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七人いる  作者: 山本正純
第二章
12/25

喜ぶのはまだ早い

 爆破まで後二時間を切った警備室。その時閉じ込められた六人の男女にいいニュースが舞い込んだ。椎名社長が要求を飲んだと合田から電話があったのだ。稲葉たちはうれしそうに言った。

「これで解放される」

「椎名社長を信じてよかった」

 しかし大野だけが深刻な表情だった。

「皆さん。喜ぶのはまだ早いです。犯人からの要求は聞きましたよね」

 佐野が答えた。

「一億円の価値があるものを持ってこいだろう」

 大野は人差し指を立てた。

「一つだけ気になることがあります。犯人はなぜ一億円の価値がするものを要求したのか。現金でも宝石でもなく、一億円の価値がするものという曖昧な物を要求していることが奇妙です。所で椎名社長が出張することが決まったのはいつですか」

 稲葉が答えた。

「一か月前だった。それまでは俺が行くはずだった」

「稲葉さんが。」

 川上が補足した。

「椎名社長はあるプロジェクトのプレゼンをするために札幌に行きました」

「その発案者は加藤一成。一か月前会社を辞めた男さ。それから連絡が取れない」

 木原が詳しいことを聞いた。

「加藤さんというのは辻さんが持っている財布と同じ物を、川上さんが送った男ですか」

「はい。詳しく言うと私の元彼氏で佐野さんとは同期。稲葉さんの部下で東さんの上司だよ」

「加藤さんに関係している人が揃ったということか」

 大野は閃いた。

「因みに辻さんと加藤さんの関係は何でしょう」

「高校の先輩だったかな」

 大野は再び質問する。

「それとなぜ加藤さんは辞めたのでしょう」

「それは横領の責任を取らされたかららしいな。そういえば川上。加藤とは元彼氏の関係だと言ったよな。彼氏ではなかったのか」

「彼が会社を辞めた夜に別れようってメールが届いたの。だから分かったって返信したのよ」

 爆破まで後一時間五十分。


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