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slag  作者: 雨後の筍
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ローレンの答え

 ローレンに場所と時間を変えて出直してこいと言われたので、指定された場所でルフラムはじっと待っていた。

 空がよく見える西の砦。

 今は暗く、夜空の光の点しか見えないが昼間はどこまでも突き抜ける様な草原が見えてルフラムにとっては気分の上がる場所だった。


「おう、待たせたな」

「いや、そんなには待ってないよ」

「そうか」


 ローレンは片手に酒瓶を持っていた。

 時折口に含んではうすら笑いを浮かべている。


「なぁ、俺達は外に出る為にこんな事をしてるんだよな」

「あぁ、そうだ」

「外に出る為なら何をしても良いと思ってやってきてるよな」

「あぁ、そのはずだ。でも仲間は大事だ」

「それも混みで、だ。だが、あいつらはオレたちみたいに外に出たい奴らばかりじゃねぇんだ。そこは話が違う」

「外に出る為には、非情になれと?」

「今回ネオは別の作戦に出てると考えている。ラシャールに上手く使ってもらって時期が来たら奪い返す、ホワイトロックと共にな」


 ローレンは酒をいっぱいあおった。

 ルフラムにも勧めたが、ルフラムはすぐさま断った。


「なぁ、ローレン、君は一体どこまで考えているんだ?」

「そりゃ、世界の出口に辿り着くまでさ、当然だろ?」

「君の中ではもう世界の出口に辿り着いているのか?」

「まぁな。このまま上手く事が運べばだけどな」

「なぁ、ローレン。僕は君がこの世界を出たい理由をちゃんと聞いていなかった。それを今教えてくれないか?」


 ローレンはしばらく黙り込んだ後、ぽつりぽつりと話し出した。


「なぁ、あの空に浮いてる点、何か知ってるか?」

「さぁ?」

「あれはな、星っていうんだ。厳密にはあれは星じゃねぇが、星と呼んでいる」

「はぁ……」

「星はな、俺達の大地そのものも星なんだ。そして星ってのは回るんだよ」

「回る? 僕らは回ってないが?」

「そう、俺達は回ってないが、世界は回ってるんだ、不思議だろ?」

「あぁ、よく理解できない」

「だろうな。でも俺にはよく分かる。世界は回ってるんだ。俺はそれをこの世界から出て証明してみたい。回る世界を、煌めく星を! この世の全ての理を! 俺がカイ・ローレンとして生まれてきたこの意味を! そこに乗せたい。この世は回ってんだ」

「そうか、僕には盛大過ぎてよく理解できなかったよ、ごめん」

「あぁ、良いさ最強の戯れ事だと思っていてくれて構わねぇ」


 ローレンは再び酒をぐいと飲んだ。

 それをみて今度はルフラムが酒瓶を取り、ぐいとあおった。


「あんまり美味しくないな」

「お子ちゃま舌にはこの味はまだ早かったかな」


 そういいながら、二人はふっと笑った。


「ルフラム、お前ラシャールに向かって矢を打ったらしいじゃねぇか、2本とも取られたって聞いたぞ」

「あぁ、素手で取られた」

「まだまだ修行が足りねぇな」

「返す言葉もない」

「しかも、帰ってきたら女まで作って、いーご身分だこと」

「気持ちは止められなかったんだ! 仕方ないだろ!」

「おまえ……まだ気づいてないのか? 自分がフーガだって事に」

「……え?」


 ルフラムに動揺が走った。

 飲んでいた酒が急に回り出したかの様に、頭が突如としてぐるぐるしだした。

 自分がルーンを持っている? 何の? そんな事一度も感じた事もなかった。


「ルーン同士が惹かれ合う、これをマリアという。相性のいいルーン同士は大抵マリアが起こる。ネオがそうだラシャールとマリアが起こっている可能性が高い」

「え、僕のルーンは一体……何なんだ」

「お前のルーンはな、史上最悪で史上最強のルーンだ」

「ボウ・ルフラムじゃねぇ、お前のルーンはボ・ウルフラム、自分を慕ってくれる人間の力を強めるルーンだ。ラシャールや、アルマ、ラビーに匹敵するルーンの力だ」


 自分を慕ってくれる人の力を強める。

 それを聞いて、フレロ達がルフラムがいると元気が出ると言っていた事を思い出した。


「あれ、ほんとだったんだ」


 慕ってくれる人の力が上がるという事は、慕ってもらわなければ効果は出ない。

 つまり、仲良くならねばならないという事。

 仲良くなった相手に、力を増強させた状態で戦わせるのがルフラムの役目なのだ。

 なんて残酷な役目なんだと、ルフラムは思った。

 慕ってもらえなければ何の意味もない上に、本当に慕ってくれているのかすらもルーンのせいで分からない。

 ルフラムは、一気に人間不信に陥りそうだった。


「そう、難しく考えるな。お前のルーンは、自然に扱えるさ。ただ、仲間を送る時は辛いだろうがな」

「スズは……スズもルーンで繋がっただけの関係だというのか……?」

「ルーン同士の相性が良ければ相手をより惹きつける。スズのルーンの特性上大いにありうるな」

「そんな……」

「まぁ。俺から言える事は、一つ、非情になれ。じゃなきゃ後が辛いぞ」


 そういうと、ローレンは酒瓶をあげてフラフラとどこかへ歩いていってしまった。


 聞きたい事を聞けたはずなのに、ルフラムはどこか釈然としなかった。

 夜空に輝く星が、綺麗でルフラムは余計に悲しい気持ちになった。

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