第4話 湧き寄せトラップ
明日はお休みするかもです
書き溜めが無くなりそうなのでw
魔法師学園敷地内にある迷宮へとやって来た、鉄閃と千。
二人は迷宮入り口付近にある、学園が経営している道具屋で、転移石を1つずつと傷薬を数個買って迷宮へと入った。
転移石というのは、使用することで迷宮の入り口に瞬時に戻ってくることが出来る不思議アイテムで、1個1000円で売っている。
傷薬は、下級、中級、上級の3つに分かれていて、それぞれ怪我の回復速度が段違いだ。
下級は1個250円で、切り傷などの軽い怪我を治すのに使われる。
中級は1個750円で、指が切り落とされたりといった軽い部位欠損や骨折を治すのに使われる。
上級は1個1,250円で、腕が切り落とされたりといった重度の部位欠損等を治すのに使われる。
魔法にも回復魔法があって、回復魔法は水属性の専売特許だ。
魔法はイメージが重要で、イメージがしっかりしてないと発動できても中途半端だったり、暴発したりといったことになり、自らや仲間を危険にさらすことになる。
故に、魔術師はイメージ力を真っ先に鍛えるのだ。
「準備はOK?」
「良いですよ」
「じゃあ行こっか」
そして二人は迷宮へと入っていった。
† † †
ーー《魔法師学園・池袋校敷地内にある迷宮第1層》
「この辺は楽勝だよね」
「そうっすねー」
「だんだん雑になってきたね、言葉遣い」
「すいません」
「いや、僕としてもあんまり敬語は好きじゃないし構わないよ」
「じゃ、お言葉に甘えて」
そんな他愛ない会話を交わしながらも、向かってくる魔物を蹴散らす二人。
今も一直線に向かってきたゴブリンを鉄閃の魔力弾が撃ち抜く。
正確に頭を撃ち抜かれたゴブリンは、その体を光の粒子に分解され消えていった。
後に残ったのは、ゴブリンが持っていた錆び付いた汚い剣だけだった。
魔物は倒されると光の粒子に分解され、その場にドロップアイテムを残して消えていく。
どんな原理だかは知らないが、大昔からそう決まっているのだ。
「ゴブリンの剣とか要らないよねー」
「そうだな」
「一気に行っちゃう?」
「それが楽だろうな」
「よしっ、行こっ」
そう言うや否や、魔力で足を強化して走り出す千に置いていかれないように、自分も足を強化して追いかける。
現れる魔物をすべて蹴散らしてどんどんと階下へと進んでいく二人だった。
† † †
ーー《魔法師学園・池袋校敷地内にある迷宮第5層》
現れる魔物を蹴散らしながら、魔力で足を強化して一気に迷宮を駆け降りること数十分。
二人は第5層まで降りてきていた。
「あ、宝箱」
「おいっ、不用意に近づくな!」
二人が5階層を歩いていると、ある程度広い小部屋に1つの宝箱がポツンと置かれていた。
千はそれを見ると、何の警戒もせずに歩いていった。
迷宮内には、宝箱が置かれていることがある。
その宝箱には二種類あり、1つはただの宝箱。
もう1つは罠の宝箱だ。
中身は、入っていることには入っているのだが、不用意に近づくとトラップが発動して、どんどんと魔物が湧いてくる。
「離れろ、嫌な予感がーーッ!」
鉄閃が警告するも、一足遅かった。
千が入った小部屋の入り口から扉がせり出して、入り口を塞ごうとしだした。
鉄閃は慌てて小部屋の中に飛び込むと、千と背中合わせに立った。
千の獲物は巨大な大剣だ。
魔力で両腕や腰、脚の筋力を強化して扱うらしい。
次々と涌き出てくる魔物を千と協力して、蹴散らす。
ゴブリンやゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ゴブリンナイトといった様々なゴブリン種が現れる。
鉄閃は率先してアーチャーやメイジといった後方支援職のゴブリンを倒していく。
撃ち抜き、切り裂き、叩き切り、次々とゴブリンを殲滅していく二人。
「めんどくせぇな、ったく」
「ははっ、ごめんごめん」
「あー、いや、先輩を責めてる訳じゃないから」
「そう言ってくれると、ありがたい、なっ!」
「とにかくっ、やるしかない、なっ」
会話をしながらも隙無く魔物を倒していく。
数分後。
そこには疲れてはいるものの、怪我という怪我はしていない鉄閃と千の二人が座り込んでいた。
「あー、つっかれたー」
「宝箱の中身はなんだろなー」
千が宝箱を開けてみると、そこには黒いベルトと1枚の紙切れが入っていた。
ベルトのバックルには月桂冠が描かれていて、紙切れに書かれた説明によると、装備者に向かってくる攻性の魔法の威力を半減させる、らしい。
「これは、君にあげるよ」
「良いのか?」
「うん、迷惑かけちゃったし。君がいなきゃ僕は死んでただろうしね」
「じゃ、ありがたく貰っておく」
「そうしてくれ。さて、戻ろうか」
「あぁ、そうだな」
月桂冠のベルトを千から受け取った鉄閃は、千と共に転移石を床に叩きつけることで発動させる。
† † †
「っと」
「ほっと」
一波乱あったが無事に地上に戻ってきた二人。
「じゃあ僕は明日の模擬戦の申請を出してくるよ」
「あー、出来れば明後日にしてくれるとありがたいかな」
「それも、そうだね。分かった明後日にしておくよ」
「じゃ、俺はこれで」
「うん、じゃあね」
模擬戦の事などすっかりと頭から抜け落ちていた鉄閃とは対照的に、しっかりと覚えていた千だった。
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