちにとってかけがえのない仲間だ。」
第5章 終わらぬ悲劇の中で
END
これにて100エーカーの森の悲劇、第一部は完結とさせて頂きます!
100エーカーの森で巻き起こる救いのない物語はいかがだったでしょうか?
この小説の1-1話の冒頭部分を覚えていらっしゃいますか?
あれはスタークに記憶を引き継いだチッダールタの台詞だったのです。
しかし……この小説のうち、チッダールタの回想はどこまでだったのか……?
最後までだったら、彼はスタークに記憶を引き継いでからしばらくは生きていたのでしょうね。
作者にもその辺りの真相は分かりません……。
何はともあれ、ここまで書き切れて作者は満足しています。(小説自体は完結はしてないぞ!)
……そして読者の皆さんがここまで読み切って不満になってないことを祈るばかりです!!
どうかこの小説を読んだ時間を返せと訴えることは止めてください、そんなことを言われても不可能なものは不可能なので……おそらくは。
家に来て家事をしろと言うのであれば、それで時間を返すことは出来るかもしれませんが……最近は適当に筑前煮の材料でカレーを作った人間なので料理はさせない方がいいかと思います。
最終話の後書きで私はどうしてこんな下らん話をしているのでしょう……。
それもこの作者らしくていいのかもしれませんが。
最後の最後まで脱線しまくったわけですが、締めくらいは王道に戻させてください。
ここまで読んで下さった皆さん、本当にありがとうございました!!
今回を持ちまして一旦はお別れです……!
いつか書くであろう第二部もよろしくお願いします!!(いつになることやら……。)
※ここからは完全なおまけです、興味のある方だけ読んで頂ければ……。
ノンフィクションと言えどある程度脚色は必要です。
なので事実をそのまま描いているわけではありませんでした。
その一つがプロトンの運命です、彼は終盤で森が灰になる前に基地でコルクに殺処分(言い方よ)されてしまいました。
そして彼の生首だけが戦車から投げ落とされたという……(; ・`д・´)エッ?
なので本来ならラストシーンに彼は存在しないはずでした。
それから……エリスはもっと変態です、1-7話ではエリスが服を着ていることに疑問を持ったキヌタニがビンタされていましたが……本来なら彼女は1章ではほとんどまともに服など着ていません!
もちろんそんなの描くわけにはいかないのでもうちょっとマイルド(?)に描写をしてみました。
ちなみに森の住人たちは……それほど……と言うか……ほぼ脚色なしです!
手を加えるまでもありませんでした、はい。
それから、4章で登場した『野生人のおじさん』……本当は名前があったのですが、とうとう作中では出せず閉まいでした。
途中からもういいやとなってそこは諦めました、ちなみに彼は襲撃の時にあっけなく死んでます。
なので本来ならモブキャラと言っても過言ではなったのです。
それ以外にも没にしたシーンがあります。
2章ではフジモンの本体(?)が空から降ってくる前に脱出ポッドを強酸でよしだくんがこじ開けようとして失敗し、その後にはミーシャが機関銃でごり押しするのですが……それだけで一話とりそうだったので止めました!!
3章では鍋にヤムチャを沈めた後に、闇鍋を作りくじらんやシンタローも鍋の中へ飛び込んでそれはもう滅茶苦茶になるのですが、あまりに展開が酷過ぎて書けませんでした……。
(酷い展開の話なんて腐るほど書いてるだろって?そんなの2-21話だけで十分です!!)
この小説の中には描写がありませんでしたが4章で全裸にされたキヌタニは、シンタローが作った暖炉の前でほぼ一日中凍えていました……。
駄菓子屋から出られないとは言っても、仕事が出来ないと困るから彼を縛る鎖は随分と長いものになっていたようです。
まあこんなところでしょうか……。
えっ、じゃあ2章でスタークは本当にバラバラになってしまったのかって??
それは……ご想像にお任せします!
まだまだ疑問は尽きないかもしれませんが今回はここらへんで切り上げます。
またいつ投稿されるかも分からない第二部でお会いしましょう!!
それまでこの小説を読んだ記憶は忘れておいてね!!