ターニャ城決戦
ターニャ城まで来た一同は、異様な気配を感じ取った。
禍々しい雰囲気に混じった恐ろしいまでの狂気。
城一つまるっと包み込む程の何かがそこにはあった。
「これは、当たりだね」
「あぁ、そうだな」
ホワイトロック、出ていった姉を追いかける為の鍵が今目の前にある。
「全体、前進だ!」
すると、城壁の上から兵がわらわらと溢れ出てくるのが見えた。
攻城戦の始まりだった。
しかし、フレッセンにはルフラムのルーンがある。
攻城戦はおおよそ三倍の兵力がいると言われているが、その差は一人で覆せてしまう。
「攻撃開始だ!」
カガン城攻めの時の如く勇猛果敢に城攻めを行うルフラム軍だったが、何故か押し戻される展開を強いられた。
「何故だ、押し返せない」
ルフラムのルーンを持ってしても押し返されるターニャ城は何かがおかしい。
「ルフラム、あの人、なんかおかしい」
シンシャが指をさしたのは城壁の上にいる煌びやかな服を着た女だった。
確かに、あんな危ない場所にあの様な格好をした人物が立っているのはおかしい。
「はっ! もしかして!」
「本物のラビー?」
「その可能性があるな」
ルフラムは弓を構えた。
が、それに気づいたのか、さっと城壁から身を隠してしまった。
これがルフラムの疑念を確信に変えた。
ターニャ城にはチャレンの本物のトップがいる。
ダイのルーンを使った偽物を置いてまで自身の姿を隠し続けていた人物が今目の前にいるという事は、間違いなくホワイトロックがあるという事だ。
ローレンがいうには、ドウのルーンを持ち、人々に道を授ける事で力を上げるルフラムと同じ様なルーンだった。
このままでは、攻城戦に失敗してしまう。
ルフラムは、一旦攻めるのをやめさせる様に指揮したその時だった。
「横撃が来たぞ! 敵襲だ!」
「なに!? まさか!」
「あぁ、そのまさかだ、小僧!」
「うわっ!」
目の前を刃が通り過ぎていった。
再びラオバンのラシャールが攻めてきたのだ。
「どうして毎回来るんだ! フューデンは何をしている!」
「今、馳せ参じた所だ!」
「アルマさん!」
ラシャールの登場に乗じてアルマが新たに名乗りを上げた。
「俺もいるぜ、忘れんなよ」
「ローレン!」
最強も戦闘に加わった。
まさしくオールスター、勢揃いである。
「ラシャールは私達フューデンに任せろ、お前達は成すべきことをやれ」
「分かりました!」
ルフラム達は再び城攻めを開始した。
攻防は拮抗しており、中々攻め切れない。
「俺に任せろ」
ローレンがスタスタと歩いていく。
矢の雨が降る中、ローレンから矢が避ける様に動いている。
何の事なく城門の前に辿り着くと、ローレンはふっと城門を触った。
次の瞬間、城門はぐにゃりと握りつぶされた紙の様に粉々に砕け散った。
「ほら、いけ」
「うぉぉー!!!」
こともなげに開いた城門を見て、我こそはと乗り込む兵士達。
それを待っていましたというが如く上から弓矢が降り注いだ。
「ぐぁ!」
大勢が倒れていくが勢いは止まらない。
屍を越え、また新たな軍が中に入っていく。
「ウチも行くぞ!」
その中にはホルミもいた。
内部をジリジリと攻略していくフレッセン軍、全てが順調かに思えたが、チャレンもこのまま黙ってはいなかった。
「うぉーらーー!!!」
ぼうと炎が上がった。
焼き焦げた匂いと共に、つんざく様な悲鳴が響き渡った。
「エン・フラーム様だ! 俺と戦いたい奴は出てこい!」
「くっ、あいつはウチがやる!」
ターニャ城内で、フラーム対ホルミが始まった。




