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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
108/162

4-19 参、投降

ーー前回のあらすじーー


 南から背後を取って来た奇襲部隊はたった一人の女戦士だった。

彼女もまた銃を操り、ミーシャを翻弄しながら銃撃戦を繰り広げた!


 辛うじて敵に対抗していたミーシャだったが、敵の持つ摩訶不思議な瞬間移動が出来る銃に惑わされ、足を撃たれて動けなくなってしまった。


 もはやこれまでと思った時、何と敵はミーシャを自分たちの組織にスカウトしてきたのだ!!

だが、世界征服などと言う野蛮な理想には目も暮れず、彼女はスカウトを拒否した!!


 そして今度こそミーシャは殺されることを覚悟した。

そこに現れたのは暴風を纏って突撃して来たタッキーだった!!


彼は敵の女を突き飛ばし、そのまま退散させた!!


 チッダールタの授けたテレパシーの能力でこの暴風はジョージの力であることを教えてもらったミーシャはどこか安心してしまい、気を失ってしまった。



 強敵を退けたもののミーシャまで戦線を離脱することになった森の住人たちは厳しい戦いを強いられているようです。


 何でもいいのですが読者の皆さんは自分より格上の相手に挑む時、何か奇想天外な作戦で挑んだりするでしょうか?


 まともにやっても上手く行かない時はやけになりがちですが、そのやけで相手の裏をかければしょうきはありますからね!


 100エーカーの森では住人一人一人がもはや敵の予想を超えた行動をしてくるでしょうから、奇想天外な作戦なんて不要でしょうが……。


 とは言えそれでも少しずつ相手に押されている状況……。

チッダールタはどうするのか??

ふう……あと何人来るんだ……?




さすがにここを破られるわけにはいかないのでな。




 南からの銃声を聞きながらただのおじいちゃん、チッダールタは駄菓子屋の前で敵をどうにか足止めしている状況だ。





「うああああ!!なんじゃこりゃー!!!」



 神通力で敵の体を浮かし、遥か彼方まで放り投げる……。

この作業をさっきからずっと繰り返しているんだ。




 しかし敵と来たらさっきから攻撃らしい攻撃をしてこないのが気になるところだな。

銃を持ってるとは言え、真上に向けて撃ったりとほぼ威嚇射撃だ。




ーーーーーーーーーー


「今計画を立てている途中のあの作戦かしら?あれに失敗する要素なんてないわよ?」



「そう、僕のいた世界では確かにターゲットの生け捕りには成功した……だけど、どうしても懐柔出来なかったんだよ。結果的にこの森は焦土になっちゃった……。あれは、僕たちの手に負えるものじゃなかったんだ!!」





「(!!!!!!これは……!)」





「!?!?……つまり、私にターゲットを始末しろと?未来の私がそう言ってたの?」


「うん……これは未来の君の命令だ。あの計画は僕たちの世代で達成するのは無理だってね。」




「そんな……せっかく現れた彼を消せと……。でも未来の私が言うんだもの、間違いない、か。……分かったわ、計画は変更する。だから用が済んだならこれ以上は計画に干渉せず、早く元の時代に帰りなさい、きっと未来は変わってるはずだから。」


ーーーーーーーーーー




……未来のキヌタニが言うには……この森の特定の人間を消しに来るというような言い方だった。



だがさっきからというもの、敵からの殺意を全く感じない。



本当に何がしたいんだか……だが、相手がこんな調子なら賭けに出てもいいようだな。





「ひぃっ……!!さっきからどこで銃声がしてるの……!?こ、怖いよぉ……!!」




 キヌタニは駄菓子屋で全裸のまま永遠に鎖で繋がれている。

そして戦いが始まってからずっと一人でガタガタと震えていた。




「そんなに怖がっていても、今のお前には何も出来ないだろう?怖がるだけ無駄ではないかな?」




「そそそ、そんなこと………言われても…………。チッダールタは、怖くないの………?」


「少し怖いかもしれないな。だが、それは森の仲間が死んでしまうかもしれないという怖さだ。」




「えぇ……こ、こんな状況で他人のことなんて……考えてる余裕はないよ……。」



やれやれ、キヌタニも随分と利己的になったものだ。



以前は……ここまで酷くなかった気もするんだがな?





「全く仕方ないやつだ。ならば………私がおまじないでもしてやろうか?」



「おまじないって……どうなるの……?」


「そんな大したものではないが、勇気と自信が湧いてくると思うぞ。」



「本当に、大した事なさそうだけど……されて悪いことは、起きなさそうだし……期待しないけどやってよ……。」



やれやれ、ここまで言われると本来ならやる気も起きなくなるのだがな……。



「よし、ならまずは目隠しをするぞ。」



私は敵の足止めもそっちのけでキヌタニの目をガムテープで覆った。




「えっ……ガムテープで目隠しするの……?」


「その場にあったからだ。特に意味はないぞ。さあ、それでは……、」



私も目を閉じ、精神を集中させた。





「あーー!!てめえら無視すんじゃねえ!俺のことを解放しやがれー!!」



スタークが外で吠えてるな、全く集中するのが大変だ。







「うっ……な、何だか……体が熱いよ……!」



私ももう頭がオーバーヒートしそうだ!



さあ、行くぞ!!


私は目を開いて手にエネルギーを込めた!!





……シュウウウウ、キヌタニの体から煙が上がる。



どうやら……上手く行ったみたいだな。




「な、何だろう……本当に勇気と自信が溢れてくるよ!!ねえチッダールタ、この鎖と目隠し外して?僕も戦いに行きたいんだ!!」




おや、これは……上手く行き過ぎたようだな……。




「念のために行っておくが、お前はキヌタニだ。お前が戦いに出たところで30秒ともたないぞ?」



「そ、そんなのやってみなきゃ分からないじゃないかぁ……!」



ここまで他人に吠えるキヌタニは初めて……いや、エリスを殺そうとした時以来だな。



それにしても随分と神通力を使ってしまった……。



はぁ……これ以上は無駄遣い厳禁だな。






「お前たち、大人しく手を上げろ!!」



おや……いつの間にか敵が二人、駄菓子屋まで来ていたようだ。




「くっ……どうなってるの?この鎖と目隠しさえなければ………!!」



キヌタニは全裸で必死に床で藻掻いている。





「えっ……何だこれ……?」



そんなキヌタニを見た敵は銃を構えたまま困惑している。



「ふん、敵は知らなくて良いことだ。さあ、私は手を上げたぞ。」



私は抵抗せずに大人しくする。



「よ、よし、じゃあ膝と両手を地面につけろ。」



言われた通りに膝と両手を駄菓子屋の床につけた。




「くそっ……何でこの鎖外れないんだよおっ!!」


「おい、お前は黙ってろ!!」



敵はキヌタニの足元に発砲した!!




「ひええっ!!銃声がしたよぉ!撃たれたくないよぉ!!」



「全く……さて、ここは随分と色々なものがあるんだな。なら、必要なものは貰っていこう。」



「お前の足は縛らせてもらうぞ。なに、大人しくしてればこれ以上危害は加えない、老人を虐めるのは本意ではないからな。」



もう一人の敵が私の足をキツすぎない程度にロープで縛ってきた。



本当に危害を加えるつもりはないようだな……。


神通力を使えばこの程度のロープなんて簡単にほどけるのだが、ここは大人しくしておこう。




「戦場でこんな話をするのは何だが……18歳以上立ち入り禁止って……。」


「ああ、そのままだ。入りたければ入っていいと思うがな。」



私は敵にそこに入るように仕向ける。



「俺はおやつでも食うか。……この奥にある黒いグミは何だ?」



もう一人の敵はリコリスを手に取ったようだな……。




「うっ……何だか不思議な味だが……いけるな。」



おや、どうやらよしだくんと同じ味覚の持ち主がここにもいたらしい……。





「も、もしかして売り物を勝手に!!万引きは許さないんだからね!!」


「うるさいぞ!!黙ってられないのか!!」



18禁コーナーにいた敵が鞭を片手に飛び出してきた!!




バチーン!バチーン!!


キヌタニが鞭打ちされている音が駄菓子屋に響き渡る!



「ふぎゃあああっーー!!!」


「お、面白そうだな。俺もやるか!」




 もう一人の敵も鞭を持ってきてキヌタニを虐め始めた。

やはりキヌタニは鞭打ちされている姿がお似合いだな。




……ところでこいつら、仲間が戦闘中なのを分かっているのだろうか?





と、その音に混じって軽々とした足音が外から聞こえてきた。




『チッダールタ!!……ああ、遅かったようですね……。聞こえますか?あなたにしかテレパシーは届いていないといいのですが……。』



駄菓子屋の入り口にタッキーがやって来た。



「タッキー、無事だったのか!(テレパシーは送りたい相手にしか届かないからな、安心しろ。)」



『そうなのですね、そんなことより……!!ミーシャさんが大変なんです!!』



タッキーの背中には力尽きたミーシャが倒れていた。




「ミーシャ!!どういうことなんだ!?(タッキー、一体何があったんだ!?)」



『集会所のそばで見知らぬ女性と激しい銃撃戦になっていたようです。両足を撃たれたのか気を失ってしまって……。』




「ん?……何だ!随分と綺麗な馬だな…。この森にはこんな生き物も生息しているのか!」



敵の一人がこちらに気がついて近寄ってきた。




「っておいおい!!この子どうしたんだ!?」


「何やらお前たちのお仲間にやられたようだぞ??」



「そんな馬鹿な!!女の子にこんな酷いことするなんて!……いや、今はいい。俺が手当しよう!」



『敵の手当てなんて危険です!!チッダールタ、どうにかしないと!!』


「(落ち着くんだタッキー、少なくとも彼らは危険じゃない。しかし、ミーシャは本当にこいつらの仲間にやられたのか?)」



『服装は同じでした。……ですが単独だったのが気がかりですね。』




 敵はミーシャをタッキーから下ろすと床に寝かせ、駄菓子屋にあった売り物で応急処置を見事な手並みで済ませた。




「随分と慣れてるな、戦闘なんかよりよっぽどこちらの方が向いているのではないか?」



キヌタニがもう一人の敵に鞭で打たれている音が鳴り響く中、私はそう聞いてみた。



「俺は戦いなんて好きじゃない。本来は医療班の小隊長なんだが……戦闘部隊が全滅したらしくて俺たちまで駆り出されてるんだ。しかし、この子が俺らの仲間に……?そこが納得行かないんだ。」



「もしかしたら別の勢力が絡んできていると?」


「予想でしかないんだが……俺たちの仲間に裏切り者がいるのかもしれない。……おお、丁度いいところに!」



気配がしたかと思うと入り口にはさらに5.6人の敵が現れた。



「よく聞け!俺たちの部隊には裏切り者がいるかもしれない!そいつらから彼らを保護するために2人はここに残れ!」



敵は信じられないことを言い始めた。



私たちを保護するだと……??




「ひいっ!保護するなら、痛いっ!!僕に危害を、痛っ!!加えないでー!!」



キヌタニが悲鳴混じりの声で叫ぶ!



「お前は大人しくしてろ!!」



しかし、鞭打ちの音が止むことはなかった。





「さてとそれじゃあ……。」



さっきまで話していた敵はふっと私の背後に回った。



次の瞬間、私の背中に強い電撃が走った!!



「手荒で悪いが……今からすることは見られたくない……。少しだけ気を失っててもらうぞ。」





私としたことが……油断した……!!




「(タッキー逃げろ!!彼らは人に危害を加えるつもりがなくても、動物のお前は何をされるか分からないぞ!)」



『くっ……分かりました!』




タッキーの足音が遠ざかっていくのを聞きながら、私の意識は遠くなっていく……。






みんな……無事で……いて、くれ………。

 敵は迷いなく駄菓子屋で鞭を手に取っていましたが、100エーカーの森の周辺でも鞭打ちの拷問が流行っているんでしょうかね?

それかキヌタニが鞭打ちされやすい体質なだけなのかも……?


 ですがスタークもエリスから鞭で打たれていたこともあったので、もしかしたら商品の配置として鞭が心理的に買いたくなる場所に置かれている可能性がありますね。(買ってはいないですね!!)


 お店で早めに捌きたい商品を目立つ位置に置くのと同じです。

駄菓子屋では鞭の在庫が余っているのでしょうか??



 ついに駄菓子屋とチッダールタまで陥落してしまいました……。

100エーカーの森は制圧秒読みといったところでしょうか?


 しかーし!!まだあの男が残っていますね!

次回は彼に期待するとしましょう!!

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