自殺志願者さんの味方であり敵
「そうだ 死のう」
そんな気持ちを胸に私は帰宅して早々、荷物を部屋に放り投げ町外れの図書館へ向かった。
一日考えても良い自殺方法は考えつかなかった。
自殺に良いも悪いもあるものか!、どこかのお偉い様にそう怒られてしまいそうだが何を言う、勿論自殺に良い悪いはある。
私の思う良い自殺とは、極力人に迷惑をかけない方法だ。
よって車や電車に熱い抱擁を交わしに行く行為は選択肢から除外。
それを除いても自殺方法などごまんとある。
だから私は先人の知恵を借りることにしたのだ。
つまりは図書館でこの町で起きた過去の事件等を纏めてあるファイルを漁る、その選択肢をとった。
いかんせん古い図書館、現代らしい、ネットでワンクリックで物を揃えられない時代の方法、今すぐ行動に移せる簡単な物に違いない!
私は図書館で理想の物を見つけ、日が落ちるまでにはゲームクリア、目的達成!、そう思っていたが会ってしまったのだ。
出遭ってしまったのだ。「彼」に。
彼は曇った窓からでもよくわかるほど光り輝く夕日を背に面白そうに笑った。
そしてゆっくり口を開いたのだ。
「初めまして、俺は死神。自殺志願者さんの味方であり敵、死神さんだ」