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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第1章 (変態性癖持ちの)美女の(嬉しくない)強襲
14/162

1-13 空気砲、命中!

ーー前回のあらすじーー


 むかーしむかし、さほど昔でもないある日のこと……

ふかーいふかい、無限に深い森の奥に100エーカーの森という集落があったそうな。


 この集落では住人の一人が機関銃を乱射したことにより全てが破壊されてしまった。

厳しい夏の暑さに凍てつく冬の寒さ、際限なく行われる拷問……



これは、絶望の故郷でしぶとくも惨めに生きる彼らの物語である。



 …………と言うわけでこのあらすじで前回のお話が思い出せた人は本編へGO!

思い出せなかった人、廊下に立ってもう一度、前のお話を読み直してきなさい!

2日後の夜……






「みんな、酒は行き渡ったか??それじゃあ、エリスの歓迎会とシンタローのケガからの回復祝いを兼ねて……」



「「「「「乾杯!!!!!!」」」」」

「カンパーイ……。」






そう、集会所で一同は祝賀会をやっていた。





「はぁ……俺の楽園が……。」



 ただ一人、元気のない者がいた。

楽園(意味深)を破壊されてしまったボールだ。



「もう!いつまでそんな調子なのよ!!昔の体格も取り戻したし、顔もイケメンなんだからそんな趣味ばっかじゃもったいないわよ?」



ミーシャはボールの背中を優しくポンと叩いた。





「(えっ?ミーシャ……体調でも悪いのか?)」




よしだくんはミーシャが普段と違う、あまりにも穏やか過ぎる口調なのを聞いて心配になっていた。



ちなみに彼はお酒が全然飲めない体質なので、手に持っていたのはお子様ビールである。




「そうだよ、これをやるから元気を出せ!w」



 シンタローはいつの間にかボールの後ろに立ち、駄菓子屋の18禁コーナーにあった(つまり、彼が奪ってきた)ビデオテープを取り出した。



「これを見たらなwwもうそれは……ひえっ!」



 ミーシャはそのビデオテープにそばにあったナイフを投げつけて突き刺した。

ビデオテープは真っ二つになって使い物にならなくなってしまった。



「シンタロー、今度は全治三世紀になりたいの??」



ミーシャは満面の笑みと中華包丁をシンタローに向けた。



「……まじでw……やめてwww」



 シンタローは笑っていたが頬は引きつっていた。

もちろん、中華包丁の出所は不明だ。





「まあ、一気に働き手が二人増えたからな、ゴクリ……大分俺たちの仕事も楽になりそうだ!」



いつの間にかヤムチャは三本目の瓶ビールを飲み干していた。



「うーん、私は働いたこと無いんだけど……具体的には何をすればいいのよ?」



エリスは渋々とみんなに尋ねた。



「そうだな……お前に出来そうなのは畑仕事、料理、裁縫、薪割りくらいか?……グビッ。」



「んーじゃあ、料理と裁縫やるー!」



エリスは小学生みたいに元気良く左手を挙げて返事をした。



「えっ?もしかしてあなた料理できるの!?」


「やったことはないけど料理って楽しそうよねー♪」


「なによそれぇ……。(ToT)」




 ミーシャは一瞬淡い期待を抱いてスタンディングオベーションまでしたが、エリスの返事を聞いてすぐさま座り直した。



「……でもまあ、やる気があるなら私もしっかり教えてあげるから早く覚えなさいよー。」


「わーーーい♪あ、裁縫は得意だからそこは心配しなくていいわよ。」




「おっ!エリスは結構役に立ちそうだな。じゃあボールには畑仕事をやってもらうか。……ゴクゴク、エリスが料理になれてきたらミーシャとこの森の外側の地図の作成をしようと思ってな。……ゴクゴクゴクゴク……。」



ヤムチャが八本目の缶チューハイを開けた時、彼の回りは空き瓶、空き缶まみれになっていた。



「え?それはまたどうして?」



引きこもりのボールは住んでいるはずのこの森のことを何も知らないので不思議な顔をしていた。




「例えば、森の外にミーシャが狩りに行ったとするぞ。猪を見つけたこいつは夢中で追いかけるが、追いかけるのに夢中になりすぎると目の前にある崖に気づかない。そんなことがあったら命取りだろ?」



「ゴクッ……そうそう、土地勘がないとあぶ……ってどうして例えが私なのよ!!!」


「いや、実際お前、探索ついでの狩りで獲物に夢中になって崖から落ちたり川に落ちたりしたみたいじゃねえか、みんなも泥だらけで帰ってくるミーシャを見たことがあるだろ?ゴッゴッ……。」



「むぅ……何も言い返せない……(/o\)」



ミーシャはしょげた。





「(え?え??ミーシャ……病気なのか!?)」





いつもならキレて機関銃を構えるところなのに、とよしだくんは相当困惑していた。





「そういえば……今日は魚なんだなwww珍しいww」



 シンタローの言う通り、食卓には大量のヤマメの刺身が並んでいたが、基本彼らの主な蛋白源は肉である。



「実は昨日地底洞窟を見つけちゃってね、川も流れてて魚の宝庫だったわー♪……これで猪とかを毎日捌かなくて済むしね。……グビグビ。」





「(そうか、上機嫌の理由はそれか。)」



機嫌のいいミーシャと胸を撫で下ろしたよしだくん、この森にも平和が訪れた。






……はずだった。






「さてと、じゃあ……」



ミーシャは十本目のチューハイの空き缶を後ろに放り投げ、



「祝砲をあげなきゃね!!!」



機関銃を構えて絶叫した。




「取り押さえろー!!」



ヤムチャがつかさず吠え、よしだくんとボールも加勢してミーシャを押さえ込んだ。





「ちょっと何するのよ!祝砲くらい撃たせなさいっての!!それにこれは空砲よ!撃たれても気圧で吹っ飛ぶだけだから!!」


「撃たれる側にとってはそれでも十分危険なんだよ!!クラッカーで我慢しやがれ!!!」


「あんなショボいもの、無い方がマシよ!!」



「ぼ、ボール!早く機関銃を奪い取れ!ああ、ずいぶん口調が穏やかだったから病気なのかもとか思った俺がバカだった!!」


「よっしゃ、任せて!!」



 ボールは身動きの取れないミーシャから易々と機関銃を奪い取って構え、銃口をシンタローの方に向けた。




「あれ?wwwボール……?何を?」


「今日はめでたいなあ!」



ドン!という音が鳴った瞬間、シンタローの体が後ろへ吹っ飛ばされて集会所の壁に激突した。





「ぐはっ!!……やべえ……めっちゃ、痛い……♥️」



シンタローはにっこりと笑ったが、白目を剥いて気を失ってしまった。





「まだまだ足りないなあ!!」



今度は銃口をエリスに向けた。




「何だかシンタロー……撃たれて嬉しそうだったわよね、いいわよ!どんと来なさい。」



エリスは自信満々に両腕を広げた。



「おいバカ!!逃げろよ!」



よしだくんは勘違いも甚だしいエリスに叫んだ。



「なんかたのしーなー!!!」



ドン!!という音とともにエリスも吹き飛び天井にめり込んだ。





「何これ……すごく痛いけど何だか、ドキドキしちゃう……♥️」



エリスはそれだけ言い残すと天井から剥がれ落ち、そのまま気を失った。





「えぇ……。」



よしだくんはドン引きした。





「よっしゃ!!残りの弾は全部ミーシャにお見舞いしてやれ!!」



ヤムチャとよしだくんがミーシャから離れた。




「いやいや!私は撃つ専門で撃たれる趣味はないわよ!!」



ミーシャはじりじりと後ずさりしながら叫んだ。



「うるせえ!たまには撃たれる方の気持ちにもなれ!!」



ヤムチャはミーシャに向かってビシッと指を差した。





「めっちゃめでたーーい!!!!」



 ドドドド!と爆音が響くとミーシャはすごい勢いで壁に叩きつけられて、さらに壁の中にめり込んでいった。





「何よこれ……めちゃめちゃ痛い、じゃない……。」



苦悶の表情を浮かべてミーシャも気絶してしまった。



「まあ……普通の痛いっていう反応で安心したぞ。あの二人がやっぱりおかしいのか……。」


「全く……ミーシャの奴、いつもそんな物を持ち歩きやがって……。ああボール、機関銃は俺にくれ。」





「まだまだ終わらないよー!!」



ボールはヤムチャを無視して機関銃をよしだくんに振りかぶった!



「え、何を……!?」



あまりにも急な出来事でよしだくんは一歩も動けなかった。





「やめろ!ボール!!」



 ヤムチャは怯むことなく二人の間に割って入り、ボールの腕を掴んで一本背負いをかまし、機関銃を奪い取った。



「ぐほっ!!やられた……(-o-)」


「全く、調子に乗るなよ??あ、。。」






ヤムチャの視線の先には、ワインの空き瓶で埋め尽くされたボールの座っていた席があった。




「しまった……俺も全然気づかなかった……。あいつ酒を飲むとああなるのか……。」



よしだくんは頭をポリポリと掻いた。





「うーん……Zzzzz(´ω` )zzZ」



ボールは既にいびきをかいて深い眠りに落ちていた。



「ボールのテンションが異様に高かったのはお酒が原因だったか……。と、とりあえずここを片付けるとしよう。」



ボールのせいで集会場の床は死体(?)、空き缶、空き瓶まみれになっていた。



いや、空き缶と空き瓶に関してはボールだけのせいではなかったのだが……。






二人は残りの刺身を胃の中に流し込み、食器を洗って干し、缶と瓶を集め、床に寝転がった。



「はぁ……静かだな……俺らもここで寝ちまうか。」



よしだくんは目がとろんとしていた。



「ああ……すごくいい気分だ……。Zzzz……。」


「って……もう寝てるし。別にいいけど……な。」



二人は電気を消すのも忘れて安らかな眠りについた……。










   第1章(変態性癖持ちの)美女の(嬉しくない)強襲

                           EN……D???













「はっ!!!?ここ……は?駄菓子屋、だよね??僕は……ミーシャの機関銃で蜂の巣にされて死にかけたのかな……?」




 森のみんなが眠りにつき(?)、せっかく区切りよくひとつの物語が終わろうという時、空気も読まず目を覚ましたのは意識不明の重体となっていたキヌタニであった。


彼は駄菓子屋の生活スペースで寝かされていた。




「どうしてだろう、体中がまだ痛いなあ……、全身傷だらけだし。と、とりあえず売り物の確認をしなきゃ!」



キヌタニは起き上がるとノロノロと商品棚の確認に向かった。





そして……




「な、何でアイス売り場とお酒売り場に品物が何も無いの……!?ま、また神隠しが……起きたのかな!?は、早くみんなに知らせなくちゃ!!」



キヌタニは慌てて駄菓子屋から出ようとした……のだが、






「おい、店長のくせに品物の補充もしないでバカンスにでも行く気か??」



キヌタニの目の前には暗くてよく見えないが立ちふさがる何者かがいた。



「そ、その声はスターク!!アイス代700万円払え!」



 もはやキヌタニは声だけでスタークを判別できたようだ。

彼はミーシャの銃撃により偶然にも拘束具が壊されて、自由の身となっていたらしい。





「うるせえな!こちとら店の前でずっとアイスの補充待ちをしていたんだよ!!早く俺にアイスを分けやがれ!!」



スタークはキヌタニの首をつかみ彼を18禁コーナー、だった廃墟にぶん投げた。



「ふぎゃ!何を……するんだよ……!」



 ドサッという鈍い音ともにキヌタニの声がした。

まだギリギリ意識を保っていたようだ。




「さっさと俺様にアイスを貢げばいいものを……そんなことも出来ねえゴミにはそれ相応の扱いと罰が必要だな!!」



スタークはミーシャの機銃掃射から免れた売り物の鞭を手に取り、キヌタニの足を打った。



「痛いよ!!!…………や、やめろぉ!」



キヌタニはその場でジタバタしたが何の抵抗にもなっていなかった。






 スタークは無言でもっとキヌタニに詰め寄った。

そして彼の手にまだ刺さっていた箸を勢いよく引き抜いた!!



「ぎゃあああああ!!何をしたんだよーー!!」



キヌタニの手からはピューと血が噴き出した。




「いちいち叫ぶんじゃねえ!こんなもので済むと思うなよ!?死ぬより辛い思いをさせてやらあ!」





「ひっ……い、いやあああああ!!!!」









……そして一晩中駄菓子屋から鞭の音が響き渡っていたがそれを聞いた者は居なかった……。









                 第1章   本当にEND

 お前ら酒飲むスピード早すぎなんだよ、そりゃ駄菓子屋もすっからかんになるわ!

普通の人間なら急性アルコール中毒で死んでるって…………。


読者の皆さんは絶対にイッキ飲みしないように!!!



 ミーシャが撃ってたのは恐らく空砲じゃなくて空(気)砲……機関銃でそんなの撃てるんだ、

ていうかそんな弾薬よく持ってたな……いや違う、よく駄菓子屋に売ってたな!!

 

 ↑つまりこの事件の黒幕はキヌタニということになりますね!!

大人しく鞭に打たれて反省してなさい!!!



 そんなことより、キヌタニは手に刺さった箸がちゃんと抜けて良かったね!

このままずっと刺さりっぱなしだったら面白かったのに……と思った作者です!!




 1章が終わって100エーカーの森は一段と賑やか(正確にはカオス)になりました。

2章はさらに収拾つかなくなりそうだな……(作者の遠い目)



そんなわけでこのノリについてこれそうな読者の方は引き続きよろしくお願いします!!

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