可愛い水着よりもチェストウェーダーを選ぶ女
そうしてやって参りました週末!
天気は晴れ! 風はない!
そろそろ夏の気配がしてきた今日この頃……。日向にいると、じんわり汗が滲んでくるような陽気。水辺遊びにはうってつけである。
やって来たのは、王都から馬に乗って三時間ほどの場所にある淡水湖だ。湖面がキラキラまぶしい! 水面を渡る風が生い茂っている葦を鳴らしている。はしゃいだ小鳥たちが水上で追いかけっこしている姿は、なんとも清々しい光景だった。
「いったいどういうことなのよ!?」
困惑の声を上げたのは、サリーだった。
「こっちはせっかく可愛い水着を用意してきたってのに、アンタの格好はなに……!?」
「え。水辺遊びでおなじみ、チェストウェーダーですけど」
私の格好は、ビシッと黒い水着で決めたサリーとは対照的だ。
いつものチェストウェーダーに麦わら帽子、長ゴム手袋。うむ。完璧である。
でも、サリーには不評のようだ。
「芋……!! 芋どころか泥団子! ダサッ……ダサすぎて目眩がしてきたわ」
「サリーは水着似合ってるね~。可愛い! やっぱり黒が好きなの?」
「うっ。……そ、そりゃあ、アタシを一番引き立ててくれる色だもの」
「そっか~。あっ、そうだ!」
そう言えば、以前思いつきで作ったものがあったっけ。
「じゃん! これどうぞ」
「なにこれ?」
「サングラス!」
水辺で遊ぶ時は、必須の品だったりする。
ほら、釣り人がよくサングラスをしてるでしょう? あれはかっこいいから着けているわけではなく、水面の乱反射を抑える効果があるのだ。つまり、これがあれば水中を見通せる……!
「おお。サリー……!! かっこいい。海外セレブみたい!」
「セ、セレブってよくわからないけれど、ありがとう……」
「私も着けてみたんだけど。似合う?」
「安心して。どう見ても不審者よ」
「逆になんか極めた感があって嬉しい」
「なんでよ」
サリーと笑っていると「準備はよろしいですか!」とヴァイスが声をかけてくれた。
ちなみにヴァイスの格好は通常営業である。水辺でアレコレするのは私たちだけ。
体が冷えてもいいように焚き火を用意してもらった。食材も用意してあるから、後でバーベキューをしてもいいかもね。
「それで、今日って資金を調達するために来たのよね? なんで湖なのよ?」
胡乱げなサリーに、私は笑顔で告げた。
「えっとね。この湖にはお宝が眠っているの」
共感を得られないかもしれないですが、
チェストウェーダーを着た漁師さんかっこいいなと思ってた時期がございました
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