フラーム対ホルミ
ホルミは昔から腕っぷしだけは強かった。
何をやらせても特段器用ではなかったが、喧嘩だけは誰にも負けなかった。
特に、ルフラムを庇った喧嘩になるとよりヒートアップしてしまう癖があった。
ホルミにも両親はおらず、フレロと二人で暮らしていた。
フレロともよく喧嘩をしたが、フレロにだけは唯一勝てなかった。
それでも武器を持ち、鍛錬を積み、そんじょそこらの人間では太刀打ちできないレベルまでたどり着いた。
フーガであるという才能もあっただろうが、何よりも本人の努力の賜物である。
そんなホルミが今、初めて地面に膝を付いた。
「はぁ……はぁ……」
「どうだ、俺の炎は! 避けるだけで精一杯だろ! くはは! いい加減焼け焦げろ!」
フラームは手から炎の柱をホルミに向かって打ち出した。
ホルミは何とか自身の刀でそれを弾き返すが、防戦一方だった。
「ぐぅっ! てやっ!」
ホルミがフラームに斬りかかりにいくが、炎の壁を作られ近づけない。
「ホルミ! 大丈夫か!」
「ルフラム! ここは危ねぇ! 下がってろ!」
ルフラムは、士気の低下を気にして下がるわけにはいかなかったが、炎を使われる相手に弓矢は相性が悪く、助太刀は出来そうもなかった。
「くそっ、どうすれば!」
このままでは、ホルミがやられてしまう。
「くははぁ! お前中々強い女だったが、ここまでだ。楽しませてくれてありがとよ!」
フラームが何かをぶつぶつと呟き始めた。
すると、大きな火の玉がフラームの頭の上に生成され始めた。
「まずい! あれを撃たれたらホルミが!」
ルフラムが矢を番えようとしたその瞬間だった。
「むふふ、私参上!」
不意に現れたその人物が手のひらをひょいと動かすと、大玉になっていた火がパッと消え去った。
「んあ!? なんだ! 俺の火が消えた!」
「テツゾウ! 来てくれたのか!」
「えぇ、私の様な素晴らしい人間は、こういう時期を外しませんのでね!」
テツゾウは、指を鳴らしながら、様々な決めポーズを取っている。
「さすがローレン様、ご慧眼の通り私のルーンと彼の者のルーンは非常に相性が良いみたいですな」
「ちっ、テメー何者だ!」
「クウ・テツゾウと申します!」
テツゾウは再びポーズを決めた。
「この勝負、決めさせてもらいますよ!」
「へっ、やれるもんならやってみろ!」
フラームは火の玉を連射するが、テツゾウがことごとく消していく。
「くそっ! 何でだよ!」
フラームは、ルーンを使うのをやめ懐に携えた剣を取り出した。
「そういう事ならうちに任せろ!」
「うぉー!」
「へっ、甘いぜ!」
バサリと、ホルミはフラームを一刀両断した。
「ウチの勝ちだぁぁ!!!」
「私がいなかったら負けてましたね」
ターニャ城内部の侵攻は着実に進んでいた。




