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邪の国Ⅱ 1

 ほぼ1日電車に揺られ、景色をみていた。

 前回の電車時は、そんな余裕もなかったため、衝撃を受けた。

 風の国は、森の都だった。水の国は、水の都だった。火の国は常夏風のリゾート地だった。

 語彙力がなく上手く説明出来ないが、とにかく凄く綺麗だった。

 そんな感動を繰り返し思い返しながら、冒険者ギルドに行くと、前と変わらないエルダさんであった。

「お久しぶりです」

「ああ、おかえり。だいぶ貫禄がついたね。農業王が名誉PTの一員なんてね。想像つかなかったわよ」

「めぐり合わせが良かっただけですよ。邪の国に来なければ、農業王にもなれませんでしたからね」

「こんなに出世するなら、からかってないでうんーと優しくしとけば良かった。玉の輿狙えたのに」

「残念でした」

「今後はどうするんだい?ギルド職員にでもなる?ギルド職員も高ランクしかなれないから高給取りだよ。ってもういらないか」

「必死にダンジョンに潜ってたから、何すればいいかわからなくなっちゃいました」

「まだ若いんだし、テンプレみたいにハーレムでも作ってみたら?」

「興味ないですよ」

「でも真面目な話もっと楽に生きてみたら?いろんな国を観光してみたり、恋愛してみたり。パトロンになるとか。確かにこの世界はラスボスを倒してハッピーエンドみたいなことはないけど、その分前世で出来なかったことをある程出来る仕組みにはなっていると思う。あとは、内地とか外地の冒険はまだ残ってるじゃない!?冒険もまだまだできるわよ」

「そうですね、もう少し簡単に考えてみます。ありがとう、エルダさん」


 その後、招待状のレイモンド氏に会い、充実した冒険譚を伝えた。

伝える中で、自分自身も整理がついた気がする。いろんな方にお世話になってここまでこれたんだなって。

「約束を、守ってくれてありがとう。何も上げることは出来ないが、本当にありがとう」


 屋敷を出ると、突然声をかけられた。

「マルクト様でよろしいですか?」

「ええ」

「突然申し訳ありませんが、聖ギルド長が冒険者ギルドお待ちです。ご同行願います」

 この車もどきに乗れってことかな。

「わかりました。呼ばれた理由は?」

「会ってからご確認ください」

 話しが成立しないタイプか。

 車輪の音だけがなる中、冒険者ギルドに着くとエルダさんが居た。

「ギルド長室でお待ちだよ」

「ありがとう」

 冒険者ギルドには良く通っていたが、ギルド長室は初めて入るな。なんだか緊張してきた。

 ノックを、入室をうかがう。

「入り給え」

「失礼します」


「わたしは冒険者ギルド長のウィンだ。いつもエルダが、お世話になっている」

「こちらこそたくさんお世話になりました」

「早速で申し訳ないが、今回は場所を貸すのが目的でな。聖ギルド長と話が終わるまで、この部屋を使ってくれ。では、退室させてもらうよ」

 退室と同時に聖ギルド長ラディアスが入室してきた。

「マルクトくんだったか。久しぶりだな。覚えているかな」

「もちろん、覚えています。嫌な思い出ですから」

「ははは、そういうものではない。こちらは、良かれと思って保護をしようとした、だけなのだから」

「強制的にと思われましたが」

「まぁそんな話はどうでもいい。今はエクスヒールは使えるのかね!?」

「ええ、使えますよ」

「そうか、あの時はまだ早かったのか。部下から話しを聞き、拘束までしたのだが、無駄に終わってしまったよ」

「なにが話したいんですか」

「ああ、2度も失敗したせいで、私も大変でね。共感して欲しかったのだよ」

「……」

「ところで。聖ギルドに来る気はないかね?冒険者稼業も終わったのだろう。多くの人を救わないか」

「救うだけなら、診療所で間に合っているので結構です」

「そうか。ほんと何処が悪かったのか。ギルドに来ないのであれば、用はない。退出しなさい」

「……」


 退出するとウィンさんがいた。

「思うところはあるだろうが、堪えなさい」

 そう言い残し、ギルド長室に戻って行った。

「大丈夫だったかい。びっくりしちゃったよ」

 エルダさんが心配して声を掛けてくれた。

「大丈夫でしたよ。エルダさん」

「なにもなければいいわ。次は何処に行くか決めたの?」

「火の国でバカンスでもしようかと」

「いいわねー。わたしも休みでもとろうかしら」

「しばらくは転々と観光する予定なので、もし何処かであった際にはご馳走しますよ」

「楽しみにしているわ。またね」

「ええ、また何処かで」

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