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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第5章 終わらぬ悲劇の中で
143/162

5-29 100エーカーの森の真実

ーー前回のあらすじーー


 地上に出て来た森の住人たちを待ち受けていたのは戦車部隊を率いるコルクだった。

彼女はもしかしたら森の中にまだ彼らが潜んでるかもしれないと思いながら、しぶとく待っていたのだ!!


 後続の戦車からは三人の人物が姿を現した。

一人はプロトン、彼はヤムチャの生存を組織に隠していることがバレて捕まってしまっていた……。


 二人目と三人目はどちらもエリスで……片方は組織の基地にずっといたと言うエリス、もう一人はこの前までヤムチャたちと一緒に過ごし、別の世界からやって来たと言うエリスだった。


 別の世界のエリスは自分が見た光景を話すと、それは未来から言っていたキヌタニが言っていたことと矛盾すると指摘され、他の面々もエリスのことを嘘つきなのかと疑っていた。


 だが、チッダールタには思い当たる節があったようで彼女は真実を話していると主張した。

その声もコルクの前では力なくかき消され、話題をすり替えられてしまうのであった。


 その話題とはテレビに映っている100エーカーの森の風景だった!!

森の住人たちはその風景を見て酷く動揺した!

しかもこれはリアルタイムの映像だという……。


 どういうことなのか説明しろと言われたプロトンは全てを話してしまった……。

彼らがいる場所は100エーカーの森でも何でもないということ。

六年前の失踪事件で本当にいなくなったのは彼らの方だったと言うこと。


 さらにコルクからは組織によって森の住人たちは『飼われている』などというとんでもない発言が飛び出した。

だがその真意は駄菓子屋の売り物を組織が提供していたという意味であり、森の住人たちに反論の余地はなかった。


 そして、そんな慈善事業とも思えるその行動の目的とは一体何なのか……。

気になる方は本編へ、そうでない方は一話から読み直してください(17時間ほどかかるそうです)。

ーーーーーーーーーー


そもそもの前提として、ヴェルト・マスリニアの発端は昔から続く傭兵組織よ。


そして、第一次世界大戦にも微力ながらドイツ軍に加わって参加していた。


 私の祖父は戦争末期、惨めにもフランスから後退していく自軍を見て負け戦を確信しながらこう思ったそうよ。




『強大な力を持つ歩兵が一人でもいて戦場をかき回すことが出来たなら、もっとこちらも持ちこたえることが出来たんじゃないのか?』



ってね。




戦車が存在していたしていたとは言え、今と比べれば性能も劣っていたし歩兵の質が戦争の結果に直結していた時代だからこそ余計にそう思ったのかもね。


そこで組織の幹部だった祖父はある計画を思いついた。




『最強の歩兵を自分たちで誕生させよう』




戦況を一人でひっくり返してしまうような、そんな歩兵を作ろうと彼は計画した。



 そのためには選りすぐりの優秀な仲間たちの遺伝子を重ね掛けしていけば、いつか最強の人間が生まれるだろうと考えたの。



そんな思い付きで……ドイツ軍とともに撤退する過程で逃げ遅れた非戦闘員の人々を拉致した。



 そしてもともと組織で持っていたアマゾンの奥地にある土地を切り開いて、組織の仲間と一緒に住まわせた……。





これが100エーカーの森の始まりだったの。


そして今話した通り、ここはアマゾンの奥地よ。


決してヨーロッパなんかじゃない。


アマゾンでもなきゃこれほどに隔絶された集落を作るのは困難だったからね。




 そして時代は流れ、途中から追加の仲間を住まわせることもして優秀な遺伝子はどんどん濃縮されていった……。



そしてその結果がヤムチャ、君なの!!



 私だって少なからず君たちと同じ優秀な血を引いてるけど、身体能力も自己治癒力も君ほどには持ち合わせていない……。


可能ならば私が君と変わりたいくらいだよ!!


そして世界を自分の物に……!!




きっとこの子は世界を変えてくれる!そう思ってみんな君に目をつけていたわ。


すぐに組織へ招待しても良かった。


でもまだ子供だった君を親元から引き剥がすことも、きっと両親が反対するだろうと思った。



 君の母親は組織の関係者、計画のことを知っていても自分の息子をそう簡単に手放すとは考えられなかったから。



 だからまずは計画のことを何も知らない子どもと、それから君たちの生活を支えるキヌタニだけをここへ家族にも黙って隔離した。



だから君たちは神隠しに遭ったものだと昔から思われているんじゃない?





そしてまた月日は流れ、とうとう最強に相応しい身体能力を持った姿へとヤムチャは成長した。


そしてこの計画については何も知らせずに組織の仲間として招待するはず……だったの。





未来から来たキヌタニが教えてくれた。



君は私たちに捕まったものの、仲間になることを断固拒否した。


そして他の君たちも頑なに抵抗したの。


どうあがいても君たちは仲間にならなかった。


結果として私はここを処分したそうよ。



でももっと良い結末もあったんじゃないかって、未来の私はキヌタニに伝言を託したのね。



 そして私はヤムチャだけを始末して……あわよくば他のみんなは家族のもとに帰してもいいかなとも思ったわ。


今回の襲撃で他のみんなも十分優秀な遺伝子を持っていることが分かったからね。



そんな遺伝子を失うのは残念だけど、この計画を知ってしまった以上は消えてもらうしかないね!


ーーーーーーーーーー




「つまり……100エーカーの森はお前たちの『遺伝子実験場』、そして俺たちはそこで飼われている被検体だったってわけか。」



シンタローは心が虚無になってしまったようだ。



「みんなが私を騙したことに心底腹が立った……。それだけの理由だけど全員殺すことにしたの。計画のことを教えてあげたのはただの気まぐれだからね?」




「脱出ポッドから発信されていた救難信号は位置情報がアマゾンのど真ん中になっていた……あれは故障でも何でもなかったんだね。」



フジモンはずっと気がかりに思っていた疑問が解けて納得がいったようだ。




「俺はこの森に来た日、とんでもない勘違いをしていた……。どうしてケンタウルス座があれほどまでにはっきりと見えるのか、俺は都会よりも田舎の方が余計な照明がなくて見えやすいのだろうと思っていた。でもそうじゃない、あれは緯度の問題だったんだ……!!」



よしだくんは自分の過去の思い込みにかなりショックを受けている。


しかし、彼はまだ発言を続けた。




「でもまだ納得いかないことがある!ここがアマゾンの熱帯雨林だとしたらどうして雪が降るんだ!?そもそもこんな寒い気候になるなんてありえない!」



 そう言われてみれば……ここがアマゾンの奥地だとは知っていたが、四季があることを当たり前のように私も思っていたな。




「ここは私たちが持っている土地、そう言ったはずよ。そこで人工的に雨を降らせようが、地上に降り注ぐ日光の量を減らして寒くしようが外部の人間から文句を言われる筋合いはないってこと。」


「そんなことまでしていたのか……!?」



よしだくんはそれ以上言葉も出て来ないようだった。




「だとしても!ここがどこだが分からないとして、無理やり知らない場所へ連れて来られた事実がこの時代まで伝わってないのはおかしいんじゃないのか?誰かしらが後世に伝えているだろ!」



シンタローはまだ信じたくないんだろう。


自分という人間の運命と生い立ちをな。




「それは定期的に当時の住人が暗示をかけられていたからだと思う。私も当時を知らないけど、その事実はなるべく早くに根絶させなきゃならなかっただろうから……。でも、組織の中では周知の事実よ。」


「俺は父親が組織の人間で母親はそうじゃない。だから俺はこのことを知っているが、母親は全くもって知らないんだ。それだけ厳密に秘密は組織の中だけで守られている。」



プロトンはどこか後ろめたそうに呟いた。





「みんなはもちろん分かってなかっただろうけど、森の住人のうち四割くらいは組織に関係している人間だったの。普通の住人を装って実は森を管理していた……彼らは人生を賭けてこの計画を進めていたの。それが……どうしてか反抗的な自分のモルモットに喉を噛まれるような結果になるなんて!!私は今すごく、君たちに怒っているわ。」



「あんたらの計画なんて知ったことじゃないし、自分勝手に怒っていることくらいこの森の状態を見れば分かるわ!!」



「ふーん?君は私が本気で怒っていることを全然分かってないよ。それを分からせてやるために……よくこのモニターを見ておきな!!」



コルクは一段と口調を強くした!



「作戦決行!!空爆開始!!」



コルクがそう叫んだが、何も起こらない……。




「えっ……!?」



モニターを凝視していたくじらんが映像の異変に気がついた。


突然、住人たちが逃げ惑い始めたんだ!



その次の瞬間、モニターの映像は真っ白な光が映し出された!!


数秒後……画面に映っていたのはここと同じ風景だった。




「ちょっと手荒だけど、小型の原子爆弾を落としてやったの!森にいた人間たちは一瞬にして蒸発しちゃっただろうねえ!!」



コルクはざまあみろというばかりに大声で叫んだ。



……そんなものまで組織は保有していたのか!?


そしてそんな恐ろしいものを軽々しく使うなんて!!




「お前は……何をしているのか分かってるのか!!あちら側の森の住人は関係ないだろ!!」



最初に怒鳴り散らしたのはプロトンだった。



「お母さんが心配なんだね。安心して、組織の家族は前もって避難させておいたから。」


「それで済む話か!!」



プロトンはまだコルクを睨みつける!




「……六年前、俺たちは何も失ってなかったんだな。ただ家族と離れ離れになっただけでよ。この瞬間、本当に全てを失ったのか……。家族も明るい人生も……そして、全部……俺が……俺の存在が原因、だったのかよ。」



ヤムチャは膝から崩れ落ち、灰まみれの地面を見つめてそう呟いた。



「そうそう!!それだよ!!その表情にさせたかった!!心の底から絶望させて、感情を真っ黒に塗り潰す!めちゃくちゃ良い反応をしてくれるね!!あはは……ははははは!!!」



コルクは突然大きな声で笑い出した。


そんなに彼らを絶望させたいのか……!?




いや、疑問に思うまでもないな……彼女はそういう人間なんだろう。



「はは……あー、もう最高!……さてと、余興も済んだし君たちはもう用済みだよ。用のない実験動物は漫然と生かすんじゃなく、速やかに殺さないとね。」



戦車の主砲が私たちに向けられた!




……多少なら神通力でどうにか出来るだろうがそれも一時しのぎだろう。


私も彼らも、結局ここまでなのか……。





『チッダールタ!遅れてごめんなさい!僕にもう一度話させてください!!』



この声は……!!


気配を感じて振り返るとタッキーがこちらに近づいてきた。




「何よ……この馬?綺麗かもしれないけど、私にとってはすごく目障りだね……!」


『お願いします!僕が話しかければ敵の隙も突けるでしょう!』




もうそれに賭けるしかないだろうな……。



「(行くぞ!はぁーっ!!)」



私はタッキーの身体にエネルギーを送り込んだ!




『みなさん、聞こえますか!?僕はあなた方の目の前にいる白い馬です!』



タッキーの声が頭の中に響いてくる。



「な、なに……これ!?」



コルクは得体の知れない現象に怯えている。




『僕はどうしても命が果てる前に知りたいことがあるのです。』



タッキーはボロボロのエリスに近づいた。



戦車を三台か……やれるとは思うが。


私は精神を集中させる。




『なぜ僕の主を殺したのですか?あの日からずっとその理由が知りたいのですよ……!』



エリスがくーちゃんを……!?


いや、今は集中しよう!!




「タッキー……それは本当なの!?」


『くじらん、確かに僕はこの目で見たのです。血まみれになって倒れていたくーちゃんのそばにいたエリスを……!』



もう少し……もう少しだ!!


エネルギーを手に込めろ!




「そう、だよね……タッキーには……見られてたんだよね。」



「エリス……が?本当にてめえがくーちゃんを……!?」




今なら……行ける!




「行くぞ、はぁぁーーっ!!!!」



三台の戦車が空高く同時に持ち上がる!




「えええっ……!?あっ、あーっ!!」



制服を着たエリスが戦車の上から振り落とされた!




よし、いい感じに空中で傾いたな!!


神通力を切るぞ!



「はーっ……ふんっ!!」



私が手に込めたエネルギーを緩めると戦車が自由落下してきた!




「ぐっ……何が……っ!……ぎゃ!!」



逆さまになった戦車がエリスを下敷きにした!


そして短い悲鳴と、千切れ飛んだ右手を残して彼女の姿が消えた……。



他の二台の戦車も地面に叩きつけられて横転し、少なからず破損したようだ。


近くに居た隊員たちも下敷きになったり高いところから転落して息絶え絶えだ。





「えっ……どういう……こと……?」



コルクはその光景を見て唖然としていた。


やれやれ、賭けに成功したようだな……!




『答えてください!!エリス!!』



「分かった……。全て話すわ。」



 エリスは自分のすぐ横で戦車が落ちてきたことも気にせず、くーちゃんの殺害した時の状況を静かに語りだした。




ーーーーーーーーーー


 あの日、私は目が覚めたらここへ来る前にかけられていたとある暗示が解けて、組織の人間であるという記憶が戻ってしまった。


 そして、これまで通りの『エリス』が演じられないと思った私は、最低限の物を持ち出して森の外で隠れることにしたの。



でもどういうわけか……くーちゃんが私のもとにやって来てしまった。




『エリスおばさん……?こんなとこで何してるの?』



私は怖くなった。



もう実は今まで通りの私じゃないってバレてるんじゃないかと、反射的にそう思った。


そして私は野生動物を撃退する用のショットガンを手に取って……彼女を撃った。




『え……おば……さん……?』



彼女はふっ飛ばされて、口から血を流しながら唖然としていた。


 まだ生きてはいたけど、パニックになった私はくーちゃんのことを生き埋めにしようとすぐに大きめの穴を掘ったわ。



そんな時だった、タッキーが追いかけて来たのは。



タッキーはしばらくその場に立ち尽くしていた。


でも、我に返ったかのように彼女の身体を咥えると森の方へ引き返そうとした。




逃がすわけには行かなかった……。


そう思って私はとっさにタッキーのことも撃ったわ。



でも仕留めきれずに逃げられた……。


だから私はみんなの前から姿を消して、何も事情を知らないプロトンに匿ってもらっていたの。


ーーーーーーーーーー




「そんな……本当にお前があんなことを……。」



シンタローからは怒りではなく、驚きと絶望しか伝わってこない。



「どれだけ謝っても許されない……。それは分かっている……。」



エリスは涙を流しながら言って、頭を灰まみれの地面に埋めた。




「パニックになっていてとっさに……。それは分かった、だがお前は……とても人殺しなんてしてないかのように、俺に助けを求めてきた。そして、スタークと駆け落ちの計画まで……!」



プロトンは怒りを滲ませた。


そしてエリスに近づいた。



「お前……気は確かか?正直に言うと、お前の行動が信じられない!」


「ぐっ!!……ううっ。」



彼はエリスの頭を力一杯踏みつけた!




『止めてください!!確かに彼女は僕の主を手に掛けた。だけどそれも、そもそもこの時代に流れ着いたことだって彼女と僕の運命だと思っています。だから……みんなもどうかこの事実を受け入れてくれませんか?』



それを聞いてプロトンの足に込める力が緩んだ。




「ずるいわね……あなたがそう言うんじゃ私たちも受け入れるしかないじゃない。」



ミーシャは震えた声で呟いた。





「さっきから関係ないことばかり……!!除け者にされているみたいで腹立たしい!!お前には今すぐ死んでもらう!」



コルクはピストルをタッキーに向けた。



『そんなことをしていいのですか?僕が今からしようとしているもう一つの質問の答えはあなたが知りたがっていることかもしれませんよ?』



「……言ってみなさい。」



「では……チッダールタ、あなたに問います。」



わ、私か……?


一体何を聞こうというのだ!?



質問の内容によっては彼の力をまた奪うことになるな。



『襲撃の時、あなたは駄菓子屋にいましたね?そして、すぐそばでは『ヤムチャ』が拷問を受けていました。ですが、あの後ヤムチャは確かに別の場所で戦っていた……。明らかにおかしいのです。』



そう……彼は確かにその目で見ていたのだった。


本当のことを伝えるべきか……?



『あれはきっとあなたの仕業でしょう?現に、そのことをみんなに話そうとしたらテレパシーの力を剥奪したじゃないですか!』


「そういえばタッキーって襲撃の日、急に喋らなくなったよね。そう言うことだったの!?」




もうこれは……真実を話すしかあるまい。




「ああ、そうだ。私はあの時、キヌタニを神通力で見た目だけヤムチャに変化させた。そして彼をヤムチャの代わりの囮にしたんだ。」



「俺が存在を探っていた裏切り者はお前だったのか……!だとしても、何故そんなことを!?」



「未来のキヌタニが教えてくれたからだ。ヤムチャのことを殺すべきだと。だから彼を守るためにキヌタニを犠牲にしたんだ。……もう隠す必要もないだろうから言うが、彼のことは危険因子と判断してコルクがその場から離れてすぐに殺害させてもらった。」



「あの時の会話……聞かれてたのか!しかもお前に殺されてたなんて!!」


「でもどうして!?キヌタニを囮にしなきゃダメだったの?もっと他に方法が……。」



「私は知っているんだ……彼がいる未来といない未来では間違いなく、いない未来の方がお前たちにとって明るいとな。」



「でもお前はエリスが殺されそうになった時、キヌタニを守ろうとしたじゃないか!」



よしだくんがそう反論してきた。



「確かにそうとも思われるかもな。だが、それはみんなも駄菓子屋がないと困るというその理由だけだ。現にキヌタニは自由を奪われて駄菓子屋でそれこそ……飼い殺しになっていただろう?」


「そして今後はもう駄菓子屋が必要ないと?」



「それは違うな、あの時は誰かが犠牲にならないといけない状況だと私は思った。そしてキヌタニは心身が衰弱していてもう、駄菓子屋の店主としても使い物にならなくなり始めていただろう?だから彼を切り捨てたんだ。」



「切り捨てるなんて……仙人、てめえは俺を守ろうとしてくれた。だがそんなの残酷すぎるだろ!」



「本当に残酷だよ。でも……少しだけお前のことが気に入ったわ!あまりに酷いやり口で殺しもせずにとことん苦しめる……。私もそういうの大好きだから!ねえ、もっとお前のことを教えてよ!その不思議な力も、いつからここにいたのかも全てが気になる!!」



コルクは興奮して期待の眼差しで私の方を見た。




「仙人、俺はコルクのような理由じゃないがお前の正体が気になるよ。仲間だからいつかは本当のことを聞きたいって思ってた……お前さえ良ければ話してくれないか?」



シンタローにもそう言われてしまった。



「言っておくけど、戦車を三台壊したくらいでいい気にならないでよ?ここは数十台の戦車で包囲されているんだから。私の機嫌を損ねたら一瞬で君たちは消し炭よ?」



コルクのことだ、本当にそうするのだろう。





ついにこの時が来てしまったのか……。


訪れないならそれが一番いいと思っていた。


だが、私の正体を知ってくれと……どこか待ち望んでいたのかもしれない。


やっと……この秘密から解放されるのかもしれないな。




「分かった……。では、私が誰なのか。そして、この長い人生で私が見てきた全ての世界の話をするとしよう。」

 彼らは組織によって飼育されている実験動物であり、自由意志を持つことが許される存在ではなかったのです。

それを知った彼らの心は深い闇に染まってしまったことでしょう……。


 チッダールタがとうとう自らの秘密から解放されようとしています。

作者もずっとこの森の正体を秘密にしていた一方で、早くこのことを書きたいとずっと待ち望んでいました。


 森の正体を明かすまで、あまりに長い道のりでした。

寄り道も数え切れずしてきました。


 チッダールタもきっとここへ来るまでに何度も余計な回り道をして、無駄に休憩を挟んで、もしかしたらアニメを見るためにテレビがある場所まで戻ったりもしていたかもしれません。


 それでも彼は今、確かに100エーカーの森……まがいの地に立っています。

彼は一体何者でどんな人生を送って来たのか?


 次回からはクライマックスに繋がる過去編第三話です。

チッダールタの人生を読者の皆さんは直視出来るでしょうか……?

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