表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
slag  作者: 雨後の筍
15/22

疑惑の念

 夜が明け、二人は村を出る準備を始めた。

 スズは村の人達に挨拶をしてくると言って外に駆け出していった。

 ルフラムは、戦争がどうなったのか気がかりだった。


「おそらく大敗しているだろう、仲間達は……フレロとホルミは大丈夫だろうか……」


 考えれば考えるほど悪い方向へと思考が落ちていってしまう。

 少し顔を洗おうと、川の方へと歩き出した。

 自身が流れてきた川で顔をバシャバシャと洗う。

 適度な冷たさが肌に心地良かった。


「ここにいたのね! あなたが溺れてたこの川」

「気を失っていたんだ、溺れていたわけじゃないよ」

「ふふふ、そうだったわね。ところで目的のお城ってどこにあるの?」

「ヘナト平原を抜けた先にある城なんだが」

「あぁ、あの趣味の悪い城ね。あなたたちだったの? あの城作ったの」

「いや、奪ったのだ。圧政を敷いていた領主から」

「……そう、ラオバンのやり方でやったってわけね」

「あぁ、そうなるな」


 ラオバンは奪う事で領土を大きくした根っからの野盗集団だが、国として成立している以上、ラシャールが名君である事は疑いようの無い事実であった。

 そして、ルフラム達も同じ方法で自分達の領土を作った事を、ルフラム自身は少しだけ傷に思っていた。

 もっと他の方法があったかもしれない。

 しかし、ルフラムの頭では、ローレンより良い案が思い浮かばなかった。


「ローレンという人がいてな、この人が凄いんだ。頭も良いし戦闘も強い、おまけに先見の明もあるときた」

「へぇ、そんなに凄い人なのね」

「あぁ、でも戦は負けた。ラシャールが乱入してくるなんて想像もしていなかった」

「そう」


 スズは小さく呟いた後、何やら唸り声を上げている。


「どうしたのだ?」

「んー、いや、そんなに完璧な人なのに、負ける事が見えないもんかなぁと思ってね」


 ルフラムも、確かに思うところがあった。

 撤退の指示があまりにも呆気なかったのだ。

 特に慌てる様子もなく、何の気なしに撤退を命じている様に見えていた。


「……もしや、負ける事も想定に入れた配置だったのか? いや、だとしたらラシャールが乱入してくる事も予想して、僕とネオが襲われる事も作戦のうちだった……?」

「そこまで読んでてもおかしくないわね。だとしたら相当頭のキレる人物ね」

「早く戻ろう。聞きたい事が出来た」


 ルフラム達は急いで旅の準備を進め、川を渡った。

 そこから丸二日歩き続け、ようやくエレメンテ城へと戻ってきた。


「ルフラム! 無事であったか!」

「ルフラム! 無事で良かったぜ!」

「わー ルフラム帰ってきたー……って女の子と一緒だ!」


 ホルミ、フレロ、シンシャの熱烈な歓迎を喜びつつ、今すぐにローレンの元へ行きたい欲を抑えて、みんなとの挨拶をした。


「みんなただいま、この子はスズというんだ。フーガだ、仲良くしてやってくれ」

「レン・スズと言います! よろしくお願いします!」

「おぉ、ルフラムがついに色気づいてきたぞ!」

「ルフラムがうちよりも早く相手を見つけた……だと!? このプリティーガールホルミちゃんよりも早く!?」

「プリティーガールシンシャは遊び相手増えてうれしー」

「あはは、みなさまお手柔らかにお願いします!」


 シンシャがスズと遊びに外へ出かけたタイミングで、戦争についてホルミとフレロに聞いてみた。


「二人とも、あの戦争はどうなった?」

「フレッセンは大負けだ。兵力もかなり失った。あの戦はフレッセンの負け戦から、ラオバン対チャレンの様相を呈していた。そしてうちで対抗できるのはローレンのみ。だから、ラオバン対チャレン対ローレンの構図だった」

「して、結果は?」

「結果だけ見るとラオバンの勝ちだ。チャレンはラビーをローレンに殺されて指揮系統がバラバラになり、そこをラオバンが突く形になった」

「ラオバンは何を奪っていった!?」


 つい声が大きくなってしまった。

 周りの目がざわついているのを察知し、ルフラムは一つ小さく深呼吸をした。


「ラビーの首とネオが奪われた」

「ネオが!? 今すぐ奪還しに行かないと!」

「ローレンからの命令で奪還に人は割かないとのお達しだ」

「何故だ!」

「ルフラム!」


 スズからの呼び掛けに二日前の会話がふと頭に浮かんだ。

 ローレンはどこまで考えて行動しているのか。

 これは直接問いたださねばならない。


 ルフラムは、ローレンの元へと急いだ。

 ローレンの部屋に着くと、見張りが二人立っていた。


「フレッセンのリーダールフラムだ。入れてくれ」

「…………承知しました」


 見張りは、来てしまったかとでも言いたそうな顔で渋々扉を開いた。


「ローレン! ネオを今すぐ取り返しに行くぞ!」

「おいおい、こんなやかましいやつ今入れんなよ。こちとらルーン使い過ぎて動くのだりーんだよ」

「そんな事言っている場合か! 仲間が一人攫われたのだぞ!」

「あぁ、知ってるよ。それに、それ以上の数戦争で仲間が死んだ事も知ってるさ。それで? 何を言いに来た。何を言われたい?」


 ローレンは何から何までお見通しといいたげだった。


「全てだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ