仏陀とガンジー2
「師よこれをこうかけて遠くを見てもらませんか?」
ガンジーに言われて仏陀はメガネをかける。
「ああなんだか遠くが見やすいね」
「次はこれを見てもらえませんか?」
ガンジーは顕微鏡を仏陀に覗いてもらう。
「これは生物かな?」
「おそらく」
仏陀は顕微鏡をいろんな角度で見る。
「これは大きく見る物かな?」
「そうです」
しばらく仏陀は考える。
「殺生禁止について聞きたい?」
「はい」
仏陀「この道具は不要だ」
「何故ですか?」
「アリや虫でも良いからだ。それを踏んで殺してしまった場合かな?」
「そうです」
またしばらく仏陀は考える。
「殺生禁止はルールじゃない。自分のためだ」
「ええーー生き物のためじゃないのですか?」
「縁起を考えれば、生きとし生けるものすべて自分と繋がってる。その命を奪う事は自分にも跳ね返る。でもこれは究極的で、心が痛むからだ。そうじゃないのか?」
「まったくそうです、嘘じゃないです。ではありも?」
「踏んでしまった後だ、その後悪かったなど想起すれば良い。それを避けようとするのは無理だ。そして避けようとする態度はおそらく心を固くする」
「ゆえに自分の為?」
仏陀は静かにうなずく。
「しかしガンジーお前は悟ってると思っていたがよくわからないな」
「悟ってないのですか?」
「私はそれを言った覚えが無いな悟りとは自覚ではないか?」
「そうですね」
「私は自覚を聞いて沈黙か問題があれば言う事しか出来ない。お前は悟ってるは言えない。それはきっと私の言葉を待つ執着に繋がる。どちらにしろあれれと思う所がある、前から時折別人のようだ。さて見るが続きだったな」
「え殺生禁止では?」
「その割には大掛かりすぎやしないか?」
「あそうかもしれません、師察しが良いですね」
「私は特別な力があるわけじゃない。考えてみると変な気もするがまあ良い。さて何故ああまでしてみる必要がある?」
「言われてみると」
「そういう事だ。お前は見ようとして見たのだ。その意味を考えれば見なければ良い」
「えそれは」
「何度も言うが殺生禁止はルールじゃない。悟りの為に見るのだ、そんな事があればまたあの道具を使えば良い」
「師よ、悟った私が何故今は違うのでしょうか?」
「悟りはゴールではない、スタートだ。悟るための法を繰り返すことは無駄ではない」
「師もですか?」
「もちろんだ、良いか、いついかなる時も心を軽くだ」
仏陀はそういうとスキップを始めた。
「ラララン、ララララーンン、ンンン」
あああれ?ガンジーは目が覚める。それでやっとわかった。あの妙に察しの良い仏陀もあの時代に不自然な顕微鏡も、そして最大の疑問。何故私は悟っていると仏陀に思われていたか?と。それは多分今の私とは別の心のガンジーがいたのだろう。
すべての謎は解けたが、それでも仏陀の”見る”は良く分からなかった。




