密室の六人
その時警備室のドアが突然閉まった。佐野が開けようとしたがビクともしなかった。
そして大野はあるものを発見した。
「爆弾だ。爆弾がセットされている。タイムリミットは三時間だ。今すぐ避難したほうがいいでしょう」
稲葉は反対した。
「唯一の出入り口は犯人によって閉じられたから逃げ場はない」
「犯人の卑怯な罠か。方法はあります。この爆弾にはテンキーが装着されています。パスワードが設定されている可能性があります」
「しかしパスワードが分からないでしょう」
「そうです。もしも間違ったら爆弾が爆発する細工がしてあったらどうしますか」
佐野の発言に六人の男女の顔は青ざめる。その空気のことを考えず木原は事情聴取を始める。
「では事情聴取でもしましょうか。皆さん不自然な点はないでしょうか。小さなことでも構いません」
川上が手を挙げた。
「コーヒーカップがありません。彼はいつもこの時間にコーヒーを飲んでいます」
「それは昨日の夜うっかり彼のコーヒーカップを割ったからだ。事件とは関係ない。時間とは関係ないと思うが東薫がここに来たぜ。一時間前だったかな」
佐野は東の方を見た。
「東さん。何をするためにこの警備室に来たのですか」
「コピー用紙です。資料用のコピー用紙が足りなくなってこの警備室の先にある倉庫に取りに来ました」