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第八話 入学

第八話 入学


サイド 福矢 亮太



 そんなこんなで、無事高校に入学することが出来た。また、入学式の前日に冒険者のライセンスが届いた。郵送で。いや、もうちょっとこう……『これから冒険者になるんだ』って感じられる形でわたしてほしかった。


 高校の入学式。校長の挨拶やらなんやらあったのだが、凄い美人な校長だった。豊かな金髪に優し気な顔立ち。そして、スーツを押し上げる豊満なバスト。くびれた腰。むっちりしたお尻に、タイトスカートからのぞく黒いパンストに包まれた美脚。


 男子高校生が妄想する『いかん女教師』を具現化したみたいになっている。


 まさか、あの人が元『七十三歳のお爺さん』だったとは想像もできない。ちなみに、一緒に壇上にいた教頭も黒髪のお淑やかそうな雰囲気をした美女だった。こちらも巨乳。


 二人ともサキュバスらしい。校長は孫どころかひ孫もいるとか。教頭はバツイチらしい。


 そして、肝心のクラスについてなのだが……残念ながら優子とも昭とも違うクラスになってしまった。というか、二人は中学同様『性別が変わってしまった』生徒を集めたクラスに割り振られた。


 誰も知っている人がいないクラスだが、中学とは違い既にグループが出来ていて輪に入る事が出来ないという事はないはず。


 中学時代、あの二人とクラスが別になってから教室ではひたすら空気にならざるをえなかったが、高校ではそうはいかない。


 机に突っ伏して寝たふりとか、本を読んでいるふりとかはもうしたくない。授業で二人組とか班を作ってっていう時に、気まずい空気になりたくない。


 どうにか教室で新しい友人を作り、クラスの中で最低限の地位を確保するのだ……!



*       *         *



「どうして……どうして……」


 学校からの帰り道、足元を見つめながら自問自答を繰り返す。何故だ。なにがいけなかった。どこで間違えた……?


「そう落ち込むなよコミュ力クソ雑魚童貞」


「そうでござる。お主のコミュ力がクソ雑魚ナメクジよわよわ童貞なのは周知の事実。落ち込む必要などござらんよ」


「お前ら励ます気ないよね?」


 もうちょっと優しくしようとか思わないの?本当に赤い血流れてる?友情ってご存知?


「えー、だってそもそもフクヤンが新しく友達作るのは難易度ベリーハードだと思ってたでござるし」


「な、なんで……?」


 半泣きで優子を見ると、『うわ、キモ』と言われた、もうやめてくれ。僕の心は既にボロボロだ。


「冷静に考えるでござる。まず第一。フクヤンはレベル持ちでござる」


「そうだけど……怖がられたって?だけど、レベル持ちは僕以外にもいたはずだぞ」


「そうでござるな。だが、そういうレベル持ちはレベル持ちどうしで固まっていたり、元々知り合いだったメンツと喋ってはいなかったでござらんか?」


「た、たしかに」


 自己紹介の時冒険者資格をとったと言ったのは、クラスで自分を含めて四人。そして、自分を除いた三人は仲良さそうに話していた。


 おそらく彼らもレベル持ちだったのだろう。そして、彼らは高校入学前からつながりがあったように見える。


「第二の理由。フクヤン、休みの日とかどうするつもりでござる?あと放課後とか」


「え、そりゃあダンジョンにいったり……あっ」


「そう、遊びに行くとかゲームをするとかでなく、クラスメイトとつるむ事が出来ない所に行くから、よしんば今日上手くいったとしても、すぐに疎遠になるでござる」


「ま、待ってくれ。いくら僕でも毎日ダンジョンへは行かないぞ。普通に休む日だってある」


「で、ござろうな。だが、それで一緒に遊びに行くと体を休めるのには向いておらん。なにもせず誰かの部屋でだべっているだけ。というのは、ある程度仲がよくなってからやる事であって、友達になったばかりでやる事ではござらん」


「そ、そうだった……!」


 ダンジョンでどれだけ疲れるかは今の所わからない。ネットで聞いた感じ、かなり疲労がたまる仕事だと言っていた。休みの日は外出する気もおきないと。


 それに学業もあるのだ、遊び歩く体力があるかわからないし、同じ冒険者でもないと一緒に休むという選択肢はないだろう。


「まあ、今言ったのはネットで言われている『冒険者になった学生が学校で孤立するパターン』として有名なのだからでござるな」


「知らんかった、そんなん……」


「いや、まあ俺としては、お前が速攻でうちのクラスに遊びに来た段階で『あ、こいつクラスに友達できねえな』ってわかったぞ」


「ごふっ」


 仕方がなかったんだ……中学時代のクラスで空気になる癖が抜けきらなくって、初対面の人にどう話しかければいいかわからなかったんだ……。結果、とりあえず二人と話して落ち着いてから、誰かしらに話しかけようと思っていたのだ。


 まあ、そうして『よし行くぞ』となった時には既に遅かったんだけどな。けっ!


「馬鹿でござるな。拙者たちがいるでござろう?」


「なっ!?」


 突然優子が後ろから首に手をまわして抱きついてきた。背伸びしているのか、体重がこちらにかかって、必然背中に大きくて柔らかい感触が押し付けられる。


「な、なにを!?」


「いや、ここは『いつの時代のパクリだよ』とツッコムところなんでござるが……」


 するりと離れた優子が、『やれやれ』と肩をすくめて小馬鹿にした顔をしてくる。ちょっとむかつく。


「腕がおちたでござるな、フクヤン。かつてのフクヤンなら空中横回転三回ひねりツッコミをしていたであろうに」


「ごめんそんな事したっけ?そんなアクロバティックなツッコミしたっけ?」


「お前にがっかりだぜ、亮太……!」


「そんな失望される様な事したかなぁ!?」


 もうやだこいつら。人をなんだと思っているのか。


「まあ、若干の罪悪感があったので少しサービスしてやったのでござるが……」


「罪悪感があるならそもそも弄るなよ……」


 いや、確かに背中に感じた感触は凄くよかったというか。たぶん今夜思い出すだろうなとは思うけれども。それ絶対後でこっちが罪悪感にさいなまれるやつ。


「いや、それではござらんのだが……」


「まあ、いいんじゃね?」


 二人が何か言っているが、あえて無視する。


 自分とて、二人と一緒にいるから他の男子にいい顔されていないのはわかっている。二人とも、見た目だけならまごうことなきスーパー美少女だ。しかも巨乳。


 だが、だからといって二人と疎遠になるのは嫌だ。今の友達を捨てて新しく友達を作ろうとは思わない。


 というか、教室で話しかけるタイミングを逸したのは事実だし……変えようがない過去だし……。


「それよりも、明日だな」


「そうでござるな」


「おう。遂にダンジョンデビューだ」


 そう、明日、自分達は遂にダンジョンデビューをはたす。その為の準備もしてきた。


 とりあえずの目標は装備代金分稼ぐ事。その為に、安定してダンジョンで稼げるスタイルを確立しなければ。


 一応、それっぽい役割分担は三人で話し合って決めたのだが、どこまで通じるだろうか……。



*         *        *



 翌日、放課後になって三人そろってダンジョンに向かう事になった。


 電車に乗って揺られる事二十分。ダンジョンに到着した。ここは一番近い所で初心者用と言われているダンジョンだ。


 出てくるモンスターはレベル0相当のと、レベル1前後のモンスターしか出てこない。前者は『藻ヒル』で、見た目は全身に藻がはえたヒル。大きさは三十センチほど。跳びはねて人間に張り付き、血をすいとる。見た目がだいぶキモイ。


 レベル1前後のモンスターは、『レッサーリザード』と呼ばれるエリマキトカゲだ。大きさは尻尾を除いて五十センチほど。こちらも跳躍して噛みついてくるのだが、一足で首目掛けて跳んでくる。顎の力と牙の鋭さから、危険度は藻ヒルとは比べ物にならない。


 ダンジョンに到着し、それぞれ着替えを済ませる。


 自分の装備を、更衣室に会った鏡で確認する。


 金属製の兜に、上下ともに紺色のツナギ。その上から肩まで守るタイプの防弾チョッキと、登山用のブーツ。腰には農作業で使われるベルトに、ナイフと剣がつるされている。


 兜と剣は『ダンジョンで採れた金属』で作られている。通常の鋼より軽くて丈夫だと最近有名だ。


 兜には左右の側面にライトと、トラブル防止のカメラがつけられている。剣の方は片刃で肉厚の『片手半剣』だ。素人には普通に両手剣か片手剣の方が向いていると聞いた事があるが、特訓に使っていた木刀と同じ長さの物を買ったらこうなった。


 小型のリュックを背負い、これで準備は完了。トータルで十五万円だ。高校生が身に着ける物と考えたらかなり高い。


 それでも、両親は『そんな装備で本当に大丈夫か?』と心配していたが、これ以上甘えるわけにはいかない。


 更衣室を出て、二人と合流する。


 二人とも自分と似たような格好だが、兜の代わりに普通のヘルメットだし、剣は小型のを提げている。


「え、亮太フルフェイスの兜にしたのか?」


「それ、ちゃんと周り見えているのでござるか?」


 二人とも眉をひそめているが、問題ない。


「僕のスキル、超感覚があるから大丈夫だ」


「あー、そういえばそうでござったな」


「……え、なんだっけ」


「おい」


「まあ、空間把握能力と直感がやたらよくなるスキルでござるよ」


「ほーん」


 そう言ったあと、昭が突然背後に回り込んだかと思うと、頭にチョップを入れてこようとしてきたので、普通に右手で受け止める。


「おお、マジでわかるのな」


「ああ。トラップとか奇襲とかもわかるぞ」


 ネットで同じスキルを持っている人の話を読んだだけで、実際にきちんと試したわけではないが。


「じゃ、早速いくでござるか」


「ああ」


「ふ、俺の伝説が今始まる」


 そう言って、ダンジョン前の入口に並ぶ。


 ちなみに、ダンジョンは大型スーパーみたいな建物に囲まれており、中には『更衣室』『感簡易的な治療室』『交番』『買取所』『購買』がある。


 買取所はダンジョンから採ってきた鉱物や植物、モンスターの死体を買い取ってくれるところで、購買はパンとかおにぎり、お茶といった食べ物が主に置かれている。


 そして、この建物、世間では『ダンジョンセンター』、の周りには空き家が放置されている。人の手が入らなくなって二年ぐらいたっているからか、あっちこっちの家にツタが目立っている。


 ダンジョンが出来てしまった場所の周りは、どこもこんな感じだそうだ。引っ越したのか、あるいは出て来たモンスターに……。


 そして、ダンジョンの入口は、ダンジョンセンターの一番奥にある。大きな堀にかかっている橋を越えた先に、分厚い壁に挟まれた扉があるのだ。


 万が一、ダンジョンからモンスターがあふれたら、橋を爆破。交番から救援要請を出し、少しでもここで食い止めるらしいが……出来るのだろうか。


 まあ、自分が考えてもしょうがない。このダンジョンは本当に初心者様なので人も少ないから、順番もすぐにまわってきた。


 受付の人にライセンスを見せて、中に入っていく。ちなみにこのライセンス、大きさがスマホぐらいある。なんでも、端の部分にあるカバーを外してスイッチを押せば、交番に救援要請がいくのだとか。


「じゃあ、いくぞ」


「おう」


「大丈夫でござる」


 そうして、自分達は遂にダンジョンの入口をくぐった。




読んでいただきありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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[一言] モブトリオが主人公の美少女TS友人による両手に華を見たらどんな反応するか気になりますね~
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