邪の国8
今日は空一面の快晴だ。気持ちがいい。
「いってきます」
宿を出た。
その後はいつものように5層まで走り抜け、5層はなるべくエンカウントしないように扉までついた。
「ふう」
緊張してきた。
ボスは突進 切り裂き 2連パンチ の三パターンだったな。
「よし行くぞ」
扉を開くといつもどおり転移した。
ここは……闘技場だ。
対戦相手が柵から放たれる演出。観戦者がいないのは残念だな。と、よそみしている場合ではないな。
意外と狭いから、後ろには気を付けないと。
お互いの距離についた。
熊は態勢を下げた。突進かな。
「って意外と早い。盾でバッシュし避ける」
知識と経験ではまったく違うな。
熊は右手を大きくあげ振りかぶったが、これを後ろへ回避する。
「いまのが切り裂きか」
熊は右手を後ろに引いた。2連パンチだ。これも後ろへ回避する。
突進以外は、想定内の速さだな。
相手の動きは把握した。今度はこっちの番だ。
「MP10身体低下」
ここからが攻め時だ。
動きが鈍くなった熊は、もはや5層のスケルトン以下であった。HPはあったが、あっけない幕切れである。
「うーん。まあいいか。邪の魔法はボスに強かったな」
闘技場の真ん中には、黄金の宝箱が。
「いいものお願いします」
と勢いよく開けると、指輪がひとつ。試しにつけてみる。
頭の中に情報が浮かんだ。着実のリング。取得経験値が2分の1になるかわりに、レベルアップ時のステータスが2倍上昇する。
「うん?便利だよな!?必要経験値量は上がらないのに、レベルアップも2倍。ありだな。やったー」
奥に扉があり、おそらく帰還の扉だろう。
「初心者の門。名前の割には苦戦したけど、成長出来た気がする。ありがとう」
闘技場に一礼してから、扉をくぐった。
よしこの勢いで私設ガチャも行っちゃおう。
「宝箱より、ガチャのほうがワクワクするのは、なぜなんだろうな」
ガチャガチャ……デカッ。
狙うは、武器一択。遠距離。筋力少なめ。高レア。
「お願いしまーす」
10,000$を入れ、ハンドルを回す。
ガチャポーン。
ホントにガチャ玉だ。中身は圧縮されてるのか。
ワクワクする。
うん。
銃だ。手にもつと頭の中に情報が流れた。
片手銃 効果 攻撃時に①か②を選択
①単体150%分を与える。更に20%の確率で次の攻撃を強化。
強化時 単体300%分を与える及び継続ダメージ1分間かけて200%分を与える。
②敵全体に対して80%分を与える。更に20%の確率で次の攻撃を強化。
敵全体200%分を与える及び継続ダメージ1分間かけて200%分を与える。
またドローンを投影し一定間隔で敵に対して挑発を行う。30秒後に投影は終了する。
うん。わからないことがわかった。とりあえず、確率で強くなるってことだな。ドローンはヘイトを稼いでくれる。
そうだ、手紙もあったんだ。
「いままでの冒険談を聞かせて欲しい」
招待状とともに書かれていた。
俺の短い冒険談でもいいのかな。とりあえず行ってみよう。
招待状をみせ上層へ。
上層は、すべてが手入れされ尽くされた街だった。
綺麗な石畳を歩き、目的の家へ向かう。
これまた大きな門構えの家だ。玄関には警備員がいる。
招待状をみせ、家の中に入ると今度はメイドが案内をしてくれる。
「こちらでおかけになってお待ちください」
しばらくして紳士がくる。
「本当に来てくれるとは思わなかったよ。私は、レイモンド・リチャードだ」
「新人冒険者のマルクトです」
「なるほど、君は新人だったのか。ガチャを回すのにも苦労しただろうに。手紙に書いたが良ければ、今までの冒険談を聞かせてくれないか」
レイモンド氏は、とても丁寧に話してくれた。そんなレイモンド氏に対して、精一杯話そうと思った。
いままでのことを話した。
「冒険者という者たちはみないきいきしているな。私にも娘がいたのだが、それはもう毎日楽しそうに話していた。今日は、〇〇を狩った。勝てずに逃げ回ったなどをな。そしていつも語っていた、運命の王子様が私を見つけてくれると。私は転生ではないため、運命の相手というのが何なのかわからなかったが、運命の相手が見つけてくれるように名前までかえてしまったのだよアーシアに。あの子は。せっかく私と妻が丁寧に考えた名だというのに。運命の相手の名はなんじゃったかな。もう忘れてたしまった。結局相手は見つからず、このタグネスだけが帰って来たがな。とすまない。関係ない話だったな。どうしたのじゃ、泣いているのか」
「いえ、たまたまですがわたしの前の妻もアーシアだったものでして。少し思うところが……」
「そうじゃったか。たしかマルクトではなかったので安心するといい。なにかの縁があるようじゃな。良ければ、このリングも貰ってはくれないか。娘が冒険者になりたての頃、宝箱でこのリングをみつけ大喜びで帰ってきたものじゃ。その後も、大切に使っておった。遺品ではあるが、初心者のマルクトさんに使って貰えれば、しまわれているより娘も喜ぶじゃろう。どうか受け取ってくれないか」
「いいのですか」
「ああ是非」
「ありがとうございます。立派な冒険者になって見せます」
「ああ、また冒険の話を聞かせに来てはくれないか」
「大冒険をしてもう一度きますね」
レイモンド氏から次回の招待状を受け取った。
「今日は楽しかったよ。また会おう」
「こちらこそ。またよろしくお願いします」
レイモンド氏は、部屋から退出しメイドが出口へ案内してくれる。
「あんなに楽しそうなお姿は、久しぶりに拝見しました。どうか、お気をつけて」
メイドに一礼し、またいつもの宿へ向かう。
宿の部屋でリングを付けてみる事にした。
索敵のリングLv2。半径10m以内の敵および敵の名前がわかる。
これは、便利なものをもらっちゃったな。
おやすみなさい。




