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国より姪を尊重していただきたいものだけれども

 私が転生人だといち早く気がついたのが、おじ様だった。彼は、幼かった私を優しい言葉で持ち上げ、父を抱え込んで様々な事業を興させた。菩薩みたいな顔で私を見守りながら、おじ様は青くて硬い果実が熟すのをひたすら待っていたのだ。


『アイシャちゃんは本当に素晴らしいね。この出会いに感謝しなくちゃなあ』

『民のために頑張っている姿、僕も見習わなくちゃ!』

『なにかあったら相談してよ。力になるから。ううん、力にならせておくれ。僕がそうしたいんだ』


 そして調子に乗った私が、公爵領をかつてないほど発展させたのを確認した後――


『国のために、その身を捧げてくれるね?』


 食べ頃に熟した実を収穫し、実の息子の婚約者に据えた。


 あああああああああああああああ。


 どうしてあの頃の私は、おじ様を信頼しきっていたのだろう。

 利用されているのなんて明らかだったのに。


 他人……特に身内を、簡単に信じすぎる性質を利用されてしまったのかもしれない。


 怖い。怖すぎる。おじ様がそう言ってくれるなら!って、ウキウキでいろいろとやったなあ。手のひらの上で転がされるどころか、ノリノリでブレイクダンスを踊ってしまった感がすごかった。きっと愉快だったろうなあ。私があまりにも思い通りに動くものだから。


 あれは私の人生の汚点。黒歴史。

 ……だから、この人が苦手だ。


 できれば顔も見たくない。関わらないでいいのなら、一生そうしていたい。


 なのに。なのにどうして!

 私の憩いの場に現れたのかっ……!!


 泣きたい気分だった。ぶっちゃけものすごい警戒している。

 ヴァイス助けて。一歩下がって控えていられる身分が、いまはメチャクチャ羨ましい。


「ズルいよね。アイシャちゃんだけ楽しいことしてさあ」


 私用のアウトドアチェアを占領したヨハンおじ様は、まるで子どものように頬を膨らませていた。不機嫌そうにメタルマッチを指先で弄る姿が非常に不穏である。


 怖い怖い怖い。なにしに来たのこの人。なにを企んでいるの。

為政者ってこういうところあるよね

やめて! おじさまを嫌いにならないで!


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