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生きることが嫌いな少女が生を謳歌するお話。  作者: 素振りをする素振り
生きることが嫌いな少女が終わりに向けて一年を始めるお話。
8/15

さて、契約の時間だ

「悪霊ですか・・・。私の知識だとこの世にとどまって被害を及ぼす悪い霊、って感じなんですけれどそんな感じで?」

 「そんな感じだ」と頷く。

「ここに関しては申し訳ないのだけれど俺も詳しくはわかってないんだ。

どうやって悪霊が生まれるのか、俺はそれを知るほど権力を持っていないし、上もわかっているのか怪しいな」

「えっ、死神って組織なんですか? 会社なんですか? 上がいるんですか? 面倒な上が? 酒を無理に勧めてくる上司が?」

「上はいるが酒を無理に勧めては来ない。死神の世界はホワイトだ」

「素晴らしい労働環境ですね」

 現世のブラック企業の方がよっぽど死に近そうだ。

「手伝いの話に戻すが、悪霊は俺たちでは太刀打ちできないというか・・・、一応できるんだが安定しないんだ。

向こうもこちらも「現世にはいない者」同士として接触するだけで「溶け合う」んだよ」

 戦闘はできるが厳しい、そういった感じか。

「それで、だ。お前たちは「現世にいる者」なんだ。悪霊とは溶け合わない」

 ははぁん、話が見えてきた。

「つまり、悪霊と戦うことのできる私たち生者の力が必要だと。そしてその手伝いをさせる為の餌が「寿命を延ばす」なんですね。

仮にそれが嘘だとしても、生にしがみついている、生きたい、そんな生者は受けますもんね。なるほど」

「言い方が悪いなぁ・・・。寿命を延ばすのは本当だ」

「寿命が一年後であり、それまでは死なない人間を使う、と言うのも良いシステムですね。

死なないから好きなように扱える」

「おっ、それに勘づいたか。それは黙っておくとより便利に事が進む魔法の言葉だ」

「そちらも十分タチが悪いじゃあないですか・・・」

 やれやれ、と私は笑う。

 死神さんもお互い様だな、と笑う。


 うん・・・。良い。とても良い。

 とても楽しい!!!

「その話、お受けしますよ。話を全て聞いた上での返答です。その宙に書かれた契約書? にも目を通しました」

「そうかそうか、それでは、一年間よろしく頼むな、染都願」

 死神さんの指しだした手を私は強く握る。

「よろしくお願いします、ちゃんと殺してくださいね、えぇっと・・・」

「無々零」

「無々零さん」

 彼は、零さんは今までと同じように面白そうに笑う。

 私もこの状況がたまらなく面白くて、心の底からニッと笑う。

「さて、契約の時間だ願」

 一年後殺してもらう、普通は寿命を延ばしてもらう、それだけのことをしてもらい、私たちは一年間敵と戦い続けるのだ。

 契約は大切だろう。

 しかしこれは聞いていなかった。これは。初めてなんだけれど。奪われた。


 唇を奪われた。


「へっ?」

「おい魂抜けてるぞ。っと、死神の俺が言うと洒落にならんのかこれ」

 いやいや、洒落とかどうでも良いし、本当に洒落になっていない。

「き、聞いてませんこんな事をされるなんて!」

「これが一番マシな方法なんだ。俺の中にお前の、現世の者の成分を取り込んで、お前の中に俺の、現世の者でない者の成分を取り込ませる。これで俺たちは一緒に戦えるという物だ」

「理屈はわかりましたが他に何か方法があったでしょう?!」

「他にもあるっちゃああるが、同時に互いの成分を交換する必要があるからなぁ・・・。これよりもハードな物・・・、お前F○teって知ってるか」

「わかりました、全てを察しました。これで良いです。

とでも言うとでも思いました?!」

 死神さん改め無々零と出会い、契約を結び、私の新たな一年が始まった。

 はじめに起こした行動は零さんの頭をおもいっきりげんこつでぶん殴ることだった。

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