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道楽と 復讐と  作者: 刺猟
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朝と 夜と

どうもこんにちは刺猟です。年末です。今年は特別忙しくはない年末を過ごしています。お陰でゲームやら寝るやら時間があり余ります。(小説を書け)

さあ、今回の作品ですが、前回程の自信が無く、だいぶ迷走した感じです。そんな作品を出して申し訳ないです。

とりあえず今回もどうかお付き合いください。

それでは後書きで

さあ、喫茶店の朝は早い。俺とマスターが雑談していると、もう開店の時間になっていた。


「ずいぶんと早い開店なんですね。」

「ああ、モーニングコーヒーだよ。」


そんなものあっただろうか?

と思いつつも店の扉の鍵を開けたマスターと向かい合うと、そんなに面白くはなかったはずなのに、なぜかマスターと笑いあっていた。初仕事の緊張から来るものなのか、逆に緊張が解けていたからこそ笑ってしまったのか。まあそこは自分でもよく分からなかったが、少し楽しみであったのは事実だ。だって"初仕事"って響き、なんかワクワクするし。

そして開店から数分も経たずに今日の1番目の客が扉を開いた。


「おはようございます。」

「いらっしゃい お、依頼主さんじゃないか。」


そう、1番目はカイだった。


「おはようございます。カイさん。なかなか早いですね。」

「うん、僕の師匠が時間に厳しかったから。朝は慣れてるんだ。」


師匠というのは多分、昨日言っていたカイさんを拾って育ててくれた人のことだろう。


「じゃあいよいよ、俺の初仕事開始ですかね。」

「しっかりやるんだぞ、新人くん」

「あ、でも今日はそこまで張り切らなくていいよ。」

「え?」


そこまでかなり張り切っていた俺はカイの言葉に不意を突かれてマヌケな声が出てしまった。


「昨日ここに来たばかりだから、今日はこの街を少しばかり歩いてみようかと思ってて。どうせならヒロくんもどうだい?」

「あ、じゃあボディーガードも兼ねてお伴します。」

「なら、まずはここで腹ごしらえでもしてきな。サービスするぞ!」

「ありがとうございます!マスター!」


というわけで仕事の初日はカイとの親睦を深めるのも含めて、ミヤの街の観光ということになった。



2人は当然、最初はぎこちなかったものの、一緒に物を見て回ったり、食事をしたり、一緒に体を動かしたり、古くからの親友だったのではないかというほどどんどん仲良くなっていった。


「いやー、今まで年の近い人と遊ぶことなんて無かったから、今日はすごい楽しいよ。」

「俺も、友達と一緒に遊んだのなんてかなり前だったから、かなり充実してると思います。」


記憶を消された依頼人と、過去を焼かれた請負人はビジネスの関係だけでは無く、自身が置かれる状況などに親近感を抱き、この短時間で二人の間には、強い絆が生まれていた。互いを同情し、傷を舐め合うような、そんな薄っぺらいものではなく、お互いの気持ちを理解して、事情を理解して、孤独を理解して、自分と重ね合わせて、その上で絆が生まれた。この2人を見ると、同族嫌悪とはよく言ったものだなんて思ってしまうほどだ。

そして、一段落ついた夕暮れ時、夕食などの買い物をする人が多くなってきた街を2人はゆっくり歩いていた。すると、完全に緊張の解けたヒロに対してカイは突然、こう切り出した。


「ヒロくんは、なぜこの仕事をはじめたんだい?もっと安定する仕事はたくさんあったはずだ。」


これは、俺にとっては少し踏み込んだ質問であった。しかし


「カイさんなら教えてもいいです。」


なんだか俺も、随分と安くなったな。この話、おやっさんしか知らないってのに…


「これは、復讐のためなんです。あいつは必ず俺を殺しに来ます。でも殺されるのを待ってるのは嫌だ。だから多少有名なところに就いて、あいつに俺から会いに行ってやろうって。」

「やっぱり、それなりの理由があったんだね。」


理由といえば、聞きそびれていたことを思い出した。


「そういえば、カイさんはなぜボディーガードに俺を指名したんですか?もっと他にも優秀な魔法士はいたはず…」


そう、これを聞いていなかった。俺のどこに興味を抱いたのか、又は他の理由なのか。流石に答えられないって事はないだろ。


「分からない」

「は?」


今回ばかりはダメだった。口に出てしまった。どんだけ分からないんだ。


「ただ、師匠にボディーガードを勧められた時、数ある魔法士の資料を見ていると君が目に止まった。君に頼まなければいけない。そう思ったんだ。」


本当に謎が多い、多すぎる。彼に記憶があれば本当に手っ取り早い話なのに。本当に不便だ。


「もしかしたら僕たちはあの駅で会った時よりもずっと前に、会ったことがあるのかもね。」

「そんな事はあり得ないです。」


俺は俯きながらそう言った。だって。


「だって、俺が今まで会った中でカイさんみたいに暖かかった人は、家族か、友達か、先生か、俺の育て親くらいです。」


それ以外は、あの顔しか浮かばない。俺の憎しみに対する、あの笑顔しか。


「と、とにかく俺は、今日カイさんとこんなに仲良くなれてよかったです。」


雰囲気が急に落ちてしまったので俺は慌てて言葉を繕う。


「うん、僕もだ。じゃあ今日はこの辺で帰ろうか。マスターのところで夕食でも食べながらまたいろいろ話そう。」

「はい」


ボディーガードのはずが、何故か心のケアをされてしまってる俺が情けなくて、彼に甘えてる自分がいるのが悔しくて、この後の夕食はあまり喉を通らなかった。


やがて夜は深まり、床に着くと昨日とは一転。

これから先、彼をしっかり守れるのか、守られてばかりになってしまうんじゃないか、そんな不安が押し寄せてきて、あまり眠ることができなかった。




やがて夜は明け、昨日に引き続き穏やかな天候になった。

俺は明るくなっていることにも気付かず、布団から手や足を放り出し、大の字になって寝ていた。


「ほれ、新人くんよ〜。依頼主が来てるぞ。」

「何のヌシだって〜?ヌシが釣れるのか?」


釣りの夢でも見てたのだろうか。自分自身ではよく覚えてないが、そんな事を言ってたらしい。夢の内容も、寝言も全然覚えてないや。


「コイツ、2日目だってのに大丈夫か…」

「マスター、任せてください。」


そんな優しい声が聞こえたかと思うと次に聞こえて来たのはこんな言葉だった。


「修行に行くよ!」

「え?」


流石に寝ぼけてても、はっきりとその言葉は聞こえた。

修行だって?俺が?ボディーガードじゃなかったっけ?

どんどん頭が混乱していく。


「さあ、起きて!」

「は、はい」


なんだろう、あの人の声はよく通るせいかつい、指示に従ってしまう。

ホントに不思議だ。


「さあ、準備はできたね?」

「はぁ…一応…」


とりあえずは遠出をする準備だけして荷物をまとめた。


「じゃあ行こう。僕の師匠の右王のもとへ」

「え、右王?…ってええぇぇぇぇええ??!!」




汽車に揺られながらで悪いが、説明させてもらう。

この世界は1人の王と、その重臣2人によって治められている。

世界の最高位 本王

本王の護衛役 右王

戦闘の名軍師 左王

とまあ、こんな感じで言われている。

一般の民衆には知られていないが、この3人は最強の魔法士なのだ。だから、8年前の襲撃事件以降、3人とも姿を眩ませている。しかし、この世界がしっかり機能しているのは、3人が見えないところで苦労しているからに違いない。


だが、そのひとりの右王がまさか、カイの師匠だなんて…

衝撃的過ぎて言葉も出ない。汽車に乗って景色を眺めながら俺は、「右王の修行って何するんだろうな」とか「右王ってどんなひとなんだ」とか色々考えたものだ。


っていうか、ボディーガードの仕事中の俺が修行っておかしくないか?

なぜそんな事をさせるのか、俺はカイに真意を聞いた。


「だって、僕のボディーガードには強くなってもらいたいしね。」


その言葉に俺は、改めて無力な自分を感じた。

それどころか、右王のもとに着いたその夜には、俺の不甲斐なさ、弱さ、愚かさのすべてを、まじまじと思い知らされる事になった。

はい、というわけで朝と夜とでした。

第1部を出した時の「これ、完成したらヤバいんじゃね?」っていう余裕がどっか行きました。けどこっからです。ラストはしっかりとやります。終わり良ければなんとやらです。頑張ります。

それでは次回

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