○○ゲットだぜ!
ザリガニ獲りの時にも使った網を手に、ふたりで気合いを入れる。
「獲物はね、イケチョウガイって貝だよ! おっきいの。子どもの頭くらいのサイズで、見た目は真っ黒」
「どこら辺にいるの?」
「そんなに深くない場所にいるはずだよ。地面に網を這わせればいいと思う。砂地に埋まっているだけだから、簡単に掬えるよ」
「そ、そうなのね。アタシ、やってみるわ!」
こくりとうなずき合って、真剣に水面を睨み付ける。
「おいしょ……!」
「網ってけっこう重いわね!」
中腰になって作業を行う姿は、優雅さとはまるで無縁だ。でも、ワクワクが止められなかった。もしかしたら真珠が手に入るかもしれない。そんな期待感で胸が高鳴っている。
「きゃああああああっ! と、獲れたかもしれないわっ!」
最初にゲットしたのはサリーだった。
「でっっっっっかいわ!! これで合ってる……!?」
「あ、合ってるけど! いや。さすがに大きすぎない……!?」
彼女が手にしていたのは、およそ四十センチもあろうかというイケチョウガイだ。
「え……? 前に私が獲った時のものより、すっごい成長してる……!?」
イケチョウガイといえば、普通は二十センチくらいの貝だ。
アメリカザリガニの時といい、地球から転移してきた生物は巨大化する傾向でもあるのだろうか。やたら大きなイケチョウガイに笑ってしまった。
「さすがサリー! やったね!」
「真珠、入ってるかしら!?」
「わかんない! クジみたいなものよ。当たり外れがあるから、いっぱい獲ろう! 小さいのは逃がしてね。大きくなった時にまた会えるように!」
「そうね……!」
気分はすっかり宝探しだ。
私とサリーはひたすらイケチョウガイを獲り続けた。誰も手を着けていないだけあって、そこらへんにゴロゴロいる。
「……これだけいると、生態系への影響が気になるな」
ううっ! また仕事が増えそうな予感がする。
ま、まあ。いまはいいだろう。現実から目をそらして、宝探しに夢中になった。
「いっぱい獲れたねえ……!」
「本当よね!」
気がつけば、水辺にイケチョウガイが山盛りになっている。
「冷えないように、焚き火に当たってくださいね」
ヴァイスの気遣いをありがたく思いながら、私たちはナイフを手にイケチョウガイに向かい合った。さあ! 宝箱開封の儀だ……!!
「まずは一個目だね」
「行くわよ」
ナイフの刃を貝の隙間に潜り込ませる。ぐるっとナイフを一周させて……。
「硬いわねえ!」
「サリー、がんばって!」
なんとか貝をこじ開けた。現れたのは大きな身だ。クリーム色でぷりっぷり。うわあ、バター醤油とか合いそう。だけど、今日の目当ては君じゃない。真珠である。目を皿にしながら中身を検分していった。
「真珠……!! 真珠は!?」
「……うーん」
残念。一個目はハズレである。
「やっぱり、そうは簡単にいかないわよね」
「だねえ。でも、無駄じゃないよ! この貝の裏側、真珠色ですっごく綺麗でしょう。貝ボタンの材料にできるんだよ」
「貝ボタン……!! それいいわね!」
「それに、身は美味しく食べられそうですしね。お嬢、調理しておきますから、それをいただいてもよろしいですか?」
「うん。よろしくね~」
さすがはヴァイス。抜け目ないなあ。
ニコニコしながら執事の背中を見送って、ふたりで気合いを入れる。
「よし。次!」
「やるわよ……!」
そうして、四苦八苦しながら貝を開けていった。
そんな私たちがようやく目当てのものに出会えたのは、通算八個目の貝を開けた時だ。
ある意味でモンスターボールみたいなものかもしれないなって(そうじゃない
私は初ポケモンはフシギダネでした! みんなのポケモンはなんでs
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