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七人いる  作者: 山本正純
第二章
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透明人間の要求

 その頃札幌にあるホテルの一室で喜田は椎名を説得していた。

「だからあれは悪戯だろ」

 椎名の一言に喜田は首を横に振る。

「そうとは言えないことが起きています。爆破予告が警視庁に届きました。後二時間三十分しかありません。後二時間三十分であなたの会社が倒壊します。部下を救いたいとは思いませんか」

 椎名は頭を掻いた。

「まだ要求がないでしょう」

「要求があれば動くという解釈でよろしいですか」

「はい。要求が無ければ悪戯だったと会見で言いますよ」

 淡々とした言葉に喜田は怒る。

「それで多数の被害者遺族に謝罪することができますか」

 椎名は怒鳴った。

「でも要求がなければ何をしていいのか分からないでしょう」

「要求はもう来ているのかもしれません。三日前脅迫状が届いたと言っていましたよね。開かずの間を必ず開けてみせる。これが要求だとしたら。」

 椎名は鼻で笑う。そんなものがあるわけがないと言っているように。

「要求は開かずの間を開けろか。そんなものあるはずがない。ただの都市伝説だ。どの道この会社は終わる」

 開き直った一言を聞き喜田はさらに怒鳴る。

「それが社長ですか。最後まで諦めない。それが社長でしょう」

 ヒートアップしたその時北海道警の海原警部がドアをノックした。

「犯人から要求が届いた。これが要求だ」

 海原はファックスを見せた。

『午後六時三十分。道庁赤レンガ庁舎に一億円を持って来い。一億円の価値があるものなら何でも構わない。そして警察と同伴でも構わない。透明人間』

「不可解な要求だな。一億円の価値があるものを持ってこいですか」

「はい。赤レンガ周辺を今仲間が張り込んでいます」

 喜田は海原に質問した。

「ここから道庁赤レンガ庁舎までは何分かかりますか」

「二十分もあれば着くでしょう」

 椎名はコーヒーを飲んでから、腕時計を周りにいる刑事に見せる。

「刑事さん。この時計で犯人の出方を伺いましょう。この時計は一億の価値がします」

 喜田は時計を見た。時刻は午後六時だ。

「取引まで後三十分か。それでは行きましょうか」

 椎名と喜田は海原の運転する車で道庁赤レンガ庁舎に向かった。


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