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「とりあえず君、仕事何してるのかな?」「あ、勇者です。」「うん、署まで来てもらおうか」

作者: さやか

思いつきにて書く。

見るからに怪しい奴を見つけた。

ここは真夜中の繁華街。

外国人も日本人もチャラチャラしていてしていて善人には見えない。

女は娼婦に男は麻薬の密売人に見えるのは俺の職業柄だけじゃないはずだ。

そんな事より、娼婦だか密売人だかを押しのけ怪しい奴がいる。

一緒にいる仲間もドン引きレベルだ。

おそらく外国人だろう。

白い肌

髪は染めているのか?青色だ。

遠目でも人目をひく程の美丈夫だが、いかんせん服装がよろしくない。

…鎧?は、まだ許そう。

腰にさげてるのは…剣?

まさか、本物って事はないよな。

「職質いくぞ」

「やはりいくんすか?」

「あんなあからさまに怪しい奴放置とか無理だろう」

「ですよねー」

そんな訳で怪しい奴に声をかける。

「すみません、ちょっとお時間いいですか?」

声をかけられ怪しい奴は此方を見る。

近くで見ると本当、かっこいい。

こんな格好でなければ逆ナンパの嵐だろうに。

「あ、はい、なんでしょう?」

自分が怪しい奴との自覚がないのか笑顔で応じてくれる。

「すみません、日本の方ですか?」

「あ、いいえ、僕ウェルデニアから来ました。」

「ウェルデニア?じゃあ、パスポート見せてもらえる?」

「パスポート?なんですかね?それ?」

「…」

俺は仲間に視線を送る

仲間は無線で連絡を入れる

「何か身分証明書とかあるかな?」

「ああ、身分証明書?うーん、聖剣じゃダメ?」

かちゃりと腰の剣を触る。

「うん、それ本物?」

「うん、本物」

『身分不明者、刃物所持』

仲間が無線で追加情報を流す。

「そっか、日本ではね、刃物所持は犯罪なんだよね」

「えっ!そうなんですか!」

心底驚いたと言う顔をする。

「じゃあ、スライムとかでたらどうするんですか?」

「…うん、でないからね〜」

『心神喪失の可能性有り』

「えっ!そうなんですか、すみませんまだ不慣れで。」

不慣れとかの問題ではない。

「とりあえず、君、仕事は何してるのかな?」

「あ、勇者です。」

あ、パトカー来た。

「うん、とりあえず署に行こうか」

こうして俺達は自称勇者を保護した。


「立川先輩」

「お、津村か、お疲れ」

先輩は俺に缶コーヒーを投げて寄越す

「お前か?勇者拾った奴って」

「そうっす」

俺は缶コーヒーを飲みながら言う。

ここは勇者を連行した署だ。

現在勇者は取り調べ中。

いや、ここに取調官の先輩がいるのだ。

休憩中なのだろう。

「あれって…」

まさか本物じゃないですよね?

ただの妄想癖ですよね?

一縷の望みを込めた視線を送れば先輩は首を横に振る。

「本物のようだ…」

「マジっすか」

俺はため息をつく。

勇者とは悪を挫く正義の味方。

魔王を倒す存在だ。

ここはファンタジーな世界ではない。

ごく普通の日本で、俺は唯の警察官だ。

ただ、勇者を受け入れる土壌がここにはある。

それは都庁に住んでる魔王のせいだ。

数年前にしれっとやってきて当たり前のように住んでいる。

多少の迷惑をかけてはいるが法治国家に妙に馴染み信じられないが法律上問題なく滞在が許可されている。

法律上問題になるような犯罪行為もしていない。

きちんと経済活動をして、納税している。

そんな魔王がいるせいで勇者が来ても嗚呼いらっしゃいってな感じだ。

「で、どうするんですか?」

「お引き取り願うよ。」

「帰ってくれるんですか?」

「とりあえず、今日はここにご宿泊。」

言われて俺達は同時にため息をついた。

魔王来訪の時はひどかった。

異世界に返す手段を持たない俺達日本国民の混乱ぶりは筆舌に尽くせない。

どこの国にも所属しない謎の力を持つ人間ではないが人間のような外見をした生き物。

人権は魔王にもあるのか

人ではないのだからと切り捨てる事が出来なかったから今魔王は日本でまったり暮らしてる。

扱いは政治犯の亡命者。

気付いたら永住権を取得していた。

日本国民は同じ轍を踏んではならない。

意地でもお帰り願う。

これ以上異世界人を受け入れる土壌はない。


無論、帰ってはくれず、かと言って日本に永住権を持つ国籍取得済みの魔王を討伐させる訳にもいかず。

結局。


「先輩!いつぞやはお世話になりました!

今日から先輩の元でお世話に成ります!」

勇者は警察官へとジョブチェンジしたのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続かないのか……思うだったのに……
[一言] オチに笑いました(^ω^) こうやってドンドン余計なものが日本に増えていくんですねw 面白かったです(*≧∀≦*)
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