図書館はシェアハウス
とても簡単な、前回までのまとめ。
私、染都願は一年後に死ぬらしい。そしてその暇潰しとして、余興として、死神、無々零の手伝いをする事となった。そして契約として、接吻をされた。人生初の。
「わあ、控えめに言って最悪」
「そう落ち込むなよ・・・。何分そうやって元受付カウンターだった場所でうずくまっているんだよ・・・。冬眠でもするつもりか?」
「します・・・。長い眠りにつきます・・・」
「それは困る、手伝ってくれよ」
手伝いどころか何もしたくない。穴があったら入りたい、そしてそのまま土をかぶせてくれ。
少女漫画脳ではないがさすがにこれは傷つく。自殺志願者だとしてもそこら辺は気にするタチなのだ。そのような機会が無いならば無いで構わない。しかし、あるならばあるで場所や相手を気にする権利も私にはあるのでは無いか? 気にして良いのでは? 唇を奪われた直後は怒りがこみ上げてきたが今では「やり直したい」そんな気持ちが心の中を占めている。そんな気持ちでいっぱいだ。
「じゃあもう勝手に色々と話すからな。大切なことだから一応聞いておけよ」
「はい・・・」
「お前の部屋は二階の自習室の・・・多分101だな。今から荷物取りに行くか?」
「はい?!」
驚きで腰を上げたことによってカウンターの机に頭を強打する。
その痛みで頭を押さえのたうち回るといてて・・・、とやっと身体を起こす。
「私はここに住むんですか?」
「別に家に住み続けてくれても良いが、契約者は狙われるぞ? 年中無休365日悪霊に追われたいのならばご自由に?」
この図書館はそんな者達が集まる場であるから結界があるがな。と付け足す。
そんなの選択肢が無いに等しいじゃあ無いか・・・。
「住みます、ここに。
そういった日常生活の面で質問なんですけど、学校とかって行って良いんですかね?」
「そうだな・・・。基本的には今まで通り、日常生活を送る者が多い。悪霊が活発化するのは夜と言うこともあって、昼間は比較的自由だ」
そうなんですね、と頷く。
仮に、仮にの話だが主婦などがこのお手伝いを命じられた場合はどうするのだろうか。
それとも、このお手伝いに選ばれる人間には条件などがあるのだろうか。人間なんて一日に何人死んでいることか。全員が全員命じられているわけでは無いのだろう。
ならば何故私は選ばれて・・・。
「何ぼけーっとしているんだ、荷物、取りに行くぞ。他の奴らが帰ってくると家から出られないだろうからな。良い奴らだが・・・。賑やかすぎる」
彼は苦笑いを浮かべる。ここには沢山の人が住んでいて、とても和やかな雰囲気らしい。この場所の認識が図書館からシェアハウスになっていく。
何故か明かりがついている理由はこれか。