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生きることが嫌いな少女が生を謳歌するお話。  作者: 素振りをする素振り
生きることが嫌いな少女が仲間に出遭うお話。
14/15

さて、仕事だぞ

 ねがいおねえちゃんはみていてね!、と目配せすると揺ちゃんは悪霊に向かって飛び込んでいく。

 勢いよくハンマーを振りかぶると(相当な大きさだ。揺ちゃんにそう筋力は無いように見えるし、またも一般常識にとらわれないシステムなのかもしれない)おもいっきり地面に叩き付ける。

「UAAAAAAAAAAAA」

 言葉にならない叫び声を上げると靄は四方八方へ散り、何も無かった、そう言わんばかりにオレンジ色の明かりが点滅をした。

「これでおわりよ。ねっ? かんたんでしょう」

 「確かに」そう呟こうとしたがそれは無理だった。

 ガッ!、と何者かに腕を引っ張られたからだ。

 願!、ねがいおねえちゃん!、の声も虚しく、引っ張られた方向、後方地面へ向けて私は倒れ後頭部を強打した。

 「いったああああ」

 言葉になんとかなった叫び声を上げ目を開けるとそこにいた。

 靄が。

 悪霊が。

 顔は靄で確認できないが思った。

 笑われている、と。

 馬鹿にされている。

 とろい奴だ、と。

「おっまえー!」

 思わず手が出たがその手は靄に溶ける。ふわっと私の手の輪郭がゆがむ。

「願!」

 強引に足を引っ張られ悪霊と向き合う時間は終了。

「何やってるんだよ阿呆なのか? 言っただろ、死神と霊は溶け合うんだ! 死にたいのか? あぁ、そうだったお前は死にたいんだったよな!」

 このやろう!、と今度は前頭部をぶたれる。頭が悪くなってしまいそうだ。

「そんなおこらないであげて。それに、すごいはねがいおねえちゃん、はんげきするなんて」

 おもしろいわ!、と笑われた。なんだろうこの微妙な気持ち。

「折角だから。あれは。君たちが。やったら?」

「・・・そうだな、戦い方を覚えないとな」

 零さんに脇を捕まれる形で立たせられると「さて、仕事だぞ」と乱れた髪を整えられる。

「先ほど見た通り、俺たちは武器に形を変えることができる。その形であれば悪霊と溶け合う量も微量で済む。武器への変形は簡単だ、お前がイメージすれば良い。その形に変わってやろう」

 武器のイメージならば得意だ。アニメや漫画で大量に知識を仕入れている。

 好きなのはやはり銃。けれど日本刀なども良いかもしれない。

「・・・まあ、結局はこれに限るよね」

 私は青色に輝く大きな鎌を握って頬を緩めた。

 死神と言ったら鎌だ。

「悪霊は攻撃をすれば霧消する。胴体を真っ二つ、が一番やりやすいな」

 脳内に零さんの声が響く。

 ぐっ踏み込むとふらふらと落ち着かない霊めがけて飛び込む!

「くらえっ!!!」

 大きく振りかぶると胴体に思い一撃を!

 靄が印象強いため空気でも切る感覚かと思いきや「ぐりっ」「ぼきっ」「ぐしゃっ」と明らかに内臓や骨を真っ二つにした感覚が。

 その感覚に耐えながら「えぇい!!!」と鎌を振りきる。

 歪んだ靄がそのまま空気に溶ける。

「はぁ・・・」

「お見事だ、願」

「すごいわおねえちゃん!」

「有り難う・・・」

 駆け寄ってきた揺ちゃんにお礼を言いながらも切った時の感覚の不快さに胃液が喉まで上がってくるのを抑える。

 壊した。殺した。人を。殺人を犯した。そんな感覚が両腕を苛む。

「どうした、気分でも悪いか」

 人型に戻った零さんが心配そうに私の顔を覗き込む。

「正直気持ちが悪い・・・。人間を・・・壊した味がする・・・」

「人間を・・・? 霊は肉体から離れた魂であって、そんな感覚を覚えるはずは・・・」

 零さんの不思議そうな声は最後まで届かなかった。

 気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い気持ちが悪い。

 有り体に言えば意識を手放した。

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