警備室での殺人事件
三人は急いで警備室に行った。警備室には東と稲葉の姿があった。その目の前には辻雅夫の遺体があった。
大野は遺体に近づき、木原は二人に聞いた。
「辻さんの遺体に触った人は」
すると右から一人の男がやってきた。
「触ったのはこの俺だ。東さんと稲葉さんは触っていない」
「あなたは誰ですか」
「警備員の佐野勇作だよ。刑事さんだろ。死因はなんだよ」
大野が言った。
「まだ断定はできないが青酸系の毒薬を飲んだことによる中毒死か」
「それで故障の原因は分かりましたか」
「今調べます」
佐野がパソコンで不具合を確認して修正した。しかし故障が直ることはなかった。
「違う。これは故障ではない。何者かがこの会社のコンピューターをハッキングしてセキュリティーシステムを書き換えている」
佐野の言葉に反応して大野は推理した。
「やっぱり。この手紙には必ず開かずの間を開けるという犯人の意志が書いてあります。つまりどんな手段をしてでも必ず開ける」
木原が続けて言った。
「全てのドアが一斉に故障することはめったにない。一斉に故障したことが事実なら犯人が意図的に故障させた可能性が高い。おそらく犯人は透明人間と名乗る人物。まだ辻を殺した人物と同一人物か断定できないが」