飛来!…巨大飛行母船。
(((ピカッーーーッ)))
夜空が昼間のように明るくなるほどの
目映い閃光が辺りを包んだ。
『あれは、何だ!?』
夜空を見上げる人々が、指を差して口々に叫ぶ。
巨大な銀色に光る葉巻型の飛行母船の姿が空に浮かんでいる。
『どこから現れたんだ!?』
西京都の最高塔、プラズマスターの窓から、この光景を偶然に目にした漆葉大地。
彼女である清廉涼花と食事をしていた最中の出来事であった。
ブウーブウー……
マナモードの涼花のスマホが鳴った。
『お父さん!』
『えぇ…今、プラズマスターのレストランの窓からハッキリ見えるよ!』
葉巻型の飛行母船から一機の六角形が飛び立った。
大統領官邸であるシオンの中庭に、六角形が降り立つ。
レストランに据えられている大きなテレビジョンに大統領の映像が写し出された。
『大統領のアントニオ.クレイディアです。』
『人民の皆さんに、これよりお伝えしなければならないことがあります。』
『新たな時代の幕開けです。』
『永い人類の歴史の中で大きな転換点が今まさに始まろうとしています。』
『この地球以外にも生命体は、確かに存在しています。』
『そして彼らは我ら地球人類との友好的な共存を、望んでいることを表明しています。』
『これからの時代は私たちの住んでいる地球だけでは語ることはできません。』
『グローバルな惑星間時代、新世界秩序へと移行して行くことでしょう!』
そこまでで、テレビジョンの映像が途切れた。
『涼花の親父が言っていた事が本当になりそうだ…』
大地が巨大な飛行母船を見ながらボソッと呟いた。
『大地君…お父さんからの依頼、受けるの気になったの?』
涼花が大地の顔をのぞきこんで訊ねた。
『まさか、こんなに早くなるとは思わなかった……』
『アァ!、受けてみよう思う!』
『少しでも親父さんの俺に対する心象をよくしておかなくっちゃなぁ!』
『ここは、点数を稼ぐチャンスだ!((笑)』
『イケメンで金持ちの、水戸等がお前のこと、狙っているらしいしー!』
涼花は頬を赤らめて答えた。
『ヤァネー!、私の彼氏は大地君1人だよ!』
背中を強めに叩かれて咳き込む大地。
相変わらずの……力
大地は今更ながら涼花には、逆らわないようにしょうと心で誓った。
しばらくすると六角形が母船へと帰投する姿が見えた。
その後、母船が現れた時と同じように目映い閃光が辺りを照らした。
巨大な飛行母船は、いずこともなく姿を消していた。
夜空には何事もなかったように星々が煌めいている。
夢なのか現実なのか……半信半疑の間で心が揺れる。
ふと……テーブルに目を移す大地。
『あれ?』
『ここにあった、俺のデザートはどこ?』
カウンターの外で手招きする涼花。
満面の笑顔で大地にペコリとお辞儀をした。
『今夜は、ごちそうさまでしたー!』
確かに、新世界秩序への扉が開かれつつあった。