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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第5章 終わらぬ悲劇の中で
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5-3 病人は強制帰還

ーー前回のあらすじーー


 駄菓子屋の地下倉庫から戻ってきたプロトンはその様子をスタークに目撃されてしまう。

駄菓子屋にアイスが無いのはお前のせいかとあらぬ疑いをかけられた上、最終的にはスタークへアイスを献上する役目を言い渡されてしまったのだ……。


 駄菓子屋に盗聴器を仕掛けた彼は翌日にドーベル将軍が生きていることを知る。

そしてシンタローとヤムチャの会話にどこか違和感を覚えたのだった。


 その夜、スタークと再び駄菓子屋に行った際にはキヌタニの遺体がアイス売り場に押し込まれているのを発見して、仕出しをしない彼に激怒したスタークを力ずくで黙らせた!!


 冷たくなっていた彼の姿を見て呆然としていたら、何とキヌタニが息を吹き返したではないか!!

そして彼が受けてきた暴力の数々を知って衝撃を受けた……。


 もしかしたら裏切り者が部隊の中に紛れ込んでいるのか……?

エリスやキヌタニと話す中でプロトンはそう言ったことを考えるのであった。



 状況が状況だと誰のことも信じられなくなることは良くありますよね。

自分以外が信じられないなら自分を信じるしかないでしょう!!(ポジティブ過ぎん?)


 読者の皆さんは追い込まれたら強いタイプですか?

最後の一日で夏休みの宿題は全部終わるタイプですか?


 量によっては終わる人がいるらしいですが、それが出来るなら初日に終わらせればいいのにと思うのは作者だけでしょうか?


追い込まれないと出来ねえよ!って言われそうなのでこれ以上は突っ込まないことにします……。


 ちなみに作者は自由研究以外はしっかりやっていました。

自由研究は……、



どれくらい手を抜けるかと言うのを研究していましたね!!(???)

俺は倒れているスタークに視線を移した。




「こいつが裏切り者……。」



そう口に出したら唐突に殺意が溢れてきた。


そして腰に巻いていたピストルを無意識のうちに俺は構えていた。




「殺して……いいのか?」



出会ってからずっと横柄な態度をとられて正直腹も立っていた。




『四ヶ月くらい前だったかな……?一人の女が突然この森にやって来て僕のことを集中的に虐め始めたんだ。』



だが、俺は先ほどキヌタニに言われた言葉を思い出してピストルをしまった。



森に突然来た女のことを調べよう。


彼を始末するのはそれからでもいい、そう思ったからだ。



 それからは少し冷静になって、スタークをこのまま放置して帰ったらまた明日にでも何か言われそうだし廃寺まで送ってやろうと思った。







で、彼を担いで廃寺までやってきた俺だったが……。




「な、何じゃこりゃ……!!!」



その荒れ放題っぷりに卒倒してしまった……。




まず床には、空になったカップアイスの容器とお菓子の包装が大量に散らばっていた。


彼には『ゴミはゴミ箱に』と言う概念が存在しないのだろう。



 そして建物の真ん中にはテントが組み立てられていて、その中には寝袋と大量のクッションが敷かれていた。



 他にはガソリンで動く発電機にイルミネーションとテレビが接続されていた。

家ではないにしても、密林で野営するよりかは数万倍快適だろうなとは思った。



 そして特に怪しい物はないが、そもそも自分の家がなくて廃寺に住んでること自体が怪しいかもしれないとも感じた。



 とりあえずこの日はスタークが目を覚まさないうちに彼を寝袋の中へ放り込んで、俺も洞窟へ戻ることにした。


しばらくは眠れなかったが、気がつけば眠りに落ちていたようだ。






そして翌日……目が覚めて起き上がろうとしたら、とても体がだるくて思うように動けなかった。



 どうやら、12月にもなったのに雨に濡れたまま寝たせいで風邪を引いてしまったらしい。

そして柱時計を見ると一時……午後になっていた。



 ぼんやりとした頭で、午前中の駄菓子屋の様子を聞き逃してしまった!と思いながらも体は言うことを聞かなくて何も出来ずにいた。



 そして夕方……ヘッドホンだけはしっかりと顔につけて盗聴だけは続けていた俺の耳に、衝撃的な会話が飛び込んできた。




『あーー、疲れたぁ。よしだくん、全然良くならないわね。』


『精神系の病気はすぐに治るものじゃないからね……。』



『ミーシャの脚も……いいえ、希望は捨てちゃダメよね。本人に気づかれてしまうとしても、医者なら最善を尽くす。そうでしょ?』




『エリス君……正直なところ、君に医者の素質があるかどうか大いに疑問だったんだ。でも、その芯の強さは医者として非常に強力な武器になる!だから、本気で医者を目指すなら僕は協力を惜しまないよ。……とは言っても焦りは禁物さ、君も休息はきっちりとりたまえ。このタイミングで君に倒れられたらさすがに僕もお手上げだからね。』




『エリス』……この単語が会話に出てきた時、俺はとんでもない冷や汗をかいた。




「エリスだと……?確かに声質も喋り方も似ている気がするが……!偶然か……?」



 俺は地面に這いつくばりながら住人たちに気づかれる危険も承知で、洞窟の入口近くから双眼鏡で駄菓子屋の出入り口を見張っていた。




見張りを始めてから十分後……。




双眼鏡越しに見えた男女……白衣姿の男はやはり見覚えのない人物……。


しかし、女の方はやはりエリスだった!




「どういうことだ?あいつがここに潜入しているのか?」



だとしても、キヌタニを虐めているというのが理解出来ない。




「……やっぱりエリスが裏切り者なのか?」



 だが、彼女はずっと基地にいるはず……俺と通信している夜中だけ向こうに戻って、昼間はこっちにいる……そんなこと可能だろうか?



「ダメだ、頭が痛い……。」



体調が悪化していると感じた俺は、洞窟の奥に戻るとそのまま目を閉じた。





次に目が覚めた時には夜中で、日付が変わろうとしていた。


相変わらず体調は悪かったが、スタークがアイスをせがみに来るかもと思って待機していた。



 ……でも考えてみれば前の晩にまた彼を殴り飛ばしていたわけだし、今度はチェンソーでも振り回して襲ってくるかもしれないと思うと恐ろしくなった。




「今来られたら抵抗出来ないな……隠れるか。」



フラフラになりながら俺は洞窟から出て駄菓子屋の地下に向かった。






通信機器にはまた入電があった。




ーーーーーーーーーー


プロトン!気がついたら至急通信を入れて!!



偵察部隊からの情報で、貴方の仲間が森の周辺で数十人も殺されているのが見つかったの……。


みんな喉を噛み千切られたり、首を切り裂かれたり……。



そっちは本当に大丈夫なの!?


貴方たちが心配なのよ……。


出来れば隊長の声も聞かせて欲しいわ。


ーーーーーーーーーー




「こりゃ参ったな……。」



俺は通信を繋げた。




「こちらプロトン……エリス、お前か……。」


「プロトン!!……って、貴方すごい苦しそうじゃない!どうしたの!?」



「いや……恥ずかしい話なんだが……風邪を引いたらしい。何かトラブルがあったわけじゃないんだがな……。」


「風邪って……ちょっとくしゃみや鼻水が出るとか言うレベルじゃなさそうよ?それから、ドーベル将軍はどうしたの?」



「ああ……実はな、戦車が大破して脚を骨折したんだ。それで歩けなくてな……。」



「戦車が大破ねえ……まあ、コルクもそれくらいは予想してたらしいわよ?『もうあの戦車は捨てたようなものだから』なんてことを言ってたわ。それはそうとプロトン、とてもじゃないけど今の貴方は仕事が出来そうな状態じゃないようね。貴方がいないと絶対に任務が回らない状況なの?」



「絶対って……ほどではないが……。」


「そう。じゃあプロトン、あなたに命令するわ。今からそちらに向かう列車を手配する。その列車で貴方は家に帰りなさい。体調が良くなったらまた列車で戻ればいいでしょ?」




まさかの帰投命令を出されてしまったんだ。



 キヌタニと隊長のことは心配だったし仲間が殺されていたことも気になったが、当時の俺が何が出来る状態でもなかった。




「……分かった。なるべく早く来てくれ。」


「超特急で向かわせるわ、本当に辛そうだもの。それじゃあ、あと少しだけ我慢してて。」



そうして通信は切れた。



「……そうか、列車で家まで帰れるんだよな。」



俺は倉庫から薬を探して飲み、列車が来るまでの間は床で横になっていた。





そうしていたら30分もしないうちに列車が迎えに来た。



「あらあら、風邪なんて引いちゃって……。少し無理をし過ぎなんじゃないの?」



列車から降りて来たのはキヌタニの母親だった。




「無理って言うよりかは体を張りすぎたみたいで……。」



「昔から頑張り屋さんなんだから……ねえ、うちの息子が死んだって本当なの?」



彼女は母親なら気になって当然のことを尋ねてきた。



「ええ……残念です。遺体は既に埋められて……、」


「嘘ね、そんな目を反らしながら言われても説得力がないわ。」



 実の母親にあの痛々しい姿を見せるのも、そして何より本当はまだ生きていることを悟られるのが怖くて姿を見せるのを躊躇った。



だが、彼女は鋭かった。


そして、キヌタニとは対照的にとても強い人なんだ。



「……やっぱりあなたは騙せませんね。遺体はまだ安置されています。」


「あの子の姿をこの目で見るまでは信じないわ。息子はどこにいるの?」




「すぐ上のアイス売り場のワゴンの中です……。しかし、暴力の痕跡が激しく残っていて……、」


「それでもいいの。ごめんなさい、体調が悪いのに。すぐに済ませるから。」



俺たちは一度地上に戻った。





「自分も彼の姿を見るのは辛かったです……。」



 俺はワゴンにかけられていたカーテンを取り払った。

キヌタニは昨日と同じように冷たく、深く眠っていた。




「いつか……この子は死んでしまうかも、私より先に逝くかもしれないとは思ってた。でもね……思ってた以上に酷い死に方を……!ねえ、何があったの……?」



「私にも分かりません……ただ彼はここで足掻いていた……。それだけは確かです……。」



「そう……無駄死にではないのよね……?」



「間違いなく……尊い犠牲でした。」


「それが分かれば十分よ……さあ、帰りましょう。」



彼女はカーテンを掛け直し、一度も振り返ることなく俺と一緒に列車で帰還した。





「はぁ……薬が効いてくるだけでもかなり違うな……。」



俺は列車に乗る前に飲んだ薬の有難みを感じた。



「帰ったらしばらく安静だね。ほら、着いたよ。」



辿り着いた場所もまた駄菓子屋の地下だった。





「わざわざありがとうございます。はぁ……早く向こうに戻らなきゃ……。」


「少しはちゃんと休みなさい?お母さんによろしくね?」



こうして俺は任務の途中で自宅に帰るという前代未聞な事態に陥るのだった……。







休養している間、俺はただ考えていた。




確かにスタークは裏切り者の可能性が高い。


しかし、だとしたら俺が初めてスタークと出会った時、磔にされていたのは変なんだ……。


そもそも襲撃が始まる前から彼が磔にされていたのを俺は目撃していたしな。




とりあえず、スタークが裏切り者と仮定した場合について考察してみた。



 恐らく彼は工作員として潜り込んだが、何らかの理由で計画が露呈し住人たちに拘束されてしまったのだろう。


 しかし、住人たちからすれば彼も俺たちも等しく敵なはずで、こちらの計画が上手く行くかなんてどうでもいいはずだ。



もしかしたら彼を俺たちの仲間と勘違いしたのかもしれない。


 だとしても裏切り者の彼はこちらの計画を知っているはずで、彼が工作員だとバレて尋問されている時点でこちらの計画も分かってしまうはず……やっぱり説明がつかなかった。



 で、続いてスタークが裏切り者ではなかった場合……それはもうありとあらゆる可能性を考えたが全然納得できる仮説が出てこなかった。




 そしてもう一つ、エリスのことなのだが……100エーカーの森にいたエリス、彼女は『偽物』ではないかという結論に至った。


随分と森の中に馴染んでいてキヌタニを追い詰めた主犯ではないかとも思った。



 彼女が一体誰なのか、それは全く持って分からないが……だとしても罪を全部エリスに擦り付けるつもりなのではないかと予想した。





俺が帰宅してから一日半……。



今度は昼間にもう一つの駄菓子屋の地下から通信を繋げてみた。




「こちらプロトン、エリスはすぐに出て来れるか?」


「今は仮眠中で寝ていますが急用ですか?」


「これから話すことが急用かどうか確かめるためにも、出来れば今すぐに呼んで欲しい。」


「……承知しました、お呼びします。」



二分ほど待つと、眠そうなエリスの顔が画面に映し出された。




「……おはよう、急用だって言ってたけど。風邪が治って突然閃いたことでもあったのかしら?」


「突然ってほどでもないが大方その通りだ。森に潜伏している裏切り者の正体が分かった。」



「あら……随分仕事が速いじゃない。さて、じゃあ聞かせてもらうわ。裏切り者はどんな奴なの?」


「それは……エリス、お前だよ。」



エリスは30秒ほど口を半開きにして黙っていた。


きっと寝起きの頭で俺に言われたことを頑張って理解しようとしていたんだろうな。




「ねえ……貴方の頭、熱でおかしくなったんじゃないの?一ヶ月位休んでてもいいのよ?」


「……この言い方だと確かにお前自身が犯人みたいだったな。実際は違うが、周囲からすると本当かもしれないぞ?エリス、どうやら森にお前の偽物がいるようなんだ。」




「うーん、まだ理解が追いつかないんだけど……。そいつが裏切り者だっていう根拠はあるの?」


「あるぞ、どうやらその偽物は突如として森に現れてキヌタニのことを執拗に虐めていたらしい。それも住人たちを巻き込んでだ。森に裏切り者が入れば作戦の妨害だって簡単だろう。」



「なるほど……それが本当なら由々しき事態だわ……。」


「そいつから色々と吐かせてもいい。このままだとお前が裏切り者扱いされることになるぞ?とりあえずそいつを捕まえるか?」



「……いや、まだ泳がせましょう。貴方にはそいつを見張ってて欲しいの。お願い出来るかしら?」


「任されたよ、分かったことがあったらすぐに報告するからな。」



そこで通信は切れた。




……エリスは昼間もちゃんと基地にいた。つまり、あいつは間違いなく二人いるということだ。


ならば、あの偽物の様子は目を離すことなく見ておかなければならないということになる。



「早く戻らないとな……。」



俺はその日の夜中に列車で100エーカーの森へと帰還した。






「さて、まずは荷降ろしか……。」



列車にはこちらに運ぶための荷物も積まれていた。



 キヌタニはいつも夜に荷下ろしと仕出しをして、昼も店番をしていたそうだから休む暇がなくて大変だったろうな……。


俺は荷物を仕分けして倉庫に整理して閉まってから地上に向かった。





当たり前……と言えば当たり前かもしれないが駄菓子屋は無人だった。


もしかしてスタークが待ち構えているかもしれないと少し怖かったが、取り越し苦労だったようだ。



「……いや、一応な?」



俺はピストルに込める予備の弾薬を1セットだけ武器売り場から持ち出した。



それでもうこの日は洞窟に帰っても良かったんだが、一応スタークの様子を廃寺まで見に行った。






「ゴホッゴホ……くっ……だりぃ……。」



彼は俺と同様に風邪を引いてうなされていた。




「はぁ……たまには何もせず寝てていいってことだろ……幸せだな……。」




その自覚が彼にあったかどうかは分からないが。



とりあえず、スタークが風邪で寝込んでいるならそれはそれで好都合だった。


そして、彼自身のことも俺は聞き出す必要があった。



 病人を痛めつけるのは少し気が引けたが、俺は無抵抗な彼を縛り上げて、口もガムテープで塞いで洞窟まで連行した。






「さてと……。」



洞窟に着くと、俺はスタークを冷たく硬い地面に放り投げた。



「グッ……ググ……!」



スタークは他人を不快にする目つきでこちらに殺意を向けてきた!



「そう睨むなよ。お前には色々と吐いてもらうことがあるかもしれないからな?」



そう言って右の手先だけを解放した。


そしてペンと紙を彼の前に置いた。



「また大声を出されると敵わないからな、返事は筆談で頼む。じゃあまずは最初の質問だ。君はどこから来たんだ?」



そう言うと彼は意外と素直に応じて紙に何かを書き出した。




『そんなこと俺が知るかよ!死ね!!』



……そう彼は記していた。



「いや、自分のことだろ……?まあ、これは答えたくないなら答えなくてもいい。だが、次の質問にはどうか答えて欲しい。君は……この100エーカーの森ではどういう立ち位置なんだ?」



彼はまたペンを動かした。




『100エーカーの森だぁ?いつの時代の地名をほざいてやがんだ?ここはスターク王国、俺様が牛耳る世界だよ!!それ以外の住人は下僕、カス、ゴミ、死ねクズ、以上だ!』



……と、紙には書かれていた。



「それはおかしいな……どうして王様が磔にされていたんだ?君は何か大きな勘違いをしているんじゃないのか?」




『どいつもこいつも忠誠心と道徳心と良心が足りねえんだ!!ここじゃあまともな義務教育すら行われていねえようだしな!』


「まあ確かに義務教育が行われているとは言い難いが……でも彼らはここを未だに100エーカーの森と呼んでいる。廃寺に住んでいる君は本当にここの住人なのか?」




『あ?勝手に住人扱いするんじゃねぇ!!ここの能無しチンパンジー共と一緒にされるなんてとんだ侮辱だぜ!!裁判を起こしてやる!!』



さっきは自分の王国とか言っていたのに……困ったものだった。



「何となく察したよ。じゃあ、次だ。エリスのことについて聞きたい。彼女について何か怪しいと思ったことはないか?」




『怪しいどころの話じゃねえよ!あの変態はどんな生き物からどんな退化をした生き物なんだ!?あれがどこから来たのか、こっちが聞きてえ!!』


「……そうか、エリスは何か変なことをしていたというわけだな?」




『そんな生温い言葉で表現するなや!あれと初めて会った時、俺様は奴に全裸で追いかけられたんだぞ!まさかてめえ、あの犯罪者の知り合いか?なら、てめえごとインターポールに訴えてやるよ!』



「い、インターポール……?」



もう本当に意味不明すぎたせいか、一周回って彼のことを怪しく感じなくなってきていた。



「だが、その情報は参考にならないこともない。じゃあ、最後の質問といくか。……キヌタニがエリスに虐められていたというのは本当なのか?」




『知らねえな!だが、キヌタニなんざ誰からも虐められてたに違いねえぜ!!長いこと全裸で鎖に繋がれるなんて普通の人間なら死んでもゴメンだからな!!』



「ほう……ちなみに君はどうなんだ?」



正直、スタークがキヌタニを虐めていたかどうかなんて重要じゃなかった。


個人的に知りたかった。



 アイス売り場で冷たくなっていたキヌタニを蹴り飛ばしていた彼もまた酷いことをしていたんじゃないと予想していた。


もしそうだとしたら……仕返しをしてやりたかった!



『知らねえな!俺様が他人を拘束して拷問するような人間に見えるか?その目玉、腐ってるから取り外したほうがいいぞ?』



そう書き殴った彼の目は嘘をついているようには見えなかった。


だが、その目も俺には信じられなかった。



「本当か……!?なあ、本当はすごく体がだるいんじゃないのか?ここに風邪薬がある。正直に話したら飲ませてやらないこともないな?」



俺はズボンのポケットから薬の瓶を取り出してちらつかせた。




『はぁ!?風邪薬だぁ?そんな物が何の役に立つんだ!まさかこの俺様が風邪を引いているとでもほざくつもりかよ!』



彼は俺のことをまたギロリと睨みつけていた。



「まあいいさ、要らないと言うならそこでうなされてればいい。」



俺はスタークの右手をガムテープで再びガッチリと拘束してからそのまま眠りについた。

 風邪を引いている時に薬をどれだけ早めに飲めるかどうかで、後々の症状の強さが相当変わって来るなと思うのです。

読者の皆さんには是非、風邪薬を(出来れば葛根湯)すぐ飲める状態にして欲しい所存です。


 そして何よりも安静にしてちゃんと寝ること!!

だらだらとスマホを触ってるなんて論外です!!!!!


 やることがないからとスマホを触るのではなく、たまには普段考えないようなことに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?


例えば空に浮かんでいる星は地球に降ってくることは無いのかなとか……。


いつも食べてるお米ってどこで生産されてるものだっけとか……。


お弁当に入ってる緑のギザギザ、あれの名前はなんだろうとか……。



 ちなみに緑のギザギザは作者も名前を知りません、風邪を引いた時にでも調べてみてください。

えっ、結局調べるのにスマホ使うんじゃないかって?


 そこは調べるのではなく感じるんですよ!!

イマジネーションとインスピレーションで想像(創造)するのです!!

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