透明人間からの挑戦状
その頃警視庁で千間刑事部長と月影監察官の二人が合田警部を呼び出し、会議をした。
「午前八時頃これが届きました」
月影は手紙を差し出した。
『八月八日午後五時。株式会社センタースペード本社ビルで籠城事件を起こす。その前に証拠を見せてやる。透明人間』
合田は怒った。
「センタースペードは木原と大野がいる所だろう。午前八時にそれが届いたのだろう。それを今どうして報告した」
「椎名社長は悪戯だと言ったから本格的な捜査が出来なかった」
月影が続けた。
「ここからが本題です。その手紙には鍵が入っていました。その鍵を鑑識に調べてもらったらお台場にあるマンションの物だと判明して、そこに潜入したら身元不明の他殺体がありました」
千間が補足した。
「死後一カ月程度経った男の他殺体らしい。所持品は家の鍵が無くなっている。部屋にある机には紙が置いてあった。それがそのコピーだ」
『私は透明人間。そう。これはあなた方への挑戦状。八月八日午後八時。大きな花火を打ち上げよう。忌まわしきセンタースペードを落城するために。運命を掛けたゲームをしよう。爆弾はパスワードを入力することで解除できる。ただし三回間違えたら即爆破されることを忘れるな』
「この文章と先ほどの手紙を繋げるとこうなる。今日の午後八時にセンタースペードを爆破する」
「爆破予告だ。今その会社を恨んでいる人物を洗っているのだが、容疑者が中々浮上しない。手を貸してくれ。椎名社長は今札幌に出張している。札幌に喜田参事官を向かわせて説得を開始している」
すると合田の携帯が鳴った。