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ep.3

かなり大幅に遅れてしまい、申し訳ありません!!

…それでは、長い前置きは無しにして、お楽しみください。

千晴は、目が覚めて気がつくと、上も下も右も左も曖昧で境界線がよく分からない、真っ白な空間に居た。


「あれ…ここは…?」


寝惚けてよく頭が回らないながらも、目を擦って辺りを見回すと、そこには千晴がこれまで、見たことも無いような、それはそれは美しい絶世の美女が、何かの景色を映し出している、小窓のような物を目の前にいくつも並べて佇んでいた。


???「…驚きましたね… まさか、この神界に迷い込む者が居るとは… 私の生まれたここ数十億年で始めての出来事です。」


そこに居た美女は何かを喋っていた様子であったが、千春には全く頭に入らなかったし、気にする余裕もなかった。


「貴女の名前h…「わた、私と結魂してください!!!!!!!!!!!! 」 …へ?」


…そう、そこに居た美女は、あまりにも千晴の理想の女性すぎたのである。


まるで人形のようにきめ細やかで真っ白な綺麗な肌、水晶のように透き通り、海のように深く、宝石のように鮮やかなブルーの瞳、スラッと細いその肢体、豊かな胸、スッと通った鼻筋、優しげな雰囲気、鼓膜を揺らすようなやや高音で柔らかな声。


…そのどれもが、どれをひとつとっても、千晴の理想そのもので、まさに千晴の理想を体現したかのような素晴らしい女性だった。


…ゆえに、千晴は一目惚れしてしまい、反射的に、本能的に、"この女性が欲しい"と思い居ても立っても居られずに求婚してしまった訳である。


…ちなみに、千晴は結魂と言っているが、これは決して誤字などでは無く、千晴の価値観に基づく者である。


千晴は、日本の法に同性婚が認められていない事を不満に思っており、そしてその法律に基づいたものである、制度としての結婚自体も嫌っている。


故に、法などではなく、心、すなわち魂によって、お互いを求め合い、大切にし、慈しむ、そんな願いと想いを込め、求婚の際に結魂と言っているのである。


「きゅ、急に何を言い出すのよ!?貴女本気なの!?」


…あっ、言葉遣いが崩れてしまった。


あまりにも唐突に流れるように求婚されたので、口調が乱れてしまったようだ。


「私は本気です!! まるで人形のようにきめ細やかで真っ白な綺麗な肌、水晶のように透き通り、海のように深く、宝石のように鮮やかなブルーの瞳、スラッと細いその肢体、豊かな胸、スッと通った鼻筋、優しげな雰囲気、鼓膜を揺らすようなやや高音で柔らかな声それにぷるんとした赤みがかってぷるんと潤った柔らかそうな唇、そしてそして「もう分かったから!!貴女の気持ちは充分に伝わったから!!だからもうやめてぇ!!///」


おっと、褒めすぎて照れてしまって、キャパオーバーしてしまったようだ。


…まぁ、無理も無いのであろう。この境界すら分からない、広い広いただ真っ白な空間には、この女性(ひと)しか、見当たらないのだから。


おそらく、ずっと独りであったのだろう。 褒められ慣れていない様子が窺える事からも、間違ってはいないのだろう。


「えー、まだ半分も貴女の魅力を伝えきれて無いのに。」


とむくれる千晴。


「あ、あれでまだ半分も…? ハッ、コ、コホン。貴女の気持ちは嬉しいのだけど、ごめんなさい「何故ですか!?私の何処が駄目なんですか!?直せるなら直しますから!!教えてください!!」「あっ。

…えっとね?私は、貴女達の言う、女神っていう存在なの。女神デルタニアって言うんだけどね?

…で、そこで肝心なのが、"神は神としか結魂出来ない"っていう、多次元世界全てにおけるルールなの。貴女が駄目なんじゃ無いの。貴女が神じゃ無いのが駄目なの。本当にごめんなs「良かったぁ!!」 …へ?」


女神はまたしても、間が抜けたような声を出してしまった。この女神すらも理解が及ばなかったのである。


…何故、この少女は謝られているのに、喜んでいるのだろうか。


「それはどうi「 神としか結魂しちゃ駄目なら、私が神様になれば良いんですよね?」…え?」


またしても、女神の理解が及ばなかった。この少女は今なんと言ったのであろうか。…自分が女神になれば良い? 


…それがどう言う事か、本当に理解出来ているのであろうか。 


…本来、神とはそうそう簡単になれるものではない。


死ぬような修行を、一生を懸けて毎日行って、それでも神には至れずに仙人止まりで死ぬ事の方が圧倒的に多く、未だかつて人が神になった事例は無い。


…地上世界で神だと崇められているのは、実は仙人であったりする事がほとんどだ。


…稀に、多次元宇宙の別の神の、本物の落し子が誤って地上世界に落ちてしまう事例も無くは無いが。


…仙人になれただけでも充分に凄すぎる事で、偉業の中の偉業と言っても過言では無い。


…それを、この目の前の少女は、自分の為に、自分の為だけに、神になってくれると言っているのだ。


…不可能だ。 それは頭では分かってはいても、女神は本当に嬉しかった。 今までそんな事を言ってくれる相手に巡り会えたことなど、ただの一度たりとも無かったのだ。


…嬉しくなかった訳がない。


「…ありがとう。…でも、それは無理よ。だって、今まで仙人になれた人はいても、完全な神になれた人間なんて、存在しなかったのだもの。だかr「そしたら、私が人類史上、いや、世界史上初の、人から神に至った人間ですね!!」 あっ…」


女神は悟った。 この少女は本気なのだと。 少女は、千晴は、あまりにも純粋で、澄み切った瞳でデルタニアの事を見つめていた。


…その瞳の奥に、どんな過酷な修行でも行ってみせる、そういった決意と気迫を滲ませて。


…女神は、もう何も言わなかった。言えなかった。否、言う気が無くなった。


…そして、ほんの少しだけ、期待もした。 この少女なら、或いは、…と。 


…そんな事、起こるはずか無いと思いながらも。そう思った自分に驚愕しながらも、この少女を応援したくなった。


「分かりました。貴女の覚悟、しかと見届けました。…私の負けです。貴女が本当に神格を得て、女神となった暁には、貴女と結魂いたしましょう。 …今はまだ、"結婚を前提にした、婚約者であり、恋人"という関係で。」


照れながら女神に言われたその言葉を聞き、千晴はパァッと、後光が差したかのような、満面の笑みを浮かべた。


…自分の想いが通じた。 …しかも、自分が本能で理解した、"運命"と。


その事実だけで、多幸感と全能感でいっぱいになり、千晴の人生で1番幸せな日となったのだ。


「ありがとう!!これからも宜しくねっ!!」


「えぇ。宜しくお願いしますね。」


女神は、聖母のような笑みで千晴を見つめた。 そしてすぐに、何かを思案したかと思うと、千晴に手を(かざ)し、直後、千晴を女神と手から溢れ出た温かい光で包み込んだ。


…そして、千晴はその時、何かが"カチリ"と音を立てて外れるような、そんな感覚に見舞われた。


「デルタ、今何を…」


「えぇ貴女の潜在能力を引き出しやすくする為の祝福を…って、デルタ?」


「えっ、そうなの!?…ありがとう…。 …えっとね、恋人で、婚約者なら、お互いに名前で呼ぶべきかなって思って、でもデルタニアって長いし、2人の時はデルタってあだ名て呼びたいなって。 …ダメ、かな…?」


女神は、その時ズキューンと何かに撃ち抜かれたかのように錯覚した。


…さっきは私の為にあんなに啖呵を切って貴女と結魂する為に神になってやる!!(意訳)と声を大きく話していた彼女が、あの彼女が!!


…しおらしく、とても照れたような表情で、もじもじとしながら、チラチラとこちらを見ているではないか!!


…女神はギャップにやられてしまいそうになった。 …いや、もう手遅れなのかもしれないが()


「い、いいぞ!!わ、我も其方をちは、と呼ぼうぞ」


またしても口調が乱れた。 …いや、これが素なのだろう。 千晴が来た為に、女神としての対応をしたが、恋人となったので、それをやめたのだ。


「うん!!宜しくね、デルタ!!」


そこからはお互いに自分の事を語り合った。


デルタの目の前に浮かんでいるのは、デルタの管理している別の世界、所謂(いわゆる)、異世界、というやつである。


千晴は自分の全く知らない、未知の事に興味津々になり、また自分の恋人が、想い人が管理している、という事も相まって、その世界についていろいろな事を聞いたりした。


…その世界は、所謂(いわゆる)中世ヨーロッパのような世界で、剣も魔法も存在しているらしい。


…だか、数年、数十年に一度、地球から偶然世界間の空間の接触によるねじれで転移してきてしまった人間が、調味料の安価で楽な大量生成の方法や、未知の食材、食べられないと思われている食材(フグ、イカ、タコ、じゃがいも、海藻類など)、調理法やちょっとした生活が楽になる生活用品や知恵を教え伝えたおかげで、庶民や貴族など、デルタニアの管理する異世界に住まう人間の生活の水準自体は現代日本に限りなく近いようだ。


また、デルタニア自体も、何を話しても、どんなに難しいような話をしても、少し聞いてくるだけでどんどん理解していく千晴に調子に乗って、やれその異世界の多次元世界宇宙内存在座標やら、管理方法、物理法則の上の魔法法則やその更に上の世界法則についてだとか、それについての干渉方法、とにかく自分が知る知識のほぼ全てを教え与え、それをどんどん吸収していく千晴にさらに調子にのっていらない事まで教えてしまう、少しポンコツな女神であった()


「〜で、つまりこれが魔力というものの真髄であり本質で、その魔力の一兆倍ぐらい力があるのが、我の扱う、この神力(しんりょく)なのじゃ。この神力は、世界や法則に干渉する事が出来て、また我のような、神の力や存在の根源ともいえる。

つまり逆説的に、この神力をいかに扱えるか、量を持っているかによって、神としての格が決まると言っても過言ではないのじゃ。

…つまり、神になるには、まず大前提として、神力を扱えるようになる事が必要不可欠じゃ。

分かったの?」


「うん!!分かった!!デルタ、色々私の為に教えてくれて、ありがとう!!」


「あぁ。我も、こんなに長く話したのは初めてじゃ。

…そろそろ、時間のようじゃの。」


「えっ、もう?」


「これでも、あり得ないぐらい長い時間、神界におるのじゃ。正直、人間なのにここまでの時間、平然としていれるのが不思議なのじゃ。

…まぁ、今まで神界に訪れた人間がおらんから、比較のしようがないのじゃがな。」


「そうなんだ… …また、会えるかな?」


「どうかのぉ… …正直、なんでちはがここに来ることが出来たのか、我にも分からんのじゃ」


「え、デルタでも分からないの?」


「我にだって、少しぐらいは分からない事だってあるわい!! …コホン、まぁ、お主が神力を扱えるようになったら、自然とここに来ることが出来るようになるじゃろう。 …それまで、暫し(しばし)の別れじゃ。 …またな、ちは。」


「うん。 …またね、デルタ。」


そういうと、千晴の身体は透けていき、やがて完全に消えた。


…が、千晴が消える間際に、デルタニアは千晴に近づき、なんと頬にキスをした!!!!!


「えっ!?ちょっ、えっ!? ちょっとデルタ、待っt」急なデルタの口付けに、かなり動揺(どうよう)してしまった千晴が、なにかを叫んだが、言い終わる前に消えてしまったのだった。


「…ふふふ、我を惚れさせた罰じゃ、我の事をこの後ずっと考えて、夜中(よるじゅう)ずっと悶々(もんもん)として、眠れない夜を過ごすといい…」


そう良い、少し悪そうな笑みを浮かべ、悪戯(イタズラ)が成功したと笑うデルタ。


「さぁて、ちはは何十年でここに来る事が出来るかの」


確率は、ほぼ0に等しい。当たり前だ、人間が自力で、例えデルタの潜在能力引き出しの祝福があろうとも、それでも潜在能力が無ければ、引き出せない。


…0から1は、引く事は出来ないのだ。


…それでも、デルタはこの短い時間の中で、千晴を信じ、信頼し、千晴なら前人未到のこの領域を、必ず超えてくれる、そう期待さえしていた。 


…さすがに数十年はかかるだろうが、数億数十億と生を重ねたデルタにとっては、あまり長くはない。


それまでの(とき)を、楽しみに生きていこう。 そう思う、デルタニアであったが…


…デルタの期待は、良い方に外れる事となる。


…果たして、千晴は、真の神になる事が出来るのであろうか…


それはまだ、神ですら知らない…

はい、既にお察しの方もいるかもしれませんが、デルタは既に千晴に惚れてしまっています。

純粋に、真っ直ぐに、自分を想ってくれて、言葉を尽くしてくれる。

自分がどんな話をしようとも、真剣に聞いて、理解しようとしてくれる。

他にも沢山ありますが、ずっと千晴と話す中で、デルタは千晴に惚れてしまいました。

…晴れて結魂した暁には、相当に過保護な妻となる事でしょう()

…ちなみに、今回本文で説明した結魂についてですが、神の中では結婚などではなく、魂を結びつける結魂が常識である為、なんの疑問もツッコミもありませんでした。

…なんで人間が、という多少の違和感はありましたが、それ以上に電撃プロポーズによって、意識がそちらに集中した為、そんな小さな違和感は忘れ去られてしまいました。

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― 新着の感想 ―
神と婚約とは、これまた凄いですね。 果たしてこの結婚は叶うのか。続きも楽しみです。 (*´ω`*)
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