雷の国5
なんとなくいつもの診療所に来てしまった。
「誰か頼む、治療をしてくれ。聖ギルドまで保ちそうにない」
門の付近から大きな叫び声が聞こえた。
支払い機を持ち、現場に到達した。
見るからに死に体だ。
何人かヒーラーが試みたようだが、変化はなさそうだ。
叫んでた男と思われる男に声を掛ける。
「ヒーラーだ。63,000$出せ。俺も試してみる。早く」
男は素早く支払い終え、手を合わせ仲間が回復するのを祈っているようであった。
「MP63ヒール」
すると死に体の男は、傷跡はあるが持ち直したようだ。
「ありがとう、ありがとう……」
男は、泣き崩れ喜んだが、周りは歓声に包まれた。
「すげー」
そんな声が、いたる所から聞こえてきた。
これはチャンスだ。
「俺の名はマルクト。今度PT参加依頼をかける。俺を希望するPTの依頼を待っている」
名乗りをあげ、立ち去るように自分の診療所へ逃げた。
診療所に着くと、なぜか衛兵に捕まった。
「なんで……」
「適正なルールを逸脱した行為が行われたからだ。お前の治療は金額以上の効果があると、前から噂になっていた。いままでは見過ごしていたが、今日の治療はヒールの範囲を逸脱している。まるでエクスヒールのようであった。よって、確かめるため拘束する」
あれよあれよと牢獄行きである。
無実だと言おうとも、既に檻には誰もいない。
冷たい布切れで一夜を明かした。
考えていたことがある。
「あの衛兵。エクスヒールと言っていたか。きっとランク3魔法だな。となると消費MPは最低30」
「MP30エクスヒール」
試しに唱えてみたがなにも起こらなかった。その後も、似たような言葉で唱えるもなにも起こらなかった。
「まだランク3魔法は使えないみたいだな。とりあえずこれで疑いは晴れそうだ」
なにもなく数日が過ぎたが、ようやく動きがあった。
「マルクト。変な動きをした場合、罪が重くなる。黙ってついて来い」
「はい」
連れられた先には、同じ様な怪我をした人が2人いた。
「これから、この者たちのうち一人をMP10でヒールして貰う。虚偽の発言があった場合、刑は重くなるので注意するよう。ではまず聖ギルドの方、1人にヒールをお願いします」
「MP10ヒール」
出血は止まったが、傷跡までは治らなかった。
「では次に罪人。MP10でヒールを」
罪人って……。聞き取りやすい大きな声で唱えた。
「MP10ヒール」
傷跡まで治った。
……。
「確かに同じMPで異なる結果になった点については、証明された」
では次にヒールと偽って、エクスヒールを使った件だ。
「発言中、申し訳ございません。エクスヒールとは……ランク3のMP30で使える魔法でしょうか」
「本来は秘匿された魔法あるが、お主がエクスヒールを用いて怪我人を治療した件は、既に知れ渡っている」
「いや、エクスヒールという言葉も衛兵から初めて聞いた言葉でしたし、あの時点でランク3魔法は知りませんでした。また、獄中で唱えてみましたが、自分には使用できませんでした」
「あの様な効果はエクスヒール以外存在しないと、聖ギルドで確認済みである」
次の怪我人に唱えなさい。
「MP30エクスヒール」
やはりなにも起こらなかった。
「これで証明出来ましたか」
「そんなはずはない。MP30リジェネと唱えなさい」
聖ギルドの者は、狼狽している様子だ。更に知らなかったランク3魔法まで教えてくれた。
「MP30リジェネ」
やはりなにも起こらない。
「そんなばかな……」
「これで、わたしの無実は証明されましたか」
聖ギルドはまだ疑っているようではあるが、この場にいる全員に証明は出来た。これで疑惑は晴れた。
「ああ、そなたは無実である」
数日も牢獄に入れられて、満足に生活出来なかったのに、なにも保障なしとかイかれてる。くそ。
冒険者ギルドに向かい、PCの前に座るといろんな方から声をかけられた。
災難だったな。という言葉から始まり、務所の飯はどうだったなど様々だ。
ある程度の雑談を済ませ、今度こそPCを起動する。
「ご要件はなんでしょうか」
「PT参加依頼をかけたい」
「内容をご登録ください」
名前 マルクト
レベル 20
年齢 16
職業 ヒーラー
邪2。聖2。
銃職でランクCまで到達。MP63あり。
Bランク以上のPT及びAランクの門の踏破を目指しているPTを希望。
今度こそ集まるだろ。なんたって牢獄に行き、無実を勝ち取ったヒーラーだ。普通ではない。
とりあえず期限は1か月。その後面談としようじゃないか。
それまではまた診療所だな。
1ヶ月後、PCに向かうとたくさんの依頼が、あった。
1番上は、Aランクからもある。
応募PTを確認し、絞っていく。
PTの構成や知名度、人柄及び目的。
最終的に3つのPTへ絞った。
①Aランク
大盾、片手剣、槍、弓、聖ギルド雇用
②Aランク
大盾、片手剣、槍、弓、邪、聖
③Aランク
大盾、片手剣、片手剣、槍、弓 聖ギルド雇用なし
面談を行った結果、③に決めた。
候補の中では低い知名度ではあったが、聖ギルド雇用なしでも、Aランクにいること。また、皆が複数武器の使用が可能であり臨機応変なPTとなれること。年齢が高めではあるが、経験が豊富なこと。
聖ギルドとは、以前いざこざがあり契約不可になっているらしい。
そんなこんなで、参加を、決めた。
そして、顔合わせ当日、こちらの希望を改めて伝えた。
レベルが低いため、レベルアップの都度、測定させて欲しいこと。高難易度のダンジョンを攻略したいこと。
双方が合意し、PTを組んだ。
そしてダンジョンに挑んでいった。
3年の月日が立ち、ようやく最高難易度5つの、門の攻略を終えた。この攻略を持ってSランクへ昇格し、また名誉PTとなる。しかし、同時にPTの解散でもあった。これ以上の門がない以上、挑むものもなくモチベーションも最高潮を迎え、あとは下る一方である。
それぞれが重役に付くや、ギルドを結成等、第二の人生に向かう中、自分だけは目標を見失った。
ただ日常を怠惰に過ごしていた際に、ふと招待状を思い出し、仲間に国を離れる事を告げ、雷の国を後にした。
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ここからは主人公のステータス表示が書かれているため興味があればご覧ください。
なお、ステータスの詳細については説明致しません。
主人公 レベル55 左数字(レベル20時点) レベル上昇値 右の数字が現在の合計値
HP 5 +12 17
MP 21 +52 73 (1でMP3)MP219
筋力 15 +20 35
敏捷 18 +32 50
知力 14 +24 38
ステータスレベル 187.相当




