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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
100/162

4-11 更生しました!(本当に?)

ーー前回のあらすじーー


 シンタローの昔話が終わったところで、ミーシャは再びみんなのもとに戻って来た。

そこで彼女はジョージの話をみんなにしたと告げられた。


 そのことが彼女の逆鱗に触れてしまったらしい……。

ミーシャは再び機関銃を構えてチッダールタとフジモンに狙いをつけた!


 だがシンタローはジョージの話を持ち出して、きっとヤムチャに何を言われても止まらなかったであろう彼女の怒りを鎮圧したのだ。


 その後全員でジョージの墓参りに行き、それぞれの決意を胸に抱えてこれから先起こるであろう戦いに向け、森の住人たちは覚悟を決めるのであった。



 厳密には違うのですが、一応今回が100話らしいです。

記念すべき節目の話がこれか……と作者は落胆しております。


 その理由は……読んで頂ければ分かります。

間違いなく前回が100話の方が良かった!!!

みなさんおはようございます。



 季節も冬の入り口に立っていて朝はかなり寒くなってきました。

ごきげんよう、仮釈放中のヤムチャです。



私は小さな女の子に手を出そうとして制裁を受けました。


 しかしこの森が危機に瀕しており、私の力がどうしても必要だということで、この森に大きく貢献することと引き換えにシャバに出ることを許されました。



今は駄菓子屋の横でくじらんに剣術を教えているところです。




 実はくーちゃんの荷物の中には立派な剣が1本あったのです。

タッキーの背中にずっとくくりつけられっぱなしでした。


お母さんの形見らしいのですが、是非ともくじらんに使って欲しいとのこと。



 ですがくじらんは馬鹿力こそあれど武道の心得は一切持ち合わせておりません。

そこで私がその剣を最大限に活用できるよう指導をしています。




「ねえヤムチャ……何で今日はそんなナレーションが丁寧なの?」


「んまあ……仮釈放中だからな。変なこと言ってまたあんな目に遭うのはごめんだぞ!」


「うーん……そうなんだ。」



くじらんはどこか複雑そうな表情をしています。


 確かに仮釈放中だからと言って、ナレーションを丁寧にすれば許されるというものではないかもしれません。




 今日は11月28日、襲撃は明後日の予定です。

予告状が届いてからみんなと対策をたくさん立てました。



 まずよしだくんとシンタローは、エリスとよしだくんの家の地下に避難用の頑丈なシェルターを増設していました。


襲撃を受けた時に戦うことができない仲間たちはそこに避難することになっています。



 くーちゃんはよしだくんが匿って、フジモンとエリスには一緒に大人しくしてもらい、シェルターの外から鍵をかけて私やミーシャが呼びに行くまで絶対に外には出ないように、ということで話し合いがまとまりました。



 次にミーシャ、彼女は練習を重ねて苦手だったスナイパーライフルを使えるようになりました。

襲撃の際はまず遠距離から狙撃、敵が近づいてきたら機関銃で迎撃する戦法で戦うそうです。



くじらんと私は先ほどもお話した通り、近接戦で負けないために武術の腕を磨いておりました。


 私はその他にも70°の傾斜を駆け抜けたり、500kgの岩を持ち上げたりといつもより追い込んだ肉体改造をしていました。


これならミサイルの雨が降ってきても負ける気がしません。



 期待はずれだったのがチッダールタで、彼はスタークに色々と尋問をして自白させようと試みていたようです。


しかし、チッダールタから返ってきた答えは……、



『意外かもしれないがスタークは今回の予告状とは何の関係もないようだ。そして、どうやってここへ来たのかも全く覚えてないらしい……。』



と言うことで、我々が期待した結果は得られませんでした。


チッダールタならきっと何でもやってくれると思っていたのですが残念です。



 くーちゃんは縛られて不自由な生活を強いられているフジモンやエリスの良き話し相手になってくれています。


 私もくーちゃんとお話ししたいのですが……くーちゃんは私が半径3m以内に近づくと警報ブザーが鳴る装置をよしだくんに持たされていて、それが鳴るとミーシャがすっ飛んできて私を殺そうとしてきます。




「はぁ……くーちゃん……。」


「や、ヤムチャ……、そのため息……いや独り言かな?ミーシャに聞かれたら殺されちゃうよ??」



「……はっ!!い、いや……俺も出来るだけ声には出さないよう気を付けているんだがな……。」




「いくら周りから反対されようと犯罪だろうと好きになってしまったものは仕方ないと思うのです。そう考えればスタークのことを追い回すエリスの気持ちもかなり分かる気がします。」




「や、ヤムチャ……声に出てるよ!!」



「はっ!?!?いかんいかん……!!」


「うーん……もうこれは手遅れだね……。」



 いかがわしいアニメばかり見ているくじらんにこんなことを言われるなんて、リーダーと呼ばれた私も落ちぶれたものですね……。




「ぐっ……これはやむを得ねえな!!」



私はどこからかガムテープを取り出して、自らの口に張り付けて声が出ないようにしました。




「フォガフガクォフガフェァフィフォ!!」



「……何言ってるのか分からないけど……その方がいいと思うよ?」



 独り言を呟くだけで咎められるなんて……私の恋路は思っている以上に厳しいものなのかもしれません……。



「時間がないから早く練習しよ……うわっ!?!?」



おっと、私の目の前でいきなりくじらんが転びました!





「グガガ……コ、コロス……コロサレル!!」


「えっ、えっ!?!?……ちょっ、いたた!!な、何なの!?」



足元では何かがくじらんの足にしがみついてしました。



「フゥギファンガファファガェォ!!」



 私はくじらんの足を掴んでいる動物を蹴り飛ばしました。

そいつはそばに生えていた木に激突してその木はへし折れてしまいました。


森林破壊をするとは何て凶暴なんでしょう!



「ンゴー!?!?ウガッ……。」



おや?そういえば……。



この動物、何やら人間の言葉のようなものを発していませんでしたか?




「うっ……何だったんだろう……!って……あれは……。」



くじらんが指を差します。



「……!!ファフィファ!?」


「ヤムチャ!……と、とりあえず今はそのガムテープ外さない??」


「ペリペリ……は、外したぞ。で……これは……人間……なのか??」



服は着てませんがよく見れば体の構造は明らかに人間です。



「人間以外の何物でもなさそうだけど……ん?ねえ、お腹に何か刺さってない!?」


「あ……!!本当じゃねえかよ!おい、大丈夫か!?い、今すぐ医者を呼んでやるからな!!」


 その人の腹部には光り輝く刃物がぶっすりと刺さっているではありませんか!

私はポケベルを取り出してフジモンに通話を繋げようとしました。



「って、あいつは今拘束中じゃねえか!仕方ねえ、くじらん!傷口が開かねえようによしだくんの家まで搬送するぞ!」


「う、うん!了解!!」








「グッ……ガガッ……!!」


「もう少しだ!頑張りたまえ!!あと少し……よし、傷口を塞いでいくよ。」


「グハァ、ハァ……。」



 よしだくんの家に軟禁されていたフジモンの手によって、この見知らぬ人のお腹に刺さったナイフがたった今引き抜かれました。


やはりフジモンの治療は見事なものです。



「麻酔もなしによく頑張ったね……!もう大丈夫さ!」


「フジモン……助かったぜ。それで、だ。」



何があったのかは知りませんが……、



「野生動物にナイフで刺されるなんてこたぁありえねえんだ。」




「えっ……それじゃあ……、」


「他の人間にやられた、ってことだよね!?……ちなみになんだけど、ナイフに皮下組織がびっしりとくっついていたから、刺されたとしたらかなり前だと思う。」


「いつ刺されたかは置いといて……まあ、そういうことなんだろうぜ。……みんな、手分けしてポケベルで人をここに集めるぞ。」



私たち3人は片っ端からみんなに電話をかけました。






「ただいま……緊急事態と聞いたが……!ん?そ、そのぐっすり眠ってる人が関係あるのか?」



 真っ先に到着したのは家主のよしだくんでした。

彼は駄菓子屋でアイスを食べていたそうです。



「ああ……よしだくん、知らない人が自分の家で寝ているのに冷静だな。」



何か臭うこの人は痛みから解放されたせいかすぐに眠りについてしまいました。



「まあ、くーちゃんやキヌタニが未来からタイムスリップしてくるような森だからな……。このくらいのことじゃもう驚かないさ。」





「き、緊急事態って何なの!?も、もしかしてもう襲撃が来たとか!?」



 次に飛び込んできたのは『荒くれスナイパー』の異名を持つミーシャでした。

ちなみにこの渾名はたった今、私が思いついたものです。



「いや、襲撃とは関係ないと思いたいんだが……。」




「え……。」



ミーシャはおじさんの寝顔を見るや否や、硬直してしまいました。



「ん?どうしたのみーs……」


「はあああああっーー!?な、何でこいつがここにいるのよー!?!?」


「う、うるせえっ!!!」



と、唐突にミーシャが絶叫したので全員慌てて耳を塞ぎました。




「どどど、どうしたんだい!?そ、そんなに叫んで……と、と言うか、『こいつ』って言ったけどミーシャ君はこの人と知り合いなのかい!?」



「バカ言ってんじゃないわよ!!あんたの思考回路はシンタローと同じなわけ!?こんな汚いおじさんが知り合いにいるくらいなら死んだ方がマシよ!!」


「うええっ!?み、ミーシャ!と、とりあえずそのスナイパーライフルを下ろして!?」



 くじらんは慌てて自分の額にスナイパーライフルの銃口を無理やり突き付けているミーシャを抑え込みます。


と言うか……スナイパーライフルを自分に向けて撃つなんて無謀だと思うのですが……。




「あんたらよく聞きなさい!この男はね、以前くーちゃんを襲ってたのよ!?私はその時にこいつと戦ったの!つ・ま・り!!こいつは私たちの敵!!敵なのよ!?!?!?」



……とても衝撃的な内容を話していた気がするのですが……思考の処理が追い付いていません。




「くーちゃんを襲った……!?つ、つまり、彼はくーちゃんと一緒にタイムスリップして来たってことかい!?」


「知らないわよ!そんなことどうでもいいから早くそいつを生き埋めにしm……」





「わーー!シンタローにーちゃん、足はやーい!!」


「本当はもっと速く走れるんだぜ?w……ってそうじゃない!緊急事態って何だ?もしかしてもう襲撃が来ちゃったとかなの!?wwww」



シンタローがくーちゃんを肩車してすっ飛んできました。



……羨ましいですね。



……そしてミーシャの思考回路も大概だと思うのです。


1分後のシンタローと全く同じことを言ってるではありませんか……。




「いや……、緊急事態ってのは言い過ぎだったかもしれねえな、すまn……」


「あれー?wwwみ、ミーシャ???このおじさんって……あの時の人だよな??この森にいるってことは……やっぱりミーシャの知り合いだっ……ブグオッ!!!w」



笑いながらベラベラと喋るシンタローの口にライフルの銃口が突っ込まれました。



「お、おねえちゃん!にーちゃん!!……こ、この人……あのきもちわるいおじさん……!!」


「ほらね、くーちゃんも言ってるでしょ!!」



「それじゃあ……この人にナイフを刺したのってミーシャ??」


「いや、それはこっちのおバカさんよ。」




「ブハッ!!で、でもそのお陰でお前は助かったんだぜ?www」


「む、むぅ……そ、そうだけどっ!!!と、とにかく!このおじさんを生かしておく義理なんてないわ!さっさと死者の奈落にでも叩き込んできましょ!!」



そういえば……彼女がタイムスリップしてからこの森に来るまでの話を聞いてませんでしたね。




「えっとだな……シンタロー、ミーシャ……お前たち森の外で何があったんだ?」



よしだくんがそのことを聞いてくれました。



「えっ??w……あっ!★何かタイムスリップ議論やら脅迫状の件やらでみんなにそのことを話す機会がなかったなwwwて言うか俺ももうこのおじさんのことなんて寝顔見るまで忘れてたしwwww」


「わ、笑い事じゃないわよ!!……と、とりあえずみんなにも簡単にだけ説明するわ。」







「き、機関銃の弾を見てかわしたの……!?」


「ま、まさか俺の身体能力とまともに競い合えるような人間が存在するだなんてよ……。」



信じられません……。


一見すればただの中年男性だというのに……。



「おねえちゃん……このおじさん怖いよ!!」 


「まあ、確かにそんな身体能力を持ってたら恐ろしいのは間違いねえや。」


「ヤムチャ?あなたも同じよ??くーちゃんに手を出そうとしたところもね!!!」



ミーシャがこちらをすごい形相で睨んできています。




「私は紳士的な態度で小さなレディと純愛をしたかっただけなのに、世間はこんなおじさんと私を一緒にするなんて……冷たいもので……はっ!!」



ま、また声が出て……!!



「ヤムチャ、また声に……ってもう手遅れだね。」


「い、いや!!い、今のは……違うんだぞ!!」


「何が違うんだよ……ヤムチャ、お前やっぱり……、」




「違う違うぞ!本心じゃねえ、今のは……こ、心の声だ!!」





…………。



おや?心の声ってことは……。




「いや、やっぱり本心なんじゃねえかwwwwwもうお前はダメだわwww」



いくら事実だとしても爆笑しているシンタローに言われるのは何だか腹が立ちます。



「おねえちゃん……こんなおじさん2人のちかくにいたくないよ……!!」



「うーん……やっぱりそうよね!!ヤムチャ、今すぐこのおじさんを抱えて滝壺に飛び込んできてくれない?」



 ミーシャが機関銃を構えてこちらにジリジリと近づいて参りました。

このままでは本当にいつか殺されかねません!!





「ならば……私が2人ともまとめて預かろうではないか。」



……!!


この声は!



「チッダールタ!!!……だよな??……こ、今回はいつから居たんだ??」


「よしだくん、人を盗み聞き常習犯のように言うものではないぞ。ついさっき来たところだ。」



チッダールタが突如として私達の目の前に姿を現しました。


 彼はいつもみんなが困った時に現れて助けてくれる救世主のような人間です。

きっと私を擁護してくれるでしょう!



「くーちゃんも中々に怖がっているし、ここは襲撃が来るまでの間、とりあえず洞窟の中に幽閉しておくというのはどうかな?」




……えっ??



今、『幽閉』と聞こえましたが……。




「いくらヤムチャが危険人物であっても、襲撃の時に戦ってくれないと俺たちが窮地に追い込まれかねないからな。」


「うんうん、くーちゃんには悪いけどヤムチャにはもう少し生きていてもらわないとね。」



よしだくん??


くじらん???



匿ってくれるのはありがたいのですが……。




「ここは仕方ないわ、命拾いしてよかったわね!!……(`Δ´)チッ!」


「とりあえず遠くにいるならあんしんかな……???」



ミーシャ????


くーちゃん????



私の味方はどこに……??



「ヤムチャ君……ロリコンはね、根気よく治療しなきゃいけない『病気』なのさ……。治療中に犯罪を犯してしまうようではもってのほかなんだ……。」


「そういうことだなwwまああれだ、生かしてもらえるだけありがたいと思うんだな★www」



フジモン!?!?


シンタロー!?!?


お前らまで俺を見捨てやがるのか!?



……おっと、口が悪かったですね、失礼。



貴方たちまで私を見捨てるというのですか!?



「まあ、異論はないようだな。ならばお前たち2人はスタークと仲良く幽閉生活を送ってもらうとしよう。……はっ!」



チッダールタの服のイルミネーションが白に輝くと、私とおじさんの体が宙に浮きました。




「あっ、やっぱりちょっと待ちたまえ!」



おっと、ここでフジモンがチッダールタを止めました。


もしかして私を幽閉することに反対してくれるのでしょうか!?



「そのおじさんは手術が終わったばかりだからしばらくは様子を見させてくれないか?容態が急変したらすぐに対処しなければならないからね。」


「ちょっ!?フジモン、あんた正気なの!?こいつをここで生かしておくなんて……!!」




「やはりダメかい……?どうしても嫌だというのなら今回はさすがに諦めるよ、彼が危険であることに間違いはないからね。」


「いや、このおじさんの素性はまだ分かってないんだろう?もしかしたら襲撃か、くーちゃんのタイムスリップか……どちらかの謎を解く手掛かりを握ってるかもしれないぞ。」



 よしだくんはおじさんの顔をまじまじと見つめて深く考え込んでいます。

襲撃とタイムスリップ、そしてこのおじさんとの関係について思考を巡らしているのでしょう。



「そういう見方をすればこのおじさんをここで縛っておいて尋問するのはありかもしれないなww」


「どれだけ私とくーちゃんに妥協させる気なの……?もう好きにして頂戴……。」



ミーシャは森の端から端まで届くほど大きい溜め息をつきました。



「決まりのようだな。では、私はヤムチャと一緒に洞窟に戻るとしよう。」


「おいおい、待て待て待てぇぃ!!」



堪らず私は大声で叫びました。




「フジモン、ロリコンは病気で治療が必要なんじゃねえのかよ?てめえは(患者)を見捨てるのか!?」



『患者を見捨てる』……このフレーズはフジモンに対して効果覿面(てきめん)に違いありません!!



「ヤムチャ君?さっき言ったはずさ、『犯罪を犯してしまうようではダメ』だとね。最優先で君に行わなければならない治療は君が犯罪者にならないための環境作り、早い話がくーちゃんと隔離することだ。」


「な、なっ……!!!」



幽閉することが治療の一貫だと言い張るだなんて……!!!




「ヤムチャ君、主治医の指示に従いたまえ。」




 そう言うフジモンは患者()に有無を言わさぬ究極の真顔(無表情)を決して崩そうとしませんでした……。



「さてと、お前たちも時間が惜しいだろう。私はヤムチャを連れて洞窟に戻るから用事があれば訪ねてこいよ。」



チッダールタはそれだけ言うと私の右足を掴んで洞窟へと戻っていきます。



「お前らぁー!!どうして俺だけスタークと同じ扱いなんだー!?」



よしだくんの家からは誰の返事も返ってきませんでした……。



「ヤムチャ、いい加減諦めろ。社会には変態の居場所は無いということだ。」




「お、俺は……小さなレディを愛でてるだけだぁーーー!!!」




周囲の木々を揺らすほどの声量で叫んでみましたがただ虚しいだけでした。


 きっと私のナレーションもここで終了することでしょう。

みなさん、それでは、さようなら……。





あーー何で俺がこんな目に遭わなきゃならねーんだよ!!!!










……さて、『ヤバイおじさん』が一人退場して残りのおじさんは一人になりました。


どうも、ロリコンには普通の人の3兆万億倍厳しいミーシャです。



 私にはこの空間が不快で堪らないわ!

なんでこのおじさんとまた再会しなきゃならないのよ!!



「いやー、それはなwきっと運命のであ……ゴガッ!!」


「ん??何ですって?運命のなあに???」



 私はライフルの銃口を再びシンタローの口に突っ込んだ。

どうしてこいつはいつも私の思考を読んでくるのよ!!



「……冗談でも言っていいことと悪いことがあるわよ?」



そしてわざとニコニコしながら銃口をシンタローの口から引き抜いてそう言った。




「ひぇーっ、ミーシャこわwww」


「にーちゃん笑ってるけどほんとうにこわいって思ってるの?」


「もちろんだ、あの状態でライフルを発砲されたら俺の人生が一貫の終わりだからなwwww」



……いーや、あれは絶対に楽しんでる!



いつか本当に発砲してやろうかしら……。



「お前ら……ふざけるのは程々にしろよ?本気で喧嘩でもして暴れられたら俺の家が跡形も無く崩れ落ちそうだ。」



 シンタローに制裁を加えてたらよしだくんに怒られちゃったじゃない!

私は悪くないわよ!?



「それはそうとして……まさかこのおじさんをこの状態で放置するんじゃないわよね??」


「話を聞く限りそれはさすがにマズイよね。どこかに閉じ込めておかない?」



 うーん、閉じ込めておくこと自体は悪い考えじゃないんだけど、私としてはこいつが近くにいるこ自体がもう嫌なのよね!



「閉じ込めるか……しかしシェルターをそんなことに使うわけにはいかないし、遠くに閉じ込めるならそれは洞窟に幽閉するのと変わらないからな……。」


「あっ。」



フジモンが何か思い付いたみたい。


でもこいつの考えることなんてどうせどうしようもないアイデアなんでしょうけど。





20分後……。




「正直なところ、雨風が凌げればなんでもいいと思うけどなーwww」


「それは正しいのかもしれないが……。さすがに可哀想な気がするのは俺だけか?」



 シンタローとよしだくんは電波塔の真下に『犬小屋』を建てているわ。

……確かに人が全然来ない割にはよしだくんの家から近いけども……。



「ミーシャ君?呆れたような表情をしているから言わせてもらうけど……駄菓子屋の店主よりは全然マシな居住環境だと思うよ??」



駄菓子屋の店主……?



ああ、キヌタニのことね。


 キヌタニはあんな惨めな姿になっちゃったから『店主』なんていう大層な肩書きで言われてもピンと来なかったわ。




そういえばいつからキヌタニはあんな風になっちゃったんだっけ?



 随分と前から首輪で繋がれたり、最近では服を着せてもらえなかったりって感じだけど……、これもきっとエリスのせいよね??



「いや一応言っておくけど、私はこいつを人間扱いするつもりなんてないわよ?別にキヌタニよりずっと酷い待遇でも歓迎なんだから!」


「実際服も来てなかったし、言葉もカタコトだったもんね、あっ…服を着てないのはキヌタニも同じだったね……。」




「じゃあこのおじさんには服を着る権利がないってことだなwwww」


「いや、気持ち悪いから服は着てもらうわよ!」


「シンタローと同じことを言うようで気が引けるが、だとしたらこのおじさんもこの辺に拘束しておいた方がいいな。」


「それは当然よ?せめて磔くらいにはしておいて欲しいんだけど?」


「それはやりすぎじゃないかい……?とりあえずき……き……て、店主と同じように縛っておけばいいと思うんだけどね?」



みんな考えが甘いのよ!!


私はどこからか鉄条網を取り出した。




そんな私を見たみんなの表情が固まったような気がしたけどきっと気のせいよね?





「おねえちゃん?それ……何につかうの?」


「何って……もちろんこのおじさんをこれで縛り上げるn……」


「待て待て待てっ!!お前はエリスが以前キヌタニにやったことをしようとしているんだぞ!!て言うか、そんなシーンをくーちゃんに見せられるか!!」



よしだくんは手に持っていたハンマーと釘を放り出して私の持っていた鉄条網を取り上げてきたっ!



「このくらい許してっ!そうじゃないと私の気が済まないのよ!!」


「いやいや!さすがにダメだってww普通におじさんが死んじゃうかもしれないだろ?www」



「ナイフお腹に刺さったまま何週間も生きてたおじさんがこのくらいで死ぬわけないでしょ!!て言うか、あんた顎に釘が刺さってるわよ。」


「え、、えっwwほんとだ!www」



 よしだくんの放り出した釘が運悪くシンタローに刺さっちゃったみたいだけど、まあそんなことは滅にいいとして!



「私たちだって殺されかけたのよ!?これくらいの苦しみは味わってもらわないとね!!」


「ミーシャ君!そんなことしても誰も幸せにならないよ!冷静になりたまえ!」


「フジモンの言う通りだよ!一旦落ち着いてよ!」




「悪いけど今回はあんたたちの言うことも聞けないわ!」



私は眠っているおじさんに近づいた……。





『ひいぃぃぃっ……!!!!痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイーー!!!!ぐあああっ…………!!!!!』



!!!!



不意にも……鉄条網をエリスに巻かれたキヌタニの悲鳴が頭の中に響いてきたわ……。




あんなことを……私はやろうとしているの??





「おねえちゃん……?だいじょうぶ……?」



 気がつくと、私の目の前には心配そうな顔をしたくーちゃんが立っていた。

もしかしたら思っているよりも長い時間、ここで突っ立っていたのかもしれないわ。



……私がエリスと同じことをしたらこの子はどう思うんだろう。




「……ねえ、私がもしもこのおじさんを苛めたら……くーちゃんは喜んでくれる?」



子供に私は何てことを聞いてるのかしらね……。



「……おねえちゃんが?…んーとね、このおじさんは怖いしキライだけど……おねえちゃんがひどいことしてたらわたしはイヤかな……。」



くーちゃんは少しだけ考えてからこっちを不安そうに見つめて遠慮がちにそう答えた。



……そっか。



「ふぅ……分かったわよ、鉄条網は勘弁してあげる。……でも!絶対にここから一歩も動けないようにすること!!こいつが脱走したら一瞬で蜂の巣なんだから!」


「……分かってくれて何よりだ。なら、ちゃんと拘束できるような小屋にしないとな。」


「了解だw俺の個性が溢れる建物にしてやるぜ!!ww」



「……シンタローはもうちょっと個性を抑えた方がいいと思うよ?」




こいつらに任せたら不安しかないけど……まあいいか。


 残念ながらヤムチャはロリコンから脱却出来ず、幽閉されてしまった回が100話目ですよ……。

本当に残念でなりません……。


 そもそもヤムチャは何でロリコンになってしまったのか……。

この先でもしかしたら語られることがあるのかもしれません……?


 そしてあのおじさんは、よく100エーカーの森まで辿り着けましたね……。

どうやって場所を探り当てたのでしょうか?


 野生の本能とかで分かってしまうのでしょうか?

匂いとか音とかで判断が出来るのか……??


 何はともあれ、この新キャラが100エーカーの森に波乱を巻き起こすのか否か?

彼は服を着てくれるのか??


読者の皆さんは服を着て次回をお待ちください……。

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