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"motto" は、誰?

「山手です」


 女性だった。年齢は40前後といったところだろう。細身のきれいなひと、というのが3人共通の第一印象だった。

 僕がこれまでのいきさつを話し、すっ、と ”朝顔の露” と ”花に譬えて朝顔の” をテーブルに並べる。


「ごめんなさいね」


と断りながら、食べていたサンドウィッチの手を止め、本を手に取った。彼女は市の介護情報をワンストップで収集できるこの施設で契約社員として働いている。市の正職員ではなく、第三セクター法人の社員だ。介護用品のショールームがあるため、お昼は交代制で、今日は13:00からの遅番なのだ。施設内にあるティールームで僕たちは会合した。


「すみません、貴重なお昼休憩のお時間に」


 カヤノンの言葉に、いいえ、と軽く答えてから山手さんは ”朝顔の露” と ”花に譬えて朝顔の” を交互に読んだ。


「"motto" は多分私の娘です」

「え? 娘さんですか?」

「はい。高校1年生です。小説の投稿をしてるなんて全く知りませんでしたが、他に考えられません」

「その・・・ご家族のご事情に立ち入るようなことをお聞きしますが、どうして山手さんはひいおばあさまの文章を本にしようとお思いになったんですか? それと、娘さんではないかとお思いになるのはどうしてですか?」

「・・・すみません、わざわざここまでお越しいただいて本当に申し訳ないのですが、娘に直接訊いて頂けないでしょうか」


 何か言いたそうな久内さんを僕は制した。


「分かりました。娘さんとお会いしても構いませんか?」

「はい。構いません。娘は今、施設ですけど」

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