誰も頼んでなんかない
究極の二択って、聞いたことある?
下品な例えだけど、う○こ味のカレーか、カレー味のう○こか、みたいなやつ(笑)
あの時の僕は、究極の二択なんてそれくらいに捉えていたんだ。
夏が始まるまでは。。。
7月。丁度夏休みが始まった僕は、どこぞの田舎で夏を過ごすことになった。
理由は、、、、、、聞かないでくれ。
俺の祖父の家だ。まあ、こんな場所に住んでるせいで、小さい頃以来会ってないけど。
ネットもない、友達も居ないこの辺境で、今日7月21日から、9月7日まで過ごさなくちゃあならない。
つまんねーーーー!!!!!って言いたいとこだけど正直、人がいない所に来れて嬉しかった。
まあ、傷心旅行的なノリかな。
「ピンポーン!!」
なんて音は鳴らない。ここド田舎だもの(笑)
ガラララッ ガチャ。
「久しぶりです。今日からお邪魔します、○○です。」
失礼ながらいきなり吹いたぜ。
(´◉◞౪◟◉)←こんな顔した爺さんが、鏡の前でジョジョ立ちしてた。
なんか漫画好きの面白い人って聞いてたけど、まじかよおい、、、
「おお、○○か。遠くからよう来た。ついておいで(頬を赤らめながら)」
これが10年以上会っていない孫と祖父の会話かぁ。。。
ってか歩き方と喋り方一致してねえなぁ。なんて思いながら。
「お前の部屋はここだッ!!好きに使うといいッ!」
今更喋り方が追い付いてきた。んで、9畳くらいかな?なかなかいい部屋じゃねえか。
「ありがとうございます。」
「じゃあわしは自室に居るから。うかつに立ち入るんじゃあないぞ?」
どうせまたあの変なポーズ練習すんだろ。
さあて、早速暇だ、何しよう。
ってか、結構普通に物考えてたけど、俺は傷心してここにきたんだよな。
こういう場所に来ると、ありえないくらい平和で、日常に戻っちゃうよなぁ。
やばい、来た。思い出したくもないあの場面。海を見たせいだ。
今まで堪えてたけど、もう限界か!!
動悸が速くなる。心臓が破裂しそうだ。息もできな
ガチャッ
「そうそう、おつかい頼みたかったのを忘れていたぜ。ここの散歩がてら行ってくれるか」
はあ、、、はあ、、、
(´◉◞౪◟◉)←こいつの顔見たおかげで助かった。
感謝の印として、気が向いたときにあだ名でもつけてやろう。
「あ、はい。何をすればいいですか?」
「ちょっとコンビニにジャンプ買いに行ってくれ。地図と金だ。」
ん?ちょっとコンビニ行くのに地図??
まあいいか。
「行ってきます。」
ガチャッ
はあ、、、はあ、、、
どれくらい海岸沿いを歩いただろうか。ちっとも道路が見えない。
この雑な地図によると、海岸をひたすら歩くと道路が見えて、
その一本道にコンビニはあるらしい。
(もうこのペースで30分歩いてるぞ。。。?)
なんて思ってたら、道路が見えた。
斜めの坂だ。道路に入る。
んん?コンビニなんてねえぞ?一本道ですらないし。。。
おいおいまじかよ!!
すると、坂の上から声がした。
「およよ?ここの人じゃないですね?」
夏服を着た女の子だった。同年代くらいの。
「あ、ああ。夏休みの間だけ、この海岸沿いにある爺ちゃん家に。
ところで、コンビニのある場所を教えてくれないか?」
すると女の子は、ニヤりと笑ってこう言った。
「私に勝ったら、教えてあげましょう。。。」
15分くらい経った。
「う、うそよ!!この私が、しりとりで負けるなんて!!
ここら一帯の人間には勝利しているのよ!?」
田舎だなあ。。。(微笑)
「小さい頃流行ったからな。その手の遊びはとうにに極めている。
さあ、場所を教えてもらおうか。」
ちょっと仲良くなった。名を、朝倉 六花というらしい。
「こっちです。○○君。」
親切な彼女は、ついでに町の案内をしてくれた。彼女の通っている高校や、主な店。
驚いたのは、自販機がそこそこ多かったことだ。
「なかなか綺麗な町だな。驚いたよ。」
「でしょでしょ!実は私も中1の時、東京から引っ越してきたんだ。
だから、君の今の気持ち、わかるよ。」
「ほう。だからしりとり弱いのか。」
「ムムッ聞き捨てなりませんな」
彼女は、頬を膨らませながらも、町案内をしてくれた。
夕日が昇ってきたころ。
「今日はありがとう。お礼になんかおごるよ。」
「お、じゃああずき汁お願い。」
可愛くねえチョイスだな。。。
海が見えるとこに座ると、ふと彼女は言った。
「○○君は、なんでわざわざここに?」
「特に理由はないよ、爺ちゃんに会いに来たんだ。んで、まったく同じ質問を君に返すよ。」
「あたしはねぇ。。。」
間が開いた。
「両親が死んだの。」
おっと。こりゃまずい
「あ、ごめん。。。悪いこと聞いたね。」
「別にいいよー(笑)あたしから聞いたんだしさ」
それから色々話した。すっかり息が合うようで、明後日に一緒にでかける約束をした。
初日から友達ができたのは嬉しい。
自分の事情を知らないから、気が楽だ。
俺は漫画も無事入手し、帰ることにした。
その日の帰り道。俺は何も考えずに、帰り道を歩いていた。
あの出来事からは、日が経っている。
だから、自分の中ではある程度整理がついていた。
しかし以前、現実が見れない。だからここに来た。
海岸沿いを歩いていると、誰もいないはずの海から声が聞こえた。
当然驚く。
僕はこの時、吐き気が止まらなかった。
理解すればするほど、自我が崩壊していった。
_振り返るとそこには_
人魚がいた。
「あなたが落としたのは、こっち?
それともこっち?」
究極の二択って、知ってる?