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雷の国4

 さて今後どうしようか。

 ステータスレベルだけならBに届くと思うけど。

 Bランクになる条件がCランク上位のダンジョンなんだよな。

 レベル20では、到底参加させて貰えない。

 いっそ、ヒーラーとしても売り出すか。

 攻撃できるヒーラー。ランク2ってことで。

 ランクもCだし、今更聖ギルドからの拉致とかはないでしょ。

 ありだな。

 じゃないと上を目指せない。今から新規のPT募集で遠距離職なんてなかなかないだろうし、一応調べてみるか。

「あーやっぱりCランクの募集なんてほとんどないな。よほどのことがなけりゃ、メンバー変更なんてないよな」

 よし、ヒーラー売りは決定としても、装備も更新するか。

 残金は320,000$か。

 まずは防具。ただ動きやすさ重視の軽装だな。

 Bランク相当で、一式500,000$?

「高っ」

 手が出ないとは……。Cランク相当は、150,000相当か。

 買いと。あと盾も更新したいな。

 小盾Bランク。魔法使いの盾がある。安いしいいね。

 60,000で購入と。

 残金110,000$と。

 けれでこれで舐められないな。

 装備はよしと。

 あとは冒険者ギルドで依頼を出そう。

「すいません。PT募集の加入書類(履歴書)を出したいのですが、こういうのって何処で出来ますか」

「PCでも窓口でもどちらでも可能ですよ」

「ありがとうございます」

 PCへと向かうことにした。

「ご要件は何でしょうか」

「ptの追加要員申請をしたいのですが」

「希望を募りたいということですね」

「ええ」

「では。入力をお願いします」

 ええと、名前、レベル、年齢、職業、ランク、自己アピール、希望理由と、まんま履歴書だな。

 名前 マルクト

 レベル 20

 年齢 16

 職業 ヒーラー

 邪2。聖2。

 銃職でランクCまで到達。MP50あり。

 Bランク以上のPT及びAランク以上を目指しているPTを希望。

 これでよし。あとは定期的に確認に来よう。


 1週間立っても、お誘いが来ない。ヒーラーだよ。喉から手が出るほどPTにほしいでしょ。

 どうして依頼がこないのか受付の方に聞いてみることにする。

「聞きたいんですが、ヒーラーがPT参加依頼をあげたら、応募が殺到するものですよね」

「少し待ってくださいね。ええと、たぶんわかりました。書いてる事が事実なら素晴らしいですが、ヒーラーとしての実績が見えない以上、手を出せない状態だと思われます」

「嘘だと思われていると?」

「そこまでは言いませんが、ヒーラーの出番は怪我を負った際ですから、怪我をするまで判断が出来ません。そのため、経験値泥棒の様なこともあるんですよ」

「そんな、どうしたら。PTも抜けてしまったので、実績も作れないし」

「例えばですが、聖ギルドとは別に、野良の街治療所がありますので、そこで治療を行って知名度を上げてはいかがでしょうか」

「治療所ってどんなところですか」

「聖ギルドで治療を受けない方が、代わりに利用する場ですね。料金等もわかりやすく、MP10あたり10,000$が相場ですね」

「どうしても、聖ギルドを利用しないで、治療所を利用する方がいるのですか」

「確かに聖ギルドの方が安いですが、MP10でしか回復をしません。あとは、ランク3の回復魔法ですが、こちらは金額が高すぎてよほどのことがない限り、利用しません。その点、治療所ではMP制限がありませんので、金額を盛ればMP30の回復を受ける事が出来ます。また、立地も比較的門に近いため、利用されてますね」

「そうなると、聖ギルドの運営は厳しいのでは?」

「回復だけで見れば、安いためそう思われるかもしれませんが、ヒーラーのダンジョン派遣など他の事業も行っておりますので、成り立っているという認識ですね」

「いろいろ教えていただきありがとうございます。1度申請は取り消して、金(儲け)じゃなかった、実績作りに勤しみたいと思います」

 早速、治療所に行ってみようじゃないか。

 気にしたことはなかったが、確かに門の近くにあるな。

どの門が人気なんだろう。治療費も高いからな。Bランクの門付近かな。

「すいません。治療所で働きたいのですが……」

「初めてか。本部で支払い機を受け取って、勝手に場所を決めてやりな。ルールは一つ 先払い。二つ 支払えない者に治療しない。これだけだ、あとはMPが無くなれば、閉めるなりポーション持参ありの場合、対応可とか決めて働きな」

「申し訳ない。本部はどこですか」

「あっちだよ」

「ありがとうございます」

「すいません。支払機の貸出を受けたいのですが」

「新規のヒーラーさんですか。助かります」

 先ほどと同じ様なルールと支払機の使い方を教わり、またヒーラーが足りてない場所もおそわり本部を去った。

 なるほど、簡易タープを張って、看板に注意書きを書いてみたいな感じか。


 よしここにしよう。

 看板には

 【冒険者マルクト】

 最大MP50

 ポーションの差し入れ可

 こんなもんでいいか。


「すいません。治療お願いします」

「MPは?」

「15で」

 支払機とタグネスで入金を確認した。

「MP15ヒール」

 腕の傷がなくなった。

 よしよし順調だ。こうやって知名度を上げていけばいいんだな。

「あれ!?」

「なにか不手際でもありましたか?」

「いや、最低限の傷だけ治すはずが、傷跡まで治ってるからおかしいなと思って……」

 良かった。治療に対するクレームじゃなかった。

「ははは。MP15しか使ってないからね。たまたま傷が浅かったんじゃない!?もしくは、腕がいいって宣伝しておいてよ」

「そうですね……ありがとうございました」

 ふぅ、楽な仕事だな。危険もなく、MPだけで稼げる。

 あっ、MP残量は把握しておかないと不味いな。

 時間と使用量及び残量を紙にでも書いてと。

 その後もちょくちょく来客があった。野菜収穫とは比べられないくらい稼げた。MPがないといえば、高価なポーションも譲ってくれるし、そのうえで定めた金額を支払ってくれる。いい事づくめだ。


 気が付いたら、稼ぐのが楽しくて半年も診療所勤めをしていた。

 なんかもう冒険者なんて、辞めていいんじゃないかと思う日があるが、なんのためにPTを抜けたのかをそのたびに思い出し踏みとどまっている。

 貯金は20,000,000$程貯まった。

 本当、転生者としてはしっかりと勝ち組だな。

「さて、そろそろ冒険者の準備をしようか。まずは武器の強化。ギャンブルに打って出ようではないか」

 診療所を閉め、武器強化屋に向かった。

「10,000,000$でできるだけ強化を頼む」

 言い回しが成金みたいだが、まあ気にしない。

 強化屋も特に驚かず作業に取り掛かる準備をしている。

 高ランクの冒険者だとこのくらいの金額はたいしたことがないんだな……。

「時間がかかるから見ててもいいし、あとで結果を聞きに来てもいいがどうする」

「見てるよ」

 黄色く光れば成功だ。青い光ならば失敗。

「あとは適当に眺めてな。では始めるぞ」


「長いこと強化してきたがこんなにも強化できたのは初めてだ。特別なのか武器なのかもな」

 武器強化の成功率は、初回が5%程度。強化が進むにつれさらに下がるといわれているらしい。

 そんな確率の中で7回の強化成功はおかしいとのことだ。

 この武器は、Aランクでありながら、当時の取得者は弱いと言って売りに出した。また、次の持ち主は弾を打ち出すことも出来なかった。実弾ではないため、魔力弾だがMP消費もなし。威力にさえ目を瞑れば、充分破格な性能だ。そんな武器の強化が上手く行き過ぎている。つまり、強化が前提の武器な可能性がある。でなければAランクで弱いのはおかしい。ここはさらにベットだ。

「よし追加で10,000,000$分頼む」

「よし+10を拝むぞ。いくぞ」

 おやじも興奮気味なのが伝わってくる。

 強化の失敗が続く中、ついに1874回目に+10となった。

 「まさか最大強化が出来るなんて……。こんなこと史上初めてだ……。ありがとう」

 おやじは感動のあまり泣いていた。

 初めての強化で対して実感のない俺は引いていた。

「あの……すいません。鑑定って、出来ますか?」

「ああ……出来るぜ。ええと、S+だな」

「S+ですか」

「ああ、S+だな。夢みてーだ」

「最弱のAランク。と言われてたのは、強化してこその武器だったんですね」

「ああ、こんなに強化が、成功することはありえない。強化前提の武器だ。にしても、これは厄介だ」

 おやじが急に真剣な表情をしたため、こちらも構えてしまう。

「何がですか」

「ダンジョンの門は最高がAランクだ。それがSランクの武器が存在するってことは、当然Sランクの敵もいるってことだろ。都市間の内側か外側には、Sランクの敵がいるはずだ。そいつが、街を襲ってこないことを祈るぜ」

「なるほど……。とにかくありがとうございました」


 残額1,300,000$。

 防具もBランク相当に変更し、準備は万端だ。

 おやすみなさい。

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